砂の城 -The Castle of Sand-

砂の城 -The Castle of Sand-(ボーカル有り)

ゲーム

画像ゲーム名ブランド名発売日カテゴリ
amazon朱 -Aka-ねこねこソフト2003-06-13挿入歌

音楽得点分布

得点度数グラフ
1005
90~994
80~893
70~792
60~690
50~590
40~490
30~390
20~290
10~190
0~90

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コメント(新着順)

語りきれないままのお話と音楽。

 『朱』はどことなく音楽的です。音楽というのは、あるモチーフの繰り返しとそれを変化させていくところの単純さ/複雑さに本質があると、わたしは思っております。そうした音楽的手法を、ごくごく素朴なやり方でエロゲテキストへ落とし込んでみたところ、出来上がったのが『朱』の広漠とした日常だったように感じるのです。もっとも、そのやり方はあまりに素朴すぎたから、基底音たるテーマを聴かされつづけた人の眠気をさそうきらいもあって (クラシックの演奏会で舟を漕ぐようなまどろみ)。フェアに判断するならば失敗作だったと思います。フェアな判断をしなければ、とても好きな作品です。

 そんな音楽じみた単純さ/複雑さをもつ『朱』だから、ついにストーリーを言い表しきれないまま、木訥な語りかけになってしまったのだけど。そうして口ごもったままの本編であるゆえ (アラミスが無声であるゆえに)、むしろ劇伴のほうが自然と雄弁になっていくふうでした。物語は同じモチーフを繰り返すばかりで何も語りきらなかった。なので、同じくモチーフを繰り返すのみで語りきってしまうことのない、音楽という表現手法へ実によくなじんでいったようで。『朱』には「この箇所がこうである!」というふうに分析する言葉を返すことのできない雰囲気があって、わたしなどは口ごもってしまうのだけど、それはちょうど、音楽を語ろうとするときにぶつかる原理的なむずかしさにも似ています。あの作品では、テキストが音楽により近しいパターンで書き込まれていたと感じるのです。

 さて、いずれの曲も良かったけど、ひとつだけあげるなら「砂の城 -The Castle of Sand-」が気に入りました。自然と雄弁になっていくピアノ、ギター、ベース、ストリングス、パーカッションといった音の幅から、広漠とした砂の城が立ち上がっていくふうなサウンドスケープをもつ曲です。ただ個人的には、歌詞の言葉運びはぎこちないと思うし、その歌いかたにしても少しだけ真面目に読み上げすぎるよう感じまして。異邦人ならではの、子供っぽくもある、たどたどしさが残っているふうに聴こえるのです。そうした、壮大なサウンドスケープのなかへ埋もれゆくたどたどしい言葉づかいが、『朱』の物語にはよく似ついてるから、あの寄るべない砂の城のすがたをも思い出させてくれて。「The Castle of sand...」「The Castle of sand...」どうしようもなく繰り返しつづける歌声に、あの砂嵐のなかの時間が閉じ込められているような気がします。

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