傑作になりえたであろう作品であるが、尻切れトンボとかそういうレベルではない未完成っぷり。
世界観や雰囲気、ビジュアル、音楽と、これほどの一体感を持っていたのは、私がプレイした作品の中ではアトラクナクアくらいではないだろうかと思えるほどにひとつの作品として完成されていたように思います。そう、シナリオが未完でさえなければね。
未回収な伏線も多く、続編が待たれるという声が多いのもうなずけます。発売して10年も経ってしまったことを考えると望み薄でしょうが……。
ストーリーを簡単に説明すると、この世界では生命や記憶の源とされる「みず」を、特殊な技能でそれを体内から取り出し扱うことができるみずやという職業の主人公、叶野静麻がさまざまな事件に巻き込まれ解決していくというもの。大正を舞台にした普通の伝奇ものなのかなと思っていましたが、少しだけ世界観が特殊で、「みず」の存在や怪異、魔法といった要素を江戸川乱歩の小説に落とし込んだような感じががとても魅力的な作品でした。正体バレバレな猫面相や同じことしか言わないブリキのような警官隊といったコメディタッチで描かれている部分も作品の魅力の一つとなっていたように感じます。
話は全5章で一本道、というか選択肢もほぼないので小説を読んでいるようなものでしょうか。
キャラクターは数が多いながらもみんな個性を持ち魅力的に描かれており、特に主人公である静麻は結構私の理想に近い主人公であったのでストレスなくプレイすることができました。女の子は若干ロリっぽく見える娘が多いもののみんな可愛いですし、野郎にも不快になるようなヤツはいなかったので安心。これでルート分岐があり、きちんと物語として完結していれば100点を付けるレベルだったので、本当にそれだけが残念でなりません。
エロは基本的に和姦で、そこに加えて触手と少しの凌辱があるくらいですが、絵が非常に好みだたこともあってか中々に使えました。ロリとのエッチが多いのもいいですね。咲子触手攻めとか真絢との初エッチとか最高でした。ロリコンな方にもお勧めです。
点数は非常に悩みましたが、他の作品ではなかなか味わえない一体感であるためにかなり甘めにつけました。未完成であることを差し引いても有り余る魅力を持った作品だと思うので、いろんな人にプレイしてほしい、という意味もこめてこの点数。