naritatoさんのお気に入りユーザーの体験版新着コメント
naritato
基本的に現代観点によるゲーム単体の評価。ジャンルの先駆者などといった時代補正は考慮しない。
とはいえ、レトロゲーム・同人・フリーといった制作規模や価格帯の違いが激しいものを同一基準で採点するのは難しい。
経験値が少ないうちに触れたものが高評価になりがちで、目が肥えてからプレイすると評価が数段落ちるであろうタイトルははざらにある。
ゲームを知ったきっかけや購入時の価格といったバイアスを取り除こうと思いつつも、流されている自覚あり。とどのつまり点数はダブスタの産物。
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体験版新着コメント
プレイ時間は約1時間。OPまで。天使ちゃんはウザいけど可愛いという絶妙な塩梅のキャラで安心した。非常に好みな内容で楽しかった。一般的なラノベの学園モノに近い雰囲気(?)で、こういうのでいいんだよって感じ。合わない人はとことん合わないだろうけど。
69点 ミート・イート・ガール (アトリエかぐや) (2023-11-24)
BGV(バックグラウンドボイス)がオプション設定でOFFにできない。発売までに修正されなければ厳しい点を付けざるを得ない。
プレイ時間約1時間10分。プロローグ部分(OP含む)まで。野郎がたくさん出てきていますが特段不快感はなく、野郎同士の掛け合いに関してもプレイ前に想像してたより面白く感じました。野郎どもにはむしろ主人公を食ってしまうぐらいのインパクトをここから見せつけていってほしいです。また、既に登場するキャラクターが多いだけあって視点がめちゃくちゃ入れ替わったりと群像劇っぽい感じで物語が進行するため、キャラの掘り下げ不足などは心配なさそうです。ヒロインとしては幼馴染が強すぎるのですが、実際に製品版をプレイした時にがっかりしてしまうのは嫌なのでシナリオに期待するものではないと暗示をかけ続けつつ発売を待つことにします。
100点 ヒラヒラヒヒル(非18禁) (ANIPLEX.EXE) (2023-11-17)
「私は、人に、大した優劣なんてないと思うんですよ。お家に本があるとか、周りに教えてくれる人がたくさんいるとか、たまたま学問をしやすいところに生まれればそれが得意になるし。そりゃ多少は生まれついての得意不得意もあるでしょうけれど、そんなのは些細な問題で」「そうでしょうか」私が云うと、「そうですよ。みんな一緒なんです。本当は」彼女は寂しげに笑った。『ヒラヒラヒヒル』常見明子、天間武雄。――――6時間程度の序幕にあれど、ここまで心は酷く遣る瀬無く締め付けられるのか。今回の作品も、そんな哀愁の反芻をこの身に甚く感じたプレイタイムと相成った次第。「風爛症」と言う死人が生き返る病をモチーフにした架空の大正時代が舞台の物語。とは言え、紡がれる雰囲気は僕が思い描く時代そのもので、表れる描写や背景は紛れもなく切なく淋しいあの時代そのものである(これは勿論受け売りで、20年前に亡くなった曾祖母が語ってくれた話から、僕が勝手に想像を膨らませただけの話でもある) 不思議と息苦しい田舎。明るく楽しく思いながらもどこか不穏が付き纏う時代。親しかった者が「私宅監置」の憂き目に遭い、終ぞ逢う事も叶わぬ現状と成り果てた過去。「私に優しかった人、優しすぎた人程、社会は排除しようとしたよ……」曾祖母が口癖の如く語っていた遣る瀬無き思い出の世界が其処にはあった。「みんな一緒なのに」と思った其処は紛れもなく、かつて日本が辿り、今も尚その禍根が残る有り様の世界そのものだった。違うのはただ1つだけ。リアリズムの世界にて一際目立つ風爛症。「死にたくても死ねない症状」の蔓延した絶望がトッピングとして盛り付けされ、生かすべきか死なすべきか、それが問題だと言わんばかりに、僕の心へ終始語りかけてきた始末。生きる事が難しい地獄。死にたくても死ねない地獄。死んでも安らかにはなれない地獄。そもそも死んでいるかどうかも判別つかない生き地獄。そんな四大地獄の世界を、人はどのように生きていくのか。はたまた死んでいくのか。『BLACK SHEEP TOWN』と似たような題材から綴られし本作は、細分化された生死に挟まれし人間をどんな結末へ導くのか。そして生死を越えた先に、人はどのような結末を導き出すのか……取り敢えず、僕は天間武雄君を応援して。茫々とした不安を胸中に込めて、発売されるその時までを、心待ちにしていようと思います…………頑張って下さい。「人生は死に至る戦ひなることを忘るべからず。従つて汝等の力を恃むことを勿れ。汝等の力を養ふを旨とせよ」
80点 夏ノ終熄 (CUBE) (2022-08-26)
事実は小説よりも奇なり。現実が空想に迫りつつ近づいてくる時代の最中、影響を受けた『物語』もまた「現実」に強く接近しているのは最早言わずもがなであり「時代を映す鏡」としても機能していると申し上げる他ありません。本作『夏ノ終熄』は「架空の出来事」と一蹴出来ないような導入部と仕上がっておりました。世界的伝染病の流行から人間が次々と死んでいく荒寥の地より齎されし出会い。主人公のユウジとヒロインのミオしか出て来ずに過ぎ去った体験版でしたが、もしかすると今後もこの2人のまま、彼に始まり彼女で終わる展開と成り得るかもしれない事を感じてしまう、寂しげ且つ安らかな雰囲気で終始紡がれておった次第(モブキャラすら徹底して出さないのって本当に珍しいですね) そんなんじゃどうにもこうにも単調と過ぎ去るだけではないか? 大丈夫。かずきふみ印のエロゲーだよ。そんな安穏気侭のラブラブスローライフで終わらせてしまう訳がないじゃないか。OPにもきちんとその証拠が描かれているじゃないか。始まりがあるから終わりがあるように、終わりがあるから始まりもあり。終わっていく中に始まるものがあるならば、始まっていく中に終わってしまうものも確かにあり。世界の全てが鎮火したように静かとなる日も酷く近い。そんな不謹慎を日夜考えてしまう僕にとっては有り得るかもしれない未来予想図。夏の終わりにして世界の終わり。彼女と過ごす最初にして最後の「終熄」――世界の終わりの庭から齎されし物語であり、その終焉を最期まで見届けようと、決意を固められた体験版でした。「僕達は愛し合っているのさ、それこそ天使が羨む程にね……君には居るかい? 世界の終わりが来ようとも、一緒に居ようと思える人が…………君には居るかい?」
100点 BLACK SHEEP TOWN(非18禁) (BA-KU) (2022-09-16)
「……こんなのいやだよ。だって、死んでいなくなることがみなはじめから決まっているのだから、生き物はどんな風に生きようが、みんな不幸で可哀想だってことでしょ。だったら、世界なんて、狂ったピエロが作った出来損ないのおもちゃみたいに最初から壊れているんだわ」(中略)「シウ、よく考えるんだ。死というのはいつだって僕らに重要な示唆を与えてくれる。普段僕らはいろんなまやかしに誤魔化されているけれど、死に触れた瞬間、はっと気がつく。世界に切れ目が入って、そこからドクドクと血液が流れ、ここが生やさしいだけの場所じゃないってまざまざと思い知らされるんだ。それは過酷な現実かもしれないけれど、でもそういう場所だからこそ輝いて見えるものもある」『BLACK SHEEP TOWN』謝筱喬、謝亮。――――無垢な幼子の如く性懲りも無く栄養を望むがまま受け取り続け、満腹になる事すら知らぬまま只々『世界』を掻っ喰らっていたあの頃。いつからだろう? そんな狂おしい程愛おしき物語で満ち満ちている筈の場所に失望を覚えるまでとなったのは。いつからだろう? 触れる話全てに退屈を覚え「もう少し真摯に取り組んで欲しい」と不満ばかり浮かぶようになったのは。初報から5年の間で世界は目まぐるしく変化した。未知の病原体が流行し、メディアは日毎に罹患者数及び死亡者数を報道にて発表し続ける。緊迫を抱えながらも何とか日常を維持し続けようと努力し続けた世界情勢だったが、その歪みは日々の経済活動の中でこそ隠し切れず散見される皮肉な話と相成っている。今日なんて元内閣総理大臣が銃撃による暗殺で死亡した。僕達が暮らしてきた「世界」と言うものはいとも簡単に覆される。それは少しずつ少しずつ影の状態で日々の形を侵食し続け、気がついた時には最早取り返しのつかない状況にまで追い詰められる。僕はこの5年の間でその事を充分に噛み締めていた。全てに等しく「死」が訪れる当たり前の世界で僕は、偏に自身の感情が「死んでいない」事を確かめていた。『世界』の只中にぽつんと佇み、焦慮を人知れず覚えた感情は『物語』に対してある種狂気的過ぎる姿勢へと様変わり。ハードルだけが高くなりながらも、偏に追い求めていたのである。諦観の絶望へ浸りそうになりながらも、懸命に生き続けた『世界』の中で……偏に追い求めていたのである。そしてだからこそ此処で言いたい。「漸く……漸く、巡り会えたよ」 これが僕の求めていた物語『BLACK SHEEP TOWN』だった。序盤だけ読んだらば、良く言えば王道、悪く言えば在り来たり。『ゴッドファーザー』も斯くたるやと言わんばかりの切なきギャングストーリー(ソニー・コルレオーネ役のジェームズ・カーンも一昨日息を引き取ったらしい。今日のニュースで発表されたけど、何だか不思議な因果を感じるなあ)に見えるだろうが、読み進めて行く内に事態の様相は『群像劇』と言う形で二転三転如何様にも転進し始める。サイキックを持ち合わせた「タイプA」や、優れた肉体能力を有し続ける「タイプB」と言ったミュータントの横行。若い女性ばかりを狙う連続殺人鬼「コシチェイ」の存在。そして瀬戸口廉也と言う個人が描く『人間』の主張と、思想に満ち満ちた生き様の数々。これらが全て折り重なって生まれた『世界』は、ただ単に「面白かった」と言う言葉のみで片付ける行為を赦さない程、重厚且つ深遠に満ち満ちた舞台「Y地区」の全貌を描き上げていた。幼馴染である美美の結婚式という名目でY地区へ帰る事を余儀なくされた謝亮を筆頭に、彼の親友且つハイブリッド能力者の見土道夫。Y地区内最大のギャング組織「YS(イーシェン)」の頂点に君臨する余命僅かの父、クリス・ツェー。生まれつきのタイプBでありながら、病弱な身体と繊細な心を併せ持つ妹、謝筱喬。ゴミ処理企業シオクリーンの令嬢にして、謝亮が最も懇意にしている少女、汐松子。彼女の父、シオクリーン社長、そして研究者の顔も見せる寡黙な男、汐健慈朗 etc……多種多様な登場人物が重なり合う連鎖爆撃交差点にて、齎されし血と暴力の物語。それは死臭を肌身に感じさせながらも、不思議な事に確かに僕の心の中で「生」への高揚感を肌身に強く感じさせた。人間はいずれ死ぬ事が分かっているからこそ、自分の人生を大切に、掛け替えのないものとして享受出来る。それはきっと、この数多溢れる「死」に覆い尽くされた『世界』で最も大切な指針と成り得る筈だ。その時生じた感情は、正しくその時にしか芽生えない。その時抱いた感情を感受し、銘記し、伝達し、生まれた感情を遺したく思う。焦燥感の右往左往で、押し潰されそうに成り果てていた心を本作で目出度く昇華させたい。そんな戯言を切に思えた『BLACK SHEEP TOWN』体験版だった。当たり前のものなんてものはないから。愛おしく掛け替えのない全てがあるから。そう思える気持ちを大切に。そして強くこの眼に惹きつけられた発売予告最後の「笑顔」に『愛』を込めて。9月のその日を楽しみに待つとしよう。P.S. 本作は女性キャラが本当に少なく感じて、エロゲプレイヤーとしてはちょっと驚いたんだけど、しかしだからこそ読んで思ったんだ。どうして瀬戸口作品の女の子と言うのはこんなに可愛らしいのだろう。貞淑な理性精神から成る温かみに溢れし献身性を心中に宿しているからか。自らの意志で勇気ある決断を果たそうと動いた、確かな人間味も併せ持っているからか。人間の誇り。美しき光景。心が深く沁み入ってしまう。そしてだからこそ、彼女が殺されでもしたら……慙愧と悔恨混ざり合い不透明に咽び喘ぐ悲憤慷慨惆悵の心が、この世で強く強く僕の中を喚き続けるような気がして、耐えられなくなるような気がして、今から何だか偏に怖い(登場場面そんな多くないのに、そう思わせてくるのは不思議だね)無病息災。平穏無事。愛おしき「普通」のままで彼女が生きていける世界を祈り願い奉る。アーメン。「人の為に生きたい君と 自分の為に生きたい僕 合わない歯車が回っては軋む音 そんな風だった、二人の笑い声」
90点 ジュエリー・ハーツ・アカデミア -We will wing wonder world- (きゃべつそふと) (2022-07-29)
そろそろ説明不要な冬茜トム先生による企画作品第四弾。だからいー加減セーブロード数を80から倍以上に増強してくれ! 先行体験版は一章を収録、約一時間程。冒頭のメデューサ軍とのドンパチ以外はルビイの出番含めてペガサス組の成立からキャラ見せまで。そのペガサス組の面々は一癖も二癖もある中で、章丸々使ってキャラの側面をしっかり描いていて好印象。特にマークスの獣人嫌悪はなんとなくではなく経験に基づく心理的恐怖であるとわかったのは大きいです。ただ、内実として、あめぐれ時にキャラが駒であると一部で言われていたのをさくレットで改善させたというのもあるが、どちらかといえば彩頃同様「お前は駒だと言われたキャラが如何にして人間らしくあるか」というような描き方でした。なので、その実宝石が本体とか言うのかなーとか妄想を巡らしつつ。ルビイやキャロちゃん等、顔見せだけで終わったキャラもいますが、現時点ではしっかりと「人」を描くことについては心配いらなさそうです。その上で、ファンタジーとすると、トム先生お得意の「現実世界での常識に照らし合わせた意表を突く伏線」は出来ないので、どう持っていくのかなと。まぁ伏線ゲーとしてでなくとも、マジチャ的なイチャラブが描かれるなら、力量はありますし、それだけで十分満足は出来そうですが。ともあれ、現実世界に一切絡まない完全なファンタジー作品は参加作品を含めてメインライターとしては初(ぱらしゃんのみ一応関連がなかったが、メインではない)なので、どのように調理するか楽しみです。(5/28追記)体験版フルバージョンプレイ、総プレイ時間五時間。ラストに先に公開されていた2ndOPに繋がる仕様。……どうすんのこれ!? 過去冬茜トム作品では着地点が何らかの形で見えていたが、今回は全くそれが見えないため、方向性の検討が本当に立たない。ともあれ、作品の傾向としてはやはり彩頃に於ける能力バトル系が軸になるので、未プレイなら「もののあはれは彩の頃。」を先にプレイしておくと比較が出来て楽しいかも。それにしても、過去傾向的に体験版終わり=共通終わりなので、誰かしらの個別にはすぐ突入できそうですが、今回はループなのか否か、一本道なのか否かもわからないため、個々の事象の考察は出来ても、本当に展開自体の予想が付きませんなぁ……。
プレイ時間は約45分。予約してないことを猛烈に後悔しています。前作とうって変わってだいぶ真面目にクズ主人公を作りこんできてるのでちゃんと内面も推察可能で物語の先が気になります。素直に面白いと思えました。メインヒロインで一番力入れられてそうな黒髪が個人的に嫌いなヒロインになりそうなので、まぁその辺だけ期待せずに製品版やろうと思います。正直、前作みたいなつまんねぇギャグと暴言だらけのキャットファイトやられるぐらいならシリアス多めでいいです。メーカーの方向性が迷子みたいになるけど。
80点 エヴァーメイデン ~堕落の園の乙女たち~ (Liar-soft(ビジネスパートナー)) (2022-02-25)
悪印象が好印象に転ずるというのは、好印象が更なる好印象を齎す現象よりも、遥かに価値があると思うんです。海原望×大石竜子コンビの最新作『エヴァーメイデン~堕落の園の乙女たち~』体験版をプレイして、そんな一抹の想念が自らの心へ沸き起こりました。実を言うと、僕は本作に対してあまり期待を抱いてなかったんです。それは僕が「百合」と称されるジャンルを嫌厭している実態も然る事ながら、パッケージデザインが全員の魅力を色濃く目立たせていた『フェアリーテイル・レクイエム』や、主人公の黒筆と白姫に焦点を絞っていた『徒花異譚』と異なり、キャラクター内に待遇の差を覚える気持ち悪さを無自覚に感じ。そこにアルエット&ルクの「THE 百合」って感じの描画な力が重なって、第一印象はあまり好ましいものと相成らず(大石竜子さんの絵は文句なしに国宝級レベルで素晴らしいです。ただパッケージレイアウトが過去作と比べて僕好みじゃなかった「過去」の話。其処は勘違いしないで戴きたい所) 物語の内容自体も「ああ、よくある女学院のお姉さま×妹分って感じの構成か……?」「なんかエルダーシステムっぽい設定ね……?」と、好ましく思えない部分を斜に構えて見る節もあり。正直今回の体験版で、気持ち悪い部分が少しでも生じたら、即刻終了して作品自体忘れようと誓う程には、本作に僕なりの基準を設けた覚悟を込めていた次第…………誠に申し訳ありません。謹んで謝罪致します。これらは全くの杞憂でした。杞憂。それは体験版を「目出度く終了した」僕に綴られし言葉そのもの。いやあ、これはもう文章と絵画の融合冥利が生み出した革命と思っても良い位に、僕の中では君臨致しましたよ。高雅な記述が齎す表現力。多くのCG、背景、キャラクターが生み出す描写力。そんな1つ1つの神髄が生み出されし『物語』の全てに、価値在る説得力を据えられており。全くおちゃらける事なくシリアスに進む構成の中、海原望作品恒例要素「過去と現在」「夢想と現実」「理想と実態」も垣間見えていく……素晴らしきミステリーの世界が面白く綴られておりました。そして、これは語っておきたい。学園プエラリウムの設定が本当に素晴らしいです。エヴァーメイデン育成機関として居を構える学舎……と語られる事の真なる意味が「理性」を尊び続ける校風を通して、徐々に徐々に理解出来ていく。「メイデンになるとはどういう事か?」「メイデンにならないならどうなる事か?」を綴った中盤は、思わず「おお……」と人知れず感嘆の溜息。生半可な心境で理想論を述べる事への皮肉も与える会話劇は「理性とは、人間と言う唯一の動物だけが抱けし穢れなき誉である」と思う節も多い僕にとって、彼女と同じ「汚らわしい」と感じた心情も嘘じゃなかった僕にとって、至極重要な見解を齎してくれた次第。あのシーン以後から偏に心を掴まされた僕としては、正直この学園設定もあったからこそ、最後まで読めた節もあったかもしれないと感じた始末で。挑戦的なようでいて、かなり心配りもされている。そんな余裕的配慮も色濃く感じた作品でした(しかし『徒花異譚』の後で、皮肉的に本作の展開を紡ぎ出す海原望氏には目を瞠るものがありますね……自己研鑽の妙を強く感じます) さて、個人的見解。『エヴァーメイデン~堕落の園の乙女たち~』は、僕の中だと「百合」と言うより「ゴシック・ロマンス」と謳った方が遥かに適切。微妙にSFが混じったり、ダーク・ロマンティシズムを踏襲していたり、正しくエドガー・アラン・ポーの系譜ですよ、これは。そして、あのパッケージデザイン……ああ、そういう事ですね? うん、至極得心致しました。やはりこのコンビに、僕の中で外れは存在しないかもしれない。そう思えるだけの自信を与えてくれた事が、何より嬉しい。体験版プレイによる最大の収穫と言えましょう。個人的な懸念はやはり少々拭えない為、満点の期待で以って迎える事は相成りませんが、此処だけは断言したい。「文句なしで面白かったので、必ず購入します」 そう放てるだけの期待を持たせてくれた事に、大きな感謝を。今後の展開は、ガラスのケースへ敷き詰められた麗しき花のように、鳥籠の中で蹲りながらも囀っている鳥のように、自己を主張しながら生きている?彼女等が追い求めし「ほんとうのこと」に期待したいです…………それが例え、どんな結末だったとしても。「そこにあるから 追いかけて 行けばはかない 逃げ水の それがしあわせ あるよでなくて だけど夢見る 願かける」
85点 創作彼女の恋愛公式 (Aino+Links) (2021-11-26)
体験版総プレイ時間は五時間程。共通が八話まであると明言される中二話でこの分量なので、全体プレイ時間は軽く30時間は越しそうなとこで……ディスク二枚組ってマジな奴やんけ。セーブロード枠が100ですがこれはマジで足りなくなるコース。口パクがあまり巧く出来てはいないので、この状態ならオフ機能が欲しいところ。ところで豪華版付属サントラ視聴を聴く限り、OP・ED共に奇跡という単語が多用(HPのライター工藤氏のコメントでも「奇跡のない世界」とあり)されていて、どうにも逢桜が病気持ちっぽいような雰囲気があるが、どちらかというと寿季が死んでて、話自体が寿季が死なないための逢桜の物語の世界……と予想。アペンドに「ifルート」とあるのも気になるとこ。全体の浸りたくなる雰囲気とか、一端の二次創作書きとしてうんうん頷いたり参考になったりする創作話とか、最終的に話の展開が個人的に納得いかなかったとしても現時点で評価出来るとこも多いので、今年の覇権と見た自分の審美眼を信じます。
60点 俺の恋天使がポンコツすぎてコワ~い。 (Hulotte) (2021-09-24)
購入前一言感想で語った事「エイルの運命度が100とか200とか∞とか、大層な数字を盛大にカマして、他ヒロインを総じて噛ませにする馬鹿みたいな行為」は有り得なくなった事が分かって、僕は至極安心しておりました(「なんで公式サイトでは秘密になってんだ?」って明確な疑問も芽生えましたが) 甘かった。見通しが甘かった。全く以って成長していない。人間誰しも、油断大敵は死あるのみ。早かった。余りに判断が早過ぎた。それは所謂「早計」と称さざるを得ない白痴な行為。どこぞの天狗仮面男ならば褒め立てても、本作プレイにおいては何の長所にもなり得ねえ愚行の極みでしょう。取り敢えず、プレイし終えて1番強く思った内容を此処で大きく言わせて下さい。ラブミエール……クソうぜえええええええ。主人公の要望にも従わず。私利私欲に自分の事しか考えておらず。ああ言えばこう言う言い訳だけは上手い癖して、その全てが彼女に都合良く立ち回って行き。「サポートしていますよ!」とか偉そうに抜かしても、全く当てにならねえ役立たず。他ヒロインと交流する際もしゃしゃり出てきて、互いに関係深める際の邪魔者にしかなってない部分もあり。面白みの欠片も無く、只管我儘と嬌声と自己矛盾だけが支配した彼女との会話ばかり続くのは、疲労と言う名の一色が僕の心を彩ります。そしてやっとコイツが出てこないで進行する場面が出てきたかと思えば、彼女が関わらない大切な関係強化のやり取りは数瞬で終わって、大して交流膨らまされず。まだ続きそうな所をすぐにアイキャッチが入って中断されたのは、思わず自身の眼を疑った始末(依鈴ちゃんともっといっぱい会話見せろやい!) かと思えば、次のシーンでまたラブミエールが長い尺を取って登場し続け、ほとほとうんざりする負の連鎖。しかも他のキャラクターからは主人公→ラブミエールの構図に何故か見えているようで、彼が否定しているにも関わらず「またまたあ!」だの「はいはい」だの「そんなこと言ってぇ」だの、サブキャラと一部ヒロインからはうざってえ反応ばかり返される不快(依鈴ちゃんが天使に見えました) 何なんだ、この優遇されっぷりはよ……五月蠅い性格は五十歩百歩にしても、その立ち位置は前作の葛ノ葉チトセ以上に、超絶お邪魔ヒロインじゃねえか。まるで成長していないどころか、選択したヒロイン以外が空気になってしまう内容も、キャラゲーの物語構築にあるまじき退化の一途を迎えていると言わざるを得ません。プレイを続けていくにつれて感じた淋しき喪失感は、在りし日の記憶を呼び覚まし。当初から矢鱈とラブミエールにスポットを当てて推していたので、嫌な予感はしていたんです。案の定、彼女(+サブキャラ)を目立たせすぎて、仮にもメインである他ヒロインの立つ瀬が無くなっています。前作の批評で「不思議を齎す存在はあくまでサブキャラに留めておくべきだ」と書いた意味を、製作陣は全く理解してくれなかったようです。キャラゲーにおける特定のキャラばかり優遇する事の危険性についてきちんと考えているのか、ほとほと不思議でなりません。そのいとも容易く行われるえげつない行為は、最早どのキャラクターがメインでサブかも分からなくさせた挙句、一部登場人物目当てでプレイする方全てに不安と焦燥を齎し、物語を紡ぐ説得力も疎かにしてしまうでしょう。ラブミエールに塩対応のつむちゃんは結構好きだったし(後半から彼女に絆されていく嫌な予感はしましたけれど)陸上部時代の過去や依鈴の秘密等、気になるものは確かにあります。しかしこの体験版では、魅力が至極限定的に過ぎ去って行った為、「依鈴ちゃん目当てで買って大丈夫か?」って悩む感想と化し。多分購入→様子見へ、75点→60点へ変貌してしまう位には、悪しき効果を齎してくれた次第。そんなにラブミエールを目立たせたい程好きなら、コイツ単独攻略の低価格作品でも勝手にシコシコ作って下さい。他ヒロインの見せ場や魅力を碌に見せず、1人だけ只管出番過多状態で進行していくストロングスタイルは、はっきり申せば有害の極み。コイツがちっとも気に入らなかった僕としては、限界突破此処に極まれり。『俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命』の方が遥かに面白かったと言わざるを得ない仕上がりであり、この出来については「流石に勘弁してくれよ……」と、涙ながらに懇願せざるを得ない要望ばかりが頭に浮かんだ体験版。こんなちょっとの事で「運命の相手」ってヤツは変わるものなのかよ。ああ、やっぱり俺は、運命って言葉が嫌いだ。
75点 奴隷姫騎士と奴隷侍女とのスローライフ (Waffle) (2021-07-30)
「人が人を選ぶにあたって、最も大切なのは『信頼』なんだ。それに比べたら頭がいいとか才能があるなんて事はこのクラッカーの歯クソほどのこともないんだ……」と、僕の大好きなキャラクター、ポルポくんばりによく似た思想をお持ちの主人公、ガーラントが身も心も股間も溶かされていく物語……って事に一先ずはなるのかな? 起動直後に僕をしんみりさせてくるBGMが流れてきて「おや、これは意外にシリアス系か?」と、感じたりもしたんですけど、あくまで体験版時点では「姫騎士様」「侍女様」2人とのイチャイチャ奴隷ラブラブライフの幕開け!!!って感じでした。良いですよね、互いに失ってしまったものを抱えた者同士が寄り添って、信じ合って、穿たれた隙間を埋めていく。僕はそういう、王道ながらも心に深く染み渡りそうな安らぎで満ちた物語が大好きなので、必然的に公式通販で予約購入を果たしていた次第。正直な話、プレイ前は好みの純情可憐少女であるアリエノール一強かなあ……と、失礼にも程がある推測をかましていたんですけど、予想以上にファルナの声と性格、挙動が可愛くて、彼女もすぐさま気に入ったのは実に嬉しい誤算でした。勿論、アリーの魅力も推して知るべし。慣れない生活に年甲斐もなく燥いじゃう天真爛漫純粋お姫様でありながら、根底には強い責任感と優しさが控えている姿勢。実に大好きな造型でした。『信頼』の先を是非とも見たいと思わせてくるスローライフ……そこで育まれる彼と彼女等の心の繋がり、そして彼等が至る選択に、深く期待しています。P.S. エロシーンの際「姫様の話はしないで!」とメスになりて包み込むファルナ。無知でありながら誠心誠意、たどたどしくも優しくご奉仕してくれる純潔のアリー……双方共に、最高にエロくて可愛くて良かったぜ!!
80点 海と雪のシアンブルー (CUBE) (2021-04-30)
「嬉しい誤算」と、この場合は語れば良いのでしょうか。体験版をプレイして実は結構衝撃を受けたんですよ。トノイケダイスケ氏が活躍していた時代のCUFFSのような、あるいはCUBE処女作『夏ノ雨』の頃のような、そんな過去に紡がれていた丁寧な「関係性」を本作でも見事拝見出来たんですから。父母の再婚によって新しく出来た義妹、七との生活から始まる義兄、青野志音の視点から紡がれる物語。まず驚いたのが、主人公の思考変化過程をさり気無く丁寧に描いている点。卒業間際。上京間近。残り日数も少ない中、他者との関係構築に少々のニヒリズムを感じていた青年が、七と暮らし始めた事で、徐々に変化していこうとするんですね。本作のヒロイン達は、七を含めたそれぞれが「大人」で他者を配慮出来る娘達ばかり。それ故に抱えている「生き辛さ」もあります。しかし、そんな彼女等に対して起こす彼の行動が、周囲取り巻く世界を構築し始め、『遠慮』の要らない関係性を提示していき、思わぬ所で予期せぬ感傷を齎していくんです。相手に対する「無知」を切に痛感した彼が、もっと他者を知ろうと歩み寄る過程。それはキャラゲー色を出しながらも要所要所できちんと展開を締めており、物語を蔑ろにしない真摯さでキャラの魅力を全面的に打ち出す、そんな絶妙のバランス感覚をエロゲの中で上手く作り上げていました。これが実に見事。とても素晴らしかったです。またそういったストーリーを作り上げるにおいて、著名な純文学の数々や色とりどりの花言葉、その上超名作ドイツ映画(僕も大好きな作品です)を描写推理や展開発展の要素として絡め、物語を彩っているのも実にGOOD! そして何より、この主人公が凄く良いヤツなんですよ。悩みながらも誰かの為に動き、独り善がりじゃない思慮を相手へ与えられる好人物。特に七の事を凄く気にかけながら、彼女の為にあろうとする姿勢は、兄貴として全く文句無し。「ああ、コイツは好きになれそうだ」と純粋に思えた主人公でした。さて、最後にヒロインの話。仲良くなっていく攻略対象は前述したように全員好感が持て、誰が魅力的かも各々意見が分かれるかと思います。個人的感想。僕のベストスリーは衣良先生、夢、そして七です。まず衣良先生は合理的思考で世を渡っていくキビキビした部分(でも、凄く優しい)を持ちながらも、要所要所で不意に紡がれる可愛い台詞にやられた次第。「ギャップ萌え」と言う一観点だけで見たら、この方は恐らくトップオブトップ。他の追随を許さない最高のヒロインとして君臨するでしょう。こんな先生が居たらなあ、大嫌いだった数学も頑張れたかもなあ……それはさておき、次は夢。彼女は偏に会話が面白い。志音が遠慮無く発言を叩き込み、変人の夢が応酬する対等な関係性がとても素晴らしかったです。そして何より彼女は卑怯。その意味は最後までプレイすれば自然と分かる事でしょう。また、白雪碧さんは本作で「佐本二厘」「秋野花」「沢澤砂羽」と言う神々に並ぶレベルの個人的最強ボイスアクターとして登録された事も此処に報告しておきます。マジで可愛すぎるから注意しよう! そして、七。兄とは須らく皆シスコンなり(義妹も含む)と考える僕にとって、彼女の存在は揺らぐ事無く光を放ち続けていました。そんな義妹との関係構築から始まって、次第に彼女の想いも知っていって、大切な繋がりとしてあり続けたいと希う。過保護に至るのも何ら吝かではないと思える兄と、その気持ちを歯痒く思いながら嬉しく応える素敵な妹の姿が、そこにはありました。最近碌な兄妹関係に巡り会えていなかった自分ですが、そんな過程も全肯定出来そうな関係性の妙を色濃く感じたこの展開。彼女の存在だけで本作を十二分に楽しめそうな、そんな予感を強く植え付けてくれた最高のヒロインと感じさせてくれたのでした。さて、どうやら見た所、これが今年購入する初めてのエロゲとなりそうです。彼等が最後に辿り着く『卒業』の道程。強く期待した輝かしき心情を胸に秘め、快く待望すると致しましょう。P.S. 『海と雪のシアンブルー』をプレイしていて、トノイケダイスケ氏の『永遠』を思い出したのは、僕だけで良い。
70点 恋愛×ロワイアル (ASa Project) (2020-11-27)
『恋愛、借りちゃいました』が存外気に入ったので、激戦区発売でも体験版はプレイする事に決めたASa Projectの新作。しかしながら、あくまで現時点における個人的感想を申すなら「まあまあ」の仕上がりだと言わざるを得ません。ヒロインがかなりアクの強い代わりに、主人公は中々に凡庸と過ぎ去る、近作以前の作風に回帰した印象。主人公が気に入ればどんな作品も楽しめる僕にとって、これが少々入れ込み辛い部分であり。彼に関しては、意図的に隠された過去や押し隠している秘密の部分が多くの要素を占めるので、気に入るかどうかも判別つかないってのが正直な感想。だから、僕としては正直彼の性格や特徴、どうしてここまで好かれるのかもかなり理解し難く、大嫌いって訳じゃないけど特段好きでもない、つまらん中途半端な第一要素と相成ってしまったのでした。無念なり。さて、対照的に個性の強いヒロイン勢の話。好感触の部分に惹かれたのは、まりと蓮菜位かな。特に後者は、多重投票の行末か正当な審査結果かは分かりませんが、根強いファンが居る理由?も少々垣間見えた始末(十中八九、外見 or ブリっ子初心の部分が多くを占めるんでしょうが) 彼女が陥っている状況ってのは、冷静に考えるとかなり辛い。だから僕みたいな負け組は、こういう澄ました顔してながらも色々抱えていて、内心懊悩するヒロインが報われて欲しいと希いますし、逆に由奈のような何考えているか分かんねえスター街道驀地の世渡り上手を自然と嫌悪する方向にあります。由奈はこの先少なからず重要な立ち位置となるんでしょうが、現状はサブで良かったとしか思えなかったのが、凶悪捻くれ者の本音でしょう。まりは素直に好意を表明する真っ直ぐさが良いですね。主人公を好き過ぎるせいで、対極的に他キャラを蔑ろとする性根は少々苛つきますが、恋愛が戦争だってんならしょうがない。最重要要素満載ヒロインっぽいので、適度に頑張って欲しい所。生徒会長とメイドは、ポンコツかぐやと毒舌度の増した早坂。妹は1番ヤバくて怖い。好きになる方がいるのも分からなくはない両ヒロインでした。さて最後に、僕が1番気に入ったキャラクターの話。それは主人公の親友、影近良徳くんでござい。正直、コイツが主人公だったら迷わず予約していました。根暗な者同士、要所要所で共感出来る箇所がありながら、察しの良さと友情を大切にする心根には、同じ男として甚く信頼を抱けます。そんな彼と鬼灯さんの掛け合いは、本作の中でもかなりお気に入りの部類であり。キャラクター的に作中で愛されている彼の活躍と、本質的にはとても優しい委員長の可愛さがもっと多く拝見出来るなら、後日になっても買いたいと思えた体験版なのでした。P.S. 由奈が個別ルートガッツリあると言う有難い情報を戴きまして、購入に一歩遠退いたのはここだけの話。恐らく僕だけだと思うんですけど、無様さを発揮せず飄々と容易に主人公を掠め取りそうな天然の性悪を好きになれるか、ルサンチマンからは何とも言えませんので。【2020年10月26日15時25分50秒記載済(過失消去による再投稿)】
75点 ユキイロサイン (Wonder Fool) (2021-03-26)
まずプレイして驚いたのが、綴られたシナリオが実にエロゲっぽくない事。主人公の視点を中心に、イベントを通してヒロインや友人達と仲良くなる過程を描き、攻略していくモノと勝手に考えていた節があったんですが――仲良くなるのは決して間違いじゃないですけど――これはどちらかと言えば青春群像劇スタイル。羽染宗冬は体験版時点だと「1人の登場人物」としての役割しか持ち合わせておらず、彼が目立っていたかと訊かれれば「本当にお前はエロゲの主人公か?」と、逆に聞き返して疑ってしまう程。寧ろ複数視点を駆使して、個々のヒロインそれぞれが仲良くなる描写(勿来美玖とスヴェトラーナ・グルチェンコは「親子か!」って位に仲良し)や、男同士の関係をかなり丁寧に描いていたのは「本当に俺はエロゲをプレイしているのか?」と、逆に自分のしている行動へ自問自答を繰り返した始末。この仕様が思っていた以上に効果的。リアリティ溢れる物語と仕上がっており、どこぞの青春小説をゲーム化したような好印象と映えたのでした。そんなエロゲっぽくないエロゲ『ユキイロサイン』は、主人公グループが仲良し小好しで居る所に、高萩香子がやってくる場面から幕を開けるんですが、その際の彼女視点は「くだらない面白み」がイマイチわからなかった自分にも共感を与え、仲良しグループのノリに付いていけない「ユーザーの気持ち」も上手く代弁しており、冬野どんぶく氏がかなり気を遣って関係性を描いているのを察せられます。そんな彼女と彼等が仲良くなっていく過程を、小ネタ(「アンドレ・ウーヴレダル」を話題に挙げる作品は初めて)も交えながら、要所要所で落ち着いて流れる良質なBGMを背景に、穏やかに優しく飽きない形で、地味ながらも上手く示している、確かな力量を感じた体験版と思えたのでした。そして、最後にヒロインの話。攻略対象3人は全員自然と好感が持てる作りになっていて申し分ないのですが、これがエロゲとして実に遣る瀬無い所。好感を持てたからといって「全員を攻略したいか?」と問われたら、素直に「はい」と応えられないのが実に悔しい。前述した仕様も相俟って、美玖とスヴェは「友人としての魅力」は大いに描かれていましたが「友達としか見れない」問題にも発展した次第。本当にこの2人は攻略対象なのか? Hシーンを観るまでは疑ってしまう程の関係としか言えず、今後展開されるだろう個別ルートシナリオ(美玖は「主人公の過去に関係した話」スヴェは「彼女の父母に関する話」になると予想)も、そこまで興味を惹かれないと言わざるを得ませんでした。ただ、香子ちゃんは南逢瀬へ来た理由の1つに主人公も少々絡んでおり、お隣同士の関係ってのもあって個人的交流は他2人より多く、彼等の間で恋愛・結婚話も出てきたので、ヒロインとして充分に観れた次第。展開されるだろうシナリオも「自分自身の選手人生をどのように選ぶか?」と言う苦悩の中、自らのコンプレックスや陥った境遇に対して、主人公と共に向き合いそうな俺好みの内容になりそうで、個人的には100点満点。要するにさ、香子ちゃんだけ凄え攻略したいんだよ。16000円かかるけど(通常版も出るらしいので、特典が無くても良い人はそっちで!) 可愛すぎるこの娘の為に16000円払うだけの愛が俺にあるか!? 今は目下検討中。本作で紡がれるテーマの1つにあるのは「才能」であり。もし購入出来たのであれば、苦心惨憺の中にいる彼と彼女、似た者同士が交流した事で見出せた「折り合い」と、そこから見つけられる「印」に期待したいです。(後、昔の幼馴染設定も上手く生かしてくれていると嬉しいなあ……)
80点 痴者の夢 (サキュレント(同人)) (2020-12-30)
凄い。今までのサキュレントゲーの中で一番『乙女ゲー』ぽいです! のどかが正宗を『攻略』していっている感覚がある、女性視点の恋愛ゲームとしてストレートな印象です。 体験版プレイ前はもっと、萌え系のカワを被った倫理崩壊ゲーを想定していましたが、案外正宗は良識ある大人です。 のどかは自分の『立場が弱い』ということが武器になるということを無自覚にわかっている感じがして、グイグイいく。 そして正統派な年の差、JKとオッサンの恋愛で終わらなそうな、のどか母の存在が気になるところです。 体験版時点ではかなりニヤニヤできます。正宗可愛いよ。
「俺は消滅する」と、主人公の結末を体験版ラストで明示してあるのは好印象。恋愛モノで未来のない関係が苦手って人は私自身を含めて結構いると思うのですが、そういう人は体験版段階で逃げられますね。良い配慮です。◆そのうえで体験版についてコメントすると、非常に面白かったです。エロゲでこれだけ笑い倒したのはキサラギGOLD★STAR以来かも。主人公は一般的に見て「イヤなヤツ」だと思うんですが、作品内でこれだけ笑い物にされていると悪印象も起きない。ヒロイン達も全員好きになれました。◆ただ、作品のテーマはどうにも面白く発展しそうな気がしない。天才設定であるはずの有村ロミ(主人公は『秀才』なんでしたっけ?)の言動が全く天才っぽくないのと同様、「サイエンスラブストーリー」であるはずの本作からは全くサイエンスの香りがしてこない。この辺の設定的な薄っぺらさは、体験版のようにコメディをやっているうちは良いのだけれど、シリアスに入ってしまうとその重みに耐えきれなくなりそう。◆いっそサイエンスをかなぐり捨てて、「彗星とか全部主人公の脳内設定でした」とか超展開してくれた方が、少なくとも作品としてのまとまりは良くなる気がしました(まあ何らかの形で『この世界は"現実"ではないかも』的な超展開はあるでしょうけれど)。
70点 恋愛×ロワイアル (ASa Project) (2020-11-27)
プレイ時間約1時間30分。OPまで+一瞬だけ過去回想。Hシーンなし。これもうアサプロである必要ないな? とは思っても結局買ってしまうんですよね。コンプマンなので。メインヒロインが全員鬱陶しくてサブとか友人キャラの方がまともに見えるのが不思議でした。全編やらないとどうなるか分からないので、そういう意味では今作も楽しみにしています。期待はしていませんが。
60点 さくらの雲*スカアレットの恋 (きゃべつそふと) (2020-09-25)
期待しすぎたかなってのが第一印象。こういった時代背景を取り扱う作品において、僕がまず重視するのは「どれだけその世界観を巧みに表現できているか」って事なんですけど、あくまで此方で遊んだ限りでは、本作はその個人的水準にまるで達していない印象を受けます。大正期を基準とするなら常道な要素を取り入れ、時代背景に忠実であろうとしている努力は汲み取れますが、肝心のそれらを表現する筈のテキストは、深みがまるで無いと言わざるを得ないのが正直な所。そもそも、取り入れた「要素」とやらも良く言えば王道、悪く言えばありきたりなものばかり。浅草出るなら凌雲閣、大正時代で加藤大尉と言えば『帝都物語』が出るのは自明の理でしょうが、ただそこに出しただけで大正世界が再現される訳では無いのです。そこを補う高雅で気風に満ちた表現こそが実となって世界を形作るのであり、その点につきましては、同じ大正浪漫である『帝都飛天大作戦』『帝都奇譚~道士探偵の事件メモ~』『御神楽少女探偵団』『WW&F~大正帝都伝奇譚~』と言った秀逸描写作品と比べても、あまりに顕著な力不足と過ぎ去ったのでした。さて、世界観の話は終了として、次に主人公の話。「現代知識を披露する頭が良いヤツ」って触れ込みを事前に耳にしていたのですが、プレイした感じは「普通じゃね?」と。寧ろ、大正の通貨基準を全く知らなかったり、宮沢賢治は知っていても『双子の星』をまるで知らなかったり、情報のパラドックスも考えないで不用意に未来人を広言しようとしたり「愚鈍じゃね?」と。これは「ミステリィ」としてかなり痛い所。役立たずの金にだけがめつい襤褸糞無能所長の代わりとして活躍するだけの説得力を持ち合わせていないんですから。梶井基次郎が著した『櫻の樹の下には』の初版年数と合わない時点で、この大正世界が元の現代世界と同位でない事に気付かないニブチンを「ミステリィ解決」のメインと据えるのは、全体がお遊戯会の様相を呈しているようで耐えられなかった次第。ヒロインに関してはメリッサと蓮が兎角可愛い。お嬢様の遠子も悪くありません。所長は少しイラっときました。ただ、サブキャラに関しては男女共に文句無し。どいつもこいつも良い性格しています。男性陣は全員キャラ立ちの妙が際立っていて素晴らしいのは言わずもがなですが、やっぱり魔人加藤の魅き付けは破格(荒俣宏からの引用なので魅力的なのは当たり前なんですけど) 女性陣だと雪葉が結構好きですね……ってな訳で僕個人の感想。独特に魅せる作風が体験版時点だと少々欠けているエロゲ。エヴェレットの多世界解釈に基づいた世界のねじれを修正させるのは良いんですが、その本質へ至るまでの彩に難ありな印象。この先ガラリと雰囲気が一変する可能性もありますが、今の所は趣向を凝らしたキャラゲーに過ぎないと感じた言及。これから遊ぶ方はどうかプレイスタイルを間違えず、あくまで「キャラゲーっぽい作品である」事を念頭に据えた上で、シナリオゲーとしての驚きを、期待せず待って読み進めれば宜しいと感じた体験版なのでした。P.S. 好みど真ん中なジャンルでここまで興味持てなかったのが偏に驚愕。正直、逆に感心してしまった次第。ただ、本作をきっかけに傑作揃いの荒俣作品へ夢中になる人が増えるのなら、これより嬉しい事は無いと思います。「天災は忘れた頃にやってくる」
80点 アインシュタインより愛を込めて (GLOVETY) (2020-10-30)
原点回帰。『アインシュタインより愛を込めて』をプレイし終えて、俺が思い浮かんだ四字熟語。スタッフ面子で『恋×シンアイ彼女』の再来と憂いている方が多い感想ですが、寧ろ本作は先の方も仰っていたように、サガプラ時代の気風を意識して強く取り入れている印象を受けます。「ある目的の為に部活再建」「他人の気持ちが分からずに生き急ぐヤサグレ主人公」「隣の部屋に住むふーりん」「一人じゃなくても独りだと感じる孤独」「切なくも虚しく過ぎる雰囲気」と、要素だけでも選り取り見取り。そして「人間の弱さ」を突きつけてくる作風ってヤツが本当に久しくて。同窓会の如き雰囲気を、本作で俺は味わった次第。思うに、新島夕氏が企画&単独ライターだった唯一の作品『はつゆきさくら』が好きだったら、同じ状況であるこれも意外に抵抗なく受け容れられるんじゃないかと。安易な自論。無論全てが同じじゃないし、主人公の人間性も少々違う。河野初雪をより理屈っぽく陰湿で根暗とさせたのが、彼より魅力は薄い愛内周太ですしね。ただ、イチイチくだらねえ事で論争かましてるのに嫌悪感を抱く日々、どれだけ他人と接しても淋しさを抑えられない孤独、たった1つの大切なものを追い求める為だけに生きたいとする生き様等、理解出来てしまった部分も結構あって。更に部員集めへ奔走しても受け容れて貰えない姿勢や、周太が忍さんにした失敗ってのも、恥ずかしながら同じような経験があるので、あまり他人とは感じられなかった次第。「心がないように見える」と言われた事がある俺だから、同じく理解出来たのかもしれません。「感情移入」の点においては、個人的に苦も無く過ぎ去った主人公でした。さて、嫌な事を思い出したので、ヒロインの話。現時点では「忍さん、超好き!!」って感想しか無し。それと「西野は良いヤツ」って所見もあった。後の2人は判断材料に欠けており、特に唯々菜は可愛さよりも「不気味さ」の方を強く感じた始末。「一目惚れって観点で言えば、忍さんの方がそうじゃね?(相手へお誘い的な意味で)」と思ってしまった辺り、彼の精神性は度々理解出来ない所もあるんですが、だからこそ本作を読んで思ったんです。「他人の気持ちがわからない」って、一体何なんだろうなって。昔、ある漫画のヒロインは言いました。「ときどきりくつにあわないことするのが人間なのよ」と。昔、あるエロゲ主人公は元カノに言われました。「他人もみんな裏があると思ってる」「本当は自分のことばっかり考えてる」「理屈としては正しいことを言ってるのかもしれないけど、言われたくないことをたくさん言う」「大事なことでも、言うときによってコロコロ変わる」と。これまで理屈に合う事しかしてこなかった愛内周太。エゴイズムに溢れ、論理だけを重視し、適当に生きて、他人を「信じる事をやめた」愛内周太。この体験版で彼が行ってきた振舞いを「他人の気持ちが分からない証明」とするなら、それは結局「人の心がない証拠」とも言えないでしょうか。「他人の気持ちが分からない」とは「人の心がない」証明。これは、そんな彼が死を意識した事によって、生きる意味を求め、信じる事を選び、その最中に恋をして、多くの経験をして、本当の知識を得る物語なんじゃないかと。アインシュタインが唱えた言葉「情報は知識ではない。知識の唯一の源は経験である」になぞらえて、彼が理屈だけに囚われない『人間』として幕を閉じる物語なんじゃないかと。そんな偶感をプレイ中に覚えた作品『アインシュタインより愛を込めて』 そしてこれは、アインシュタインからの精一杯の愛を受け取ろうと決めた、無知じゃなくなったユーザーの戯言。この、くそったれな世界で、忍さんを好きになった人間による「心ばかりの感想」なのでした。
65点 鍵を隠したカゴのトリ -Bird in cage hiding the key- (Cabbit) (2020-09-25)
「ミステリー」かつ「館モノ/疑似家族モノ」のように宣伝されている本作は、体験版をプレイする限り「ミステリー」:「館モノ/疑似家族モノ」 = 0.5:9.5くらいの比率になっていた。とても殺人など犯しそうにない勝ち気な少女がなぜ犯行を自供しているのか……という主題については然程触れられることなく、新たな事実や伏線らしきものも殆ど提示されず、緊張感あるスリルやサスペンスに至っては1シーンたりとも存在しない。むしろ館に加わる少女達が抱える生い立ちの重さや心の傷・感情の揺れ動きといった内省的な方向に話はフォーカスしてゆく。◆スリルやサスペンス抜きで「なぜやったのか」を突き詰めてゆくのも確かに「ミステリー」の1ジャンルではあるが、それでも「ミステリーADV」と銘打って現代日本で発売される商業作品としては力足らずに感じる。前作『箱庭ロジック』と比べてすらキャッチーさや引き込み力で劣ると評価せざるを得ない。また、主人公と少女達が同居する理由付けが強引すぎることなど、相変わらず設定のリアリティにも欠け、透子と伊鶴が痴女めいた振る舞いを繰り返すことなど、プレイヤーが目を瞑らなければならない要素も多い。◆しかし昔からのCabbitファンにとっては至高の作品になる可能性も否定できない。キャッチーさを捨てた分だけ御厨みくり氏の芸風は研ぎ澄まされており、表面上は仲良くしている・また仲良くしたい筈の少女達の込み入った感情の描写は彼女達の吐息さえ感じられそう。例えば、主人公を警戒していたはずの みおん が画面いっぱいになるくらい近寄ってきて「私を伊鶴さんと二人っきりにさせないでください」と主人公に囁き掛けるシーンはゾクゾクした。今まさに楽しげに談笑している相手=伊鶴が信用できないと、暗に訴えているのである。両親にネグレクトされ良い子を強いられてきた夜が無課金ソシャゲ廃人となり、そこにささやかな喜びを見いだしている様はいじましくもいじらしい。こうした年頃の少女達が抱えるモヤモヤ感というか幸せになりきれない感じは、過去作より確実に踏み込んで描写されていて、そこにMANYO氏の内観的な音楽とゆき恵・さえき北都氏の乙女チックな絵柄が折り重なって独特の静謐な世界観が生まれている。◆たぶんヒロイン達の悩みは完全には晴れないし、誰かが本当に罪を犯す(ている)可能性さえ否定できない本作だが、彼女達と共有した時間は祈りのように儚くかけがえのない思い出になる……のかもしれない。
50点 ハミダシクリエイティブ (まどそふと) (2020-09-25)
ただ只管に「ノリがキツい」としか言いようがなかった冒頭。どうも僕は今の時流に乗れた人間でないので、ソシャゲやギャル語のネタ、唐突な歴史ネタで話を振ってこられても呆然とするか、精々失笑位しか湧かないんです。生徒会長に対する責任も碌に果たしてねえ先公含む学園の態度や、口先だけは一丁前に喧しいモブ共の振る舞い等、こんなクソみてえな奴等しかいなかったら、そりゃ不登校児も増えるわと妙に納得してしまった始末。だから、本作は途中放棄案件かと正直覚悟していたんですけど、華乃が登場してからは普通に読めるようになったのが自分でも驚き。やっぱり秋野花さんは最高と言う事なんでしょう。万歳。ヒロイン勢は屡々ムカつく箇所もあり、微妙に食指が動かない部分もあったんですが、華乃とあすみが凄く良いなと。華乃は不必要に煽ったり生意気だったり攻撃的だったりする部分もあるんですけど、根っこでは義理堅く、一本筋の通った優しさも秘めている良いヤツです。メンタルが弱いながらも不器用な生き方を体現し続け、主人公を信頼する際は物怖じする事無くそうしている。その姿は偏に僕の心へ響き、物語を盛り上げる存在として作中で1番目立っていた次第。あすみはもう、本当に可愛い。唯一本作でムカつかなかったヒロインであり、彼女との関係性の変化は作中で最も気になる部分です。この娘の可愛さを知ってもらう為だけでも、本作をプレイして欲しい位におススメと断言出来ます。そして何より、この2人は共に「学校へ通う」と言う行動に対して、複雑な不振の感情を抱いています。それが今後欠点と成り得るかもしれない展開を、相殺からプラスの方向へと動かしてくれると信頼出来たのが実に大きい。「支えたいと思わせたら8割勝ち」ってのがヒロインの鉄則とすれば、正に合格点と称する事の出来る2人なのでした。声優の妹は会話があまり面白くないけど性悪じゃないので普通。三浦大根は僕の好みじゃない故、チェンジで。そして最後に主人公。声優の妹に膝枕されながら「○○ちゃんの声でヤってよ!」と甘え頼み込む場面だったり、ヒロインに向けたテンション高めの心中描写だったり、度重なる際どい歴史ネタの応酬だったりと、普通にキツかった智宏くん。兄妹の関係性を兎角重要視する身として、僕が妹に惹かれなかったのは兄らしく振舞えていないクズオタクのコイツにも原因があると感じました。しかしそんな彼でしたが、妹への優しさに満ちた対応をした場面と、仲間の為に主張を貫き通した終盤からは良かった次第。体験版以降の活躍に乞うご期待……出来たらいいなあ。
85点 アインシュタインより愛を込めて (GLOVETY) (2020-10-30)
プレイ時間約1時間。プロローグ部分のみ。Hシーンなし。確かに『笑えてハラハラして、先を読みたくなるもの。』です。この主人公がどう成長していくのか、そして物語の結末はどうなるのか、本当に楽しみです。
75点 かけぬけ★青春スパーキング! (SAGA PLANETS) (2020-08-28)
プレイ時間約3時間。OPまででHシーンなし。キャラは可愛いし特に不快要素もなく楽しめました。まぁこの体験版範囲が面白さのピークになってしまう可能性も秘められていますが。瀬尾順さんっぽい家族モノになる下地十分で、見たことあるようなシナリオが展開されそうだな~っていう心配と、テーマである「青春」を上手く描いてくれるかもという期待を込めておきます。
100点 BETA-SIXDOUZE (Liar-soft(ビジネスパートナー)) (2020-08-28)
『ALPHA-NIGHTHAWK』から、何もかもがアップグレードを果たしていると感じた続編です。濃密でボリューミーな物語、魅力に満ちたキャラクター、根幹を抑えながらも工夫に溢れた設定、熱いのも切ないのも選り取り見取りだった高水準BGMと、正直ワクワクしないの無理じゃねえか?と思わざるを得ない体験版に相成っています。不器用でも自身の生き様を貫き通す性格が格好良い箱根羊介や、明朗快活剽軽キャラクターながらも読んでいて超良いヤツって思えるジャン・バルジャン、自身の抱える孤独を覆う純粋無垢が堪らなく愛おしいハナコに、ミステリアスおバカキュートな所が実に素晴らしいアントワーヌ・ド・サガンと、メインは元よりサブキャラの面々まで、魅力に関しては言う事無し、味が濃い人ばかりだった次第。新要素として、本作ではロジックパートなるものを使っており、体験版だとハナコパート(箱根羊介パート)とアントワーヌ・ド・サガンパート(ジャン・バルジャンパート)に分かれて、キャラクターの関係性を深掘りしていく群像劇スタイルも追加されていた模様。これもまた、久し振りにダブル主人公?で進む面白さを感じさせてくれて、実にGOODでした。本作は、前作を読んでいるからこそ、思わずセンチメンタルになる事も多い変化を見事遂げていますが、そこにある「大切なもの」はまるで全く変わっていません。時代や場所、人間が変わっても、決して変わる事は無い「大切なもの」を求める少年少女の物語。未だ輝く星を更に響かせようと動く、彼等の眩き冒険譚が更に楽しみとなった体験版でした。
90点 さくらの雲*スカアレットの恋 (きゃべつそふと) (2020-09-25)
前作あめぐれで遂にその名が知れ渡った冬茜トム先生による企画作品第三段。第一章の時点で梶井基次郎・荒俣宏・宮沢賢治と、今回は大正モダニズム×各種文芸の様子。今回の第一弾は、とにかく基礎を固めるという印象で存在が揺れるほどの事件はまだ起きず、あめぐれより更にスロースタートな印象。キャラは蓮≧メリッサ>透子>所長。メインの所長のおつむが少し弱く、主人公司が実質介護に徹してたのが気になるところ。システムはあめぐれと同一。セーブ枠80据え置きなのはやはり今後を考えるときついところ……。彩頃サイコロやあめぐれの時と同様ひっくり返るレベルの伏線回収を行ってくれると思うが、今回どこまでやってくれるかは中々に未知数。ちなみに、引用文芸の内、特に荒俣宏の「帝都物語」の主人公加藤保憲からは、魔人加藤のあだ名をそのままキャラに頂戴するなど類似性が高いため予習を推奨?(8/8追記)体験版フルバージョン完走。第一弾と併せて四~五時間程。夢オチながら本編中に所長とのHシーンあり(本番はなし)。最終的に並行世界モノっぽいことが明かされるが、アララギや魔人加藤のそれまでの発言よりそれ自体は察しの付くことで、それより各キャラのバックグラウンドが殆ど語られない(特に司と遠子)ため、そっちの方が主眼か。各々伏線を現段階で貼りまくってたり意図的に回収してなかったりと、作為的な胡散臭さは尚も健在。OPムービーで転がっている各種単語はかなり方向性がばらばらなので、これらをどう回収するかは見物。あめぐれ時と違ってダイジェストムービー的なものはないので、そういう意味でも今作の方向性は不透明感が大きいかなと。とはいえ何れにしても圧倒的な熱量の骨太な物語は今回も十二分に期待してよさそうです。またライター企画過去作あめぐれと彩頃サイコロはネタ的にも被る乃至オマージュ的に取り入れてるところも多いので、時間に余裕があるならば先にやっておくことをお勧め。攻略的には所長一強そうにも見えますが、過去事例から類推するにシーン数四人で同一からの、シナリオ的には所長と蓮? の二強みたいな感じになるのかな……。
やばいね。プロローグなし、戦闘アニメなし、ステージクリア後に不具合で停止。公式の日本語が色々おかしい。これ、手軽じゃなくて不快ですね。
100点 徒花異譚(非18禁) (ANIPLEX.EXE) (2020-06-19)
第1章、花さかじいさんの回まで描いた体験版。この「物語」の結末は2通りあるので、取り敢えず最後までやったからはい終了と、画面を閉じる事のないように。さて、物語を読もうと起動したらば、夜汽車のシーン、夢見心地の私が「物語」を齎す彼と語らう場面から幕を開ける訳ですが。汽車とは文学史上、多くの不可思議な物語が齎される場でございます。本作は『徒花異譚』と言う物語を起動した矢先、1人の男から『徒花異譚』と称された「物語」に導かれ、その中で数多くの「物語」に触れるという『物語』の三重入れ子構造方式と相成っていました。それはまるで、江戸川乱歩の「押絵と旅する男」のよう。尚且つそこに、記憶喪失となった白姫の過去の想い出も同時並行で絡んだ内容となっており、読む手(マウス)が止まらなかったと言うのが僕の正直な感想と言えましょう。「ものがたりとは おもいでの つらなりです。おもいでと おもいでが おもいだしあって おもいでに なっていくのです。おもいでを のこしておかなければ わすれてしまうのです」と、どこぞのカエルは語りました。物語とは、1人1人の人生であり、辿って来た過程であり、失くした者が取り戻してこそ、肯定も否定も可能な道となります。物語を失った少女が様々な「物語」を渡り歩く中、どのように自らの『物語』を掴み取っていくのか。その傍らで安らか且つ冷静に見守る少年は、彼女の軌跡をどのように受け止めるのか。そして、彼等の『物語』の結末は、どうなるのか。相変わらずの素晴らしいシナリオとテキスト、黒と白を基調とした色彩豊かな描写とタッチ、荘厳華麗な和風音楽、それらが折り重なった一大芸術の妙でした。『徒花異譚』の行方には、この先期待しか持てません。取り敢えず、子供の頃に奥へと閉まった絵本を取り出す作業から始めようと思います。
70点 神様のような君へ (CUBE) (2020-03-27)
まず最初に、システムUIや最初の注意勧告が『俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命』とかなり似ていて……と言うかほぼ全く同じで驚愕しました。この2作品、合同イベントなんてやってましたし、意外と密接に関わってんだなあ……スタッフ&広報的な意味で。とまあ、そんな戯言感じてたら見事体験版終えた訳だけど、これは非常に心苦しい。裏設定が予想の範疇を超えなかったのは地味に痛いな。SFとして期待していた面が僕自身結構強かったんだけど、あまりそこの所は深堀りされず、超技術的に押し切られている感を強く感じた次第。アンドロイドとかハッキングとかバーチャルアイドルとか、どれも既存のありふれた形で表面的にしか設定が作られていなかったです(体験版時点) 確かに、SFで近未来の発達した技術なんて一言一句解説する作品の方が少ないのは事実だけど、それでも裏側に「進化・発展による変化」を感じさせてくれるSFが多いのも、また事実。本作はあまりその「凄み」を感じなかったと言うのが率直な感想です。ただ、此処については、昨年の個人的傑作SFエロゲ『Missing-X-Link~天のゆりかご、伽の花~』をプレイしてたのも大きいし、期待を重ね過ぎた個人的嗜好による影響の産物なので横へ流すのが割りと賢明。問題は、設定だけならまだしもストーリーが予測の範疇を超えなかった事。これが派手に痛かった。「コイツしかいねえだろ」って思ったのが普通に犯人だった時の虚しさよ。そりゃ唐突に再登場したり、意味深な台詞吐いたり、そもそも登場人物自体少なけりゃ、簡単に予想はつくってなもんで。しかし、その「犯人」が分かっていても面白ければ全然文句無しなんですが、問題はそこまで面白くない事です。驚愕させる為に最後あのような引きにしたのかもしれませんが、個人的には全くの逆効果って形で幕を閉じた読後感でした。後、アイキャッチが矢鱈と多いね。最初はテンション上がったんだけど、読み進めるにつれて、テンポ阻害に首突っ込んでいる面も多々感じられて、正直ちょっとクドかった。ただ、ここからは良かった所。カントク氏の絵が途轍もなく素晴らしい。ツクヨミのクオリアが欠如している感じはかなり上手に表現されていた。そして、バーチャルアイドルに関しては『神様のような君へ』の方がもう一方のあれより、遥かに魅力が伝わった次第。ヒロインは皆さん大変可愛く描かれているので、3人とも基準値高めなんだけど、特に霧香の魅力がズバ抜けていたなあ。この作品、ぼっちで狼狽えやすい彼女との掛け合いは中々面白いんですよ。担当ライター誰だ?と思って調べたら、案の定、三河ごーすと氏でした。年下キャラを魅力的に描くのが、やっぱり上手えなあこの人は。僕と波長が合うのかもしれない。この方が担当したこの娘のルートだけ、プレイしてみるのも悪くないと今は思えます。本作の中で最大の謎である主人公、城前塊斗について明かされるなら、後で購入しようと思いました。
80点 俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命 (Hulotte) (2020-03-27)
『Oh!透明人間』エロゲ版。いやあ、笑った笑った。テンポの良さとテキストの妙で、終始笑いながら楽しめた。待雪晴季君が面白過ぎて、今回プレイした3月発売エロゲ主人公では1番好きだと確信しました。僕はこういう馬鹿でエロに忠実だけど、根っこの純粋な主人公が堪らなく好きなんです。それは、亜芽ちゃんへ起こす反応からもう丸わかりで。この主人公、亜芽ちゃん(の裸)好きすぎだろと。彼女へやり過ぎちゃった時の、彼女を意識し過ぎて動くそれは好意の表れだろと。思わず微笑ましくも爆笑してしまった。その結果、可愛すぎる亜芽ちゃんを僕も1番好きになっちゃった次第。主人公とヒロインの掛け合いで、互いに魅力を向上させている、実に素晴らしき相乗効果です。最 of 高。また、快楽主義者にして刹那主義者となった主人公の「原因」も、コメディで進む中へ潜む強いスパイスとなりそうで。体験版時点で何が起こったかはある程度予想出来たけど、どう描写されるかの一点だけで買っても良いと思える具合でした。だがしかし、少しばかり個人的懸念事項がありまして。それはヒロインについて。彼女等は「ほぼ全員好き!」と断言出来る程、魅力的な好人物ばかりだったんだけど、チトセの魅力だけが正直よくわからなかったんだよね。出番が体験版時点で他ヒロインより少ないってのもあるけれど、バーチャルアイドルネタの面白みはよくわかんなかったし、キャラクターもそこまで好ましく思えた訳じゃない。秘密道具を与えてくれるお助けキャラ的立ち位置がメインってよりサブキャラっぽい印象も相俟って、そこまで深く入り込めなかったのが素直な所だった。本作、階段型脱落形式の可能性がある為、もし仮に先の方が仰った通り、チトセが真ヒロイン的立ち位置だとしたら、正直僕は結構キツイ。普通に亜芽ちゃんメインであって欲しいってのが実直な感想。しかし、それでも全体としては魅力に溢れた素晴らしき作品となっていたので、特攻覚悟で戦場へ赴くのも悪くないかな?と、前向きに捉える事の出来た体験版でした。
50点 LOVE・デスティネーション (JADE) (2020-02-28)
新規ブランド一作目と言う事で「頑張ってほしいな」って安らかな気持ちでプレイしたんだけど、凄く歯痒いね、これ。ユーザーライクな視点で寄り添おうとしているのは感じたし、好感も抱ける。個人的には応援したく思うので、出来るだけ高評価で迎えたい所なんだけど「いや、そこまでは望んでないかな」って気遣いも多々見受けられた。あそこまで文章に振り仮名つける必要はないし、ルート固定モードって望みのヒロインへ自動的に辿り着ける機能は、少々ユーザーを配慮し過ぎていて、正直要らないと感じた次第。しかも、好感度がどう変わるか選択肢の中に表示まで出来る訳で。すっげえ優し過ぎる甘甘システムで、特に振り仮名問題はかなり由々しい感じなんだけど、まあ、ルート固定モードはハッピーエンドを迎えると開放される仕様(製品版)らしいし、選択肢のヒント機能もON/OFFに出来るから、全体的には合格点な印象だった。ただ、サブキャラへ音声が入ってないんは今時のプレイヤーからしたらちょっときついでしょう。ヒロインにしかボイスがつかないって事を熟知してなかった故、真優梨ママが登場した時は体験版仕様かと思ったけど、公式サイト見るに違うね、最初からついてないね。あの母さんのハイテンション振りが音声無しで過ぎ去っていくんは、他キャラがほぼついている分、流れが分断された違和感として地味に残ってしまってよ、興が殺がれちまった。そしてここからシナリオ面。テキストが……なんか、主人公の地の文とか天の声の台詞とか、やっっっったら抽象的で回りくどい。でも、決して「下手」って訳じゃない。明かされちゃいけない要素を隠す為、抽象的となるのは分かるし、主人公の「事勿れ主義」を体現するに足る十分な説得力が、その面倒臭いテキストで充分描かれている。でも、最初の未来描写でかなり設定面を説明台詞みたいな会話で流していたんは悪手だと感じた私情。そしてここから極めつけ。メインのアイって娘のルート以外、全てダブルヒロイン攻略制になってるのが、個人的に1番頭を抱えた始末。いや、分かるよ? 1人より2人、2人より3人って行きたい気持ち。ハーレムとか男の夢ですよ? 女の子は多い程攻略甲斐ありますよ? ただね、最初からハーレムしかないエロゲなら兎も角、誰かを攻略したいと思って選ぶ中に正直、あんま興味ない片割れがおまけでついたら、僕は結構萎えるんだ。選ぶんだったら、その娘へ一途で生きていたいんです。純粋無垢すぎて面倒臭すぎエロゲーマーの成り果てですけど、少なくとも僕は、その娘だけを愛して助けて幸せな日々へ歩みたいんです。せめて、未来で関わりがあった真優梨だけは、純粋に単体のルートとして攻略したかった……!と、実に歯軋りした次第。そう、そんな風に思えた事から分かるように、決して見所が無い訳じゃない。一部ヒロインの魅力ってヤツはかなり伝わって、真優梨と瑞希は凄く好きになれそうだと思ったし、シナリオ自体も要所要所にある上手い描写や未知なる中身の残酷性から、可能性を感じさせてくれている。CGだってかなり好きだ。しかし、だからこそ迷ってしまう。To buy or not to buy, that is the question.ってなもんで、発売日間近まで苦悩の日々になるであろう事を予感させる体験版でした。
80点 きまぐれテンプテーション (シルキーズプラスWASABI) (2019-09-27)
かずきふみ、シルキーズプラスWASABIはやっぱりこうでなくっちゃな。妖怪モノはイチャイチャ萌え萌え~なんて一寸で良いんだ、重要なのは鬼気森然にして奇奇怪怪な世界観。そしてそれに付随したドス黒いシナリオこそ、恐怖の面目躍如ってヤツでしょう(まあ、そうは言ってもE-mote超凄いけどね。あんなに動くのは私、初めて見ました) 事件内容的にはデヴィッド・フィンチャーのあれ、思い出しますが、そこに彼の独自色が加わる事で新たなミステリーとなる予感をヒシヒシ感じた次第。低価格に見合わない重厚な作品となる事、大いに期待しております。 P.S. ご懐妊おめでとうございます。
75点 ココロネ=ペンデュラム! (Clochette) (2019-07-26)
意外にシリアス?だけど基本は通常運行な体験版。巨乳好きにとっての希望の光、Clochetteは今日も変わらずおっぱいと能力を我々に放出し続けています。本作の主人公もおっぱいが大好きな以上に、妹の事凄く好きなんだなあ……って伝わりますね。私も嫌いじゃありません、寧ろ大好きの極みでござい。ヤマザキ一番!改めナズナ一番!と言っても過言じゃない本作。人間、成長から至る変化も大事ですが、此処が出してくれる変わらない概念、おっぱい能力妹への愛に安心する気持ちも、忘れたくないものです。妹を主人公と同じく大好きになったのなら、買っても良いと思いますよ♪
80点 恋愛、借りちゃいました (ASa Project) (2019-07-26)
原画(SD含む)とシナリオ、双方が良い仕事している体験版。ASa Projectの作品って今回初めてプレイしたんですけど、こんなに面白いモノだったんですね、ビックリ驚嘆致しました。まず主人公、文句無し。自らの生活を犠牲にしてでも妹の為に生き抜くその覚悟。大切な彼女を幸せにする一心で、金以外の不要な全てを切り捨てるその姿勢。実に好ましく、素晴らしい決意だと感じます。人間を形成する上で最も重要な魅力を「信念」と考えている私は、例えこの先彼が「独り善がり」と誹られようと、変わる事無く最高の兄貴と思えるでしょう。そして、妹の月ちゃんはそんな彼の行動をしっかり熟知しているってのがまた良い。理解しているからこそ、兄の為に自らも強くあらねばいけないと自立を目指す。お兄ちゃんへの愛に溢れた想いの姿勢、素晴らしい事この上ないじゃないですか。以上2人の、不器用ながらも微笑ましく想い合う「愛」を見れただけで既に満足な話なのに、気に入ったヒロインも一部登場したので、更に美味だった次第。天満と泉姉妹(特に妹)、彼女等は良いキャラしてますね。前者は、魅力がこの先存分に発揮されるであろう事を示した圧倒的真打の貫禄。あの最後のシーンだけで、この娘の為の物語かもしれないと感じた程。展開を予想する藪蛇は避けますが、間違いなく本作の根幹を成すメインでしょう。後者は、双子ヒロインの相違が紡ぎ出す魅力も然る事ながら、サブキャラも関わって生まれるストーリーが、結構私好みでした。妹(仮)と仲良くなる前に兄(熊)と仲良くなってしまったのは、予想出来ていながらクスッと笑ってしまった始末。仲よきことは美しき哉。新海兄妹も泉従兄妹も雛森兄妹も、等しく仲良く愛を育んで欲しいと思えた体験版でした。取り敢えず、ヒロインの誰かしらを気に入ったら言わずもがな、とりわけ天満をお気に召したなら、買う価値充分の作品でしょう。と、勝手に予測立てて一言終了。新生アサプロに挑む初挑戦者は、天満と泉姉妹の成り行きと結末を楽しみに、到着を待とうと思います。 P.S. 某エロゲだったら、冒頭3人娘はA子B子C子と割り振られ、糸使いグリリバの良い判断材料にされてたぞと思ったのは、ここだけの話。陵辱ゲーじゃなくて良かったなお前ら。
プレイ時間約45分。共通√OPまで。Hシーンなし。序盤ゆえに仕方がないとはいえ地の文が多くヒロインの独り言も多くて困惑しちゃいました。どうしても出オチを期待しちゃうせいで掴みが弱く感じるけど流石にこれは言いがかりですね反省します。ライターに天都さんはいないですが、相変わらずヒロインとのやり取りはそこそこ面白いので萌えゲー・キャラゲーとしてはケチを付けるところはないですね。※天都さんはいなくても、原画の夕凪セシナさん、声優の遠野そよぎさんと春河あかりさんは今回も続投ということでメーカーのファンとしては嬉しい限りです。
90点 Missing-X-Link ~天のゆりかご、伽の花~ (Fluorite) (2019-04-26)
QP3分クッキングが圧倒的メインヒロイン、以上……で閉じたらあまりに一言過ぎるので、真面目にやる。疑問、関心、驚愕、絶句。本作を読んでいく中で私が辿った変遷だった。純粋に「凄い」作品に触れたと思う。デモンベインを買おうと決めたモノの、他作品は諸般と言う名の個人的事情で購入断念余儀無くした4月。もう買うか買わんかで悩む事無いだろう、残っていた体験版プレイにて余暇を潰そう、この選択を後悔する日が来るとは夢にも思わなかった次第。最初の時点では面白い試みをしている、実にその「程度」の作品だったんだ。話の展開も良い意味で疑問符。何せ「未来へと口づけるSFADV」の癖に、変わりに変わった世界観説明が一切されず、ユーザーは主人公の想い出に4時間ばかり(個人差あり)付き合う事となるんだから。ただ、SFを少しばかり齧った身からすると、近未来の発達した技術なんて一言一句解説する方が少ないので、其処は別に良い。問題なのは後者。従来の王道を擦る物語であったら、この共通ルート展開って物語の中盤位、主人公やヒロインに慣れ親しんでから紡がれる如き内容である。鬱屈した主人公がヒロインと出会い、癒されていく中で心の傷に向き合う、それが定石。しかし、その展開は共通ルート内であっさり消化(消火)、序盤で終わらせる在り得ない類、感情移入させる気がまるで無い。しかもこの長きOP手前、主人公以外で登場するは、ヒロイン1人(姿形含めれば2人)にサブキャラ2人と言う異例の挑戦度。これだからもう関心抱いちまったよ、どんだけストーリー長えんだって。そしてOP後、其処からもう夢中と驚愕の連鎖。あっさり解決した想い出問題、序章に過ぎなかった。「転」構成なる転校生登場、途轍もなき大波乱の幕開けであった。ドス黒い展開の連続、18禁をプレイしていると思わせてくる瞬間だった。姫風露と晶さんの「スキ」を示す相違は深めれば深める程面白いし、父や伯父、「優灯」との会話で齎される価値観は、はっきり言って脱帽。そして事件の行方、先進的科学技術の発展が生み出した悲惨劇の真相……私の脳内は「絶句」の言葉が揺蕩ったのだった。愉快愉快。数多く出た設定を、緻密な伏線で連鎖的に膨らませる力量、実に凄まじい。体験版時点でこんな事言うのもあれだが、雪丸仟氏かなり頭の良い人だろうなと感じる。この作品は「SFに慣れていない人」「あまり物事を考えたくない人」「哲学的会話を楽しめない人」はかなりキツイ。ただ、左記の条件に該当しない方は今からでも遅くない、体験版をやって本作を熟考して欲しく思う。こんなに気持ち悪い程大絶賛するとか、クスリ飲まされ頭狂うたかとも思うがしょうがない、嘘はつけない。完璧演出、傑作シナリオ、魅力的キャラクターが個人的思考を「買わない」じゃなく「買わなくちゃいけない」と混乱させた。貴方はどう思うか。残り少ない日数で、是非とも判断を乞う。P.S. 際立った文章がとにかく多い。某人物の発言「利己と悪意を混ぜあわせて煮つめれば、『自由』がそこにできあがる」はガチで痺れた。後、ディズニーは私も大好きです。
100点 ALPHA-NIGHTHAWK (Liar-soft(ビジネスパートナー)) (2019-03-29)
面白えなあ……ってのがプレイ終了後、思わず口に出てしまった感想です。シリーズやリメイクが絡まない、新規としてはおよそ3年ぶりに出たLiar-soft作品『ALPHA-NIGHTHAWK』『時計台のジャンヌ~Jeanne à la tour d'horloge~』や『大迷宮&大迷惑-GREAT EDGES IN THE ABYSS-』にはなんでか点数をつけていないと言う愚行を犯している私ですが、これは文句無しに付けられる期待値100点。最初の演出及び表現描写に思わず『forest』を思い出してしまう始まりは見事。そこから往年のカルトSFや昔のSF小説の数々を想起する内容、本当にワクワクが止まらなかったです。それらを観て、読んで、興奮冷めやらない良質な時間を、まさかエロゲでも同様に体感出来るとは夢にも思わなかった次第。この数時間プレイしただけで、キャラクターのほぼ全員に愛着が湧いてしまったのは、本作の力量に確かなモノを感じた証明です。ミリヤ良い娘! ナユタ良いキャラ! フロッピー優しい! アメ可愛い! ツユ超可愛い! ヴァネッサエロい! リュネット超エロい!と、自分がケモナー気質なのかもしれないと言う衝撃の事実に慄いた女性陣は基より、男性陣も凄く格好良い。レグルスはもうお馴染みなので言わずもがなですが、一蔵とゴンの声、凄え良いなと思わず感慨に浸ってしまいました。惜しむらくはこれがミドルプライスである事。どれ位の長さがあるんだろうと言うのだけが懸念材料ですが、短くても締りのある良質な物語をプレイ出来る予感はヒシヒシと感じます。興味あったら是非ともプレイして欲しい、新しき息吹を感じた体験版でした。
80点 捻くれモノの学園青春物語 ~俺と彼女の裏表~ (りびどーそふと) (2018-12-21)
本体験版をプレイし終えて、生じた言葉は「意外」の一言。コメディ:シリアス=8:2の割合。「青春」における光と闇、「スクールカースト」の齎す弊害と言うのを根底に据えているのに、感想が「楽しかった」で閉じられるとは思いも寄りませんでした。人間社会には、どうしようもなく存在している「格差」ってのがあって、それを真正面から見据えた場合だと、自然、心へ靄がかかるのは必定。しかし、本作はその片鱗すらもまだ多くを見せていないのだから驚きです。部活結成までが「意外」とあっさりだったり、作中展開速度が「意外」と早かったり、元ネタの作品に「意外」と似せていなかったりして、驚いたのも確かなんですが、それ以上に「意外」と楽しめたと言う娯楽性が、場を席巻する形と相成りました。「表」には見せない「裏」のギスギスを覚悟して起動した私が、まさか拍子抜けるとは思わなかった次第。思わず声を上げて笑ってしまう事も多々ありました。しかし、少ないながらも要所要所で挟み込んでくるシリアスは、後半の展開を濃い物にさせているであろう期待感を与えてくれます。重点的にシリアスへ突入しても問題なく読めるだろうと言う確信は、本体験版で間違いなく貰えました。そういった娯楽性とメッセージ性の違和感無い共存に期待して、唯ちゃんと朔夜ちゃんの可愛い部分には更に期待して、届くのを楽しみに待つ事と致します。
85点 悪魔聖女 ~デーモンガール・ステップ~ (ソフトハウスキャラ) (2018-11-30)
ギャグにもエロにもシナリオにも特化しないため、ゆるふわ~な雰囲気の中で、常にゲーム性の優劣を審判されるメーカーの新作。どことなく空間の広がりを感じさせる出来で、ゆかり教育含めて面白そう。
ヒロインがヤバいくらいのハンコ絵。輪郭からはみ出た目、まゆ毛の位置がおかしすぎる。サブキャラや男性は普通に魅力的なのに。空のスポーツで疾走感を表現出来ていない等、相変わらず原画が…と感じる。シナリオは構成を詰め込み過ぎかも。部活、部活、部活では読み手が少し息苦しくなってしまう。扱う題材と、抑制されたテキストを見ると微笑ましい。BGM・背景は〇
80点 アメイジング・グレイス -What color is your attribute?- (きゃべつそふと) (2018-11-30)
QUINCE SOFT『もののあはれは彩の頃。』で初めて企画から行ったライター冬茜トム氏の企画作品第二弾。『彩頃』では京都関係の設定を存分にシナリオに絡めていたが、今回はアート全般×アイヌという異色の組み合わせに。彩頃に於いて弱かった所はギャグであるが、現状ギャグ関係がそこまで滑ってないのは好印象。とはいえ、相も変わらずスロースタートな作品ではあるので、とにかく製品版後半以降の怒涛の伏線回収が始めるまでの描写を如何に面白く書けるかどうかになるのかなと。ディレクターにしげた氏がおり、ライタークレジットにも入ってはいるが、体験版ラストの制作陣の表記の仕方的に恐らく氏は校正や一部執筆程度のみで、実質単独ライターかそれに近い具合になっていそうな所。余談だが、冒頭に出てきた湖であるオンネトーは北海道足寄郡足寄町に実在する。他にもアイヌ語由来の単語が幾つか出ており、アイヌ関係を履修しておくともっと楽しめるかも?(10/21追記)体験版フルバージョンプレイ、総プレイ時間六時間、ラストに製品版そこそこネタバレダイジェストムービーあり、Hシーン抜粋等はなし。第一弾とは空気感も変わり、結果的に今いるキャラから犯人を見つけ出せ! と割と推理モノの様相に。体験版が三章終わりまで、全十二章のようなのでこれで1/4かそこいららしいものの、恐らく更に長くなりそうなので製品版のプレイの長さは正味30時間? ダイジェストムービーは(ミスリード誘導でなければ)かなりネタバレを含むため見ないことを推奨。そのムービーでの描き方曰くキリエ→サクヤ→コトハ→ユネの順での攻略、尚且つ選択肢なしの一本道になりそうな所。ひとまずシナリオ自体は彩頃より分量がある「感動大作」の名には恥じないものが出てきそうです。しかしセーブ枠が80しかないのは正直キツすぎる……。
50点 封緘のグラセスタ (エウシュリー) (2018-11-30)
ソシャゲ化した軽くて爽快感のない戦闘、相変わらずなテキスト・ダルい移動。CVのブレス音が気になる。奴隷というプロットだけ〇
90点 アメイジング・グレイス -What color is your attribute?- (きゃべつそふと) (2018-11-30)
冒頭数分で前作とは段違いの作品であることがわかったので必ず購入します。
100点 MUSICUS!(非18禁) (OVERDRIVE) (2019-12-20)
沸き起こったのは、只々の追懐と郷愁。夏の暑い中、エアコンもつけず、夢中になって読み進めたキラキラな情景が、本作体験版をプレイして見事甦った次第でした。お前出るのかよ!!とか、ここ過去作のモチーフっぽいね?とか、彼女は今でも頑張ってるんだなあ……とか、思わず某作品小説版のあとがきを思い出してしまう邂逅ですねとか、まあ、そんな戯言。作中で語られた要素に思いを馳せられた時間。でも、決してそれだけじゃない。それのみで終わっていない。花井是清と対馬馨、彼等のような新しいけれど普遍的な人間が出てこそ、瀬戸口廉也氏の作品は真価を発揮するんだなと、思わず唸ってしまったのです。本作をプレイしていた日々は、そんな当たり前の事を改めて当たり前に思えた、幸せな時間でもありました。出会いと言う運命で紡がれた、相反と相似が折り重なる2人の人物像。そんな彼等を含めて作り出された音楽が『ロック』と呼ばれる現代の迷子多産風景にどんな情景を植え付けるのか。主人公はその中でどのような道へと歩み、逆風へと挑んでいくのか。そして、今の所私の1番お気に入りヒロイン、尾崎弥子ちゃんの今後の出番は果たしてあるのか(笑) 今から非常に、非常に楽しみにさせてくれる体験版でございます。気になっている方は是非とも早めのプレイを。終わってからでは……遅いですよ?
75点 みにくいモジカの子 (NitroPlus) (2018-07-27)
ここまで短い体験版と言うのは初めてです。プレイ時間:30分、現時点での新記録。しかし、短いながらも込められたインパクトが凄まじい。主人公の視点で全てが進む本作は、見えている敵を見ない振りのまま過ごすFPSが如し、当然敵にやられまくりです。俯きがちな彼と同じ世界の共有は、ただ只管に絶望の怨嗟を伝えてきます。フランケンシュタインの怪物が性格の良い象徴なら、怪物染みた汚い本性こそ人間の象徴と言えるのかもしれない。だとしたらこれは、なんと人間らしい物語でしょうか。そんな皮肉が浮かんでしまう程、悲哀と悲憤と悲愴に支配された読後感でした。1番欲しかった愛情が、叶わずに歪んでしまう物語、その新世紀が見れる事に期待したいと思います。
--点 てんぷれっ!! (CIRCUS) (2018-04-27)
絵だけは美麗だが、冗長なテキスト、開始から好感度MAXな主人公。まあこれで暇をつぶしたいとは思わないかな
80点 かりぐらし恋愛 (ASa Project) (2018-03-30)
プレイ時間約1時間20分。前作以上にシステム周りが快適になっていたのが印象的でした。肝心の中身ですが、序盤から読み手を選ぶようなぶっ飛んだことはせず丁寧に、なおかつ設定を生かした無駄の少ない展開がアサプロ特有のテキストと上手く調和されており、素直に面白いと感じました。ヒロインとその周りのキャラクターはいつものアサプロと言った感じですが、今後のシナリオ次第で違った印象を受けるかもしれません。ともかく個人的には10周年記念作品にふさわしいものが出来るのではないかなと楽しみにしています。
エロゲー版「クリミナルマインド」。もちろんホッチもJJもDr.リードも居ないが、地理的プロファイリングなど、お馴染みの用語も出て来る。BGMの使われ方が素晴らしく、心理的に重要なシーンできちんと盛り上げてくれるのが好印象。綿密なディレクションを感じる。
90点 消えた世界と月と少女 (ひよこソフト(2008年~)(株式会社トゥインクルクリエイト)) (2018-03-23)
うん、かなり面白かったです。寝食忘れて夢中でプレイする位に。本作を語るにおいてとにかく1番言及しておきたいのは、グラフィック全般の素晴らしさ。もう超綺麗で、超美麗で、後、超怖い。私はいつも、こういうゲームの際は態と部屋を暗くして雰囲気を作り上げるのですが、見事に成功。途中のCGでは思わずびっくり、喫驚の声を挙げた次第です。良い奴主人公が同じ良い奴等と仲良くなっていく過程を、きちんと描いていってからの落差。そんな正しくホラーの醍醐味と言うのをこの作品は見事に作り上げています。途中展開における過去事件の話やつばめトリック等、某虫が鳴く作品を想起させる要素もありましたが、あくまでそこは本題ではなく、かぐや姫伝説の謎といった部分こそを本筋に組み入れて追及しているので、割り切って読める事でしょう。しかし、見る所によると、本作のジャンルは「和風伝奇ファッションミステリー」との事。ああ、成程。体験版をプレイすると、この「ファッション」の意味も少しばかり得心するってなもんです。まあ、よく考えると別に可笑しくもない。元々の題材としている物語にだって、少なからずこの要素は含まれていますから、特に気にもなりません。見目麗しのCGに屡々ビビりながら、素晴らしい和風音楽にまどろみながら、私も見事、楽しめた次第でした。本番はこの長い体験版以降だと言う事で(輝久夜ちゃん談)、可愛い幼馴染と優しいお姉さんへの高まりを糧に、届くのを楽しみに待つ所存です。 あ、後、これから本作を購入したいと思った、若しくは体験版をプレイしようとしている方、公式サイトの購入特典欄はあまり隅々まで見ない方が良いでしょう。今更言っても遅いかもしれませんが(笑)
30点 厨二姫の帝国 (ウシミツソフト) (2018-02-23)
ダメなんじゃね。褐色メイドと厨二姫の立ち絵ぐらいしか褒められる要素がない。エロゲを構成するほぼ全ての素材が低品質で、ここまで来るとある意味面白い。特に酷いのはBGMと背景とテキスト。単調で全く作品を彩らず駄作感を盛り上げるBGMと、明らかに狂ってる背景と、視点散漫で読みにくい上に狙ってやってるのか疑いたくなる位つまらないギャグと天丼連打なテキスト。ハッキリ言ってクソ。エロ枠1つ。厨二姫と意味不明な導入でいきなりお礼えっち。導入が酷いせいで全く使い物にならない。エロ絵の塗りも良くないので画集としても適さない。