Shezaさんの新着コメント
Sheza
様々な評価軸を突き合わせたうえで、直感的に生じた点数を付けていたのは過去の話。現在は基本的にはシナリオを評点の基準として優遇。次点でテキスト。もっともテキストはシナリオと不可分な要素なので完全に分けて論じることはできないが、明らかに非凡なキャラの魅せ方、心理描写、雰囲気作り、ギャグセンスを見い出せたり、読んでいて時間を忘れる感覚が生じた場合などは評価する。
必然萌えゲー、抜きゲーの点数は相対的に低くなりがちになるが、それはそういうものとしてしっかり評価しているし楽しんでいる。ただ個人的にこの業界が、質の高い物語、文章、世界観を生み出せるライターを重宝するような文化であってほしいという願いを持っているが故に、このような評点基準を採用している。
性産業でありながら高度な精神性がときおり発現するエロゲの奇怪な魅力が大好きだったが、業界規模の縮小やシナリオゲーの減少、自身の関心の推移に伴い引退を決意。現購入予定リスト中の作品を全てプレイしたら感謝と共に去る。
新着コメント
畳み掛けるような下ネタは面白い。一方でエロ要素をギャグやネタに振りまくった世界観の代償としてここぞという場面におけるエロティシズムが犠牲になっている。シナリオは普通。ネタ枠として評価できるゲーム。
かなりセンスのある作品だと思う。幸先輩ルートはもちろん、他の二人のルートもいい味出している。
設定だけで動かしていて主人公をはじめ登場人物に魅力を感じなかった。それでも業界のシナリオの水準を考えればあまりけなすのも酷なのでギリギリ及第点
確かにロープライスの作品としては一流だけどシナリオは騒ぐほどか?あくまでとても良いキャラ萌えゲー
これはゲームというか絵と音のついた小説。それも純文学寄り。一見ファンタジックな奇病(あるいは怪奇現象というべきか)をさも自然にリアルな世界観に定着させ、当事者、周囲の人、社会と遠近自在な視点から人間社会が孕む難しさ、残酷さを浮き彫りにしていく。ヒヒルという作中の現象をそのまま受け入れて娯楽として楽しむこともできるだろうが、象徴的なものと考えて世の中や自身の在り方を問いかける純文学的な意図の方が強く見える作品。特にあざといカタルシスはないが要所要所で考えさせらるシーンがあり、こういう作品がもっと昔から数多く存在していればノベルゲームという表現媒体が美少女ゲームの専売特許みたいにならない世界線だってあったんじゃないかとさえ思う。
理不尽な悲劇性を強調して共感、感動を引き起こす作品というよりは、どんな条件下でも大事なことは何か、生きるとは何かということを考えるきっかけを与えようとしている作品で出来事ベースで捉えると浅くなってしまいそう。 一概には言えないものの全ルート通して伝わってくるのは繋がりの尊さだろう。
狂っていないようで狂っている常識観から見ると狂っているようで狂っていない本作は狂気と分類され世界と存在に通底する狂気がふてぶてしく正当化されてしまうことこそ本当の狂気であると指摘することがタブーとされることがまさに狂っているだろうと言いたくなるような気持ちが鎌首をもたげてくるのも致し方なしと許してくれそうな天使的作品。
伝奇もので壮大な物語…と言うといかにもシナリオゲーっぽいが基本雰囲気ゲー+キャラゲー。起伏があまりなく、キャラの掛け合いが多くの尺を占め、同じ謎を引き延ばすパターンがほとんどで冗長な感は否めない。
この時代の良シナリオゲーにはよくあるテーマ、構造。読解は当然として、考察、解釈、分析、想像が求められる。もっともこの手の作品に慣れていればそこまで考えなくてもリアルタイムでエッセンスを直観できる程度にはやさしいので必要以上に難解さを煽る必要はないかも。民俗学、神話、宗教、量子力学、深層心理学など色んな要素のごった煮をヒントに、記憶、想像、幻想、夢、死、霊的現象、無意識を跨ぎながら「私」から出発する時系列、つまり物語こそが(いわゆる)現実であるという直線的時間軸を土台にする常識的現実観へのアンチテーゼが示される。なにより特筆すべき点はこの夢幻の世界観にてマザコンとロリコンを芸術的に拗らせエロゲへと昇華したトノイケダイスケ氏の手腕。
シンプルだが抽象度の高い良質な物語。一から十まで説明してくれるものではく、プレイヤー自身が作品に真正面から向き合って考えるほどに意味が深まり心に残っていくタイプの作品。実存主義哲学とか深層心理学、精神分析、村上春樹あたりの文学思想に明るければ作品のコアに入っていきやすいように思う。
3に輪をかけて凡庸なキャラ萌えゲーと化している。絵はさすが。というかもはや絵とブランドに支えられているだけ。テンプレのような退屈テキストが延々と続き、かつて要所では輝きを見せていたシナリオも悲しい程面白くない。せっかく素晴らしい絵に、シリーズとしてここまで続くだけの土台があるのにもったいない。
絵のクオリティーアップに伴いキャラ萌えゲー化が一層顕著になり、シナリオの質は落ちる。 1は考察の余地があるシナリオ、シリーズものを生す程の世界観構築が評価できるし、2は割と粒ぞろいの良シナリオ、優れたシナリオのファンディスクを生み出している点が評価できる。だがそれに対して3で手放しで褒められるのはキャラ造形と最初の掴みとラストの展開くらい。シナリオ重視の人がその間の当たり障りのないテキストに耐えられるかは疑問。
珠玉のサイドエピソード集。完全に本編ありきだが、絶妙な尺のもとに感動的な物語とキャラクターの魅力を詰め込んだ一級のファンディスク。
さすが虚淵さんという感じかな。 知識、語彙が豊富だから様々な場面の描写に臨場感があるし、読み物としての醍醐味がある。人間ドラマも一流。 プロット、コンセプトがこれほどわかりやすいのに無難さや退屈さに堕してしまわない。ライターって本当に大事...
伏線は見事に回収されているが若干強引な点、事を必要以上に複雑にし過ぎていると感じさせる点はマイナスかな。だがなんだかんだ昨今ではなかなかお目にかかれない引き込んでいくストーリーは、良シナリオゲーを数多く生んだゼロ年代特有の良さを思わせるもので、高い質だと言える。呉さんにまだこういうシナリオを書くモチベーションが残っていることを信じたい。
リアリスティックな切り口で理不尽に向き合うナルキッソスに対して本作はファンタジックな切り口から理不尽に肉薄しているのが特徴。 わかり易さはないが非常に実験的、意欲的な作品として評価できる。
ゲームデザインや展開、キャラの掛け合いなどが良くも悪くも古風。 → 長文感想(763)
絵があまり好みじゃないというつまらない理由で見送っていた過去の自分に説教してやりたい。 世界観は独創的だし、掛け合いやギャグもどこか品がありキャラの魅力と相まって味がある。 でもそれ以上に重厚な展開のシナリオが見事。絵ものめり込むうちに愛着が沸き、今では最高というかもうこの絵しかないとさえ感じる。
efのような物語性もなければedenのような世界観も持ち合わせないが、minoriがエロさという新しい武器を武装した点で転機になった作品。演出への注力は相変わらずすごい。
綺麗な作品。表現力はさすがminori。 ただその強み故、映像作品とノベルゲームの板挟みに遭って中途半端になった感もある。シナリオの尺が短いため、各キャラの持つ想いに感情移入が微妙に追いつかない。多分読み物というより映像作品と見做して、瞬間の感動に身を委ねるのが正しいのだろう。点数をつけるのが難しい。
美しいエンディング曲をただただ茫然とした心地で聞きながらスタッフロールを眺めてしまった。予定調和のキャラゲーとは一線を画す物語。テキストも秀逸でここの評価に納得。しかしこれほどのシナリオでもやはりキャラゲー要素が土台だとは思うので、主人公含めキャラに魅力を感じられるかどうかが評価に直結する。ハイレベルな作品だが自分はキャラ、特に主人公との相性の問題でやや評点低め。
引き込む力を評価。特に冒頭の入りが上手い。最後のあの終わり方も自分好み。18禁の方が相性良さそうだと思ったけど、グロ、ホラーが抑えられる分ドラマや思想的な要素に集中できるようになっているのでこれでよかったのかも。
明るいニトロ。 本作を評価する上で最大の焦点となるのはその長さ。 続きが気になるような構成に割とハイレベルな日常の掛け合いと、その大容量テキストを読ませようとするだけの質は備えている。それでも私の場合、冗長さが勝ってしまった。シナリオはよくできているけど、引き延ばしすぎて薄まっているという印象。もうちょっとコンパクトにまとまっていたら+5点はあった。時間がある人以外には積極的に勧められないが作品の熱量は確か。
質の高い小説様のテキストに効果的な演出が伴ったノベルゲームのお手本みたいな作品。 極限状況の個人と人間社会をエンタメ仕立てに活写するライターの筆力と想像力に脱帽。 ザッピングという手法も過酷な舞台設定下で絶妙に機能している。これが各キャラクターの魅力を引き出したり、作中の狂気を助長したり和らげたりと起伏をもたらす一助になっている。以下長文感想では各キャラクターについて簡単にコメント。 → 長文感想(2504)(ネタバレ注意)
プロット自体は奇をようなものじゃないんだけど… → 長文感想(493)
萌えとクトゥルフの融合。その発想、手法は非常に日本人らしく、先人レビュアーの方も言っていましたが日本サブカルの教養として嗜んでおいて損はないと思います。 エロゲ史においても、短編、ロープラのポテンシャルを考える上で非常に参考になる一作です。私見ですが、私は本作をシナリオゲーではなくて萌えゲー、キャラゲーのカテゴリーに入れています。クトゥルフを下敷きにホラー、ミステリー要素をふんだんに盛り込んでの新しいキャラ萌え追及の姿勢を評価しています。純粋にシナリオゲーであることを期待してしまうと正直物足りなく、作品価値は落ちてしまう可能性があります。
隠れた名作と呼ぶにふさわしい一作。構想が壮大でよく挫折せずにこの三部作を世に送ったなと、脱帽しつつスタッフを思わずねぎらいたくなる。 感動できた。話の大意を掴むのは問題ないが、意外とディテールには考察要素も多々あり、終わった後調べたり考察するのが好きな人の需要にもある程度答えてくれるのではないかと思う。 前作、前々作をやっていないと後半の展開についていくのが厳しそうなので、入りにくさがマイナスと言えるかも。埋もれるべくして埋もれている巨作。