bichigusoさんの「G線上の魔王」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

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誰もが心に悪魔を飼っている。
事前情報ほぼなしでプレイ。
何かトリックがあるということだけは知っていましたが、それ以外はブラインドの状態でやりました。
権三と京介は、車輪の国の法月とモリケンと似たような構図。
南雲えり役はTV局のプロデューサー。
開始から割と過ぎているし立ち絵もないしちょっとツカミは弱いかなと。
京介=魔王ではない、というのが仕掛けだというのは2章でほぼ確信してしまいました。
そう見せようという意図がちょっとあからさますぎます。
じゃあ魔王は誰なのか、というのが次の問題ですが3章(だったと思う)で死んだ兄と妹が居るという話が出てきて解決。
というか今作では先を読める展開が多くて何だか文章下手になったのかなという印象。
10まで数えるゲームでは指を"ヘシ"折るのだと提案した時点で読めたし、5章で魔王が死んでいないのもわかりやすかったし、ラストも親子の影が見えた時点でねえ…。
そもそもるーすぼーい氏の人間ドラマが肌に合わないので、リリコお姉ちゃん登場みたいにちゃんと騙してくれなくては、そこ目当てでプレイしてる方としては点数が辛くなります。
感動の押し付けはごめんです。
ただこの人の書いた純粋なピカレスクなら読んでみたいです。
実際ガッカリ感はまた華麗に騙されたくてハードルを高く設定してしまったのが大きな原因。
ハル以外の個別ルートに入ると魔王が大人しくなるのは別に減点材料にはなっていません。
魔王と因縁があるのはハルだけですし、ヒロインの個別ルートってのはその子とチュッチュしたりお悩み解決に集中するものですので。
こういう風にゲームの文法・お約束にだだ甘だから打越氏にはいつもコロッとやられてしまうのですが。
自分の基準からすると68点は低い点数ではありません。
良作一歩手前といったところ。

・椿姫ルート
弟が非常にウザイし、それを叱らない椿姫にもイライラ。
家を狙ってたとだけバラしても中途半端です。
どうせ露悪的にやるんなら、弟の誘拐のときチャンスだと思ったし警察もそのために呼ばせないようにしたってバラしたときの椿姫の反応が見たかったです。
一旦落としたと思ったら元に戻って、逆に変えられてしまったのは主人公の方という納得のいかないエンディング。
ハルが魔王直通の携帯を持っており「魔王」と話しかけたことに目の前にいる椿姫の父親が何も言わないのは変でしたが、後で椿姫が使うネタなので取っておいたということでしょうか。
私服があんな肩丸だしでミニスカの娘が世間知らずのウブっ子ってそりゃ嘘でしょう。

・花音ルート
自分の才能に振り回されて傲慢になってしまった少女の話。
車輪の国のさちの話はあのゲームで唯一泣けたんですけどこれはダメでしたね。
だって許してしまうんですよ母親を。
俺が嫌いなキャラを、どうして恋人が受け入れてしまうんですか?
あーもうこいつとは合わない、やってけねーわーって気持ちが冷めてしまいますよ。
それに再採点で2位に落ちてしまった場面で頭を下げず、不正を声高に叫んだであろう前の花音の方が魅力的でした。
なんていうか、あそこで凡人に落ちてしまいました。
母親の改心も不要で、むしろ読んでいて自分の心が冷えていくのを感じました。
嫌われ役は最後まで憎らしいキャラで居て下さい。
この3章の冒頭で魔王のボイスが入っていない箇所があり、仕掛けに対する何かのヒントかと思いましたが、最後までプレイしてみたら魔王はパートボイスというだけでした。
マブラヴオルタでも武の声が入ってる場所と入ってない場所で何か謎が隠されているに違いないと思ってましたね。
そういう意味では騙されやすいんですが自分。

・水羽ルート
この章凄く短くて恐らく一番面白くないです。
中身あまりないし、社会人になったら水羽全然可愛くなくなってしまったし、ユキが北斗南さんなので好きになれないし。
学生時代のイチャイチャ描写もっと見たかったのに勿体ないです。
京介と魔王は人違いされるくらいにそっくりさんなのにユキは京介に何も思わなかったのですかね。

・ハルルート
ハルが頭脳戦なら主人公は頭痛戦。
実は幼馴染でその部分だけ都合良く記憶を失くしている主人公の設定がちょっとありきたり過ぎるのと、前述したトリック部分ががっかりで5章はあまり面白いと思えませんでした。(実はもっと凄いどんでん返しが控えてるんだよな?な?と願いながらプレイしてました)
権三が主人公庇って死ぬのもキャラから外れてるという印象の方が強くて。
魔王がハルを殺したと確信していたのも、即死を見届けたのではなくゴンドラで野垂れ死に前提の表現だったというのが反則スレスレです。
確かに読者に嘘はついてませんが……ですが……。
ハルは母親の復讐にはこだわっていましたが、父親は殺されて当然の加害者であるという認識だったのが印象的です。
一章ラストでハルが魔王と対面して背格好がどうの声色がどうの性別がどうのと考察しますが、何のことはない一度ロシアで会ってるんじゃないですか。
そもそも京介が居るから魔王もいるので転校してきた(うろ覚え)みたいなことを言っていた気がしますが、ハルは兄が魔王だということを最初から知っていたんでしょうか。

一番の見どころは最終章の面会シーンですね。
他のヒロインと別の未来があったかもしれないというところ、胸に響きました。
ここまで長いこと他ルートも読んできたのが報われた気持ちになります。
ああいうの見せられるとまた個別やってみるかと思わせられます。
栄一からの手紙もかなり良かった。
ヴァイオリンがまた弾けるようになるあたりの描写が丸々カットされていたのが残念です。
そういえば京介が「主よ、人の望みの喜びよ」を演ってくれって言いましたが、彼はカンタータはさっぱりだったのでは?
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