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最新レスはじめまして。サンデル議論ですか、面白い議論ですね。

この作品は、そういう考えをむしろ否定しているように感じましたが、
私も哲学が専門ですので、一緒に考えてみたいと思います。

「哲学界でも有名な問題」と仰いますが、たぶんミルの功利主義の立場を取られてますよね?
確かに、彼の倫理は、今なお主流の倫理ですが、
生命倫理など高度な倫理問題の前に対応できなくなってます。

そもそも、生命に最初から「価値」があるのでしょうか?
私が言いたいのは、「生命絶対主義」への批判です。

中絶・安楽死問題が無い、昔の話ですが、生命は絶対的に価値があると言われてたんです。
ミルの倫理は、まだその頃に誕生した倫理ですから、平気で数の暴力で決めれるんですよ。
(より多くの命を助けた方が良いに決まってます)

現在、「価値」は、「物そのもの」に備わっているのではなくて、主体が意味づけるとされます。
「掛け替えのないもの」は、個人が決めた価値ですね。
もちろん社会が決めたルールとしての価値もあります。

さて、この作品が問うている「生命の価値」は、どちらの価値なのでしょうか?

サンデル議論も、ルキウスも、「社会が決めたルールとしての価値」で議論しているように思えます。
もう一つの価値の立場だと、それぞれの価値は比較できないことになります。

違う言い方をすれば、
カイムにとってのエリスの生命の価値と、ルキウスにとってのエリスの生命の価値は違う。
という事なんです。

この作品は、「この違う」の立場にあると思います。
一人の命なのか、大勢の命なのか、そういう議論なら、
この議論は既に功利主義の立場となってますから、絶対に大勢の方が正しいです。
でもこれは、人によって、それぞれの命の重さは異なるという話なんですね。
HRsuki2011年05月21日