ErogameScape -エロゲー批評空間-

ゲーム名
はるのあしおと
ブランド名
minori
得点
96
おかず得点
一言コメント
長く生きれば生きる程、後悔や苦い思い出は積もっていくでしょう。だから相応の結果を出すこと、納得のいく理由を探すために人は長い時間を費やします。例えば恋愛と将来の夢を天秤にかけたことがある人は、あの時の決断は今でも正しかったと言えるでしょうか。また将来の夢を諦め、人を騙し自分も騙しながら生きている人は、借り物のような自分の掌にいったい何が残っているでしょうか。この作品は現実の中の理想を描ききっているので、ただ美しく、痛く、あるいはわずかな勇気を与えてくれるかもしれません。
投稿日時
ユーザー名
umimaru
ゲーム名
シンフォニック=レイン(非18禁)
ブランド名
工画堂スタジオ
得点
95
おかず得点
一言コメント
非常に洗練されたテキスト、可愛らしい絵に見事に合った声優陣による歌曲、他の"泣かされる"ゲームとは異なる感動に触れることのできる素晴らしい作品でした。とにかくテキストが良いです。心理描写が多い作品でもあり、読み返すことによって理解できる"言葉"や"表現"が幾つも盛り込まれています。嘘と真実の奏でるシンフォニーを最後まで聴き逃さない事を強くお勧めします。
投稿日時
ユーザー名
umimaru
ゲーム名
ANGEL TYPE
ブランド名
minori
得点
86
おかず得点
一言コメント
思春期の陰をテーマに、心の楔(くさび)と救済を描いた小説。独特の雰囲気を作り出す、夕焼けの校舎や夜の海など、ありふれた日常の裏側と哲学的なテキスト。表面を飾る意味を感じない日常会話と心内文との距離がまた 現実的であって趣深かった。背景は非常に綺麗でCGもムラなく、ボリュームの割にBGMも多いし立ち絵の表情も豊かなので、水を差されることなく物語に惹き込まれて行く。テーマが抽象的というのもあって作者の意図が読み手に伝わりにくいのが惜しかった。以下個人的に考察 → 長文感想(903文字) (ネタバレ注意)
投稿日時
ユーザー名
umimaru
ゲーム名
BITTERSWEET FOOLS
ブランド名
minori
得点
82
おかず得点
一言コメント
色んな過去を抱えた者達が些細なきっかけをもとに不器用にも触れ合い傷つき、愚かしくも生きていく様を淡々と描いた、2つの物語が小気味よく織り成す群像劇。それは単純に何かを得て成長するのではなく、悲しみと共に心の奥に仕舞い込んでしまった『答え』を優しい言葉たちがそっとノックしたにすぎないのだろう。そしてそれぞれが回帰していく――――笑顔と共に――明日を信じて。 → 長文感想(830文字)
投稿日時
ユーザー名
umimaru
ゲーム名
羊の方舟(非18禁)
ブランド名
工画堂スタジオ
得点
81
おかず得点
一言コメント
悲哀、忘却、変性、渇望、恐怖、同情、欺瞞、殺意、憐憫、あらゆるものが渦巻く終末的な世界を満たすのは小さな愛。それは有名なドイツの詩人のある言葉を思い出させる。本作品はネット上で連載されていたSF短編。設定が良いのでキャラもたっていて、複数の視点で見られるそれぞれの独白は見応えあり。一つの伏線が皮肉めいていてるのもこのライターさんらしかった。値段も手頃なので文庫本感覚で読めるのも良い。
投稿日時
ユーザー名
umimaru
ゲーム名
Ever17 -the out of infinity- Premium Edition(非18禁)
ブランド名
KID
得点
80
おかず得点
一言コメント
全てのルートを攻略する必要のあるシナリオ重視の推理モノ。物語中盤から少しずつ推理材料が増えていき、様々な疑問と可能性を考えながら最終的に全ての伏線が回収され、ゲームを終えて振り返ればこの作品への価値観が一変しているという、読み終えた後の感動は非常に見事であった。しかし、CGは少なくないのに、(個人的に)立ち絵が微妙で音楽も普通。表面的な部分がしっかりしていなかったため物語全体の起伏が薄れ、演出力が若干損なわれてしまった感が否めない。加えて非18禁であるのにも関わらず全キャラのルートが存在し、全体像が細長になってしまった。判断材料を減らさない程度にもう少し構成を練れたのではないだろうか。 → 長文感想(258文字) (ネタバレ注意)
投稿日時
ユーザー名
umimaru