amahaLv2さんの「あかね色に染まる坂」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

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10年経っても色褪せない物語をありがとう。
最初に断っておきますが、これは言うならば独り言です。誰に向けたものでもなく、ただ自己満足のためのもので、感想というよりはメモみたいなものでしょうか。でも、10周年というアニバーサリーイヤーということで(結局年は越えてしまいましたが)、何かを残したいという面倒くさい欲求もあっての長文投稿です。読んでも対して有意義な時間は提供できないと思います。

とは言ったものの、これからやるよという方が見てまるで参考にならない感想というのもどうかと思うので、先に最低限のことは書いておこうと思います。

☆絵全般について
何といっても、空の描写が非常に綺麗です。空三部作と銘打つくらいなのだから当然と言えば当然なのですが。SD絵もかなりコミカルかつ豊富なので、初見プレイは次回予告でクリックボタンは押さない方がいいと思います。

☆曲
後々関係してくる箇所があるので、オープニングの歌詞はしっかり確認しておいた方がいいですよ。サビからの部分は特に。

☆システム
まあ、言うほどの何かがあるわけではないですが。Movieスキップについて、前作「青空の見える丘」では毎回再生するか否かの二択でしたが、今作は一話だけ再生するという選択肢が増えています。お好みで。
また、クイックセーブ・ロード機能が追加されています。その一枠を含め、セーブスロットの合計は137枠となります。

☆シナリオ
ざっくりと。細かなあれこれはこの後に。単に参考にだけしたかった方はここまで読めばブラウザバックして問題ないと思います。
共通が長いです。共通と個別でだいたい7:3くらいの割合です。内容は一つの非日常で物語が動き始める、実に王道の学園ものです。前作に引き続き当時のメタなネタがそれなりに含まれているのでこれからやるという方はピンと来ない方もいるかもしれません。分かると結構ふふっとくるものもあると思います。
えっちシーンに関してはサイドエピソードの形で挿入されるのでえっちシーンでセーブスロットを割く必要はありません。中出し外出し時にクイックセーブで事足りるかと思われます。何も伝わらないほどのざっくりさですが、はっきり言って説明がめんどくさくなったのと、自分で見た方が早いでしょと思うわけで、こんなとこ見てるくらいならとっととインストールしてプレイしてください。
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この先からネタばれです。




















前置きが長くなってしまいましたが、ここから本題の各ヒロインのルートの話をしていきたいと思います。想定していた(せいぜい2万字くらいで収まると思っていた)よりもかなりダラダラ長々となってしまったので、結局のところ同じこと言ってない?だったり、読みづらい箇所が多々あるとは思いますが、ご了承ください。

・基本的に時系列順で、要所要所自分が好きなところや気になったところなどを書いていこうと思います。
・片桐優姫→長瀬湊→霧生つかさ→白石なごみ→椎名観月→橘ミコトの順番になってます。
・まとめ方が下手っぴで最初に書いた優姫ルートの話に共通ルートの大半が混ざってしまいました。ただ、共通ルートで優姫以外が登場するシーンについては各ヒロインの話でしようと思っています。
※ちょっと分かりづらいので例を挙げると、優姫ルートの話で共通ルートの文化祭編といった大きな括りとしての話はしてしまうけど、なごみとの対決(デート)みたいな共通ルート上だけどメインが優姫じゃないシーンについてはなごみルートの話でします、みたいな感じです。

それではやっていきましょう。

☆片桐優姫
DVD-ROMにもあるように、ツンデレ出没注意の人です。当然ツンデレです。いや、それでツンデレじゃなかったらパッケージ詐欺もいいところなのですが。前作、青空の見える丘でのツンデレヒロイン、速水伊織は3:7のツンデレ黄金比娘として名を馳せたわけですが、今作の片桐優姫は逆に7:3のツンデレ比娘ではないでしょうか。どちらも竹を割ったような性格で、声の繋がり的な関係がある某ぱんだのようなにゃんこが出る作品の学園長の言葉を借りるなら、「イイ女」ってやつです。

少し話はズレますが、思うに、ツンデレのように尖った設定は記号であるべきだと思うわけです。
例えば幼馴染という設定。幼馴染と一言で言っても様々なものが思い浮かぶのではないでしょうか。そう、先ほども話題に出た都会に引っ越してから知り合った、都会に慣れるまで何かと世話を焼いてくれたツンデレ黄金比タイプの幼馴染。引っ越す前は何をするにしても一緒だった田舎の「ぽよんぽよんおっ胸でゆっうわっくだ~♪スリスリ♡ぺたぺた♡押っしつっけろ~♪」タイプのぽややん先生幼馴染。

気になった方は青空の見える丘ドラマCD第4弾『真冬のバラエティハッスルセカンド』をどうぞ。トラック5です。いろいろな意味で迫真の演技が聞けますよ。損はしないと思います。損をしても責任はとりませんが。

結局何が言いたいのかというと、幼馴染のような関係性のカテゴリは明らかにこれだと皆が共通で思い浮かべられる設定でないのに対し、ツンデレという個性のカテゴリはツンデレ以外ないわけです。ツンデレと言われてはわはわしてるドジっ娘メイドを思い浮かべたりはしませんよね。つまり我々はツンデレなのだと言われたら、意識するしないに関わらずツンデレを期待しているわけです。だからこそ、ツンデレのように尖った設定は分かりやすい方がいい。キャラクター性をこねくり回すより、ただ「別にあんたのためじゃないんだからね!」、これでいいわけです。

そういう考えからいくと、この片桐優姫というキャラクターは実に理想的なツンデレをしていると思いませんか。冒頭の熱烈なキッスからの『死なすーっ!!!!!(頭突き)』。
これ。これですよ。ゲームのキャラクターに自身のキャパシティーを超える出来事が降りかかった場合、行動し得る選択肢をざっくりと分けてしまうと、怒るか泣くか機能停止するかです。現実でもそうかは知りません。現実のことに言及できるほど長生きしてませんしね。

とりわけツンデレ属性のキャラクターは基本的に強気であることが多いでしょう。ゆえに選択肢は一つに絞られます。当然怒るわけです。そうですね、泣きながら怒るというのもありました。案外選択肢は怒るか機能停止するかの二択かもしれませんね?
自身の処理能力の限界を超えてしまった結果手が出てしまう(この場合は頭ですが)。これもツンデレ娘の愛すべき傾向の一つですよね。

ここで注意したいのが、この暴力を愛すべき特徴程度に留めるために、適度なボコボコでなければならないということです。ことあるごとにボコスカ殴ってきたらただのゴリラ女ですからね。残念ながらゴリラとの恋愛を求める人は多数とは言えないでしょうし。何事も適度が一番です。過ぎたるはうんたらかんたら。そう考えると、頭突き一発で仕留める優姫は非常に優秀と言えるでしょう。一場面で仕留める、アサシンのごとき必殺の一撃が良いツンデレヒロインには必要なのかもしれません。

さて、さらに物語が進んでいくと許嫁であったことやデートして一緒に写真を撮る「儀式」が付与されていきますが。そこいらについてはもっと後にしましょう。

ここいらで一つ、サイドエピソードについて。この作品を通じて味になっているヒロインその他の視点からの物語。個人的には、ヒロイン視点専用のシステムがあるだけで加点20点しちゃいそうなくらいの大好きさです。本筋に絡めるのが難しい部分を補完しつつ、これからの展開を予感させることでワクワクが止まらなくなるので基本的に全てのえっちゲームに実装してほしいものです。自分で想像するのも好きですが。

サイドエピソードで実は彼と優姫は会ったことがあり、優姫にとってはそれが初恋で。幼馴染属性も持ってるってほんとてんこ盛りですよね。皇帝特権もかくやといった感じです。まあ姫だからね……。

さて、そんなこんなである日倉庫に閉じ込められてしまうハプニングが発生するわけですが。まあいわゆる大ピンチというやつですね。吊り橋効果で愛が深まるという話はよく聞く話ではありますが、ここではまだそんな段階ですらないわけで。ですがここはツンデレ的に非常に重要な場面なわけです。

ツンデレはたいてい強気なキャラクター性を持っている、という話は前に出たわけですが。ここで改めて認識しておかなければならないことがあります。そう、ツンデレとは局所的なものだということです。有り体に言うと、特定個人に対してのみ被る仮面です。ツンデレアイドルがキャラ付けで誰に対してもツンデレる、なんてのはあるかもしれませんが、ここでは置いておきましょう。

仮面と言ったわけですが。仮面はどんな時に被るものでしょう。まあ当然素顔を見られたくない時ですよね。じゃあこの片桐優姫のツンデレという仮面は何を隠すものなのでしょうか。まあ順当に考えて長瀬準一に対する弱さですよね。サイドエピソードにもあった通り、優姫は初恋の相手なのではと気づいていますし、準一が悪いやつではないことも湊との会話で認識しています。心の底から嫌いではないけれど、キッスの一件が消化しきれないゆえのツン。だからこそ自身の落とし物探しに巻き込み、なおかつ一緒に閉じ込められてしまったことへの罪悪感が募り、落ち込むわけです。

こうして見ていくと、ツンデレって「強がり」なんですよね。背伸びと言ってもいいかもしれません。自分を強く見せたいというのとは違います。それはただのイキリです。イキリは他に自分を強く見せたい、外に向けたものです。対してツンデレは自分を保つ、守るための内に向けられたものではないかと思うのです。
優姫は普段、気高いですよね。それはここまでプレイしてる人なら誰でも分かるでしょう。しかし準一は、優姫の普段のそれを崩すウィークポイントになります。揺らぐ、自分が自分でないかのような。そんな不安定な状態に陥らないための、自分を保つための強がり、仮面。優姫のツンデレは、そういうものなのではないかと思うわけです。

というか、ツンデレは基本そういうものであるべきでは?ちょっとしたことでキレてボコスカ殴ってきてちょろっとしたことで勝手にデレるようなのはツンデレではなくただの暴力女ですよね、なんてことを掘り下げても仕方ないのでここはカットで。

はてさて、物語に戻りますが。この閉じ込められてるシーン、準一がありえんカッコいいですよね。おちゃらけることで落ち込んでる優姫をいつもの調子に戻し、その日落ち込んでいた理由を引き出してガス抜きもさせる。できる主人公ですね。いくら妹がいるといってもそうまでの気配りは誰にでもできることじゃないよ。\サスオニ‼/
さて、そんなこんなで結局吊り橋効果で仲が深まった(?)二人なわけですが。この二人の話は本編ではしばらくおあずけなんですよね。まあここでは省略するわけですが。後々なごみ、観月先輩ところででも書けばいいでしょう。というわけで場面は文化祭編まで飛ばします。

でも基本的に文化祭編はヒロインの可愛さというより準一のハイスペック主人公補正の色の方が強いんですよね。孤高の反逆者準一の行動に仲間みんなが引っ張られて果てには学園全体が活気づいていく……。

正直なところ、ご都合主義っぽく感じられないでもないですが、神がかった強運というよりは、冬彦と一緒に立てた悪だくみが先にあり、そこから主人公に賛同する仲間の協力でってのがメインの要因なので、ご都合主義というよりは主人公補正なのだと思います。悪いところを探すよりいいところを探す方が人生明るくなるらしいので、積極的にいいようにとっていきたいですね。信者パワーってやつです。

この文化祭編、ちょくちょく前作「青空の見える丘」のネタが出てきているのが非常にいいですね。シリーズものとはかくあるべきでしょう。リポーターの「もぎますの☆」であったり、攫われた優姫を助けに冬彦のバイクに乗った時の「俺たちは風になった……。」とか。いやまあ、前作はバイクではなく高級車だったわけですが。

この文化祭編での優姫の見せ場はやはり攫われるところだろうと思います……が、少し違いますかね。優姫の数あるお嬢様属性が披露されるところ、といった方が正しいような気がします。攫われるのももちろんそうですが、遊園地グループデートの際に判明する電車の切符を買ったことがない事実とかがそれです。思うに、お嬢様は庶民の生活を知らないべきなんですよね。庶民派お嬢様とか、結局お前はどっちなんだよと言いたくなりませんか。お嬢様は発券機の便利さやら牛丼やカップラーメンの味に感動するみたいな生物であるべきだと思わずにはいられません。

うーん、見せ場は攫われるところではとか言いながら、個人的に優姫の文化祭編で一番好きなところは攫われた一件も終わった17話最後のサイドエピソードなんですよね。「祭りの想い 優姫(湊)」で二つに分かれているところです。やっていけば分かるように、文化祭はルートが確定する直前の話です。つまりヒロイン達の心境が核心に迫っていく過程のお話ですよね。ここのサイドエピソードはヒロイン二人、目線は違えど二人の予感、結論は一緒のもの。

『このままの関係でい続けることが出来れば、それはとても幸せなことなんだろうな』
『でも、どこかで解っていた。』
『それはとても、虫のいい希望だということを。』

ダブルメインヒロインってこういうことなんだなあ、と。こういう細かな対比が描かれているとどんどん加点していきたくなっちゃいますね。お互いにお互いを認めていて、お互いがお互い”今”を全力で生きているからこそ、この関係が、この穏やかな時間がずっと続けば、守れればいいのにという想いがこぼれ落ちてくるわけですよね。もちろん、そう思っているのは彼女達だけでなく、準一もそうなのですが。

まあ世の中厳しいもので、そんな嫌な予感ってのは当たるもんです。終わりのない物語なんてありませんしね。人生と一緒です。世知辛くなるので特に掘り下げることはしませんが。

いくつも存在していた道が一つになる時、つまりは先の予感が的中する前に、閑話休題として亜矢先輩の落とし物探し(通称:宝探し)が入るわけですね。大きな波があった後のほのぼの回。いかにも嵐の前兆、どシリアスの前触れってやつです。

でも準一も言っていた通り、観月先輩の宝探しという企画名は実にいかにもなものだと思いませんか。人間、誰しも大切にしているものの一つや二つくらいはあるでしょう。たとえそれが実際に触れられるものだとしても、そうでないものだとしても、その人にとってはかけがえのない宝物かもしれないんですよね。サービス終了したら何も残らないというのに、データごときに課金する輩は阿呆だと思っても当人の前では言わない優しさというのも必要な時代に今我々は生きているのかもしれません。どう考えても阿呆ですけどね。

亜矢先輩のCGはもっと増えてくれてもいいのではと思ったのですが、残念ながらこの一枚だけなんですよね。幻想的な空。暮れゆく夕日。それを背に激レアも激レアな微笑みを向ける亜矢先輩。もはや後光が射してると言っても過言でないのでは?ここだけの話、作中でもかなりお気に入りの一枚なんですよね。本当もったいないな……。別に今から新規でグッズ出してくれても構わないのですが。まあ無理ですよね……。

需要と供給の格差に頭を悩ませつつ、話は一つの山場を迎えるわけです。まあ最後のデートですよね。例の公園で、もう一度ここから始めたいと思ったんだのところです。
ところでここ、いざ話に入る前の次回予告がとても詩的ですよね。

『もう随分と前のようにも感じる、出会いの物語。彼には、ずっと置いてきたものがある』

準一が置いてきたもの、それは「自分自身」だったのではないでしょうか。
誰とでも対等に、同じ目線で接する、考えることができるのが長瀬準一という主人公です。でも、優姫に対してだけは違う。言うならば、お姫様扱い。成り行きとはいえ、ファーストキスという女の子の大切なものを奪ってしまった。その後ろめたさがあるゆえに真の意味で対等にはなれてなかった、正しく長瀬準一と片桐優姫と胸を張って言うことができなかったのではないでしょうか。優姫はいつだってキッパリハッキリしていて。誰にでも誠実で。それに対し自分は後悔すらしている。

以前、湊が言ってましたよね。兄さんは優姫さんが来てから変わったと。後悔しているからこそ、優姫と対等な人間であるために、準一は準一でいい男になる努力をしていたわけです。その結果として最も大きな功績が文化祭ですよね。文化祭は初めてだという優姫のため、学園のみんなのため。長瀬準一はヒーローにまでなった。そこまでしてようやく、もう一度ここから始めたいと切り出せた。思えば5話の時点から切り出そうとはしていたのに、踏み込めなくて。遠回りに遠回りを重ねてやっと対等にスタートラインに立てたわけです。

よくよく考えたらありえんストイックなんですよね、準一って。世の中全ての主人公がこういった芯のある主人公であってほしいものです。……いえ、特に言及はしませんが。

ここだけの話、優姫ルートではこの公園でのシーンが一番お気に入りです。準一が死ぬほどカッコいいのはもちろん、誰にでも真っ直ぐだった優姫のめんどくさい内側が露呈するある意味佳境とも言えるシーンですよね。正直ここの流れは全部引用したいくらいの大好きさですが、さすがに自重します。

でもまあ、面倒くさいヒロインっていいですよね。世の中全てのヒロインがもっともっとまどろっこしくてたくさん抱え込んでほしいと思わずにはいられません。抱えているものの数だけ新しい顔が生まれ、深みが出るというものですし、自分が知らなかった一面を発見した気になってドヤドヤしてる時ほど生を感じられる瞬間も中々ありませんからね。

ほんと、話が脱線しがちですが、本題に戻ると湊と夕陽坂のシーンです。ところで知ってました?夕焼けの色をあかね色ということがありますが、あかね色は夜になりかけの暗い方の色なのだと。僕は湊に言われて初めて知ったわけですが。大事なことは全部エロゲーで学んだので。

河原で優姫と湊の会話を盗み聞きした後、湊に見つかって一緒に夕陽坂を歩くこのシーン。ここの演出は凝ってますよね。それまで夕焼けの中を歩いてきて、湊のあかね色とは~とのセリフが終わるとさっと空が陰り、まさしくあかね色に。もうすぐ何かが終わる、そんな予感を抱かせるには十分な演出です。そして夕陽に染まる坂の上で遠くを見つめる湊のCGが入って……、なぜかあかね色だった空が夕焼けに戻るんですよね。そこはこだわって欲しかったにゃあ……。

それにしてもここのCGはこの作品を代表するCGですよね。まさしく『あかね色に染まる坂』です。構図が美しすぎる。聖地ってどこなんでしょう、かなり頑張って探したつもりではあるのですが結局見つけられてません。聖地があるなら機材背負って撮影に行きたいものです。

なんて、さんざん湊のCGを褒めちぎったわけですが。優姫ルートは本当に良CGのオンパレードなんですよね。そう、婚約破棄られて、に、逃げるんじゃねえからな!離れて自分の気持ち確かめるだけなんだからな!からの公園デート、そして”優姫”のために”夕陽”は来てくれるかしら(詠唱)が起こした奇跡のCGです。
同じ夕暮れのシーンですが、先の湊のCGが暮れ行く夕暮れだったのに対し、ここの優姫のCGは雲の切れ間から淡い、明るい陽の光が射す。前者は終わりを、後者は始まりを示す対称関係なんですよね。カッコよく言うとシンメトリーってやつです。まさにダブルヒロイン設定がよく活かされています。

ただまあここの手を上げた瞬間に風が吹いて雲が晴れるというのはさすがにご都合主義と言わざるを得ない気がしなくもないのですが……。いや、これは重要なシーンではありますが、物語を結末に直接導くものではないためセーフではないでしょうか。そう思うことにしましょう。綺麗で可愛ければ大抵のことは許されます。

ところで個別に入ってこれっていうほどシリアスがありませんね?なんかフランスに旅立ったはいいけど冬休み明けたらすぐ帰ってきたし……、気持ち伝えあって始まりのキッスを交わすシーンでは主題歌のアレンジBGMなんていかにもなエンディングチックさでは?起承転結の転がないというか弱いというか。これでは……
なんて思いながら幸せな日常回、いわゆるほのぼの回が1話丸ごと入るわけですが。勘のいい方ならお気づきでしょう。そう、これはデジャヴです。亜矢先輩の宝探しの件と同じ流れですね。それまで進行していた物語が1つの形に落ち着き、何かを予兆するかのようなほのぼの回が入り、シリアスがくる。まさに王道の流れです。実家のような安心感。
ところでここのほのぼの回、長瀬パパが非常にカッコいいこと言うんですよね。

「全ての行動は完全に自分のためであるべきで、その自分のためのことが他人のためになれば人のためになるということだから、自分が幸せになる道を模索する時、それが自分以外の幸せになるかをよく考えて行動しろ」(要約)

うーん、実に真理ですよね。座右の銘にしたいくらいです。放置してるようでいい父親してるんですよね、長瀬パパ。まあトラブルメイカーなのも間違いないのですが。主人公だけでなく、その家族がいいキャラしている作品は積極的に評価していきたくなってしまいますよね。

さて、話は進んでシリアスに突入していきます。お嬢様ヒロインでは定番ですよね、お家を救うための政略結婚展開。許嫁という関係を解消してしまい、ただの恋人に成り下がってしまったがゆえの穴を突かれてしまうわけですね。

ここだけの話、この辺り、唐突な廃校、政略結婚、定番というより安直では言われたことがありまして。なるほど、確かに急転直下な面はあります。しかしよくよく考えると冬彦の愚痴のようなこうなる伏線は存在したわけですし、良かれと思ってとったヒロインの行動が逆手にとられたという話も筋が通っています。安直というのは筋もくそもない唐突な超展開のようなもののことを言うのであって、こうした筋の通っているよく見る流れというのは愛すべき定番と言うべきものでしょう。

はてさて、じゃあお姫様を助けに行きましょうと相成るわけですが。とりあえず学園に行って戻る際の杉下先生がありえんカッコいいですよね。というかこの人、要所要所でキメにくるんですよね。ここの優姫ルートの杉下先生が一番好きかもしれません。観月先輩での杉下先生も捨てがたいのですが、そこはまた後で。そう、独り言ってのは誰かに話しかけてるわけじゃなくて自分に語りかけてる言葉なんだよなあ……、現実でも、どうか放っておいてほしいものです。

ついに物語も本当のクライマックス。いざ結婚式に乗り込んで花嫁かっさらっていくぞってとこですね。にしても、「見えざる手」ってカッコいいですよね。おかげで経済学の「神の見えざる手」についてだけは詳しくなってしまうオタクさんも多かったのでは?

そんな見えざる手、まあ観月先輩の動きをしっかり把握してそれに乗った冬彦、やっぱりいいコンビですよね、この二人。まあ観月先輩、軍曹と兵長みたいな関係とか言ってたしね……。

まあ一番の功労者はもちろん主人公たる準一のカリスマ性なのですが。観月先輩、冬彦、なごみに亜矢先輩、杉下先生等々そうそうたるメンバーを集められるその人望。これぞ最初に書いた王道の主人公というものです。にしても、準一本当にハイスペックですよね。かなり綱渡りの指示だろうにそれをこなしてしまう演技力も持っているんですよね。自身の意思を貫いて総合的に自身の望む結果に辿り着くことができる。まさに主人公の鑑ですね。主人公の芯がしっかりしているゲームがはずれるわけがないんだよなあ……。最高です。語彙力がなくてすみません。

さて、優姫は自分から婚約破棄したのを逆手に取られましたね~と前に話したわけですが。その逆手に取られた出来事をさらに逆手に取って婚約破棄るというのは中々に鮮やかな手法です。結局自分たちのとった道は最終的に間違っていなかった、まさに必然の結末。にしても、自分がハメられた方法でハメ返すというのはいかにも負けず嫌いな優姫らしいですよね。最終的に自分たちが蒔いた種がこうした形で実るというのは実に爽快なものです。登場する全てのキャラクターの良さがよく活かされた、これぞまさに大団円なルートでした。


最後はなんだか駆け足になってしまいましたがというか前半がダラダラ長すぎたんですが。とりあえず、総評あるいは少し気になった点をば。

話の辻褄があっており、CGその他総合的に見ても高水準で、ストレスなく最後まで安心して読み進めることができるルートでした。

全体的に見ると伏線は綺麗に回収されていると言っていいでしょう。ただ、昔河原で石投げして遊んだという幼馴染設定がもう少し活かされていればというのが残念ではありました。

そうですね、えっちシーンについて。抜きゲーでない限りえっちシーンについては特に触れないのですが、聖水好きの方は本編クリア後に追加されるえっちシーンは飛ばさずに見るのがいいと思います。


こんな感じですかね?自分で言うのもあれですが、これ感想なんですかね?
ぶっつけで書いてるので長くなるにつれてどんどん支離滅裂になってる気しかしないのですが、ここまで読んでくれてるならいっそ最後までお付き合いしてもらえると幸いです。一応次からはここまで長くはならないと思うので……。

それでは気を取り直して次は長瀬湊ルートです
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☆長瀬湊
ファンの層が厚いこともあり、それゆえに不快に思われる方も多くなるかもしれないので、一応まず最初に断っておきます。一応です。

僕は湊が可愛いということは十分に理解していますし、好きです。だからこそグッズもばっちり揃えています。神に誓って嫌いということはありません。まあ仏教徒なんですが。これっぽっちも信心はありませんけどね。

完全無欠妹です。アニメでは熊を……これ以上はいらない?奇遇ですね。世の中、触れない方がいいこともそれなりにあるものです。歌は良かったですよね。あ、大丈夫です。これ以上は掘り下げないので安心してください。

一応クーデレの分類になるようですね。個人的にはクーデレというよりさばさばしているって方が正しい気がするのですが。まあクーデレなのだとして、先の優姫ルートの話で優姫は7:3のツンデレと言ったと思うのですが、湊はその逆の3:7クーデレになるのではないでしょうか。そうです、当然これは前作「青空の見える丘」のメイン、速水伊織のツンデレ黄金比と同じ値ですね。いやしかし、これはクーデレにも適用されるのだろうか……。前作のクーデレ枠は言わずもがな、すいすいなんですけど。難しいところです。でも、数字だけ見て人を決めるのは失礼ってものですよね。早まった人物評価はそのうち自分の首を絞めることになりかねないかもしれません。気をつけましょうね。

さて、本編行きましょう。湊最初の見せ場はなんと言っても冒頭、教室で寝てる準一を起こすところですよね。
ところで寝ている主人公を揺すって起こす。日常的な風景ではありますが、案外これはかなりハードルの高い作業だと思いませんか。

自分が起こされる瞬間を想像してみてください。気持ちよく寝ている時に唐突に揺すって起こされたら、まあ、不快ですよね。直接手を出してこない目覚まし時計ですら不快に思うのですから、揺すって起こされても放っておいてくれ以外の感情は湧かないでしょう。対して親しくない人間からなら尚更です。

そうですね、言ってしまえば誰かを揺り起こすというのはパーソナルスペースに踏み入ることに他ならないわけです。見知った教室で寝ているというシチュエーション。完全に安心して寝入っている、最も無防備な状態だとみていいでしょう。

そうした状況に踏み込むことが許されるのは必然的に限られます。そう、家族です。または幼馴染といった付き合いの長い人物ですが、ここではあえ無視します。パーソナルスペースに踏み込める、ここに妹という立場のアドバンテージがあるわけですね。妹のような家族関係のキャラクターというのはまさに日常の象徴でもあり、それは主人公に対して最も強力な武器になります。だからこそ、妹のような家族キャラクターはその日常性を全面的に活用していくことが求められるわけですね。

それこそ、先生に言われて兄を起こしにくる辺り湊は世話焼きですよね。日常性を活かしていきたいという意味ではバッチリなキャラクター性をしていると言えるでしょう。そりゃ人気でるしグッズもたくさん出るよね……。いや、他にも理由は山ほどでしょうが。

そうですね、妹信者は怖いのでここで一応カバーしておこうと思います。分かってます。世話焼きじゃなかったら妹じゃないって言いたいのかととる人がいるでしょう。もちろん妹は個性ではなく関係性のカテゴリである以上、皆が共通して思い浮かべられる概念ではありません。例えばずぼらな妹というキャラクター性を思い浮かべる人もいるでしょう。当然私も好きです。あくまで今回は湊に的を絞っているだけで、世話焼き以外の妹は認めないなんて暴論ではないということでここはどうか。

誰に対しての言い訳なのか、そもそも言い訳になっているのかは知りませんが、いい加減本編に戻りましょう。湊に気のあるメガネ男子を振り切って海デートに行ったらはぐれちゃったってところです。メガネ男子……オタクですかね?(偏見)知らんけど。知らんけどって言っておけば大抵のことは許されます。知らんけど。

さて、基本的にプレイヤーはここで初めて語り手、藤宮彩と会うわけですね。優姫ルートをやってSPスタートを選んだ私のようなプレイヤーも一定数いるとは思うのですが、大抵はここが初めてのポイントでしょう。実は優姫ルートでもちらついてはいるんですけどね、河原での湊と優姫の会話を準一が盗み聞きしていた場面とか。

藤宮の名を冠する者特有の語呂回しに震えた人は多いでしょう。藤宮彩は、前作に似たキャラがいたとただ踏襲したのではなく、「語り手」として、「物語の外にいる者」として、似て非なるものに昇華させたキャラクターなんですよね。しかも、これまたシリーズものあるあるですが、前作のBGMをアレンジして導入するという演出に非常に弱いんですよね。背景のCGといい逆に合いすぎていて怖いくらいなんですが……、ここで彩の話を続けても仕方ないんですよね。話を戻しましょう。

彩の不思議チックに誘われて幼少期に湊とはぐれてしまった話をする準一。彩はこれを黄昏時の神隠しといかにもな表現をするのですが……神隠し……ハンドレッドワン?!!サイトウケンジって神隠し好きですよね……。や、さすがに管轄が違うのでこれ以上掘り下げることはしません。

はてさて、結局ネコさんに見とれていたらはぐれちゃっただけ……らしいですが本当にそうなんですかね?少しミコト先輩ルートに踏み込む内容ではありますが、彩は人に暗示をかけられる、準一の夢に介入出来たりする能力があるわけですよね。湊がネコさんに魅入られたのは確かかもしれませんが、あの準一がそれに気づかないとも思えない。彩は遠くから見ていたというものあり、その場に前からいたのだとしたら。準一の意識を一時的に切り離して注意力を奪ったってのもありそうだよなあと考えてしまいます。まあ正解は神のみぞ知るってやつなのですが。

さて、なごみとの対決、観月先輩とのデートは飛ばして、場面は湊がイケメソ2人からのアプローチを受けていろいろ思い悩むのを見て自らも不安に駆られてしまう準一の話ですね。

ここは主に裏家業のキャラクター達のアドバイスが刺さる回ですよね。やっぱり社会の闇に生きていると人生の経験値が蓄積されやすいものなんでしょうか。まあ、人の機微に聡くないとやっていけない世界でもあるのでしょうしね。特に見えざる手さんとかエキスパートなわけですし。人生、他人をなんとなーく仕向けて自身に得になることだけ拾い上げていきたいものです。なんて思っている人にも向けて観月先輩は、自分に正直なのはいいことかもしれないけど、バカ正直なのはダメだよと言っているので心によく刻み付けておきましょうね。

ここでは選択肢でなごみ、もしくは観月先輩のどちらかにアドバイスをもらえるわけですが。どちらも結局のところ同じアドバイスを準一に送るわけです。自分の守りたい何かを守るための努力をしているか、何かを守るために立つ自分自身を支える何かを持っているのか、ということです。つまり自分自身の核ですよね。想いだけでも……、力だけでも……ってやつです。何かを守りたいと思うなら、それを守って立つ自分を支えられる力がなければいけません。実に深い話です。

それにしても、アドバイスを受けて即自身を省みて結論に行きつくことができるってことは本当は準一分かってたんだろうなあと思わなくもないのですが。本当は分かっているけど、自分で意識できるところまで気付けていなかっただけ。準一の湊を大切にするというしごく当たり前の想い、何も疑問を抱くことない事実ゆえに無意識の領域に沈んでしまっていただけで。

行きついた結論、湊が守ろうとしてきた二人の生活を守ることができるような男になる。ここの会話、本当に兄妹の信頼関係が伺えてほっこりしますよね。ただでも非日常に巻き込まれている身なのにそう断言できる準一、変化に流されることなくいつもの日常を守ってきた湊。やっぱりお互いがお互いを自分を支える力にしているんでしょうね。ほんと、理想的な兄妹関係です。理想過ぎて模範しようにも最早諦めの境地ってまであります。えっちゲームを現実に持ち込むのはうんちくを語る時だけにしましょうね。

さて、ここから先の共通はすっ飛ばして個別ルート、第一回肝試し行きましょう。湊が幽霊()を見てトラウマが呼び覚まされたことで倒れてしまうってなとこです。

正直、ここは気に入らないポイントだったりします。倒れた湊を介抱して、のベッドでのCGは何ともいえない曲線感というか柔らかそうというか。さらにテキスト消すと分かると思うのですが、ちらりと見える太もも部分、湊はしまニーソですのでつまりは絶対領域が見えて……、その、助平だなあprprってな最高さなのですが。

言ってしまうと幽霊事件の犯人が不満なんですよね。体調がよくなったみたいだからみんなに連絡したら保健室の外でみんな盗み聞きしていて、着信音に驚く一同……の中になぜかつかさがいるんですよね。いや、さっきまでいなかったじゃん、絶対犯人でしょ……ってなバレバレ具合です。まあ実際本人のルートで確証得れますしね。言い出しっぺがあのつかさって時点で相当怪しかったけどなんとまあ人騒がせな、発信元でありながらハブられてたくせにさ……って思ったのは決して私だけでないのでは?よく考えたら、今作の減点ポイントはだいたいつかさなんだよなあと思いつつ。ぱられるだともちっとマシなんですがね……。

というわけで、ターニングポイントだった肝試しを終えて、自身の気持ちに気づき始めた準一が悶々としながら期末試験勉強に追われる回なわけですが。ここは9話の答え合わせ、そして次回21話に対する予習の回でもあります。試験期間だけに。

9話で観月先輩(なごみ)から、何かを守るために自分で自分に自信を持てる何かを持っているのかとの指摘をもらって、一応の答えには辿り着いたわけですよね。そう、湊に任せきりにするのではなく、自分も二人の幸せな生活を守ることができるような男になる、ってやつです。この20話はその答えを思い出させる、あの時の先輩やなごみだけでない、その2人よりもさらに湊に近い距離にいる優姫という第三者によってその答えが肯定される、いわば答え合わせ回なわけです。思うところが変わっても、根柢にあるものを忘れるなということです。

それにしても、本人も言っていたようにだいぶアレな相談をしているのにさも当然であるかのように相談に乗れる優姫ってカッコいいですよね。準一の人を集めるカリスマ性とは質が違う、真に人の上に立つ者のカリスマって感じです。こんな人が上司だったらなあと思わずにはいられません。特に思うところがあるわけではないですよ。本当です。

根底にあるものは先に言った通りのもの。だからこそ最終的な理想の形は今現在の関係なんですよね。でも、準一はその先に進みたくて、もし先に進んだら理想は崩れてしまうかもしれない。だから理想の形に収めるために必要なものは、不変のもの。「本物」ってやつです。こんなレプリカはいらない、本物と呼べるものだけでいいってことですね。違います?そうですか……。まあ関係が崩れても変わらない、ずっと一緒にいたいって思える気持ちですよね。その気持ちが土台としてあれば、もし今の状態が崩れてしまっても、また建て直して1つの形に収めることができるんじゃないかと優姫は言いたかったのではないでしょうか。いい女ですよね、ほんと……。

21話に切り替わって、期末試験が終わって優姫と最後のデートをして、婚約破棄をする時の、『ずるい女は、いい女でしょ?』ってとこで泣きそうになったのはきっと自分だけではないでしょう。最後の写真がキスしての写真ってのもズルいですよ。自分の涙腺はここで限界だったわけですが。人生、ズルい女に泣かされたいもんです。

はてさて、そうこうしているうちに湊はやらかしてくれてるわけです。それまで家族にしか見せていなかった髪を下した姿で男と夜の街に繰り出していたわけで。

優姫のアレの後にこれってのが余計鬱を拗らせる要因になりましたね。初見は本当に辛かった……。あれだけ優姫に気遣わせておきながら全部無駄にするつもりかよと画面叩き割るところだったのはいい思い出です。

でも理解できなくはないんですよね。極論というのはえてして実現はできないが、解決法としては正しいものと相場が決まっています。例えば、自分の気に入らない人間を全て殺せば争いはなくなるって話も、夢物語ではありますが真理であるのに違いはありませんしね。

さて、夜遅くにも関わらず帰ってくる様子のない湊の現在を知らされて、さあどうしようってとこに冬彦が男の喧嘩を売りにくるわけですが。ここはまさに男友達、親友ってこういうことなんだよなあってところですよね。

ところでここ、喧嘩を売りに来た……売る、どこかで見たなと思えば最初に優姫に湊のことを相談した直前の20話です。あの時「売り言葉に買い言葉」について会話があったことを覚えてますか。以下引用です。

優姫『いい、売り言葉に買い言葉しても小物なのよ。嫌なことをされたから嫌なことを仕返していい、なんて許可はないの。解る?』
準一『……あっ!ここで「お前だって」とか言うと、ほらみなさい、ってなるんだな?罠だ!』

ってな感じで喧嘩は売った方が悪いと言われるが、買った瞬間に両成敗になるから売り手が優位ということになるのだって気づくシーンですね。

冬彦は演技の準備をして、堂々と正面から喧嘩を売りに来た。対して準一は心の余裕がない。どう考えても売る側の冬彦が優位ですよね。そして最終的にその喧嘩を準一は買わなかった。だから負けたのは冬彦。てな感じできっちり以前の経験が活きているんですよね。

やっぱり親友ってのは相談に乗ったり、要所要所でサポートするだけのキャラクターであるべきではないと思うわけです。そんなのは便利屋、情報屋でいいですよね。親友というならば、大事なところで主人公を、自身の意思をもって傷つけにこれるくらいでないと話になりません。ただ主人公のためを思った、だけでなく、自分がどうしてこうするのかという軸がなければただのモブと何も変わらないのですから。

親友以外にも当てはまることではありますが、キャラ付けをされているってことは意思を持たされているわけですよね。モブには意思なんてものは認められていません。だからこそ、意思を認められているのだからこそ、親友キャラクターには、決められたプログラムに沿った、主人公という影響に受動的に生きるだけのキャラクターでいてほしくないんですよね。いや、ゲームだけどさ。そもそもがプログラムだろってツッコミはいりませんから。分かってますから。

さて思い返せば、この冬彦、基本的に語りたがりですが、湊に関する問題には案外厳しいんですよね。9話、準一は先輩(なごみ)アドバイスをもらう以前に、冬彦に湊についての相談を持ちかけていましたよね。それに対して冬彦の答えは、自分できちんと考えろ、でした。

冬彦はサポート上手というのもあり、基本的に受動的、悪く言えば機械的です。そんな彼が準一の湊に関しての悩みに関しては直接的に助けようせず、そう言った。これはさらに話が進んでいくと分かることではありますが、湊を助ける、癒すことが出来るのは自分では無理と知っていたからなんですよね。自分が気に入っている準一と湊、2人がうまくやっていくために準一自身に気づいてもらう必要があったからあえて突き放したわけです。本当の優しさというのはこういうのを指すのではないでしょうか。上っ面だけの、嫌われないため程度の優しさとは質が違います。冬彦と別れた後、いざアドバイスくれることになるなごみがあの西野冬彦が?と驚いた様子を見せていたのはまさに学校での上っ面、裏社会での顔しか知らなかったからなのではないでしょうか。

彩といい冬彦といい、なんだか湊より書いてる量多い気がするんですけど気のせい……ではないですね。でもサブキャラクターが魅力的なゲームを嫌いな人なんてそういないでしょうしきっと許されますよね、ええ。

というわけで湊をこの腕で捕まえにいくぞってなところです。ここも準一が非常にカッコいいですよね。自分の考えていたこと、嫌な部分も全部包み隠さず話して、その上で湊らしさを全部受け止めて、その笑顔のためなら俺はなんだってしてあげられるよ、ですよ。うーん、これは落ちますね。濡れた。ただカッコつけていいことだけ言っているのではなく、自分の弱気も含めて全部晒しながらこう言えるってのがああ、これぞ長瀬準一だなあと心に染み入ってきますよね。不器用ながら芯に響く温かさ、みたいな。

ところでここ、はじめてのちゅうするところのCGなのですが。この作品にしては珍しい構図のCGであることにお気づきでしょうか。背景が謎空間と化しているCGは何枚かあれど、外にいるのに関わらず背景が”ぼかされている”のはこの1枚だけなんですよね。街灯の明かりが後ろで差しているんだろうな、くらいの甘いぼかし。狙いは当然二人だけの世界、の演出でありましょうが、やっぱり湊はヒロイン6人の中でも年季が違う分、特別に関係が深いからなんですかね。でもそれだとつかさにも適用されることになって矛盾が生じますね。まあ、要検討事案ということで。

時は流れ、……いやそれほど流れていませんが。優姫が外国に旅立つ前、優姫がいなくなる前に湊のトラウマを潰しておこうってな話です。先の幽霊事件で気絶してしまうような事案をいつまでも抱えていたら不安でしょうし、来るところまで来たのだから兄妹隠し事はなしってことでもあるのかもしれません。

ミコト先輩がでるってだけで100点満点中、100点です!って言いたいところですが、それは本人のルートで存分に書くことにします。まあミコト先輩のルートやれば全て分かることではありますが……、いやあ、好き。好き好き好き好き好き。語彙力なんて知りません。好きなものは好き。それだけです。好きなものは好きだから好きなんですよ。好きだけど嫌い、なんてのはツンデレだけに許される特権ですからね。

ミコト先輩は、ここではまだ、「救う側」なんですよね。ミコト先輩はここで今一度、湊を救うわけです。一度目は事故から。二度目は過去の呪縛から。一度目は身体を、二度目は精神を救う。湊という存在自体を救ったようなもんです。準一も、湊も。ミコト先輩が根柢にいるんですよね。もし、自分が救われなくても、……もちろん少し寂しい気持ちはあるけれど、相手のことを思えばこそ自分が救うことで自らも救われる。それを地でいってる人ですよね、ミコト先輩は。

あれ、それどっかで見たなと勘のいい方いると思います。そう、冬彦と男の喧嘩をしたのち、湊を捕まえにいった時、準一が語ったことと一緒です。幼少期に強く残るような思い出はのちの人格に大きな影響を及ぼす話はよく聞きますよね。まさにミコト先輩との思い出が下地になっていたからこそ、今の長瀬準一があるってことなんですよね。まさに章題通り、桜色した贈り物ってやつです。

湊の話を聞いて、それに的確な返事をして。自分がその本人だとは告げぬまま。あまりに切なすぎるんですよね。しかも最後の、準一が優姫を紹介した時、なんだか嬉しくなりましたって返すところ。まさに夕陽が好きになったあのシーンを思い出してですよね。もはや言葉は必要なかった……(号泣)からのド鬱で何日か食が細くなったのはいい思い出です。

さて、場面は進んで湊と離れて暮らすことになり、そして電話で別れを告げられた後ですね。杉下先生にもらった腐るなよというアドバイス、湊が好きでいれるような自分、準一が出した結論は、いわば鉄の心を持った強い自分でいる。うーんこの。

鉄の心なんていうと聞こえはいいですが、中身が詰まっていなければただの張りぼてです。熱せばたちまち溶ける。殴れば凹む。割れる。砕ける。そんなもの、持ってるだけ無駄なんですよね。型のない鉄細工なんて、一度壊れてしまえば何も残らないのですから。

杉下先生はアドバイスはこうでした。

『どんな状態になっても腐るなよ、お前は前向きでバカポジティブだから人が集まっていたんだ』

いつかなごみも言ってましたよね。長瀬準一、あなたは自分に自信を持つべきではないと。長瀬準一という男はいつだって、妹が、許嫁が、仲間がみんな集まってこそ真価を発揮する男でした。例えば冬彦のように、決して自己完結型の男じゃないんですよね。だからこそ、準一が持つべき心は鉄製の心じゃなく、言い方はアレですが、くず鉄の心だったと思うわけです。自身は決して強いものではないけれど、仲間という他のくず鉄をあてがって自身を強化できる。どこかが欠けても誰かが補ってもらえる。湊が、仲間が好きだった長瀬準一とは、そういう存在であったはずなのに。

それにしても、信頼はどこから共依存になるのでしょうか。想いを確かめ合った時からでしょうか。それとも肉体的に結ばれた時からでしょうか。経験がないのでうまく言葉にできない上に憶測ではありますが、相手との距離が無くなった時からではないでしょうか。

距離があるというのは決して壁があるというわけではありませんよね。適度な距離感ってやつです。あくまで自分も相手も不快にならない距離。例えば、その距離を保って相手に何かを期待して、うまくいったら嬉しい、うまくいかなくてもしょうがないかで流せる。そういうのは信頼関係といえるでしょう。

それに対して、相手に何か期待して、もしうまくいかなかった時。相手に失望を抱く、もしかして自分が間違っていたのではのではと自らを責める、なんてなったらどう考えても行き過ぎですよね。お互いにマイナス、擦り減っていくだけの心。マイナスとマイナスが合わさって端から見ればプラスに見える、偽りの関係。そういった類のものが共依存ってやつなのではないでしょうか。間違っててもあまり責めないでくださいね。あまり怒られると泣いちゃうので。

準一の努力も虚しく、1人、また1人とさようならと去っていく。そこに冬彦がやってきて男の喧嘩第2ラウンドです。まあ今回は一方的に殴り飛ばされるだけなのですが。にしてもこのみんなが離れていくとこ、青丘の伊織バッドエンドが思い出されてゾッとするんですよね……。

ここ、もうこのルート冬彦ルートでいいんじゃないかな……って思えるくらいの迫真の冬彦が見れるんですよね。なんて言ったら怒られた経験があるので最初に湊が嫌いというわけじゃないんですって断ったんですよ。

あの冬彦が声を荒げて殴りかかる、これだけでも異例ですが、さらに異例なのは冬彦が自分の胸中を語ることです。本人も言っている通り、冬彦は誰に対してでも線を引いていて、自分を見せようとはしない、いつだって紳士で、二枚目。だからこそ、湊から、人から本気で好かれないタイプ。なごみがさようならする前に言っていた西野冬彦の諦観。全二枚目サブキャラクター魂の叫びって感じですよね。実に熱いです。

表向きは観月先輩に泣きつかれたから、ですが、結局準一のため、湊のため、自分のための行動なんですよね。本気で殴り倒して、かつ最後に湊の好きな準一はもっと弱い準一だとアドバイスまで残して。ほんと、いい親友してるよなあ……人生、自分が世に仇成す前に殺してくれるような親友が欲しいものです。

殴られて、雨の中放置されて、走馬灯のように思い出が浮かんでは消えて。そんな準一のもとに天使(悪魔)がやってくるわけですね。そう、優姫です。いやあ、ここのCGの安心感。エロゲパッケージ王道の金くれポーズ。まさに実家のような安心感。どうか私もこの俗世から連れ出してほしいものです。優姫といえば太陽、夕陽のイメージがある気はしますが、ここのように優しい月光というのも実に似合います。まあ事実、ここの準一に太陽はさすがに眩しすぎるというものですし、ちょうどいいのかもしれませんね。

優姫にこれまでの積もり積もった思いを少しずつ吐き出していく準一。ここ、優姫ルートの反対なんですよね。こんな俺(私)ってウザい、でも私(俺)はそう思わない。と肯定してくれる。こういうギミック、定番ですが、だからこそ大好きなんですよねえ!(語彙力0)優姫ルートでの当該シーンといいここのシーンといい全部引用したいくらいの大好きさですね。何回やっても涙がで、出ますよ。

ちょっといいですか。言うほど要所でもないし湊関係でもないんですけど。熱が下がって観月先輩が家に看病しに来てるとこです。ようやくいつもの準一に戻ってくれた嬉しさもあってかいつもより距離が近めな観月先輩。熱が下がったかどうかおでことおでこをくっつけて確かめてくれることなんですけど、ちゅうまであと数センチ~のシチュエーションで「浮気する?」と聞いてくる観月先輩ありえん可愛くないですか?というか森谷実園が上手いんですよね。囁くように問いかけてくるの上手すぎないですか、あの人。

はてさて、最終的に観月先輩達の卒業式に合わせて湊を呼び出し、パッパを説得して(?)大団円というわけですが。うーん……、どんな理由つけて呼び出したんだろうかってのが少し気になる終わりではありましたよね。終わり良ければすべて良しですか?そうですか……。優姫が戻り、湊が戻り、いつもの仲間が揃って、望んでいた幸せな日常が帰ってきて、それはこれからも続く……、全体的に仲間の絆にスポットが当てられたルートだったのではないでしょうか。


というわけで総評です。
優姫ルートと比べると暗く、嫉妬や葛藤、思い込みといった人間の良くない内面にも目を向けて、それでもなお光るものをそれぞれが拾い上げようとする、そんなルートだったのではないでしょうか。テンポが悪い部分もありましたが、最終的には綺麗にまとまったルートだったと思います。

何度か話に出しているように湊のルートは、先の優姫ルートとは対極になってるんですよね。優姫ルートは準一から外へ、仲間へ働きかけて物語が動いていくルートに対し、湊のルートは仲間から準一に働きかける面が強いわけです。

また、強い女と弱い女ってことで対になっていると言ってもいいかもしれません。優姫は自身のルートで、主に立ち向かうための行動が多く、準一もそれに感化されての部分が多かった。対し湊ルートでは、よく出来た妹の弱さ、逃げの姿勢に準一も飲まれてという部分が多かったのではないでしょうか。ダブルメインヒロインという設定がそういった意味でもよく活かされていたと思います。

まあギャップ萌えとかか弱い女の子とかオタク、大好物ですもんね。


優姫ルート書き終わって、次はそんなに長くならないと思うのでって言ったと思うんですけど、完全に大嘘になってしまいましたね。自分でもこんなになるとは思ってなかったんですが。行き当たりばったりで書いてるとダメですね。今度書く機会があればやっぱりプロット立ててから書きたいと思います。

というわけで次、霧生つかさ行きましょう。
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☆霧生つかさ
うーん…………、このルートはとても難しいです。何て言えばいいんですかね、蛇足、ってところでしょうか。正直なところ、減点の大半の理由はここにあるわけで……。

実際のところ、つかさって本編で目立った活躍はしてないし、思い返せば共通ルート上ですらちょくちょくハブられているんですよね。パッケージに乗っているキャラクターとしてはだいぶ不遇と言えるでしょう。これならいっそサブでもよかったのではと思わずにはいられないまであります。代わりにミコト先輩をパッケにして……それぱられるでいいじゃん?あ、そうですか……ってなるわけがないんだよなあ……。よろしい、ならば戦争だってやつです。そこだけは譲れないですね。(知るか)

腐れ縁、悪友、幼馴染枠です。セクハ……いたずら好き。おっぱい枠ですね。新聞部・放送部所属で耳が早くて声がでかくて胸もでかい。私服がえっち。うん、エロ枠ですね。

ところでいわゆるエロゲーのお胸の大きさってどう思います?最初に断っておきますが、悪意はこれっぽっちもありませんし、何かを否定したいとかではないです。ただ、思いついたことを徒然なるままに書き連ねているだけですしね。

あくまで個人の了見ではありますが、エロゲーの中でもいわゆる萌えゲー、キャラゲー、メインえっちに和姦が多い部類には大きすぎるおっぱいってバランスが悪いのではと思うわけです。みんなちっぱいになれと言いたいわけではないです。適度な大きさ、B、Cくらいがすっきりしませんか、と言いたいわけです。

エロゲーの中でも抜きゲーの部類、もしくは抜きにも力を入れている萌えゲーに関しては大きくてもいいと思うんですよね。一般的に、小さくなければできないシチュエーションよりも大きくないとできないシチュエーションの方が多いですからね。用途が増えることはいいことですから。ちなみに同人ゲーはシチュエーションで抜くようなものなのでどれだけ大きくてもいいと思います。むしろ下品なくらいがちょうどいいと思います。とんでもなくガバガバな話してる自覚はあります。

つまりは期待の天秤がどちらに傾くかという話ですよね。普通に恋愛を楽しみたい場合、それほど身体の交わりにはこだわらないから総合的に完成されたキャラシルエットが欲しい、だけど性処理を楽しみたい場合は、ド下品に身体揺らして珍砲誘発させてくれるような変態が好きってことです。そういうオタク、勝手に案外多い気がしてるのですがどうなんですかね?まあ、正直他のオタクの性事情なんか知ったことではないのですが。

完全に話が本筋からズレてしまいましたね。まあ、こんなことばかり書いてるから長くなるってのは分かっているんですが。それじゃ本編いきましょう。

10話で優姫と帰るか家に直帰するかの選択肢で後者を選んだ時の河原での会話ですね。

ここはつかさの持論が展開される場面ですね。

「自分が楽しむために人に親切にする」、「情けは人のためならず。全ては自分のため」

あれ、どこかで同じようなの見なかったかと思う方いると思います。そう、優姫ルートで書きました長瀬パッパの言ってることに近いんですよね。幼馴染ということもあり、長瀬パパと親交もあったでしょうし、影響受けたりしたんでしょうかね。まあ、長瀬パパの言っていたこととつかさのこれは順序が多少違う気もしますが。でもやっぱり真理なんですよね。これ。自分の人生は自分だけのものなので、積極的に自分のためだけに人に恩売っていきたいものです。例えば、バイトで任意の日にお休みをもらうために誰かのシフトを代行して休みの残機を作っておくとか。いや、何かが違うような気もしますが。

というわけで話は個別まですっ飛ばしましょう。言っちゃなんですが本当に見どころ少ないんだよなあ……。信者パワーにも限度ってものがあります。人間ですからね。

肝試しの話は湊ルートでもしたので省略しても構わないでしょう。普通に予想通りつかさが犯人で終わりでしたしね。一応学校の探索中、優姫が話す思い込み、催眠論はミコト先輩ルートの内容に繋がってきそうではありましたが、まあ、あまり重要ではないかなと。それじゃあまあ、発情期に入ったつかさが準一の家に押しかけてきてひょんなことから、みたいなとこ行きましょう。

えっちな映像を巡る攻防の果てにもつれて、つかさを押し倒してしまう形になった準一に、いたずら半分で誘惑を仕掛けていくつかさって展開ですね。シチュエーションとしては実に幼馴染にありがちな定番ですよね。適度な距離、双方共に安心しきった仲の2人が物理的に急接近してしまうことでお互いの性を改めて認識してしまい、それまでの関係が狂っていく。以前はこんなことなかったのにやたらと胸がドッキンコ☆みたいなやつです。ぽちんちんはドッキンコというよりドッキングですね?HAHAHA!

でも実際こういったハプニングって物語の進展においてよく描かれますよね。あれ、この構図どこか違うところでも見たなという方いると思います。そうです、2話で倒れてくるロッカーから湊を守った時と構図が一緒ですよね。実際にあの時、湊は地の文で『これがわたしと兄にとって、今までの仲でいられなくなるきっかけの。第一歩でした。』って言ってるんですよね。まあ、ここは男女の仲というより優姫という存在がこれまでの生活に影響を与えてしまうってことを指しているのでしょうが。

そうです。定番です。定番は老若男女にウケがいいからこそ廃れないわけです。みんな好き。もちろん自分もです。シチュエーションは間違っていない。でも何か違うと感じるのは何かが違うからなのでしょう。おそらく間違っているのはキャラクターの方なんですよね。シチュエーションにキャラクターがついていけていないのではないかと思います。

つかさは幼馴染キャラなわけですが。思い返してみると、つかさと準一の昔の出来事ってほとんど語られていないんですよね。昔を知っているという描写はありますが、知っているというならなごみを始めとした裏社会のキャラクターはみんな知っていますよね。ジェノキラー時代とかね。まあはっきり言って、つかさは湊と違って、時間や思い出の積み重ねが薄っぺらいんです。だからシチュエーションに説得力を持たせることが出来ない。

幼馴染の最も強力な武器はなんでしょうか。幼馴染が幼馴染として確立するための要素。それこそ前作、青空の見える丘でこれでもかと描かれた主人公との懐かしい、けど色褪せることのない思い出の共有です。小さなきっかけから幼い頃の話をし始めたらあれもこれもと話題が尽きないような、ずっと一緒に積み重ねてきた思い出の数だけ幼馴染とは輝くものと青丘は教えてくれましたよね。それなのに、どうしてその武器を殺すんだ……とさすがに頭を抱えずにはいられなかったプレイヤーは決して私だけではないでしょう。

そんなこんなで、河原でデートとしゃれこむわけですが。やっぱりなんだかなぁ、といった感は拭えませんよね。やっぱあたしはジュンに惚れてると見た!とは言うけど、共通のサイドエピソードでジュンにはそんな気がまったく起きないなあと言っておいて、そこから気が向いてくるエピソードとか無かったじゃん……。まるで納得できる要素がないんですよね……。納得どころか理解すらビミョーです。納得するという行為は、前提として理解していることが必要になるわけですが、それが満たされていない以上、中々消化するのに困ってしまうというものです。ほんと、なんだかなぁ……。

さて、そんなこんなで2人の日常は進み……、あたしは小さい頃から歌手になるのが夢だったんだ!(衝撃の事実)……みたいに語られてもこりゃまた唐突な、感が強いんですよね。まあ、一応湊ルートでもオールカラオケしてたし、歌うのが好きということは分かっているわけで、とりあえずの納得はできるわけですが。ここで準一が、その昔将来歌手になりたいって言ってたのを思い出したとかで歌手志望を当てられてたらまだおっ、ともなったかもしれませんがそういうのも特にはなく。うーん……。

にしてもそのつかさの歌手志望の話を聞いた時といい、先の肝試しの時といい、つかさルートでは優姫が饒舌なんですよね。ここでも、本気で何かを取り組むということについて実に帝王学なことを言っているのですが、こうもよく語ると1つ思い出してしまうものがあります。遊園地でのグループデートの回、準一の話を聞き流すかのように言った、語り好きな男はうっとおしくて、ってやつです。言っていることはいかにもなので頭にはスッと入ってくるのですが、矛盾は矛盾よなあと。中々に複雑な気持ちを抱えてしまうのは私だけでしょうか。

ぶっちゃけなんか書いてて疲れてきましたね。このルート。好きなものを語るのは楽しいことですが、好きなものでもどうしても存在してしまう気に入らない部分というのは中々辛いものです。完璧なものなんてありませんしね。好きであればあるほど、数少ない苦手ポイントが重くのしかかってくるものです。好きな相手の一部分が、気になり始めたらずっと気になっちゃう、そんな感じのです、知らんけど。

そんなこんなで、オーディションに張り切りすぎた結果、風邪ひいて、挙句の果てに他校の学生に自身のDJをディスられてマイクの前で声が出せなくなっちゃった、てなシリアスに入っていくわけですね。いやあのさあ……、歌手どころか歌い手()にすら向いてなさそうと思ったのは自分だけでしょうか。身も心も耐性無さすぎです。仮にもメディアの人間ならもう少しその、なに、自覚ってやつ持とうよと。

目立っている人間が全ての他人から愛されるわけがありませんよね。目立てば目立つほど、輝けば輝くほど、影は濃くなるものです。誰よりも目立っているのに、全ての人から愛される、なんて輝ける黄金の古代王レベルのカリスマでも無ければどだい無理な話なんですよね。つまりは所詮、学園の中しか知らない井の中の蛙だった、ってわけです。

そんなこんなでつかさの声がでなくなった原因は文化祭のラストにかけた準一との思い出の曲が誰の話題にも上がっていなかったってことで、大勢の前に立たせて歌うことでショック療法をしようと相成るわけですが。うーん……なんでしょうね、展開が早くてかけ足でルートが終わるってことはいいことなのかもしれません。お疲れ様でした。完。

と言いたくもなるんですよね。結局のところ、思い出の曲をみんなに知ってもらおうとライブをしたところで、学園の中にしかアピールできていないわけじゃないですか。何も問題は解決されていない気がするのですが、それでコロっと治るのもどうなんですかねと思わずにはいられません。まあでも心因性なんてそんなものなのかもしれませんしね。何事にも程度がありますし、軽いものだったのではと無理やり納得させることはできる……できますかね?そんなこんなでいつものつかさが戻ってきて、二人の日常は続くってな感じでFinと。うーん、あえて付き合わないことで相棒、パートナーといった対等関係に基づく信頼、を描きたかったルート……だったのでしょうか、ね?


それじゃいつもの総評です。
まあ、散々書いたのでお分かりでしょうが、今作最大のストレス要因です。青丘のつもりでこのルートをやるとかなり痛い目に遭うプレイヤーが多かったのではないでしょうか。

そうでなくても話の矛盾が多く、推察しようにも話のテンポが速いために材料が少ないまま結果に行きついてしまうというのが何とも言えない後味悪さです。誰も望まぬ鬱エンド、みたいなものとは違って、純粋に消化不良といったところではないでしょうか。

そのちぐはぐさ、すでに完成した物語に急造で後付けした感が否めませんよね。あくまでキャラクターの設定としては悪くはないはずなんですが、物語というには深みが足りず、説得力がない。それこそ文化祭最後にかけたCDと同じです。印象に残らない。なんかつまらなかったな、で終わってしまう。結局どこに着地したのかが分からない、物語で一番やってはいけない形のルートだったと言わざるをえないのではないでしょうか。

自分が楽しむためだけでなく、もう少し、彼女なりの行動に対する明確な意味付け理由付けをがあればこちらも常に置いてきぼりをくらうことはなかっただろうにな、と思います。
残念なルートでした。


優姫、湊に比べて半分程度の量なのに、書いてる辛さは倍以上でした。本当に好きな作品の悪い点を言うって思った以上にエネルギー使うんですね。勉強になりました。人生、好きなものの好きなところだけ見ていたいものです。
というか感想ってこういうものじゃない気がします。これが可愛い!ここが神!みたいなのでいいんじゃないですかね。自分で書いておきながら何か違う感が拭えませんが、ここで引き返すこともできないので、このノリでやりきろうと思います。

というわけで次はなごなご行きましょう。
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☆白石なごみ
デンジャラスロリ。嘘です。ロリといったら殺されますよ。なんといってもデンジャラスですからね。そんなわけで片目隠れ系万能アクションお嬢さんです。なごみはとにもかくにもCVがバッチリはまっているんですよね。みるが好きな人はやって損はしないと思います。軽くネタバレではありますが、姉妹丼(?)ピロートークの妖艶な演技はかなりのドキドキさでフンハフンハできますよ。だいぶ年をとった身なので今も通じるかは分かりませんが、その昔は何度かお世話になったものです。機会があればぜひ聞いてみてくださいね。

ところでやっぱり涼香先生のヒロインは巨乳よりちっぱいの方が映えると思いませんか。確かに大きいお胸も芸術的な曲線であることに間違いはないのですが、何しろ古き良き「ばんそうこう」の文化を築いた御方ですからね。控えめに主張する突起がばんそうこうというアイテムの裏に隠されている。ここにニップレスとの違いがあります。

ばんそうこうを貼る。いったいどういう時に貼ることが多いでしょうか。料理中に包丁で手を切ったときでしょうか。靴擦れで足を痛めた時でしょうか。どれも間違いではありませんが、よく思い出してください。一番ばんそうこうが多用されていた時期、それは間違いなく幼少期ですよね。転んで擦りむいた、セロハンテープを切るカッターに指をひっかけた、そんなのは日常茶飯事だったわけで。あと虫刺されを直接引っ掻かせないためとか。つまりばんそうこうはランドセル等と同じように、身近なロリアイテムの一種なわけです。

対してニップレスは一般的に常日頃から使うようなアイテムではないですよね。使います?いや、実態知らんけど。イメージですけど、同人ゲームでしか見なくないですか?つまりは元々えっちなアイテム、娼婦かそこらがつけるアイテムなのではと思っているわけです。

ゆえにロリ体型×ばんそうこう、つまりこの組み合わせはいわば鬼に金棒と言えるでしょう。ただでも背徳感漂う身体を、ロリっぽさを彷彿とさせるアイテムで隠すことで、元々の用途を超えた相乗効果がエクストリームでシナジーがエクスプロージョン。リミットブレイク、股間が超究武神覇斬ってやつです。もしこれがニップレスだとしたらただのクソロリビッチの精液便所感が否めませんよね。まあ……、嫌いではないんですけど。

あえてばんそうこうという身近なアイテムで生活感を残すことにより、ロリの無知清純さを損なうことなく、シール1枚を隔てた先の楽園(エデン)へ妄想が捗るというものだと私は考えているわけです。やっぱりロリは純粋無垢で、夏っ娘の風が運んできたかのような元気な存在であってほしい。桜色の乳輪が、色素の薄いスジの領域が、かすかに見え隠れしているのに情緒を感じる、そんな年頃です。

まあ、簡単に一言でまとめるなら、隠しきれぬエロースを求めるならでかぱいにニップレス、完成された芸術を見て目の保養をしたいならばちっぱいにばんそうこうといったところではないでしょうか。懐が広いので当然異論は認めます。

自分で言っててなんですが、なごみって今言ってたロリに当てはまらないような気がしないでもありません。いや、でもなごみはなごみってジャンルのような気もしますしね。軽くネタバレではありますが、えっちの時は嘘のようにしおらしくなるし、純粋無垢なロリっ娘と言っても決して間違いではないだろうと思っておくことにしましょう。そんなわけでいい加減本題にいきます。

なごみの初登場はちらっと目の端に移ったのを除けば、倒れてきたロッカーから湊を守って力尽きた後、3話の保健室ですよね。初対面でこのなごみ節って、よく考えなくとも相当なインパクトですよね。実際その後サイドエピソードで本人がそう振り返っていたわけですし。優姫ルートを書いていた時、ツンデレのように尖った設定は記号であるべきだとか言っていた気がしますが、なごみは尖りすぎていてもはや「なごみ」ってジャンルになるのはと思うまであります。一場面の会話だけでなごみというアイデンティティを確立させることができる、この娘、出来る……っ!と戦慄したのはいい思い出です。

なごみは一応ジャンルとしては電波系、不思議系のくくりになるようですが、なごみの場合はコミュニケーションがまるで取れないガイジとは違うので少々複雑な気持ちです。なごみの会話はそれはもう脈絡がないものに感じるものも多いですが、聞かれたことには結局答えているし、遠回しなヒントを与えていたりと、まわりくどくあるだけでだいたい話の筋は通っているんですよね。頭がいい人の話し方って感じです。

初登場の後、サイドエピソード以外だと選択肢次第でもう一度会話できるなごなごですが、何といっても最初の見せ場はデート&対決回ですよね。この回は前編後編とあるわけですが、章題が実にカッコいいですね。『夜顔のチャレンジャー』。直前のサイドエピソードで夜の屋上にいたことともかけられているのでしょうか。まあどちらにせよ、チャレンジャーというのがいいですね。アサシンとか刺客とか、そんなのが闊歩してそうな暗い世界の住民だというのに、正々堂々と立ち向かってくる姿勢。たとえ慇懃無礼でも、手荒な真似をされても、準一が嫌いになれないわけです。

基本的になごみとの会話はどれも楽しいので好きといった感じですが、ここのデート回ではその中でもかなりお気に入りの箇所があるんですよね。CD屋に行こうとなった時に、なごみの好きな音楽ジャンルはどれという選択肢が入るわけですが。まあ所謂はずれ選択肢のラップを選んだ時に見れるなごみの持論ですね。基本的にキャラクターの持つ軸とか持論とか、そのキャラクターの人となりが分かる部分が好きなんですよね。

『好きなものは好きな理由、嫌いなものは嫌いな理由。そういうものをきちんと理解するのは大切ですから』
『嫌いなものは、その嫌いな部分が直ったり、或いは好きな部分が見出せるようになれば、それは好きなものになるでしょう』
『否定するだけの無能にはなりたくないので』

当たり前のようではありますが、その当たり前のことが難しいんだなあ、と気づかされた瞬間でしたね。我々は所詮大衆なので、世間の声の影響を多かれ少なかれ受けてしまうものですが、その上で自分はどうなのかと考えなくてはなりませんよね。人生、見てもいないアニメ、やってもいないゲームを他人の評価だけで語るような人間にはなりたくないものです。エアプ丸出しでこのゲームはPC版と声優が違うからクソゲーだよwとか抜かしてきたオタクとか、生きてる価値ないのでなるたけ早く死んでほしいですよね。あの手のは何をやってもろくなことにならないでしょう。本人も、その周りもろくな目にあわないと思います。なごみちゃんのルートは為になるなぁ。🐬

そんなわけで対決と相成るわけですが。ここは準一のハイスペック主人公補正が光る場面ですよね。準一の一番の長所は相手の気持ち、相手の立場になって考えることができることです。この長所が違うルートでは大惨事と繋がるわけですけど、その話はミコト先輩ルートで。準一はこの緊迫した状況の中でも、なごみの言葉から自分の選ぶべき言葉を考え、優姫の現状から自分の取るべき行動を考えることができるんですよね。考えに考え抜いて、その結果、最後には望んだ結果をしっかり掴むことができる。これこそ主人公というやつです。いやまあ、ここの場面に関してはプレイヤーの選択肢によって結果は違ったりしますけどね。

そうした普段は見られない一面も引き出し、デート自体もお互いが殺伐とした対決を本当はしたくないと思えるくらいに楽しむことができ、満足できたからこそ、あのなごみもデートの評価を中の上としたのではないでしょうか。なごみなら普通にダメダメだったら下の下で切り捨てるでしょうしね。

でも、ここで中の上ってビミョーな評価にしたのはなごみなりの負け惜しみだったのかもしれないなと思えなくもないんですよね。ここまで見てるだけでも絶対プライド高いというのは分かるわけですしね。また、強く危険視していなかったわりには相当入念に準備をして、それなのに負けて悔しくないはずはないですよね。なごみでなくとも誰だってそうです。だからこそなごみは礼儀として手を差し出しましたが、振り払うように手を放したのではないかと思うと、なごみも年相応の可愛さがあるよなあと思うわけです。ところでえっちゲームで年相応って何歳のことを指すんでしょうね?まあ特に掘り下げることはしないのですが。

さて、ここからは文化祭編となって、なごみも要所要所で関わってはいくのですが……、先のデート回のような分かりやすく主役という場面が案外少ないんですよね。というわけで文化祭編でのなごみについては全体的に振り返りながら、必要なところでシーンを取り上げて書いていきたいと思います。

まず、なごみって文化祭において裏のヒーローなんですよね。文化祭を開催させた影の立役者なわけです。ヒーロー……?ヒロインですかね?いや、でも功績的にはヒーローが妥当だとは思うんですけど。

思い返せば、文化祭中止を受けてどうしようか考えていた準一にやればいいじゃないですかと火をつけたのもなごみでしたよね。その後、開催に至るまでにこれ以上の妨害行為をさせない圧力をかけて、優姫が攫われた一件も最終的に大事になる前に収めさせて。相当情報を集めて、予想して、先回りして動いていたのでしょうね。なごみの功績無くして文化祭の開催はあり得なかったわけです。

それにしても観月先輩達を含めて周りがもうダメだと思っている中で準一にやればいいと言えるって、なごみは口で言っていたよりもずっと準一を信頼しているんですよね。準一ならできるだろう、その行動力を高く買っていなければ到底出ない発言ではないでしょうか。河原での対決後に少しは認めてもいい、なんて言ってましたが、絶対少しどころじゃないよなあと。素直じゃないというかなんというか。というかこの時点でつかさよりよほどいいパートナー関係に見れなくもないと思うわけです。まあこの時点では漫才相手という面がまだ強くもありますが。

素直になれないとは言いましたが、なごみの場合はこの時点でまだ自覚できていないというのが正しいのだと思います。観月先輩もそうですが、裏側にいる人達はそういった感情に遠い場所にいるのも確かでしょうしね。浮ついた感情なんて持っていても付け込まれるだけ、みたいな。なごみにとって認めている異性というのは、冬彦のような要注意人物として認めているのを除くと準一が初めてだったのではないでしょうか。だから意識してかしないでか、どうにも肩入れしてしまうのではないかと思うわけです。なるほど、9話のサイドエピソードで冬彦が言っていたように、「毒された」という表現は実にぴったりなのかもしれません。

また、文化祭での立ち回りを見ていると、なごみのいい所というのは組織に属していても、自分の信念に従って動くことなんですよね。組織の人間というのは現実的には上の指示に逆らうことが出来ないものですし、何か弱みを握られているならば(なごみの場合、終盤に出てくる妹のゆとり)尚更なんでしょうが、なごみはまるで気にしないんですよね。芯がしっかりしているキャラクターというだけでかなりの加点ポイントです。

ならば、そのなごみの信念とはいったい何なのでしょうか。それはおそらく誰かに頼ることなく、自分自身の力で目的を達成する、というものではないでしょうか。組織やチームに縛られることなく、己が考え、自分が納得できる方法で求められた結果を出す。それこそなごみが自分に自信を持つためのプライドのようなものなのではないかと思うわけです。だからこそ、なごみにとって納得できない、不本意な行動をとって結果を得ようとする同派閥の人間に憤り、その計画が実現して最悪の状況にならないように手を貸したのではないでしょうか。

それにこの手を貸すということに関しても、なごみは徹底的に一線を引いているんですよね。これも自分達の世界に一般人を巻き込まないという自身の方針の表れなのではないでしょうか。後になれば分かることではありますが、なごみは妹のゆとりにすら何の仕事をしているか頑なに教えていませんしね。直接的にアドバイスして情報を与えたことで準一達も狙われてしまうのを防ぐためにまわりくどく、匂わせるような形でサポートしていたのではないかと思うわけです。

また、自分が組織から完全に外されないためというのもあったのかもしれないとも思うんですよね。河原での対決後、なごみから手を出すことはまずなくなったのであろうということは、12話のサイドエピソードで白石さんは腑抜けのように役に立たないと評されていたことからも分かるわけですが、だからといってその任を完全に降りる、降ろされてしまうと内部から動向を探ることができる人間がいなくなるわけです。まあ、観月先輩達なら……とも思いますけど、なごみは急進派、観月先輩は革新派で基本別派閥ですしね。自分が気に入っている、認めている人間が、裏社会の一方的な事情で害を及ぼされないように内で目を光らせる。そのために直接的なアドバイスのように一発で反逆と取られるような行動を控えながら、要所要所でヒントの形をとって助言を与えていたのではないでしょうか。

こう見ていくと案外気にいった相手には尽くすタイプですよね、なごみ。準一、そしてそれを取り巻く環境、準一が大切しているものを守るために立ち回っていたのではないかと思うわけです。その準一が大切にしている者の中に自分が入っていると、ここではまだ気づかないまま。健気というかなんというか、ギャップ萌え感じちゃいますよね。

そう考えながらいざ16話サイドエピソード、攫われた優姫を追って準一と冬彦が来る前のなごみ視点の話を見るとなんだかこみ上げてきそうになります。

自分は誘拐の件には全くノータッチで、むしろ未然に防ごうとまでしたのに。結局計画は実行され、優姫も準一も苦しめてしまった。本来、明るい場所で笑っているのが相応しい彼らを怖い目に遭わせてしまったことへの無力さ、申し訳なさがなごみの寂しい気持ちというものに集約されているんですよね。そんな気持ちを抱えているのに、自身の派閥が起こした事件は自身の罪で、責任だとけじめをつけようとする。どれだけ自分にストイックになればここまで徹底できるんでしょうね……。なごみが屋上で準一を突き落とす前辺りに言っていた、自分とは別に自分の分身が上から見ていて、それで全体を把握しているのだ、といった言葉は案外正しいのかもしれませんね。主体として考えている自分がいながら、徹底して客観視できる自分もいるからこそ、ここまで自分に厳しくなれるというものなのではないでしょうか。もっと楽に生きてほしいにゃあ……。

まあ、結局のところなごみ事態は文化祭を十分楽しんでたらしいことは文化祭が終わった後に再開して判明するわけですが。この後のサイドエピソードが実に可愛らしいんですよね。律儀にたこ焼きを届けにくる準一に、自分のことなんて気にせずに文化祭を楽しめばいいのにと思いながら、変装した自分に気づいてくれなかった不満も抱えているというのがなんともめんどくさ可愛いですよね。なごみの可愛さはこういった、実際はかなり大人びているけど、中身は結構乙女なところがあるってところなんですよね。

なごみのもっとそういう姿が見たいという方はぜひ「あかね色に染まる坂~白石なごみの恋色~」もどうぞ。なぜか湊、優姫、なごみの3キャラ分しか出ていませんが、個人的になごみのは普通に当たりだと思っています。当たりじゃなくても責任は取りませんが、なごみ好きの方にはオススメできると思います。

そんなわけで話は進んで、今度は準一が攫われてしまう回ですね。ここは準一が実質見えざる手と化す中々見どころのあるところですよね。

優姫ルートで優姫を奪われた時、準一がどのような行動をとったか覚えていますか。いや、まあ観月先輩の指示ではありましたが、あえて無様な自分を演じることで相手に自分が取るに足らない存在だと侮らせようとしましたよね。ここでは準一自身が、自分を最低男に見せることで相手に侮らせ、その油断をついて脱出という実に鮮やかな手口を編み出すわけです。

毎ルート違う手段でピンチを切り抜けるというのももちろんいいのですが、こういった他ルートと関連した手段が使われるというのもそれはそれで乙なものだと思いませんか。使いまわしは手抜きって思うこともないことはないのですが、そこは信者パワーです。というか、準一本人も言ってることではありますが、本当にだまし討ち系の演技得意ですよね……。ジェノキラー伝説ェ……。

ここで判明することではありますが、この時点でなごみはこの一件から下されてるんですよね。順当に考えると、やっぱり文化祭前の優姫誘拐の失敗からなんですかね。優姫誘拐の前に下されていたら、尚更自分らの責任だと遊園地で冬彦と一戦交えることもなかったでしょうし、今回準一を救出しに来たように直接的なサポートをしてもなごみの言うような命令違反、裏切り行為とはならなかったわけですからね。

そもそもなごみが所属していた急進派ってこの時点でほとんど息をしていない気がするわけで。これは優姫誘拐を失敗させられて、そのリベンジというよりも、優姫誘拐に関わっていた人間が、急進派や革新派とは別に作られていた強硬派と一緒に起こした新しい事件って感じなのかな、という感じではないでしょうか。一応この後の保健室で確証っぽいの取れるんですが、たぶんこの辺り誰も興味なさそうですね。本編戻りますか。

なごみの戦闘シーンとなるわけですが。技術で相手を圧倒しながらナイフで突き刺す際のアドバイスまで敵に送るってのが最高に好みドストライクと言わざるを得ません。圧倒的火力で敵を焼き払うのも個人的には大好きですが、やっぱり敵はばったばったと一人一人次々と倒してこそですよね。なんとなく、チートプレイと無双プレイの違い、みたいなものを感じましたね

どちらも俺TUEE系統ではありますが、面白さのベクトルが違うと思うわけです。やっている人間が爽快なのがチートプレイ、見ている側も爽快なのが無双プレイ。このシーンのように、なごみが男をばったばったなぎ倒しているのを見て、こちらも気分がよくなるのは無双プレイと言えるのではないでしょうか。まあ、見識が深いわけでもなし、あまり言うと怒られそうなのでこのくらいにしておきます。

そんなわけでいつぞやのデジャヴを感じる保健室のシーンですね。でも、初対面の時のようななごみ節は鳴りを潜め、どうにも事務的な会話が多くて。もうここでのなごみは罪悪感や諸々の感情で弱りきった状態なんですよね。そんな状態なのにまだ強がろうとするのが本当にいじらしいんですよね、なごみ。強がろうとして、準一に思ったような反応でないものを返されてまた困ってしまう。掻き消えるような声で言った、守ってくれたことへのありがとう、そしてすみませんのところなんて、本当にみるが上手すぎるんですよね……。最初にも書いたとは思うのですが、ほんとハマり役だよなあと感動しちゃいます。ここでこれまでのなごみとのギャップに惹き込まれてしまったプレイヤーはかなり多かったのではないでしょうか。

そんなこんなで準一達の前から姿を消したなごみを見つけ、めでたく結ばれるわけですが。ここの終わりで入るサイドエピソード、もとい初えっちシーンの会話には感慨深いものがありますよね。

『どうやら私も疲れてしまっているようです。そろそろ誰かに少しは委ねてみたい、そんな日になっているのかもしれません』

なごみは本当に1人で、ずっと戦い続けてきたんだなあ、その重みを感じさせられますよね。なんかここまでくると、父親的な視点になってしまうのは私だけでしょうか。ああ、ようやく自分を預けられる相手を見つけられてよかったなぁ、うるうる。みたいな。ほんと、よかったなあ、なごみぃ……うるうる。(語彙)

そんなわけでもう何度目かになる、嵐の前兆たるほのぼの回がここで入るわけですが。ここのなごみはもう本当に幸せそうで、もうこれで終わってもいいと何度もボヤいたのはいい思い出です。ま、人生そう上手くいくことの方が少ないわけですから。人生、常にいくつかの保険をかけておくに越したことはないんですよね。世知辛いもんです。

自分の借りていた本について語らい、河原で弁当を広げて談笑して。なごみも自分がまさかこうなるなんて夢にも思っていなかったでしょう。ほんと、よかったなあ、なごみぃ……うるうる。

なごみの河原でのCGはここと対決後の2枚あるわけですが、どっちも非常に綺麗ですよね。夕陽をバックに微笑むなごみもとても惹き込まれましたが、ここの青空の下でお弁当を突き出してくるCGも非常に可憐です。やっぱり涼香先生しか信じられないですよね。ちなみに可憐は可憐でも、綾小路華恋の話はここではしません。誰も気にしてない?そう……。

ちなみにデートに出かける前の『もしもし私よ、今、○○にいるの』ネタは同ライターのラノベ、「101番目の百物語」でガッツリ活かされているのでサイトウケンジが気に入ったならそちらもどうぞ。人生、好きな作品は積極的にダイマしていきたいものです。でも、下手に広めた結果、明らかに無知をひけらかしてくる輩が増える、なんてのは勘弁願いたいんですよね。○○○○○ーとか、○○の○○○○とか、なんとか○○○ー○とか最悪です。オタクに人権が与えられることは天地がひっくり返ってもあり得ないので、勘違いオタクは一生日陰から出てこないでほしいものです

そんな幸せな日常を送り、大晦日を越え、新しい年に。そしてついにクライマックスの、準一対刺客、第2ラウンドですね。ここだけの話、この24話の次回予告は今作でもトップクラスでお気に入りなんですよね。

『お願いがあります』
『たったひとつ、でも難しいことです。でも、あなたなら、きっと……』
『次回』
『幸せにして下さいね』

BGMの「Half of Sight」、つまりはなごみのテーマのアレンジバージョンが相まってこの時点でもう涙が出てしまったのはいい思い出です。準一なら、いや、きっとこのルートの準一にしかこの望みは叶えられないんですよね。そんなわけで手に汗握る攻防の始まりです。

この第2ラウンド、準一が非常に頭回るわ行動力あるわで一番主人公してるってのもあるのですが、それ以上に準一と仲間を含め、チームで困難を乗り越えるのがやっぱりいいですよね。準一がいつか湊に言っていた、なごみも俺たちのチームにいれたら湊も一年生仲間ができて寂しくないだろうってな話が活かされているように感じます。連携がまさにチームプレイといった感じですしね。

また、このなごみルート最終話は、サイドエピソードを主体として描かれるために、冬彦やなごみといった先の連携のメインで動くこれまで裏方だったキャラクター達の心情の変化も細かく書いてあるのが、実に物語の集大成といった迫力がありますよね。

ちょっといいですか。厳密には23話なのかもしれませんが、書きたかったけどうまく挿入できなかったのでここで書きますね。年越しの挨拶をする電話を終えて、うまく寝付けないなごみの

『彼と結ばれてから、私は弱くなった。』
『守りたいもの、助けたい人、そういうものがとても増えた。』
『これからは私一人、ゆとり一人でなく彼や、彼を取り巻く皆を助けよう。』
『そちらはあまり困難ではないはずだ。』

この困難ではないはずだと思っているのがすごく安心したという人いませんか。弱くなったのに、守りたいものが増えたのに、それは困難ではない。それはきっと、自分の力だけじゃなくて、誰かの力を信じることができるようになったなごみの成長なんですよね。あれだけ苦手だった冬彦とも友人になったと24話で本人が明らかにしますし。準一だけじゃなく、その周りも自分を受け入れてくれた。冬彦と同じように、なごみも、殺伐とした世界で明日も分からない日常に居たがゆえに凍てついていた心が癒されたのだなと思うとこみ上げてくるものが止められそうにありません。絶対幸せになってほしいですね、なごみ。

なんかなごみルートは引用がやけに多くなっちゃいますね。ひとえに私の語彙力、文才のNASAが問題ではあるのですが、どうにも言葉にまとめることが難しくてですね……。

本当に好きなものって、頭で理解するよりも先に心に直接働きかけてくるものだと思うんです。だからそれを外部に出力するとなると、とても自分に向き合わなきゃいけないんですよね。自分を理解しようとするなんて行為、自分の人生にどんな意味があったか考えるようなものです。人が死ぬときにようやく辿り着ける可能性がある、程度の難しい命題なわけで。そんなのに挑むには、この作品を語るにはまだまだ若すぎたのかもしれません。と、反省してるので大目に見てもらえると幸いです。俺は止まんねぇからよ……。お前らg(ry

そんなこんなでゆとり迫真の演技もあり、刺客を退けてみんなで屋上から初日の出を見てフィナーレとなるわけですが。ここでこの24話の次回予告の回収が行われるわけですね。「今のなごみ」との関係が始まった屋上で物語が終わる。すごく綺麗な終わり方であると共に、これからも二人の物語はずっと続いていくと思わせる後味のいい爽快感が、これの前に書いていたつかさルートとは大違いです。なんでああなってしまったんだほんと……。最終的にこのルートは、準一というよりも、自分以外をほとんど空っぽにして、身も心も人形のようであった女の子が、様々な影響を受けて一人のなごみという女の子に成長した物語だったのではないかなと思います。


総評って毎回やってますけど、よく考えたらもうさっき言ってるじゃん、とも思うわけです。ここいるんですかね……。でももう四回目となると今さら引き返して合わせるのも手間なので続けるわけですが。

最初から最後までしっかり筋が通っていて、唐突な理解不能の展開といったストレス要因もなく、かなり完成度が高い物語が描かれたルートだったのではないかなと思います。

やっぱりロリ、後輩、感情に乏しいキャラクターは成長物語ですよね。実家のような安心感。でも、それが一番いいんですよね。それを期待して、結果的に満たされているわけですから。きっとこうなるのかなと期待しながらストーリーを読み進めて、ああ良かったなあと最終的に満足できる。だからこそ王道というものは廃れないんですよね。まあ、展開が読め過ぎてつまらない、というのはあると思いますが。そこはテンプレと王道の違いなのではないかと思うわけです。思ってばかりだなアンタとか言わないでくださいね。そう思うあなたも今まさに思っているのですよ。フフン。や、嘘。怒らないで……ぷるぷる。

テンプレって、いわゆる結末が「ご都合主義」で止まってしまっているものだと思うわけです。テンプレも王道も、結果ありきのものではありますが、どういった過程を踏んでその結果に行きつくかで説得力は変わりますよね。

例えば、このなごみルートの最後の攻防。なごみは結局熱で動けなく、冬彦は走り回ってたけど、最終的にはつかさが呼んだ国家権力が優秀で家の方の刺客も学校の方も刺客も取り押さえた、なんてものだったらクソつまらないですよね。例えがいささか酷過ぎる気もしますが、つまりは何か超常的な力が働いて問題解決みたいな「ご都合主義」じゃ読者はとても納得できないわけです。展開が読める、程度の物語じゃ足りない。

だからテンプレが王道に昇華されるために必要なのは物語の一貫性なんですよね。主人公、その他のキャラクター、そのすべてを縒り合わせることで一本の道となる物語。みんなの歩いてきた道があって、その経験が今を作っている。今まで積み上げたものの集大成が必然の結末に収まる。あのキャラクターが、このキャラクターがこう頑張っていたものな、ああ良かったなあと読者が納得できる。そういうものが「王道」の物語というものではないでしょうか。


なんかもう……これ分かんねぇな。結局だんだん文章量長くなっていってるし……。しかも本筋より脱線した話の方が絶対長いし……。感想を書いてるはずなんですがね、私。どうにも思うようにいきません。ま、人生そんなもんですし、後2人ですからね。もう少し……ってならないような気がするんですよね。残りの2人もだいぶ思い入れが強いと言いますか。

それじゃ、我らが会長椎名観月先輩行きましょう。
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☆椎名観月
はい、天使。ふにゃにゃぱの化身です。だから羽が生えているわけですね。ウイングヘアー。この世を救うためにシャボン玉に乗って下りてきたと言われています。(参考文献無し)この世を救うっていいですね。恒久的世界平和。自分の気に入らない人間を全て殺せば簡単に実現できるわけですが。人間とは実に儚く、脆い、哀れなものですよね。

まあ恒久的世界平和についてはさておきましょう。この観月先輩、何がいいってその計算し尽くされた存在そのものですよね。その完璧なスタイルといい、絶対領域といい。その笑顔、人となり。人に気に入られるための計算をし尽くした、この物語の真の黒幕。物語上、悪女とも言われる場面もある観月先輩ですが、観月先輩は悪女ではないと個人的には思ってるんですよね。

なぜなら、観月先輩は基本的に自分のために裏から手を引くことはないからです。黒幕やってるのも革新派から雇われて、そのためにってのですし、例えば優姫ルートの最後に手を貸したのも準一のためですしね。まあ、やってるうちにその理由は分かるわけですが。前作の青空の見える丘でもそうでしたが、やっぱり会長ってキャラクターには腹に一物も二物も抱えながら主人公を振り回してほしいものです。というわけで本編行きましょう。

今回はあまり脱線せずに本編いけましたね。自分を褒めてあげたいところです。自分しか褒めてくれる人がいないので。そんなわけで観月先輩が初登場する始業式ですね。

あ、アイドル……!公式サイトで見ていた時も観月先輩がいいなあと思っていたわけですが、完全にここで心が恋に落ちる音を聞いたような気がします。真剣と書いてマジと読む、そんな淡く、熱い恋心。ミラクルマジカル観月マジックに魅了されてしまいましたね。ここだけの話、Chu.Chu.ru.の約束の方が好きだったりします。まあ、どっちも好きなんですけどね。湊ルート書いてた時に曲は良かったですよねとは断ったので、曲について語るのは許されるはずです。期待過剰なくらいじゃなきゃ明日に失礼ですからね。(?)

しっかし、アイドル性をこれでもかと披露してくれる観月先輩は最高なのですが、個人的にここに関しては、観月先輩ファンクラブとやらの声が鬱陶しかったりします。何て言うんですかね。自分がやっているならともかく、オタクっぽいコールとか見せられるのは嫌いなんですよね。そもそもオタクがあまり好きじゃないので。まあ、「観月先輩とは、この学園においてとても人気のある会長でおられる」という説明のシーンですし、あまり目くじら立てる方が野暮というものなのですがね。

実のところ、ここがいいよねって取り上げたいところはいろいろあるのですが、結構細切れなんですよね、観月先輩は。いや、というより裏側の女の子達はってのが正しいですね。まあ、暗躍の種というものは得てして少しずつ蒔かれるものなので致し方ないことではあるのですが。全部取り上げてたら永遠に終わりそうにないので、大きく取り上げたところでちょこちょこ絡めて回収していけたらいいなあと思ってます。もはや5人目で言うような話でもない気がしますが、場面はなごみとの対決を終え、観月先輩とらぶんらぶんなでぇとをする8話です。

ここは観月先輩の底の部分が垣間見える重要なシーンですよね。いやまあ、この回の主役だし当然と言えば当然なのですが。タイトルの「秋桜のスマイリングフェイス」というのがいいですよね。一般的に秋桜はコスモスと取られるのが主流だと思いますが、ここでは順当に秋の桜として考えていきたいと思うのであしからず。そもそもあれ当て字って話じゃなかったですっけ。知らんけど。

ぱられる、もしくはぽ~たぶるをやっている方なら当然ご存じであるかとは思いますが、観月先輩の好きな花は桜なわけです。(重大なネタバレ)本当は綺麗に咲き誇る桜が好き。でもタイトルは、自分の笑顔は秋桜。2話のサイドエピソードにあった、仮初のアイドルと自分を評しているのがここに重なりますよね。優姫という真の意味でお姫様である存在に自分という仮初のアイドルは翳るのかなと嫉妬しているところです。

観月先輩は皆から望まれる花のような会長を演じるとともに、本当はそうでない自分、皆を騙している自分との葛藤とずっと戦ってきたんですよね。ほんの一時の暖かな陽気に当てられて、咲く季節を間違えた桜。でもそれは咲いていても、本質は冬に向けて散りゆく秋桜なわけで。この話で準一が垣間見ることになる、椎名観月学生会長以外の椎名観月という存在の儚さをとてもよく表したタイトルだと思うのですが、どうでしょうか。

そんなわけで本編の方に戻るわけですが、準一が観月先輩と冬彦の関係性について探りをいれたら意外にもあっさり本当のことを観月先輩は答えてくれるんですよね。主人と手下、軍曹と兵長みたいな関係。なるほど、嘘ではないですよね。ここに関しては結構我々の日常にも関係しそうな意図を見出すことができると思うわけです。

人は嘘を吐きますよね。多かれ少なかれ誰しも嘘を吐きながら生きています。では、どこからが嘘を吐いたことになるのでしょうか。当然、嘘を吐いた相手に嘘だとバレた時からです。嘘は当人にバレない限り真実であり続けるわけです。ならば、どうしたら嘘をできるだけ長い間真実で留め置いておけるでしょうか。当然、真実としておきたい事柄について嘘脚色の要素をできるだけ少なくすることです。簡単にいえば、突っ込まれるような矛盾は極力減らすということですね。

嘘がバレる時。それは決まって自爆です。自分で作った嘘の沼に足を取られて、どこまでが嘘だったのか自ら分からないままもがいて、沈む。大抵こういうパターンは嘘を嘘で固めて補強していることが多いのではないかと思います。嘘に嘘を重ねて自分が分からなくなっていたら話になりませんよね。

だから必要なのは嘘を真実で固めることなわけです。字面だけだと矛盾してるようにも思えますが、いたって簡単なことです。全てを嘘で固めようとするのではなく、与えても嘘がバレないような情報は真実のまま与えるべきだ、ということです。確定的に嘘だとバレるところだけ局所的に守ればいいんです。そうすれば、自分がどこからが嘘だったのか分からなくなる、なんて事態に陥ることはかなり少なくなるのではないでしょうか。

嘘に真実を混ぜることで説得力を強め、相手に怪しまれたり、突かせるような隙を見せない。観月先輩の吐いている嘘、つまりは見えざる手という本当の姿。観月先輩の冬彦との関係の暴露はある意味ショッキングなものではありましたが、観月先輩のその嘘がバレることに直結するものではないので真実のまま与えた。そういう意図があったのではないかと思うわけです。

実際言われた準一は一瞬戸惑いましたが、勝手に自分で補完して納得してましたしね。まあ、テキトーに言っても困らないことは言って、困るところはのらりくらり躱していれば、相手が勝手にいいように思い込むから嘘なんざそうバレないってわけです。深いですね。人生、積極的に誤魔化しながらいいところだけつまんで生きていきたいものです。

さて、そこからコントやら回想シーンで冬彦の黒スト論を見て、次回予告「愛」※嘘ですとか言ってたのに一応回収してるんだよなあと謎の関心をしつつ、場面は観月先輩と夕暮れの夕陽坂公園です。

なんでしょうね、夕陽坂公園にくると準一って大抵マジもんの主人公になりますよね。まあ、重要なシーンがこの公園に集中しているというのが正しいのかもしれませんが。ここは基本的に準一が観月先輩の一人称について少し踏み込むのが印象的なシーンだとは思いますが、個人的に好きなのはその直前の会話なんですよね。観月先輩が準一に準一パパのことを聞いていたところで、ふと準一が観月先輩のパパについて触れるところです。
実は観月先輩のパパはすでにお亡くなりになっているんですよね。それについて気にしないでという観月先輩への気遣いが本当に準一らしいなあと思うわけです。

知らなかったとはいえ、観月先輩のパパの話題を出してしまったことにただごめんなさいと言うのでは、観月先輩が気にしないでと気遣ってくれたことに対して、無神経な自分を許してと押し付けるだけのような気がした。でも、それで露骨にその話題を避けるのは余計に気遣ったのがバレてしまう。だからどうしても浮いてしまう謝罪は胸の中に留めて、

『先輩のパパさん、安心してください、お嬢さんはこの長瀬準一が大事な友人としてしっかりお守りします』

と宣言するわけです。例え父親がいなくても、観月先輩が寂しがらないように。自分が側にいますよと励ますわけです。もうこれほとんど告白では?いや、友人って言ってるしそこまではいかないか……。ただ自分を押し付けるのではなく、自分も一緒に抱えようとする。嬉しいも寂しいも一緒に共有しようとする。これは見えざる手でも読み切れないにゃあ……。読み切れないというか、これまでよりもっと踏み込まないと見られない一面だったと言った方が正しいんでしょうね。落ちますね、これは。自分は落ちました。抱いて!子種が欲しいと子宮が疼いて大変です。実際この後のサイドエピソードで観月先輩落ちてますしね。それにしても森谷実園の囁くような、つい口から漏れ出たようなセリフが反則的なまでに可愛い……。語彙力がなくて全然うまく言い表せないのが悔しいですが、準一本当にカッコいいですね……。しゅき……。

ちなみに、これは後々分かることではありますが、観月先輩のパパは飛行機事故でお亡くなりになっているわけですよね。ここのシーンで観月先輩がパパはもうお星様だから、と表現したのはパパが空で死んだことへの暗喩だったりするんですかね。さすがに考えすぎですかね。考えすぎる人間って大抵損だと思いませんか。四択問題の試験で候補を二択にまで絞り込むけど、考えすぎて結局間違う人間というのは基本が理解できていないからだと揶揄されるものですが、実際は基本を踏まえた上でその答えを選んでいる理由がこちらにはあるわけですからね。悪いのは短絡的な思考で問題を作った作成者の方です。国語に分類される試験は全て記述式にするべきだと思います。どうでもいいですね。次行きましょう。

そんなこんなで物語を進めて遊園地グループデートまで来たところで思ったんですけど、やっぱり先輩キャラクターはアダルティジョークで主人公をからかってほしいものなんですよね。ここでは『速い子なの?(意味深)』というのが聞けるわけですが。

観月先輩はノリのいいお方なので、ちょくちょくえっちな単語でからかってくれるのも魅力の1つでありますな。観月先輩がえっちなジョークを飛ばしてくる時って、決まってネコ口とろけ顔とも言うべき何とも言えないえっちな表情してるんですよね。年上でありながら無邪気さを兼ね備えた小悪魔チックな先輩……、というと青空の見える丘の諏訪ののか先輩も最高でしたよね。あちらは笑顔でぐりぐり抉ってくるタイプでしたが、それはそれで気持ちいいので全然アリでしょう。年上の余裕で翻弄されたいという性癖はまさにこの2作品で開拓されたものといっても過言ではありません。気がつけば自分語りになってしまうのは悪い癖ですね……。何とか治療したいものです。

ただまあ、性癖がこれらから始まったのはいいのですが、どちらの作品もそれなりに機会はあっても一瞬でネタが終わるくらいの短さというのが残念なところなんですよね。まあ、そういった欲求を存分に解消したいなら同人作品を漁った方が早いと思うわけです。積極的にセール期間爆買いにふけっていきたいものです。よい子は明細と、支払い期限はしっかり確認しましょうね。

そんなこんなで物語は文化祭が終わり、観月先輩ルートで最初の佳境、観月先輩が初めて「わたし」を使う夜の屋上の場面に入っていきます。

常に誰かのための観月先輩で、椎名会長で、観月さんだった先輩が、初めて「わたし」という一人称を使う。ここのシーンは震えましたよね。そしてこの感覚は実は覚えがあるもので。そう、青丘でののか先輩が初めて「目を見せた」瞬間と同じ衝撃だったと思います。また、ここは演出もズルいんですよね。それまでポップなBGM、つまりは観月先輩のテーマが流れていたのに、一瞬でしんみりとしたアレンジバージョンに切り替わるんですよね。こんなの引き込まれないはずがありません。

それに加えて、先輩本人も言っていましたが、準一が死ぬほど口説き上手なんですよね。観月先輩の深奥に辿り着けた理由に説得力があるというのが非常に加点ポイントです。どんなに着飾って綺麗な言葉を並べたてようと、説得力がなければ心には届きませんからね。観月先輩にも、そしてプレイヤー側にも。

話は少しズレますが、実際のところ成功した人間の話と失敗した人間の話、どっちが説得力があると感じるでしょうか。個人的には後者だと思うわけです。

成功というのは、いわば失敗の積み重ねです。一度も失敗しないで成功を導ける人間なんてそういませんよね。逆にいえば、失敗の経験を積み重ねていない人間には、成功というイメージを構築することが出来ないわけです。完成イメージが印刷されていないジグゾーパズルと考えると分かりやすいと思います。失敗経験というピースが全て揃って初めて成功という完成形になる。このピースが足りていなければいないほど、想像は抽象的になり、理解からは遠ざかってしまう。理解できないから結局絵空事にしか思えない。だから説得力がないと切り捨てる。当然、これじゃ心には響きませんよね。

結局のところ、どちらが分かりやすいか、共感されやすいか、なんだと思います。ジグゾーパズルで例えたように、成功した話というのは同じだけ失敗の素材を持っていないとイメージしづらい、いわば集合体であるのに対し、失敗した話というのは個々のピースなわけです。そのくらいのスケールなら自身の様々な経験から理解もしやすく、イメージもしやすい。だから説得力があると感じることができる。深く共感できればできるほど、心にも届くわけです。

そういった共感や経験を自身の糧として人間は成長していくものなんですよね。失敗しないと学ぶことが出来ないというのは人間って実に愚かな生き物だなとは思うのですが。神様ももっと器用な生物として作ってくれてもよかっただろうに、案外テキトーな性格してますよね。プラモデルはニッパー使わないではさみで切り離すタイプなんでしょうか。組み立てても原色のまま放置してそうと思うと、ふふっときますね。うん、不敬ですね。話を戻しましょうか。

準一も、クールぶっていた今となっては黒歴史な自分の経験があって、失敗があって、だからこそ今がある。観月先輩の、人に見られる自分を意識することの苦しさが、寂しさが、自分が同じようにして失敗した経験があったからこそ気づけた。唐突にその時電流走る、みたいご都合ではなく、その思考に辿り着けた理由、経過があるというのがここの準一の説得力に繋がっているわけなんですね。

そんな「椎名観月」を理解した上で、どんな観月先輩でも俺は先輩の周りからいなくなるつもりはない、誰かの先輩、みんなの会長、そういうんじゃなくても好きだと言ってのける。救い上げようとする。そりゃ観月先輩もたまらずキスしたくなっちゃいますわ……まだほっぺだけど。

ここまででもかなりの満腹感ではあるのですが、この後のサイドエピソードもすごくいいんですよね。観月先輩が明確に恋心を抱いてしまったことを認める回なわけですが、亜矢先輩の『……本気になってしまったのね』というのが6話のサイドエピソードと重なるんですよね。そう、観月先輩はあの時『誰かに気に入られたい時、人は本気になってはいけない。』と言っていたわけです。多少の余裕を持って接しなければ相手を上手く気遣うことが出来ないからです。観月先輩は2年間かけて築き上げてきた椎名会長という自分が保ちきれないほどにもう余裕が無くなってしまっているんですよね。亜矢先輩はずっとそんな椎名会長に付き合ってきたのに、今恋心を抱いてしまった観月にそれは良いことだと言ってくれるわけです。2人の深い信頼関係が感じられてすごくいいシーンではないでしょうか。

また、このサイドエピソードのタイトルが「こいごころ」、とひらがなで書かれているのもやっぱり意味があるのではと勘ぐってしまいますよね。わざわざ表記が違うのだからきっと何か意味するものがあるのだろうと探ってしまうアレ。まあ、ここは「はじめてのおつかい」みたいなのと同じ意味ではないかなと思いますが。観月先輩が、これまで重視してこなかったがゆえに抱いたことのなかった初めてのの気持ち。それが一番の親友に喜んでもらえたこと。そりゃあ観月先輩が泣きたくなるのも分かるというものです。しかもここすごい健気なんですよね、観月先輩。

『この気持ちが成就しなくてもいい。』
『こういう気持ちにさせてくれたじゅん君に、心の中でありがとう、を伝えた。』

なんでしょうね、やっぱり裏側にいるとどうしても自分は主役にはなれないとブレーキがかかってしまうものなのでしょうか。なごみもそういう傾向ありましたよね。もっと自分に素直になって、ええんやで……。女の子は誰でもプ○キュアになれるのですから。ここですでに少し目が潤んでいたのはいい思い出です。あー泣きそ。

というわけで場面はここまでで何度目かの肝試し。いちいち場面の説明はそろそろいらないでしょう。今回は主役が観月先輩になるだけですからね。

この直前に冬彦視点のサイドエピソードが入り、そこで観月先輩の出自が明かされるわけですが、やっぱり観月先輩は本当はもっと平凡な女の子なんだと思うんですよね。ただ、求められたら悪いことも「出来てしまう」というだけで。

観月先輩はずっと求められるままに生きてきたんですよね。最愛の妻を亡くして狂ってしまった自分の父の心の穴を埋めるため、父が死んだ後、その大切な父親が残したものを実際に活かすことでその存在を残すため、そして今は、準一と優姫の婚約破棄のため。観月先輩にとっては、見えざる手すらも自分ではないのでしょう。求められるがままにやったら結果、そうなってしまった。順序が逆なんですよね。自分が○○になった、が普通なのに、観月先輩の場合は、○○が自分になった、なわけで。いつも相手を気遣って、とても器用なのに、自分に無頓着であったがゆえの不器用さも持っている。相反する二つの顔が絶妙な具合で混ざり合っている、それこそが椎名観月というキャラクターの一番の魅力なのではないでしょうか。

初めてこいごころを明確に認識し、それがきっかけでこれまで押し留められていた素の部分が、本人すら分からないレベルだけど、少しずつ、でも確実に出てきていて、それに気づけるのが主人公だけってシチュエーションが死ぬほど好きなんですよね。なんでしょうね、完璧な人間なんて少なくとも今の時代にはいませんからね。完璧だと思っていた部分が崩れる、脆い部分が見え隠れするところがとても人間臭くていいんですよね。

観月先輩はこの肝試しの話でも、怪我をしたのは自分なのに、本当は怖くて震えているのに。肝試しをやりたいと言った準一のため、その企画にのったみんなのために笑顔で大丈夫とアピールして、期待に応える椎名会長であろうとする。でも、思わず準一の手を握ってしまったことで準一だけにはバッチリ観月先輩を看破されてしまって。こういう、無意識のうちに準一に甘えてしまった、という素に近い部分が少しずつにじみ出てくるのが本当に観月さんらしくてこのルート大好きなんですよね。主題歌のせつなさのグラデイションの歌詞にもあるように、「心の謎をひとつずつ解いて行く」ってこういうことなんだと思うわけです。あれですね、主題歌の歌詞の意味に気づけると脳汁ドバドバ出ますね。皆さんはどうですか?

はてさて、そんなこんなで保健室で抱き合ってにゃんにゃん(しようと)するのですが、この辺りは次の話に入って、屋上で観月先輩に告白するシーンで回収した方がいい気がするのでここではあえて通過します。というわけで優姫のこと、湊のこと、いろいろなものに決着をつけて観月先輩と約束の地へ。まあ、屋上ですが。あえて通過するほど後にもならなかったねというツッコミはいりませんからね。

ここだけの話、観月先輩ルートで一番好きなんですよね、ここのシーン。CGは最高だわ準一はカッコいいわ観月先輩はもう言わずもがなですからね。

まずCGの話からいきましょうか。やっぱり空の塗りが最高に幻想的ですよね。まるで時間が止まって、そこだけが切り抜かれたかのような、何人たりとも入り込めない、完全に二人だけの世界が演出されている……。そして何より「本気」が感じられますよね。文化祭終わりの夜の屋上で準一のほっぺにキスしたCGがあったと思うのですが、あちらはどちらかというと喜び、楽しさが前面に押し出されていたのに対し、こっちはもうガチですよ。真剣と書いてガチと読むような緊張感、初々しさがひしひしと伝わってきます。そこに屋上という風が強い気候を活かしたスカートの翻り、そこから見える絶対領域。無防備な色気ほど描き出すのが難しいものはありません。このCGはそれすらも描き出している。今作の中でもとても完成された一枚だと思うのですがどうでしょう。

それじゃあ物語の方に戻るわけですが。何て言うんでしょうかね。まあ、ズルい、でしょうか。観月先輩も言ってたけどましたしね。以下ちょっと長めで申し訳ないんですけど、まとめる力が及ばず引用です。

その手を、握ってみる。
観月『わっ』
準一『やっぱり、震えてますよ』
観月『さ、寒いから、だよ』
準一『先輩はやっぱり、結構怖がりさんですよね』
観月『……そ、そんなことは……ないよ?』
準一『そうですか?怖がりな『観月先輩』の方が、いかにも椎名会長っぽくないですか?』
観月『……あっ』
準一『嘘で怖がるんじゃなくて、強がりを言ってしまった先輩は、観月さん、ですよね』
観月『……じゅ、じゅん君がずるいっ』
準一『うん、ずるくなりたかった。先輩にとって、とてもずるい、困る、そんな人になりたいのですよ』

一人称の違いを完全に理解した言い回しで翻弄しているのが、観月先輩を本当の意味で理解しているのが伝わってきていいですよね。小生、言い回しによって意味が変わるトリックが好き過ぎるんですよね。まあでも、結構そういうオタクさんは多いんじゃないですかね?

観月先輩は、ずっと自分を外に出さずに戦ってきたんですよね。たくさん失って、その分たくさん努力して、ようやくここまで来たのに。そんな自分に正面からぶつかってきて、小手先のものはまるで通用しないかのようにズカズカ踏み込んで、引きずり出そうとする。なのにそれは、とても自分を気遣ってくれているもので。これは誰だって落ちますよ。こんなんズル過ぎるわ……。

9話で観月先輩は、自分をとことん愛してくれている人とかにはメロメロになっちゃうものだもんと言ってたわけですが、完全に自分に返ってきてしまっているんですよね。ふとしたことで観月先輩の本当の顔、笑顔という仮面に隠された怖がりな独りの女の子という面に気づいた上で、まだ分かっていない部分も含めて「安心」させてあげたい。安心て。どんだけ観月先輩のこと愛してるんだ準一よ、ってなりますよね。

もしこれが、まだ分かっていな部分も含めて「好き」だ、だったらおそらくこうはならなかったでしょう。なぜなら観月先輩は自分のことが好きではないからです。嫌いな部分が好きだと言われて嬉しい人なんて、口先だけの辛いアピール拗らせた承認欲求松さんだけでしょう。そんな好きじゃない自分、不安な心を理解して、全部ひっくるめて安心させてあげたいなんて言う準一の好きって、もはや好きってレベルを越して愛している、なんですよね。なんか書きながらこんがらがってうまく言えている気がしませんが、要するに以前のセリフが返ってきているのに気づくと悶えるよねって話でした。

なんかこれで次の場面の話に進みそうな話の打ち切り方になってしまいましたが、もうちょっといいですか。待ちに待った(1日)キッスしてるところの観月先輩が死ぬほど可愛いって話なんですけど。ここ、ある意味一番素が出ているところなんじゃないですかね。まあ一番感情がごちゃ混ぜになってるシーンだろうし当然っちゃ当然かもですが。

一生懸命目を閉じて、手は震えながら、もういっぱいいっぱいだろうに、キスをする時息を止めるのが辛くないかとか息が当たるとくすぐったくないかと気遣うところがああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!って感じです。表の、相手をとても気遣う観月先輩と、裏の、不安を抱えた怖がりな観月さんが絶妙な混ざり具合と言いますか。年上なのに、とても等身大の女の子という感じがして、もう最高ですね……。ここだけの話、このシーンが好き過ぎてこの時点で軽く鬱になっていた思い出があったりします。人生、思い出というぬるま湯にずっと浸かっていたいもんです。

というわけでこの屋上のシーンについてはここで本当の打ち切りです。いや、この先で思い出す可能性はありますけどね。何しろプロットのようなものがないので、どこで何を思い出すか読めないんですよ。だから無駄に長くなるんですけどね。というわけでまさかの会長就任をこなし、猫さんとも平和な日常を送っていたのに、真実とはなんと残酷なってところです。

いや、まさかのて。分かりやすく伏線あったしまさかではないですね。実際のところ、会長なら準一の方が冬彦よりもおそらく適任ですしね。いやあ、自分も楽しい学園生活ってやつを送ってみたかっただけの人生だったなあと言いたいところだったのですが、学園生活楽しくなかった~って言っている人間というのは総じて自分から楽しむことを避けて冷ややか気取ってただけの有象無象と相場が決まっているので、言わない方がいいですよ。あなたの評価が下がるだけですから。

そんなわけで観月先輩が自分のやってきたことを告白するわけですが。やっぱりここも準一ですよね。準一の何がいいって、どのルートでも一貫してヒロインを一方的に救うのではなく、ヒロインの抱える問題を一緒に抱えてあげることで楽にしてあげようとするスタンスをとることなんですよね。まあ湊ルートの最後は少し怪しい部分もありましたが、ここは観月先輩ルートなので考慮しません。(おい)

観月先輩のやってきたことを全て許すのは簡単だけれど、そうすると観月先輩はいつか自分で自分を責めることになるから、あえて許すことなく、許さない分以上に慰めるよ。な、なんて力技なんだ……。でも分かりやすくシンプルでいいですね。世の中、単純なものの方が強度は高くなるってなものですし。でも文化祭準備期間に優姫を事務室に呼び出したのって先輩じゃなくて冬彦じゃなかったっけ……。先輩関与してない感じの話をサイドエピソードでしてなかったっけと。まあ、上司みたいなもんだし実質観月先輩の責任ってことになるのかもしれませんが。うーん、少しもやもやもしちゃいますね、ここ。

さて、珍しくえっちシーンについての話したいんですけど。ここで入るえっちシーンは背徳の露出えっちなんですよね。誰かが部屋の前まで来るというお約束付きです。いやまあ、冬彦なんですけど。優姫のおしっこなえっちシーンの時も言ったような言ってないようなですが、露出ものが三度の飯より好きなので、今作中でもこのえっちシーンはかなりのお気に入りです。絶対こういうシチュエーションでは誰かに盗撮されていてほしいと普段なら思うのですが、正直この作品は好き過ぎるのでそういった欲求が生まれないんですよね。信者なので。

好き過ぎる作品ってなんていうんでしょうね、余計な不純物が入って欲しくないんですよね。自分の欲求なんてもっての他です。特にオタク。○○は俺の嫁!とかでかい声で騒いでるやつなんて有明に集めて逆ピラミッドごと爆破してやりたくなりませんか。本当に好きだと言うならば、あくまで主人公とヒロイン2人の物語を祝福するべきであり、我々がそこに感じるのはあくまで純粋な「しゅき……。」のみであるべきだと思うわけです。まあ、当然異論は認めます。何しろ器が大きいので。ここだけの話、座右の銘は「どんな時でも余裕を持って優雅たれ」、です。

観月先輩ルートって、他ルートよりもほのぼのとシリアスのスパンが短いんですよね。一番抱え込んでいるお人なのに幸せが長続きしない世知辛さ……。せめて一話だけでもまるごとほのぼの回が設置されていてほしかった……。というわけで観月先輩を認められない準一パパによって準一と観月先輩の仲が引き裂かれちゃう話ですね。

優姫ルートの話で、杉下先生が要所要所で決めにくるのがカッコいいと言ったと思うんですけど、あの時、観月先輩ルートの杉下先生も捨てがたいんだよなって言った場所はまさにここの話です。基本的には準一パパ側の人間なのに、動くのは自分の信念、信じるのは自分の教え子なんだなあというのがよく分かるシーンだと思います。ほんといい教師してるよなあ……杉下先生。ただうるさいだけの熱い男は嫌いですが、芯から熱い漢というは大好きなんですよね。何というか、準一って将来は杉下先生みたいな大人になりそうだよなあ……。まあ、勘ですけど。

あの、ここ観月先輩のルートの話してるんであまり違うキャラクターの話するのはどうかと思うんですけど。ミコト先輩、出るんで。ちょっといいですかね。重要なところなんで。ミコト先輩は特別なんですよ。ええ、特別。死ぬほど切ないんですよこの最終話の入り。

卒業式を次の日に控えた黄昏時の河原でミコト先輩と会うわけですね。夕暮れでなく、黄昏時というのがいいですね。相手がミコト先輩ですから、その表現はまさしく正しいわけで。お互い、黄昏ていて。そこで交わしていく会話にダブルミーニングがすごく多いんですよね。

準一『お互いに好きでも、上手くいかないこと、というのはあるものなんですね』
ミコト『あります。恋は些細な行き違いでも壊れてしまうこともありますから』

準一はこれを受けて思わず、経験者ですか?と尋ねるわけですが、お友達の話だとミコト先輩は誤魔化すんですよね。ミコト先輩、あなたという人は……どうして……。

最後の最後まで、ミコト先輩は準一を救おうとするんですよね。準一をヒーローさんと表現する辺り、自分のルートじゃなくても文化祭には来てたんだろうなあ、ミコト先輩。きっと、ずっと、見守ってくれていたんですよね。ミコト先輩……。

女はずるい生き物なので、許されてしまい過ぎるのもまた重くなる、めんどうなものなんですって言うのもまた……。でも、貴方はきっと許すじゃないですか。そんなのズルい、女はズルい!って泣きながら騒いでいたのは、正直本当に恥ずかしい思い出なので消し去ってしまいたいものです。

最後に別れる際、準一が卒業、おめでとうございますと言うわけですが。それに対してミコト先輩は少しだけ沈黙して、ありがとうございますねと言うわけですが。その沈黙にどれだけの気持ちが秘められているか想像に難くないですよね。それにしてもふーりん上手すぎる……今書きながらも感極まって泣いてるんですけど!行かないで!ミコト先輩!!待って!!!思い出からも卒業なんてやめてくれ……やめて……。思い出しか信じられない。優しい思い出の中で、ずっと、誰にも迷惑かけずに、じっとしていたい……。現実はなぜこうも厳しく、辛いものなんでしょうね。新規描き下ろしも中々ハードル高そうですし。青丘の時にミコト先輩に期待してた一万人はどこ行っちゃったんですかね。今声を上げずしてどこで声を上げるというのか。それすらできないからオタクの○○ちゃん好き!俺の嫁!なんて何も信じられる要素がない偽物の嘘っぱちだって言ってんですよ。三か月ごとに推しを変更するオタクはぜひ反省して腹を切っていただき、恒久的世界平和の実現に一役買っていただきたいものです。自分が気に入らない人間が全て死ぬことで、恒久的世界平和は実現できるわけですからね。

そんなわけでクライマックスの卒業式となるわけですが。卒業式本番に臨む前の冬彦との会話からもう熱いんですよね。冬彦の信用していると言われて、親友に信用されたら応えるのは当然だと返すわけですが。なら何に期待されたら応えないのですかと聞かれて準一は、そんなの決まってるだろ、俺を信じない奴からの期待だよって……準一、お前がナンバーワンだ。(クラス男子B並感)もう立派に会長してるんだよなあ……。

少々強引な展開な気もしましたが、杉下先生も含めた仲間の協力を得て観月先輩の元に駆けつけ、卒業式も何とか無事に終わり。式の最後にどこからがわざとだったんだと杉下先生が観月先輩に尋ねるわけですが。さらっと、そんなの最初からだよ?と返す観月先輩のありえんラスボス感……。聞けばわかるとは思うんですけど、ほんとにさらっと言ってるんですよね。まさか……、この物語自体が全て見えざる手の策略だったのでは……。サイトウケンジ、見えざる手説ってやつです。

そんでもってこの後、負けるのを見越して飛行機の予約をすでにしていた準一パパと話して。準一パパは、あれだけのことをしておきながら結局息子を信じてたんだなあ、と。準一はその期待にも応えたわけです。なんだかんだで、いい父親してますよほんと。やっぱり、この父あっての準一ですからね。

そして時は流れて春休み。河原で穏やかな時間を過ごす2人。稀代の策士の、2人の幸せな未来予想を聞きながらフィナーレとなるわけですね……。全体的にテンポが早く、激動のルートではありましたが、終幕は一番ほっこりできたルートだったなあと思うのですがどうでしょうか。


ども、5回目の総評ですね。まーた、文字数増えてしまいましたね。でも正直なところ、ようやく感想らしい感想が書けた気がします。どうにも感情が先走ってしまってうまく要約できない説明できないもう引用するかwな部分が目立ちますが、込めた熱い想いは更新できたのではないかなと思います。どうしても書き切れなかったここが可愛い、ここが好きという部分はまだあるのですが、もう永遠に終わらなさそうなので、またいつかどこかで語れればいいなあと思ってます。別に誰も求めてなかったら壁さんに話しかけるからいいもん。(ここ、可愛いポイント)

自分というものが希薄なお方だった観月先輩が、準一と触れ合うことでだんだんと色がついていく。全てを操ろうとして、いつの間にか惹き込まれていた。そんな一人の、可愛い女の子の成長物語だったと言えるのではないでしょうか。

準一も、観月先輩も、ついでに冬彦も、このルートで中心となったメンバーの全てにこの結末に至ることができた説得力となる積み重ねがあり、純粋にいい物語だった、これからもずっと幸せであってほしいと願わせてくれる、後味のスッキリとした完成度の高いルートだったと思います。


そんなわけでついに最後のキャラクターになります。SPルートでようやく攻略できる、橘ミコト先輩ですね。夢の少女。お化けの少女。夕暮れの少女。そして初恋の少女。その深淵に迫っていきたいと思います。もはやここで長い前フリは不要ですね。というわけで最後、行きましょう。
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☆橘ミコト
全ての始まり。長瀬準一という物語が生まれた核心部分。真のメインヒロインですね。そう、この作品はダブルメインヒロインと言われていましたが、実を言うとトリプルだったのです。祖父特典のベッドシーツのキャスティングにはこういった意味があったということなわけですね。まあ、真のメインヒロインさんセンターじゃないけどね……。

ところでベッドシーツなどの寝具系グッズの管理は他のグッズ以上に気を配った方がいいですよ。少しでもずさんな管理のままにしているとカビが生えて、カビ以上に不潔なオタクの汗が染み込んでいる可能性のある転売品を買うかどうか何日か悩むことになるかもしれませんからね。そも流通してるかは知りませんが。別に何かを擁護するといった意図はありませんが、流通しているうちが華ですよ。流通しなくなってしまったものはもはやお金を積むことすらできないわけですからね。まあ、feng collectionとかfeng collectionとかfeng collectionの話なんですけど。

早速脱線した話を戻すとして、1人攻略するとタイトル画面に追加されるSPスタートというところからでないとこの物語に進むことはできないわけです。SP、スペシャルというだけあって他の5人のルートとは異なる特徴がいくつかありますよね。共通部分のシナリオも多少違う、サイドエピソードもミコト先輩とのえっち以外は無し。ミコト先輩仕様のオープニング。そして、何より目を引くのは各話のタイトルでしょう。例えば、普通にスタートした場合、第1話は「夕陽のファーストキス」ですよね。日本語です。それに対し、SPスタートの第1話は「CREPUSCULUM RES」。ラテン語です。訳すと「夕暮れの事件」、ですかね。あ、当方、普通に母国語しか話せない日本人なので訳が間違っていたらごめんなさいです。その話を掘り下げるかどうかは分かりませんが、一応全話で訳してはいくつもりです。まあ参考程度に。

かなりざっとですが、こんなものでしょうか。ところで今気づいたんですけど、これ感想というより実況みたいですよね。時系列準拠ですし。オタクのエロゲー実況とか普通に嫌いなんですけどね。やるなら淡々と黙々とやれよお前のTHEオタクボイスなんざ誰も望んでねえよと騒いでいたのに見事にブーメランが突き刺さった形です。オタクがエロゲー実況なんてしてなければブーメラン突き刺さることもなかったのに。やっぱりオタクはくそですね。心底オタクは現実であろうとネット上であろうと表に出てくるべきでないと思います。あまりこういうこと言ってると怒られますかね?完全に脱線したし激詰めされてふえぇ……ってなる前にとっとと本題に戻りましょうかね。

そんなわけで第1話「CREPUSCULUM RES」、訳して「夕暮れの事件」。タイトル的には優姫の誘拐未遂の件でしょうが、大事なのはそちらではないですね。大事なのは黄昏の記憶、準一とミコトの河原での記憶の方なわけで。本編では地の文でしか語られていなかった内容が2人の会話としてもっと深く掘り下げられるわけです。

幼少期の恋の記憶って混じりけのない純粋さなのが本当に好きなんですよね。そしてそれが今も心に残っていて、現在の自分を形作る核となっている。芯になる記憶が共有されているという関係ってのがまあ、月並みな表現ではありますがロマンチックですよね。だから幼馴染が好きなんですけど。まあ、ミコト先輩の場合は1日限りの交友なので、幼馴染というのは少し違うとは思いますが。うーん、でもこのルートに関しては、最終的に積み重ねてきた想いは相当なものになるわけですから幼馴染と言ってもよいのでは……とも思うんですけど。中々難しいところですね。

共通ルートと同じように始業式を終え、疲れからか黒塗りの背景の悪夢に襲われてしまう。そんな兄貴地獄の悪夢から覚めた先にミコト先輩が現れるわけですね。まあ当然放課後なので下校しましょうと相成るわけですが。この一緒に帰る時の会話にあった、準一が、ミコト先輩とどう知り合ったか尋ねたのに対する返事が、ミコト先輩の誠実さを感じられていいなあと思うわけです。

普通にかっこいい子だと思って勇気を持って挨拶してみた、おそらくこれは河原での記憶と一緒なのではないかと思うわけです。ミコト先輩のいいところはまさにこういうところだと思うわけです。まあ、この時点では軽くネタバレではありますが、ミコト先輩は悪い言い方をすると準一達を騙しているわけですよね。それでも、誠実であれるところは誠実でありたい。なんでしょうね、罪悪感で目を真っ直ぐ見ることはできないけれど、身体は真っ直ぐ相手と向き合っていたい、そんな気高さを感じるんですよね。まあ、贔屓目だと言われたらそりゃあもう多分に入っているので何も言い返せないんですけど。

さて、そんなわけで2話は「SOMNICULOSUS ESSE」、訳せば「眠い存在」。眠い目で世界を見ようとすると世界はぼやけてよく見えない。目が悪い方なら尚更でしょうね。よく見えないけど何かがいるように見えて目をこする。そしてもう一度目を開いた時、そこには何もなかった。そんな存在しないものの感覚というものをミコト先輩に感じる準一って話ですね。

そうですね、ミコト先輩では珍しい部類のふくれっ面がCGで見られるという点でオンリーワンな回ですね。なんて、神々しい太ももなんだ……。ここだけの話、太ももに目覚めたのはここが始まりだったりします。なんでしょう、えっちさ、じゃあないんですよね。この思い出が果てなく広がるような青空。優しく朝日が降り注ぎ、照らされた校門はまるでランウェイのようで。スカートの翻り、照り返し、差し出した左足が陽光に照らされてその白さが強調されていて。これはもう芸術ですよ。版画展かなんかに出ていたら即買い案件です。クレジットカードは使えますでしょうか。もしくはこの近くにATMなどがあれば教えていただきたいのですが、レディ?ロマンスグレーを目指しているのは準一だけではないということですね。人生、ジェントルにジェントルしてジェントル~(キュンとされていきたいものです。

あまりシナリオに触れていないな?と思うのですが、ミコト先輩ルートは基本的に後々怒涛のシリアスの波がくるタイプなので、序盤は何か違和感が……、と匂わせるくらいなんですよね。この回もあまりシナリオには触れません。というわけで第3話は「AMBULARE PUELLA」、訳すと「歩く少女」です。

この3話は、共通ルートの優姫と初めてのデート、つまりは学校案内をする回ですね。まあ今回はミコト先輩を含めた4人でのデートとなるわけですが。共通でもこれは3話でしたねそういえば。タイトルの歩く少女というのは、このみんなで歩き回ることを指しているのかなと最初安直に考えていましたが、たぶん違うような気がしますね。この3話が始まった直後のミコト先輩視点の話。まあ、実質サイドエピソードと言ってもいいかもしれません。ミコト先輩が一人、河原を歩いていたら彩と会って、会話を交わしながら学校に向かう。そこを示しているのかなと。本当ならばここに存在していない、不安定な存在。でもその幽霊さんは足をつけて自分の意思で歩いていて。目的のために、準一のために、実際忙しい身であるのに関わらず自ら赴いている。そんなところでしょうか。完全に想像ではありますが。

少し話はズレますが、この想像できる、させてくれるって大事だと思いませんか。物語を完全に説明してくれる作品というのもあるでしょうが、すこしもったいないと個人的には思うわけです。確かに完璧に理解できる作品というのは後腐れがなくていいでしょう。そこにあるのは、ただ純粋な面白かったか面白くなかったかの2つの選択肢です。でも、それ以上はないわけですよね。少し粗があって、説明が不足していて、だからそこはこうだったんじゃないかな、この人はこう思っていたのかな、とか考察と言わないまでも想像を膨らませる余地が残されている作品の方が、終わった後も何回も楽しめるのではないかなと思うんですよね。一粒で二度おいしい、みたいな。いやまあ、フルプライスえっちゲームを駄菓子かなんかで例えるのもどうかとは思いますけどね。

そんなわけで次いきましょう。第4話は「PAGUS MIRACULI」、意訳すると「田舎の奇跡」でしょうか。直訳だと地方、郊外の奇跡となるのですが、まあこの物語においては田舎と訳すのが正しいと思います。ただ、タイトルで田舎の奇跡と言っているけれども、その意味を回収するのはここじゃないんですよね……。話の元になっているのは湊ルートの選択肢を選んでいった時の共通第4話です。告白してきたメガネ男子を撒くために湊と海デートする話ですね。

この回は伏線が非常に多く、正直ここで取り上げるのは早い気がするものばかりなんですよね……。また、その伏線となる部分以外は大元となった湊ルート共通第4話とほぼ一緒であるため、今回もシナリオにはあまり触れません。というか今回はあえて飛ばすまであります。まあ結局後でまとめて触れることにはなりますしね。また、ミコト先輩もこの話では姿を現さないことからほぼ触れられません。一応声だけで少し出るんですけど。言った側から触れたじゃんというツッコミはいらないですからね。さすがにノーカンでしょ……。

というわけで第5話のタイトルは「DOLOR MEMORIA」、訳すと「苦痛の記憶」となります。大元となる話は共通5話、優姫が行動の倉庫に髪留めを落として一緒に探していたら閉じ込められてしまうという話でしたね。まあ、今ルートで閉じ込められるのは優姫だけですが。いわば、ぱられるワールドですからね。そういった意味でもぱられるなんでしょうね、CS版は。CS版の話をあまりここでするときっととても怒られるだろうと思うので、あまり掘り下げることはしません。

ところで、今年(これを書いているのは2018年です)はCS版の10周年記念の年なんですよね。あかね色に染まる坂という作品はPS2版も出て、アニメ化も果たし、ぽ~たぶるとしても名を馳せた息の長い作品だったわけですからね。きっと新規描き下ろしグッズが出るでしょう。たかがデータのソーシャルゲームなんかに課金しないで、計画的に貯金していくことをオススメしますよ。こう、将来的に。

そうですね、ミコト先輩と湊のダブルテニス少女タペストリーとかどうですか?基本的にはつばす先生と涼香先生で1人ずつという形になると思うので、つばす先生がミコト先輩と仮定すると、順当に考えると湊が妥当です。しかし、片方が湊だとすると強力なライバルが現れることにお気づきでしょうか。そう、優姫です。片方が湊だとしたら順当にいくと優姫になってしまうんです。これを世間では「パラドックス」と呼びます。我ながらこの例えは会心の出来ですね。引用してもいいですよ。なに、器が大きいのでそれくらいで目くじら立てたりしません。

気を抜くとすぐ脱線する癖は何とかしたいものですね。語りたがりオタクというのはだから嫌われるんですよ。相手が興味失っているのに気づかずマシンガントークしてくるオタクなんて、鬱陶しいを極めた鬱陶神ですからね。HAHAHA!あれ、なんだか今冴えてますね?

さて、冴えているうちにタイトルを回収してしまいましょう。苦痛の記憶。準一が幼少期に苦しんだ正体不明の激痛が記憶の旅を繰り返しているうちに現実で再発してしまうわけですね。ちなみに先の4話のタイトルとなっていた田舎の奇跡というのはここで回収されます。面白い巫女さんと優しく明るい美少女姉妹がいたりした田舎、まあ完全に青丘の田舎です。

今でも元気にイノシシを倒したりしているのだろうかといった本家のネタが使われているとやっぱりほっこりきますよね。まあ、ライター同じだからね……。辛い記憶を明るく、優しい記憶で塗り替えることで、実際のミコト先輩に関する記憶も優しい記憶に準ずるものだけ思い出すようになった、とかそういう仕組みなんですかね。人生、優しい記憶だけ思い出しながら生きていきたいものです。

ところで、生きていると幸不幸の収支は釣り合うようになるという話がありますよね。個人的な結論から言うと、あれはまっぴら綺麗ごとでしかなく、実際は幸不幸の収支は長く生きれば生きるほど赤字になると思うわけです。

第4話で彩も言っていましたが、脳というのは実にいい加減なもので、記憶を自分の都合のいいように切り貼りしたりします。そしてその脳の持ち主はこの世で最も欲深いとされる人間です。人間は愚かしいほどに欲深いので、一度何かいいことがあってもすぐにそれ以上のいいことを求めます。つまりはいいことの記憶というものをすぐに消費してしまうということです。まあ、その次のいいことを目指す欲深さがあったからこそ人間は発展してきたのも事実なので、別に批判するようなことではありません。むしろこの流れは正しいと言えるでしょう。

ではよくないことの記憶というのはどうでしょうか。誰かに悪口を言われた、いわれのない理不尽を受けた、大切にしていたものを傷つけられた。別にこれ以外にも様々あるでしょうが、そういった記憶って中々消費できませんよね。起きたらまた思い出して嫌な気分になる、ようやく忘れてきたと思ってたらひょんなことでまた思い出す。ずっと残るんですよね。これが生きていればいるほど消費されずに蓄積されていきます。だからこそ不幸の比重は長く生きるほど高くなり、幸不幸の収支は赤字が広がっていくというわけです。自分で書いててしょうもないなと思えてきたので話を戻します。

この5話、幼少期の優しい夢、ミコト先輩と遊んだ記憶に新しい情報が追加されますね。相手のほっぺたを包んであげるという行為。誰かを安心させてあげるおまじない。あれ、これここより前に見たな、という方いると思います。そう、これも先の4話で見た光景ですね。

図書館で悪夢にうなされている準一を湊が同じことをして起こしてあげたわけですが。ルーツはここだったわけです。ここの幼少期ミコト先輩と準一の絡みは本当に、なんていうんでしょう、尊い……ってやつですかね。そこにあるのはただただ無垢な、混じりけのない愛情なんですよね。準一が表現した、心だけが繋がっていたい恋愛というのはまさによく言い表したものだと思います。精一杯背伸びしているかのような準一を受け止めて、余裕のある、この時からもうミコト先輩は年上のお姉さんだったんだなあ……。ほんとにもう、なんていうか、その。しゅきだ……。(思考放棄)

そんな夢の世界から帰ってきて、そこにいた今のミコト先輩と重ね合わせたことで眠っていた激痛が戻ってきたのを本家本元のおまじないで治してもらうわけですが。この後の流れも実にミコト先輩なんですよね。本当はすごく心配しているのに、心配をかけまいと強がる準一の思いを汲んでその強がりに冗談で返すんですよね。でも本当は、本心はあながち冗談のつもりでもないんでしょうけどね。そんなに聡くて、息が詰まったりしないんでしょうか。早く、早く救ってあげたい……。

優姫を講堂の倉庫から助け出して、駅まで一緒に帰る時も、交わす会話にどれだけの想いが籠っているか想像するとこの時点で結構涙腺にくるものがあります。長瀬くんが苦しむ姿は見ていたくない、どうして仲良くしてくれるのかと聞かれて、長瀬くんが気になるからだとキッパリ答える。準一の痛みが再発した。講堂に行く前にあったなごみには勘付かれている。タイムリミットは刻一刻と近づいている。本当に綱渡りのような状況で、なお譲らない誠実さがある。なんて優しくて、強くて、眩しい人なんでしょうね、ミコト先輩というお方は……。

そんなわけで第6話「PROMISSUM」、訳すと「約束」です。これはそのままですね。夢の中で準一が彩と夕暮れの屋上で会おうと約束して、それが果たされるというのが今回の話です。ちなみにミコト先輩は今回声ですら出演しません。残念。まあ、ミコト先輩は3年生ということもあり、実際に忙しい身であることは言及されているわけですからね。こういう回もあるでしょう。仕方ありませんよね。(泣)

大元となるのは共通8話、観月先輩とデートする回ですね。観月先輩とのデート回と言えば、冬彦の黒スト理論が聞けることが印象的でしたが、地味にこのミコト先輩ルートではテーマが違います。肌ワイです。裸ワイシャツ。興味がある方はすっ飛ばさずどうぞ。ちなみに自分も杉下先生と同じく、王道を征く白のぶかぶか派です。(隙あらば自分語り)

観月先輩とのデートを蹴って屋上に行くと彩がいて、夢での準一と自身の能力について教えてくれるわけですが……、ここはこれ以上ないので、特に掘り下げることなくささっと先に進んでいこうと思います。

というわけで第7話「RUFUS CLAMARE」、訳すと「赤い叫び」です。これもそのままですね。徐々に明らかになっていく事故の記憶。血塗れになりながら叫ぶ準一自身の記憶が蘇ることを示しているとみてまず間違いないでしょう。

基本となっているのは共通第9話、湊がいつぞやの見苦しいメガネ男子のようなのではないマジモンのイケメソに告白を受けていろいろと思い悩む、あの回です。湊ルートで書いたような気もするんですけど、勝手な理論づけを相手に押し付けて食い下がるメガネってやっぱり厄介オタクっぽい気がするんですよね。絶対に暗い所を一人で歩いている時に薬品嗅がせて昏睡させてきそう。そういうのはゲームの中だけにしておきましょうね。いや、これゲームだったわ……。

まあぶっちゃけその辺りは湊ルートの話で書いたのでここではスルーです。重要なのは湊の悩みを受けて、自分も悩み始めた準一の相談しようとする相手が、このルートではミコト先輩になるということです。

ミコト先輩にちょっと相談に乗ってもらおうとしたら唐突に蹲ってしまう準一。意識が戻ってミコト先輩が泣きそうな顔で心配してくれているのに対し、ほっぺを包むおまじないで心配いらないですよと返すんですよね。ここのミコト先輩の表情の遷移が見ているこちらとしては本当に辛い……。嬉しいのに、悲しい。素直に喜ぶことが出来ない苦しさというのがひしひしと伝わってくるんですよね。それでも、準一が癒される橘ミコト先輩であるために笑顔を見せる。

あれですね、準一とミコト先輩はお互いがお互いを気遣いあっているように見えますが、基本的にミコト先輩が一枚上手なんですよね。準一がミコト先輩を思っての行動を踏まえ、その上で準一の意図を悟って反応を返している。何年経ってもやっぱりミコト先輩はお姉さんなんだなあって感じです。

そう、我々が何歳になっても先輩は先輩で、お姉さんはお姉さんなんですよね。この年にもなって先輩だお姉ちゃんだ二次元にうつつ抜かしていて恥ずかしくないのかいい加減卒業しろとはよく言われるものですが、我々にとって年上お姉さんキャラというのはいつまでたっても、どれだけ追いかけても追いつけない存在であるため卒業なんてものはないんですよね。できるとしたら死ぬ時です。まあ物理的に追いかけることが出来なくなりますからね。死後の世界については見解が分かれると思うので言及しません。死ぬ時にようやくどれだけその背中に食らいつけたかが分かる。だからこそ我々は、その生を終える瞬間まで、尊敬する年上キャラクターに胸を張って向き合えるような、この人の背中を追っているのだと堂々と言えるような自分でなくてはいけないんですよね。うーん、ちょっと痛い考えかもしれませんね。これ以上掘り下げるのはやめておきます。

さて、実際の原因は違いますが、もしや貧血かしらんと場面はミコト先輩と一緒に保健室。まあ湊のことで悩み相談に乗ってもらうはずでしたからね。本題はそっちです。

この湊のことを考えるということについてミコト先輩の言ったことはノーマル共通ルートの観月先輩の言ったことと意味はほとんど同じではありますが、結論は少し違うんですよね。そしてそれは後々にも関連してくる考え方で。

『どなたかを大切に思うということは、その人のことを信じて、受け入れること。押し付けたりするのは違います』

ずっと見守る者の立場にいたミコト先輩が言うと説得力があるにゃあ……とも思うのですが、このずっと当事者でなかったがゆえの考え方が後々影響してくるんですよね。まあ。それはその時でいいでしょう。アドバイスをもらい、準一が自分に足りないものに気づき、ミコト先輩に告白めいたものをしてしまう、というところまで回収してテンポよく次の話に行きたいと思います。

というわけで第8話「AMOR ANNI」、ここは一番訳すの難しいんですよね。「愛の年々」……?ですかね。積み重ねてきた想い。この8話はミコト先輩がそれまで抱えてきた想いが放出されるいわゆる1つの山場を迎える回です。

もうだいぶミコト先輩ルートの真相に迫ってきているわけですし、大元となったのはここですねって話いります?いやまあ、共通10話の文化祭準備最初の回ですけど。

最初の文化祭実行委員の件はほぼ一緒なのですっ飛ばすことにしまして、さて河原を通って帰ろうとしたらミコト先輩とバッタリ会うというところからですね。バッタリ。うーん……まあ、バッタリではないんやろなあとは思いますけどね。

保健室での告白めいたものはいったいどういう意味だったのか、とからかいながらミコト先輩とデートとなるわけですが。ここのミコト先輩は雰囲気が明らかに違う感じがしますよね。穏やか過ぎるというか。いやまあ、これ書いてる時点で結末は知ってるし後付けですけどね。

どこかが違うと思ったとき、メインで使ってる笑顔が違うなと思ったわけです。ミコト先輩の笑顔の表情は数あれど、その中でも何かを慈しむような、母性に満ちた穏やかな笑顔の回数は、多い方ではありません。でも、あの準一をデートに誘う時の会話は10クリックにも満たないものではありましたが、間違いなくメインとなっていたのはいつものニコニコ朗らかな笑顔ではなく、何かを覚悟して、無理して作った穏やかな笑顔だったと感じたんですよね。勘ですよ。ええ。特に裏付ける文章はありません。でも準一もいつか優姫に言っていたように、なんとなくというのは大事なことだと私も思うので。自分の勘というものは積極的に信頼していきたいと思います。

そうしてデートはつつがなく進み、実はみんなを騙しているという軽いネタばらしも挟みつつ、この作品において出会いと別れの聖地、夕陽坂公園に。

ここまででも充分にプレイヤーは思い知らされているだろうと思いますが、ミコト先輩はやっぱり優しすぎますよね。先の騙しているという発言も、自分が全て悪いのだと抱え込もうとしての発言だったのではないかと思います。そして準一がこれまで抱えてきたものも。これから自分がやろうとしていることも。準一の自分に関する苦しみを全て取り除いて、いや、受け取って。そうして自分は誰に気を留められることなく消える。自分がヒロインになれるはずだった舞台から人知れず降りて、見守る者、物語の語り部という元の役割に戻ろうとする。でもそれは、先の7話でミコト先輩本人が言っていた誰かを大切に思うことの論理には矛盾した行為なんですよね。だってそれは間違いなくミコト先輩の優しさを準一に押し付ける行為なわけで。人の物語を見てきただけで、自分が主役になったことがないからこその理論と行動の乖離。誰よりも気を遣って、聡くて、鋭いミコト先輩も一皮剥いたらただの、普通の、不器用な女の子じゃないですか。決して特別じゃない。幸せになれないなんて嘘ですよ。貴女はもうサブじゃない。主役になっていいんだよ……。差し伸べられた手をとってもいいんですよ……。諦めることばかり覚えていくことが大人になるってことじゃない。そうだろ?諦めることが上手くなりすぎた結果、人生を諦めて仕事に殺される人もいるわけですからね。

なんか熱くなりすぎて頭こんがらがってきましたね。話の辻褄あってます?なんか感情が先走り過ぎていけませんね。まあ、これ感想だし許されますか。熱量で勝負していきたいと思います。(何と)

こうしてミコト先輩は離れていこうとするのに対し、準一は先の7話でミコト先輩が言っていたことそのままの行動をしようとするんですよね。ミコト先輩は騙している。でもそれはきっとこの先輩なら必要なことなのだろう。きっと理由がある。そう信じた上で、ミコト先輩のことが本気で好きだから大事にしたい。それは、ミコト先輩のあの時のアドバイスを準一が自分なりに噛み砕いて理解したからこそ辿り着けた結論で。

手に入れたい、とか付き合いたいといった欲望じゃない、純粋な好きという感情。これはミコト先輩と準一が初めて会ったあの時に抱いたものと同じもので。幾年幾月経って、大きく、逞しくなっても準一はミコト先輩が好きだった準一のままだったということなんですよね。そりゃもう、ミコト先輩でも長瀬くんはズル過ぎるって思っちゃいますよ。

何年も想いを積み重ねてきた。今の今まで、そう今この瞬間までも、私はロマンスグレー好きなのでと相手の好意を断る初恋の約束を守り続けるほどに。それは紛れもなくタイトル通りの愛の年々で。積もり積もった想いが溢れて、思わず呼び方が準一くんとなってしまうほどにミコト先輩をせき止めていたものはもう限界を迎えているのに。それでも、ここまでやってきたことを無駄にしないために、自分の目的をきちんと達成するために、大好きな準一のためにミコト先輩は最後までやりきるんですよね。最後のキスにどれだけの気持ちが籠っていたのだろうと考えると途方もなく果てしない気持ちになります。本当に強くて、優しくて、カッコよくて、眩しくて、素敵で、そして不器用な人なんだろうと涙がしばらく止まらなかったのはいい思い出ですと言いたいところですが今もなので思い出ではないです。

ミコト先輩がいなくなって、第9話「MYOSOTIS ALPESTNIS」、訳は「勿忘草」。花言葉は「私を忘れないで」、です。話としては、ミコト先輩の記憶を無くしてしまった準一が、心に謎の穴が空いた感覚を覚えながらも文化祭の準備に走り回って充実した日々を送っている中、彩と再会したことでミコト先輩を思い出すという感じですね。

しかし、ならばこの勿忘草というタイトルはどういった意味なのでしょう。これは準一だけに植え付けられたミコト先輩の残滓のことを指しているのではないかと思います。

ミコト先輩はほっぺに手を当てるおまじないで準一の痛みを取り除くことができ、記憶も消すことができるようであったことがここで分かるわけですが。それならば、反対に与えることも可能なのではと思うわけです。物語的には定石ですからね。

じゃあミコト先輩はどこで自分自身を植え付けたのでしょう。まあやっぱり、先の8話、ミコト先輩が霞んで見えなくなっていく最後の瞬間のキス、だと思います。記憶というのは上書きが基本です。ミコト先輩はほっぺたに手を当て、確実に記憶やら諸々を吸い取っていた。しかし、吸い終わった後に接触したことで消しきったはずの部分が微かに上書きされ、記憶が完全に消えていないという状況が出来上がったのではないかと思うわけです。

本当は私のことを忘れてほしくないと強く思っているがゆえに、接触の影響が強くなるのは当然理解できますよね。それが理解できないミコト先輩じゃありません。だからあのキスは、ミコト先輩にとって理屈を越えた、もう制御不能の行動だったのではないでしょうか。そのため、能力のベクトルも制御できなくて、結果的に準一の中に勿忘草が植え付けられた。でも、それがあったからこそ、彩のヒントを聞き、河原できっかけを掴んだ準一はミコト先輩を思い出すことができたのだと思います。

それじゃあそのようやく思い出したミコト先輩はどこにいるのかというのが、第10話「MIRUS LEMURES」、訳すと「素敵な幽霊」です。ここは割かし簡単ですね。この素敵な幽霊というのはミコト先輩のことです。今や皆の記憶に残っていない、もしかしたら生きていたのかどうかも分からない不自然な存在。そんな彼女が本当は生きていて、大きくなってさらに素敵に成長していてほしいと準一が願っているわけです。

でも、そうして願っていてもミコト先輩は見つからなくて。まさにこの10話の予告そのままです。どこを探しても、彼女はいない。どこを巡っても彼女はいない。結局この回でもミコト先輩とは会えません。寂しい……。

でもまあ、この10話で重要なのは彩との約束ですからね。もし、ミコト先輩に出会えたなら幼い頃に貰ったリボンを返しておくこと。後々これが物語をハッピーエンドに導くために必要となるわけです。

ところで彩と一緒に来ているということでそこにすいすいと小夏がいるのなら絵も欲しかったにゃあ……それはさすがに欲張りというものでしょうか。でも、シリーズものの前作キャラがそこにいるというのに文章でしか暗示されないというのもちょいと意地悪じゃないですかね?期待しちゃうのが信者のサガというものですよ。全然欲張りじゃない、当たり前の欲求なんだよなあ……青丘20周年記念タペストリーとかやると思いますかね。いや、さすがに無理か……。

そんなわけでミコト先輩に会えないまま第11話「CONFESSIO」、訳すと「告白」、もしくは「懺悔」です。ミコト先輩に会えないまま文化祭が終わり、もうだめだぁ……おしまいだぁってところに思いが届いたかのごとくミコト先輩が駆けつけてきてくれるわけですね。

このどうやって準一の元に駆けつけてきたのかって、この時点では疑問に思う人が多かったんじゃないかなと思うんですよね。ぱっと見、ご都合主義っぽくも思えます。まあ、順当に考えると、キャンプファイヤー前に、準一が夕焼けの方向に思考をなごビームする描写があるので、そこから会いたいという強い思いが届いたのかなといかにも超常的な結論になりますしね。それか、先の10話で会った彩が会った日の夜に夢を通じてか何かしてミコト先輩に働きかけた可能性。だいたいこの二択になるかと思います。まあ結局どちらも違うんですけど。悩ませ方が上手いですよね、この作品。だから10年経ってもまだ飽きないんですけど。再プレイするたびに記憶消してやり直したい……。彩のような暗示使える方、お待ちしてます。

そんなわけで無事ミコト先輩と再会を果たし、事の真相を聞くわけですね。これで優姫ルート、湊ルートで話されず残っていた謎が回収されるわけです。湊の幼少期、渡したリボンの意味。ようやく、本当の意味でミコト先輩がヒロインになってくれたんんだなあと感慨深くなりますよね。ここまで、ミコト先輩の苦しむ顔を見るのも、その心は泣いているんだろうと想像できてしまうのも本当に辛かった……。本当に、本当に良かった……。(語彙力無し)

いやまあ、シリアスは終わっていなかったってすぐに分かるんですけどね。どうしてこの2人だとこうも立ちはだかる壁が多いんだとつい悪態をつきたくもなるというものです。僕はただ、準一とミコト先輩が幸せな日々を送ってくれていればそれで満足なのに。まあ、人生とは中々ままならないものと相場が決まっているので、泣く泣く納得して見守るしかないのですが。

初恋の思い出の場所を卒業前に見ておこうと思って河原に来たら偶然準一を見つけた。ついに見つけた初恋の人は、大きくなってとても危ういほど優しい人に見えた。ミコト先輩は事件の当事者です。だからこそ準一の中に眠る危険に体が反応したというのは当然理解できることですし、間違いではないと思います。でも、きっとそれだけじゃないんですよね。ミコト先輩が準一の中に潜む危険に気づけたのは、自分も準一のような危ういほどの優しさを持っている人だからなのだと思うわけです。

人は自分の知っていることしか知れません。いくら想像しても限度というものがあります。それが目に見えないもので、内に秘められているものなら尚更です。今こうして書いているこの感想だって多分に想像妄想が入っています。実際的外れなものも多いでしょう。それは結局のところ、私自身が準一を、優姫を、湊を、つかさを、なごみを、観月先輩を、そしてミコト先輩に冬彦や杉下先生と言った登場人物のことを知らないからなんですよね。

その人の本質を知るということは、自分もその本質を知っていなければ出来ないんです。別に、知らないから的外れでもいいだろ、と自分を擁護したいとかではありません。何も知らない人間が知らないことを知りたいのならば、想像するしかない。そしてそれが正しいと教えてくれるものがないならさらに想像していくしかない。想像に想像を重ねて、限りなく真に近づけるように洗練し続けていくしか取れる方法はないのだから、極限まで知りたい相手の気持ちになりきれるよう日々精進していかないとね、という話です。くそ面白くもないくせに周回が必須なゴミクソソーシャルゲームなんかにうつつ抜かしてる暇があるのなら、もっと有意義なことに時間を消費していかないと、後世の子供たちに胸を張って自分は立派な大人だと言えなくなりますよってことです。他意はありません。

でも、自分で私は立派な大人って言ってるやつは、基本大した大人じゃないですよね。誰がどう立派という意識は他人から認められることで初めて成り立つ客観的なものなわけですから。あの人は○○で立派な人だと言われるならともかく、自分で自分は○○で立派というのは、自分の評判を下げるだけなので控えましょうね。もちろんこれも他意は全くありません。

何の話してたんだっけ、と分からなくなる前に話を戻すとして。ミコト先輩の過去を知り、今現在の状況を知り、2人でこの苦痛の記憶を乗り越えよう、じゃあどのようにしてと相談する流れでえっちシーンと相成るわけですが。

ここのミコト先輩の破壊力はとんでもないですよね。なんでしょう。ミコト先輩ってとても素直な方じゃないですか。だから大好きといった好意の言葉がストレートに刺さるんですよね。それが3連発してくるところはもう心臓がどうにかなってしまいそうでしたね……。しかもここで思い出のリボンを返すときのミコト先輩の重さがまたいいですよね……。再会の約束は果たしたから今度は別のものを渡さないと、で婚約指輪とかいかがですかって発想になるのがもう……重くてしゅき……。それだけ好きを重ねてきたお方だからまあ多少はね?

拙者、えっちしている時にひとりえっちしていた経験がバレるシチュエーション大好き侍なんですが、ここのそれは青丘のののか先輩のオマージュでもあるのでさらにお気に入りです。やっぱりおマセな女の子、年上の先輩というは寂しいときにひとりえっちで身体慰めていてほしいんですよね。100点満点中……100点です!

また、ここのえっちシーンの終わりには優姫にもあったような添い寝シーンがあります。いいですよね、添い寝。事後の幸せな2人の語らいとか老若男女問わず皆好きだと思いますので、全てのゲームが積極的に添い寝シーンを入れていってほしいものです。さらにミコト先輩のこの添い寝CGは、準一の顔を無邪気にツンツンと突く、本当に幸せな気持ちが伝わってくるエフェクトがあったりするんですよね。ミコト先輩……、本当に、本当に良かった……。もはや涙も枯れ果てたとは思うくらい泣いてはいましたが、人間、案外涙はそう簡単に尽きないものですね。泣きすぎて死ぬということは無さそうなので、泣きたいときは思う存分泣きましょうね。

そういうわけで遂に最終話、第12話は「CREPUSCULUM SOMNIUM」、訳して「夕暮れの夢」です。あれ?このタイトルここではないどこかで見たなという方、いると思います。そう、このタイトルは準一が図書館で悪夢を見た時、亜矢先輩が貸してくれた本のタイトルと一緒のものです。

ミコト先輩と幸せな眠りについたはずが、次に目覚めると夢の中だった。いったいどういうことだってばよ……って話ですね。まあ言ってしまうとおそらく迷い込んだのはミコト先輩の夢なんですよね。

発作を抱えていて不安が強いのはミコト先輩の方です。1人で苦痛の記憶に耐えきるために準一に近づいて、何とか回収したのに、どうしても怖くて準一に縋るように会いに来たというくらいに、あのミコト先輩が大きな不安を抱えたまま眠りに入った。横で、どちらかといえばおそらくミコト先輩と繋がれた喜びの方が強い準一が寝ていても、夢の影響力が強いのはミコト先輩の方だということは明白です。

一応彩は君たちの夢と言っていますが、あくまで夢を見ているのはミコト先輩で、隣で寝た準一は、寝る前にとてもミコト先輩と心が繋がっていたということもあったことからミコト先輩の夢に入り込むことができ、実質夢の共有をしているという状況なのではないかと思うわけです。

それにしてもこの夢の中での死、というのは青丘の小夏バッドエンドを思い出しますね。あれ、キッツかったんですよねぇ……。死ぬこともそうですが、残された春菜のことを思うと激しく息苦しくなります。正直、そう何度も見たいものではありません。というわけで駆け足で進んで、ついに思い出の河原でミコト先輩の意識を見つけ、いざ2人で痛みを克服するぞというところです。

この痛みに耐えている描写にはいくつか一人称が出てくるんですよね。「自分」、「じぶん」、「私」、「俺」。不自然な一人称の変化もあり、最初は誤字かなとも思った箇所もあるのですが、よく考えたらこれ、2人の思いが入り混じっているということを表しているのかなと思うわけで。こういう不自然な点に意味を持たせている描写しゅきぃ……。気づけた時の脳内物質がドプドプ出てる感覚がたまらないんですよね……。

そうして耐えきって、その耐えきれた描写がまたいいですよね。

昨夜の(処女喪失の)痛みもとても痛かったし、今の一緒に苦痛の記憶をなぞっていくのも死ぬほどの痛みだったけど、繋がっている痛みは苦しいだけじゃなく、とても幸せなことなんだと思える。だってそれは、一緒に生きているということだから。(要約)

ああ……、ミコト先輩が準一の元に戻ってきたのは大正解だったんだ、というのが分かりますよね。準一と繋がっていなかったらおそらく乗り切れなかったのではないでしょうか。本当に間に合ってよかった……。準一、やっぱりお前がナンバーワンだよ……。本当に、本当にありがとう……(号泣)無理ですね。理性的に書こうとも思いましたが、無理。ただでも少ない語彙がさらに引き出せなくなってしまうので。やっぱりこういうのって書くんじゃなくて実際にオタクマシンガントークで放出していきたいもんですよね。とても今さらですが。

そうして物語はエピローグ。2人で乗り越え、掴んだ本当の日常。これからもずっと続いていく、2人の物語。だからこそ、『目の前のふたりには、これからの、物語。』なんですよね。オープニングの歌詞を回収していく表現に死ぬほど弱いので、ここでまた少し泣いたのはいい思い出です。ええ、こっちは思い出です。とりあえず再プレイの時には泣かなかったので……。

ここまででも相当私の心は限界だったわけですが、最後の最後までミコト先輩はズルいんですよね……。夕暮れの河原で、2つのリボンをつけて制服でもこれまでの私服でもない、新衣装で登場し、そして最後に

『きちんとわたしのこと、覚えていて下さって、ありがとう!』

なんて、なんて、なんて綺麗な幕引きなんだ……。そこで回収してくるのか……と戦慄しましたね。プレイヤーというのは、たくさん考えて、想像しても、結局ライターの手の平の上で転がされるしかないんですよね……。

最後の最後まで最高の時間をありがとう。これぞまさに彩も最初に言っていた、ネバーエンディングストーリーを体現した恋物語だった。そんなルートだったのではないかと思います。

というわけで最後の総評をば……とはなりません。まだこの物語には続きがあります。ミコト先輩ルート第12話には隠し選択肢があるんですよね。夢の世界でミコト先輩のいる河原に向かう前の選択肢で、「彩に礼を言う」を選ぶと最後の最後に追加される物語。

問題を解決した後、夢の中で彩と再会し、今度は現実で友達として会おうと約束する話。

ここで彩が、僕はね、約束に弱いんだよと言うわけですが。これってもしかしてミコト先輩と準一の話のことも指しているのではないかと思うわけです。初恋同士の2人がかつてかわしたロマンチックな再会の約束。ミコト先輩に協力を求められて彩が承諾したのは、この約束にとても興味を惹かれたからなのではないかと思うんですよね。いやまあ、これも想像ですけどね……。

そしてこの物語もこれで本当に最後。最後に彩の満足そうな笑顔でFin。男の娘って、全然有りだな……と新たな性癖を植え付けてこのあかね色に染まる坂という物語は幕となります。嗚呼、本当に、今この瞬間、時間が止まってしまえば永遠に夢を見続けられるのに……もう夢に取り込まれちゃっていいや……そんな「夢のような時間」でした。


というわけで本当の本当に最後の総評です。

やっぱり文字数はまた増えてしまいましたね。まあミコト先輩は一番思い入れが強いキャラクターだったので、一番長くなるだろうという予感はあったのですが。だいぶ感情的な部分が目立つ、とても読みにくい感想になってしまったような気がします。反省はしてます。

他のノーマル5ルートは準一の機転だったり仲間の協力が物語のキモになっていたのに対し、このミコト先輩ルートは想いの力といったかなりファンタジー色の強い物語だったと思います。みんなで、というよりもう2人の世界、に重きが置かれていたのもこの作品としては異色のルートだったのではないでしょうか。なるほど、SPスタートなわけです。スタートして道が分岐していくのではなく、最初から外れたところからスタートするわけですからね。その言い方は実に正しかったと言えるでしょう。

ミコト先輩のルートは、総合的に……なんでしょうね、お互いがお互いを救う物語でしたね。2人を繋ぐ糸があって、お互いが糸の端を持って互いに手繰り寄せていき、最後、その手が重なったみたいな、っていうとさすがにロマンチック過ぎるでしょうか。まあ、オタクなんて常に夢を求めているものですし、多少ロマンチックなくらいが正常というものだとは思いますがね。
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そんなわけで、とてもとても長い思い出の旅をしてきたような気がします。これでこの感想も本当に終わりです。ここまで読んでいる人がいるのかは分かりませんが、いるのだとしたらここまで付き合ってくれてありがとうございます。また、貴重な時間使わせてしまってすみません。今度こういう感想書こうかなって時は、もう少し脱線しないでそのものズバリで表現できるような文章力をつけておきたいと思います。今回だいぶ自分の語彙力の少なさを思い知りましたからね……。

冒頭でも言った通り、このあかね色に染まる坂という作品は最終的にとても王道を征くADVだったと思います。バランスのいいキャラクター属性の散らばり、シナリオも全てとは言いませんが、かなり細かい部分まで考えられた完成度の高い作品だったのではないかと思います。

あまり触れませんでしたが、えっちシーンについてもメイド服、巫女、裸エプロン、前作ファン歓喜の前作制服でえっちなど、シチュエーション的に十分充実していたと思います。まあ、個人的には好き過ぎて逆に抜けないというものばかりでしたが……。初めてえっちゲームやるって人には十分勧められるラインナップではあると思います。ぜひ布教して新作グッズを出してほしいと一緒に声を上げていきましょう。いや、まあ押し付けにならない程度にはしましょうね。こう、人間関係的に。

さて、最後をあまり長々引き伸ばしてもアレなので、ささっと終わることにします。また、ここまでのめり込めるような作品にどこかで出会いたいものです。本当にお疲れ様でした。
新品/中古アダルトPCゲーム販売 通販ショップの駿河屋

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