黒く濡れた百合の花。 なんともあやしく美しい。 物語はカオスです。 でも百合の絡みは官能的かつ芸術的。 全力疾走しなければ展開に置いてかれるも、走り切れば確かな満足感を得る作品でした。 結論。想定とは違う面白さだった!
『魔法少女消耗戦線』を考えた人は天才である。
シナリオと世界観とエロが突き抜けた作品であったと自分は評価しているので、衝撃をもって個人的激推し作品となりました。
そうであるならば、本作に対しても並々ならぬ期待を向けているのは当然のことであります。
プレイ前に期待したものは「あやしさ」「凌辱性」「百合エロ」、求めている勝利は『魔法少女消耗戦線』を超えるエグ味。
プレイ前までには公式HPを隅から隅まで目を通し、エロいビジュアルに胸とムスコをときめかせ、さらには『Bugbug』特集記事もしっかり読み込んで準備は完璧。
クリアすれば得る勝利。
そんなことは疑うまでもない。
呼吸をするより当たり前と認識しておりました。
そしてプレイ開始。
いざ、尋常に参る!
数時間後。
……カオス!!
この感想はテーマ性も物語の展開にもそんなに触れません。
ただただ思ったことを垂れ流します。
それだけの感想にしようと思います。
意味不明な事も申し上げるかと思いますがご容赦いただき、どうかお付き合いくださいませ。
★物語の印象は
物語の印象を頭に思い浮かべ考えると、
「お、おおーー!!お?おおぅ……おぅ?おお?!雄…おお!!汚おおおお以下略。」
脳内は「お」でゲシュタルト崩壊。
これで伝わりますでしょうか?(無理だろ)
本作はとても一筋縄ではいかないカオス的な作品でした。
前作からの期待値から勝利を確信していたら、全然予期せぬベクトルの勝利を手にしていたという……。
でも勝ちは勝ちです。
クリア後は脳の思考を停止して、勝ち逃げしようと思います。
真面目に本作を簡潔に述べるのであれば、
”復讐を成すことも、救世主となることも、全てはカオスに侵され神話となった”でしょうか。
物語のほとんどがユダのピンボールゲームの設定であり、ヒロイン達は与えられた役割をこなす道化であったという展開。
これには呆気にとられたというよりも、頭にハテナマークが溢れたようで、思考回路はショート寸前。
今すぐ会いたいよ。……じゃなくて!
この展開は予想外過ぎ。
ただ丁寧に物語の展開を追っていくと、ロジックはしっかり組まれています。
なるほど、この物語は神話創造という究極のセカイ系作品だったわけですね。
正直頭はかなり混乱しましたし、カオスな状況についていけなくなる場面もありましたが、最後までプレイすると確かに面白かったわけで。
だってこんな未来予想図は想定してませんからね。
ブレーキランプ5回点滅は「カオスしてる」のサインなわけです。
では、次の項目からは期待していた「あやしさ」「凌辱性」「百合エロ」が実際どうだったのかを語っていきます。
★絶対運命黙示録
これはアレだ。
プレイ中に脳内で鳴ってる曲。
「絶対運命黙示録」だ。
いやいや、全然違うって分かってますとも。
でも「世界を革命する力を!」ってやつに近い感覚みたいな……。
あー全然伝わらないな。 どうしよう。
要はこのあやしい感じ、結構好きかもってこと!
てなわけで、序盤は明らかに「少女革命」してました。(個人的解釈)
さらさら流れるよりも、粘膜的にトロトロしていたほうが生々しいように、物語の味付けは精神的に”秘密の園”を彷彿とさせるほど”ぐっちょり濡れた”展開。
序盤では物語を裏で操る存在は伏せられ、表層は特殊な学園物が演じられます。
トワが検査を称した辱めを受けるのも、エリスとセレナの蜜月に思いを馳せるのも、どこか百合の美しさ以上に感じるドロッとした「あやしさ」を感じていました。
荘厳と鐘は鳴り響き、白い鳩は一斉に空へと飛び立ち、薔薇の刻印ならぬ宝石の煌めきに百合を見るわけです。
ただ最初に感じた「あやしさ」は決して生易しいものではなく、2章後半からはカオスに転じます。
そこから物語は精神的に全力ダッシュ状態。
少しでも油断すれば状況に置いていかれます。
足がもつれようが、途中で転びそうになろうが、必死になって地面を蹴り上げ、ただただ前を向いて走り切る。
この覚悟こそ勝利を掴む条件であったと言えるでしょう。
その勝利が当初求めていたものでなくとも、走る先には確かな勝利があるはず。
本作はエロスに頭を支配されるより、復讐という感情の真相と、ディーに愛情を抱く過程を”官能的な娯楽”として味わうが正しい嗜み方であったように感じます。
ただこれはあくまでトワの視点であり、ディーの視点からはトワに出会いから想いを寄せる恋愛物語でもありました。
各ヒロインの視点で世界を見れば、それぞれの立場による物語があり、それぞれの想いがあったことは最後までクリアすることで理解できます。
ただ、エンディングがトワとディーで結ばれたように、あくまで物語の中心はトワとディーの百合物語であったと捉えるのがしっくりきます。
女性の園に雄の概念が充満するカオスな展開も、神話創造という超展開も、全ては二人の愛を彩る試練のようなものだったのです。
自分にとってはそういう物語でした。
★凌辱要素は希薄である
正直言えば生ぬるいです。
黒く醜い要素より、バトル要素が全面に出ているためか、凌辱性は希薄。
もっとヒロイン達を追い詰めて、トコトン精神的に追い込んで、めちゃくちゃ身体と心に酷いことして、涙を流し表情を歪める醜さに”美”を想起させるほど可哀そうにして、心の底から号泣したかった。
でも、実際には乳首コリコリ程度の凌辱でしたね。
くっそデカい竿を突っ込まれても、可哀想さがあまりない。
確かに酷いことはされているけど、あくまでハード面の話。
ソフト面は平常運転なわけですよ。
これは不思議な感覚でした。
だって明らかに悲惨なのは理解出来るのに、プレイヤー心理としては悲壮感が無いですから。
主観で質の良い凌辱を語るならば、ドス黒い加虐精神があってこそ対象のヒロインは絶望に染まるわけなんです。
さらには、希望のフラグを立てては一つ一つ丁寧に折っていく。
これが満たされた時、上質な凌辱は完成されるわけです。
ただ、本作にはそれが無い。
そもそも、そんなものなんて必要すらなかったわけです。
つまり、凌辱性を楽しむ作品ではないって結論。
期待なんてプレイヤー側の勝手な都合なので、そこは素直に脳を切り替える必要があります。
じゃあどのスイッチに切り替えればいいの?って答えは既に物語の序盤から提示されていました。
素直に百合エロに劣情のはけ口を求めればいいわけです。
それは次の項目にて。
★官能的な百合のエロス
ムチっとした肉感に、ヌルっとした絡み、そして最後はドロっとして果てる。
百合の美しさより、肉欲求め合う情感優先。
何より上田メタヲさん原画ってだけで素晴らしい。
優勝ってことで。
エロの内容云々よりも、えっちシーンのビジュアルが官能さを雄弁に語っています。
上田メタヲさんは個人的に推しの絵師様でもあるので、えっちシーン全ての原画が見惚れるものでした。
声優の方々の演技も素晴らしいですが、やっぱり絵の力が凄い。
ただ、そこに実用性があるかと言えば話は別。
やっぱり百合はあくまで百合なわけで、心の内面でのセックスが見所なわけです。
そこにエロスは重要では無く、百合エロの美しさや尊さがあれば良い。
でも不思議なことに、百合の美しさよりも個人的には「あやしさ」のほうが印象的でした。
どうしても「絶対運命黙示録」が頭から離れないんですよね。
それを加味すると、本作の百合エロは美しさや尊さよりも、美しいのにあやしいという官能的な芸術さこそ真であったと思い至りました。
おそらくこんな事を考えているのは自分だけだと思いますので、くだらない戯言であると思っていただいて結構です。
脳がバグってる自覚がありますので。
トワとディーの愛のパトスは真実。
結論としてカオスに侵された素晴らしい百合恋愛物語でした。
■最後にまとめ
ツッコミどころは多々ありますが、カオス的な展開や神話創造、百合恋愛物語のロジックは完成されていました。
中盤からのカオス状況に最初は戸惑うもの、ストーリーとしては突飛な設定のSFだったと言え、新鮮な楽しさがありました。
『魔法少女消耗戦線』のような楽しさとは異なるも、また別の方程式による勝利って感じですね。
結果として百合エロの恋愛物語に満足しています。
これからも推したいブランドであるという想いに変わりはありません。
次回作にも期待しております。