toto712さんの「プリズム・ハート」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

かなり成功を収めたぱじゃまソフトのデビュー作。今となってはほとんど見ることが出来なくなった数値管理型AVGで、さすがに現在プレイすると古臭く感じるが・・・
大野哲也氏の絵柄にはほとんど興味が無かったため旧作発売当時は雑誌のゲーム紹介を眺めていただけのソフトでしたが、プリズム・アークに同梱されていたので懐古の意味をこめてプレイ。

原画・CGは今でもさほど古さを感じさせないのに対して、ゲーム部分はかなり古臭いです。まずバックログがない。スキップ機能はあるが既読・未読の判定はなく読んでいない文章まで問答無用ですっ飛ばしてくれます。攻略も相当に面倒くさくて各ヒロインのEDにはたどりつけても全CG制覇はかなり難しい。

ただよくよく考えてみるとウインドウズ黎明期はこのようなタイプのゲームは多くあれくらいの難易度はごく普通で、逆に簡単だと文句を言われていたくらいだったのですね。穿った見方をすればシナリオの薄さをゲーム性で補っていたわけです。美少女ゲームにおいてシナリオが重視されるゲームが主流になってくるには、あと少し時を待たねばならなかったのです。

ということでシナリオについてはそれほど語ることはないです。こういった数値管理型のゲームにシナリオを求めるのは山の頂上でとれとれの海の幸を求めるようなもので土台無理なのです。だって休みの日にヒロインを心配していたかと思うと次の日から一週間そんなことを忘れたように訓練の日々。そしてまた休日になってヒロインの心配・・・なんてことをノベルゲーでしたら非難轟々でしょう。正直こういったタイプのゲームは数値の差によって起きる矛盾を発生させないようにするのが精一杯で(イベント時にぺこぺこしていた衛兵が普段の日になると怒鳴って追い出したりとか)シナリオの質まで気を配れないのです。
まあ実際このゲームでもキザーロフルート!!などにそういった矛盾はありましたが(というかエンドがあること自体知らない人が多いかも)まずまず頑張っていたかと思います。そこそこ良かったかなと思うのはメルとアーニャルートくらいでしょうか。

ただその二つについては声優さんの熱演に助けられている部分が多いかも。アーニャに関しては動物を演じさせたらこの人!という声優さんが担当していらっしゃいますし、メル役の声優さんもしっかり者の妹というこの人には珍しいタイプの役ながら難なく演じていらっしゃいました(トラになった演技は相変わらず絶品)それだけでなく他の方もなかなか好演。声優陣の芸達者ぶりが本当に光っています。
ただそれ以上に光っているのはヴォーカル曲でしょう。メインテーマの「ハートの風車」は合いの手が楽しいです。フルバージョンですとキザーロフやエコーらの合いの手が絶品で特におすすめ。ただゲーム内ではショートバージョンしか聞けないのが残念。他に騎士になれなかった時に流れる「ふたりの小さな未来」がこれまたいいのです。
このあたりは現在のエロゲーと比べても全く見劣りしません。

と、ここまで書いてきて思い直してみると、旧作発売時ヴォーカル曲が4曲もありフルボイスだったゲームなんてほとんど見当たらないことに気づかされました。現在ではどのメーカーもこういった方面に力を入れてきているのですが、当時は一部のソフトハウスを除いてこういった音の部分は軽く考えていたと思います。
デビュー作でありながらこういった点に力を入れてきたという点を考えてみてもぱじゃまソフトには時代を先取りする目があり、現在もヒット作を産みだし続けているのも当然といえるでしょう。
現在のぱじゃまソフトの成功もデビュー作をプレイすれば分かるといった意味でなかなか有意義な時間を過ごすことができました。
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