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dominoさんの夏めろの長文感想

ユーザー
domino
ゲーム
夏めろ
ブランド
AcaciaSoft
得点
90
参照数
1550

一言コメント

夏と靴下

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

発情ゲーの傑作という評価となんかイカス妹キャラがいるらしいというのでやってみた
実際その通りの作品だったわけで
最早マルセル氏をはじめ他のレビュアーの方々以上に僕が語れることなどない気がするのですが
つらつらとメモ書きで

「夏」

・統一感

しろ氏(原画)吉田誠治氏(背景)細江慎治氏(音楽)木之本みけ氏(シナリオ)
それぞれの仕事が木之本氏の企画・ディレクションのもと見事に統一されていること。
各要素が個別にそれぞれ評価される作品は多くあっても、作品独自の空気を形成するために組み合わせとして誰が欠けてもダメというレベルまで達しているのは少ない。
Cuffsの☆・トノイケ・安瀬各氏とかinspireの神宮寺・穂高・玉龍各氏とか、そういうのに近い感じ。
中でも雰囲気作りの上で特筆すべきは吉田氏の素朴で地味ながら情感のある背景CGと
細江氏が作曲、木之元氏が作詞を手がけた主題歌。勿論ヴォーカルも良い


・演出不在という演出

上で書いたコンセプトの統一性ということにも関連するんですけどとにかく素朴。
映像としてキラキラした装飾があるわけでもなく、ストーリーやドラマとして盛り上げるための作為的な山場を用意しているわけでもなく、
ただひと夏の些細なできごとを描き、それをシンプルなカメラワークで捉えた作品。

脚本・カメラが明確な演出的意図を持つのは
作品のメインテーマを一枚のカットに凝縮し、象徴として描いたあの雨上がりのシーン、たった1シーン。それだけ。
だからこそ鮮烈に印象に残って美しい。

EDに歌が流れないのも終わり方として演出する必要がないから(だと思う)
作品イメージとしての主題歌はともかく、
もしも生活音をSEだけで完璧に表現することが可能であるなら
この作品にはBGMさえ必要ないのかもしれない。日常=「夏」のパートに関しては。


「靴下」

・息遣い

男「はぁはぁはぁはぁ」
女「はぁはぁはぁはぁ」

とりあえず台詞より吐息で語るエロシーンが素敵すぎ
ボタンを外すのももどかしく床に脱ぎ散らかした服を邪魔と蹴飛ばさんばかりのテンパった描写が秀逸すぎ
皮と靴下と上履きへのこだわりが変態すぎ
理性を失った中で露呈する根源的マチスモもしくは男根主義や
支配と被支配なんてどっちもどっちだよという描写はもしかしたら深いのかもしれない
はぁはぁはぁはぁはぁ

・キャラ

キャラは全員好きですがつぐみルートの終わり方の潔さには感銘を受けた
いや絶対バレるだろ、君らw


「総評」

90点。合う合わないは激しいかもしれないけど一度はプレイする価値のあるゲーム。