toto712さんの「もしも明日が晴れならば」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

主人公のあまりのヘタれぶりに、ぼくの心は主人公を離れ傍観者の位置へと旅立っていくのです。
主人公がヘタれだからといって、即それがネガティブ評価に繋がるわけではないのです。
まして主人公が必ずヘタれと定評のあるライターですし、その点は覚悟は出来てました。
しかも主人公自ら自分のことを卑怯者と蔑んだり(謙遜で言ってるわけでないところがすごい所)貶めたりするわけですから、明らかにライターはプレイヤーを主人公の位置に立たせないよう努力していることが分かります。その証左に割合ゲーム序盤からヒロイン視点やその他の視点が多用されます。これはプレイヤーを第三者の位置に立たせてその位置で物語に没頭してもらおうという一種のテクニックのように思われました。

ただプレイヤーを傍観者の立場に立たせてしまうとシナリオに対するアラがまるわかりになってしまうという欠点があります。プレイヤーが主人公と同化してしまうようなゲームは、どうしても主人公視点で見てしまうため意外に物語の矛盾点が気にならないものですが、傍観者の立場に置いてしまうと高い位置から物語を見渡せるためどうしてもアラが目だってしまう。よってこれは両刃の剣と言えるかもしれません。

つまりプレイヤーを傍観者視点にするというのは、よりライターの技術を要求されるというわけです。ラストで傍観者を「あっ」と言わせるか、それとも感動の渦に巻き込ませるか等々、ここにライターの発想力構成力文章力が懸かってくるわけですが残念ながらこのライターにはそこまでの力はなかった・・・これに尽きます。

実際、この物語設定だと明穂シナリオででのラストは予定調和にしかならないでしょう。メインヒロインだけにラストで驚かせたり展開はほぼ不可能。逆にいえば無難に纏まっているといえます。それでも感動が薄いのはプレイヤーが主人公の行動に怒りを覚えてしまい共感出来ないところにあると言えます。逆にいえば明穂の健気さに共感を覚えればそれはそれで感動を得られると思います。

問題は他のサブヒロイン達のシナリオです。物語設定的にこの三人のシナリオでいかにまとまったラストを提示できるかがライターの力量発揮という所で注目していたわけですが、これが今ひとつなラストでがっかりしてしまいました。

まず、つばさ。
彼女はほんと魅力的な造形で、くすくす師の地力を見せ付けているのですが、収束はお粗末。疑問形ばかりが残ってしまいます。
最後つばさは明穂の演技を見せるのですが、果たしてそれがどんな意味を持っているのでしょうか?そして、それよりもつばさは主人公に対してだけ演技をしているのでしょうか?それとも珠美たちにもしていたのでしょうか?
その点についてライターは全く説明していません。というより説明できなかったのでしょう。
まず、主人公だけにしか行っていないとすれば、すぐにばれる危険性があります。そして何よりそんな行動に意味も展望もない。よって誰に対しても演技していると考えるのが自然ですがそれだと重大な疑問点が起きてきます。
つまり誰に対してでも行っているとしたら、つばさべったりの珠美が黙っているはずもなく即座に除霊するか少なくとも主人公に状況を聞きにくるはずです。それが無いというのはどうしたことでしょう。
多分ライターはつばさが演劇部で才能豊かであるという伏線を生かすつもりで、そんなラストにしたのですが、それはライターの論理であって、あまりに独りよがりな論理です。珠美というキャラクターの存在・行動を完全に無視しており落第といっていいでしょう。

ちはやについては言わずもがな。主人公が明穂からちはやに乗り換える必然性がなく、ただの前世の因縁という理由だけではお粗末ものといっていいでしょう。

そして珠美。これが一番惜しい。
最後、明穂の携帯メールで頑なな珠美の心が氷解する。このラストは悪くないのですが、その豹変ぶりがあまりに異常で萎えてしまいました。明穂のメールがいかに絶大な効果があったとはいえ、あそこまで豹変出来るものでしょうか?ぼくには理解不能です。あそこまで珠美を豹変させなくとも、ごく自然な恋人としての態度に戻ることで珠美の不安が氷解したことを示せば充分傍観者の納得は得られたと思います。

ということで、残念ながらサブヒロインのシナリオについてはすべて着地に失敗しているという印象しかこのゲームにはありません。ライターはキャラクターを杓子定規的な感覚で動かさずにもう少し高い視点から動かして欲しいものです。そう、プレイヤーよりも高い視点から。
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toto712さんの「もしも明日が晴れならば」の感想へのレス

>それよりもつばさは主人公に対してだけ演技をしているのでしょうか?

私もこの点に関しては疑問があります。
ライターは「珠美の存在を無視して(あるいは忘れて)いた」のか?
それとも、「珠美の存在を忘れてつばさにはまっているプレイヤーなら瑕疵に気付かない、と思った」のか?
(私はプレイ中には気付かなかったのですが…)


プレイヤーに「本当にのりうつったのかも」と疑わせる
仕掛けはあってもいいと思うのですが、

・主人公と珠美が互いにつばさの様子を確認する可能性
・つばさが、主人公と他の人物に同時に会う可能性

の2つと、珠美がとりそうな行動を考えると、登校してもスルーなのは、
(幽霊が存在するか等とは別の意味で)無理のある展開に思えます。


つばさの行動の是非・妥当性はともかく、
疑問を縮減するには、話の進行をずらして、
演技の開始を28日夕方からにして「主人公と二人」の場面ですればいいと思いました。
(28日を休みにして、朝からでもいいけれど、他人物との接触率は上がる)

そう思ったのは、演技期間は10/27(金曜)の朝~29(日曜)ですが、
27朝に登校してから、28(土曜)の夕方に、
「呆然としているうちに、一日が経っていた」
の1行で飛んでしまうからです。
2006年05月04日13時47分44秒
レスありがとうございます。

確かにa103netさんの言われるとおり休日を挟み珠美との接触を避けるようにすれば良かったかもしれませんね。ただ問題はある程度主人公に悩ませる時間を与えないのはどうかといったところですね。悩む時間が一日だけというのは一寸短すぎる気はします。

ぼくはつばさの演技が珠美にはあっさりばれてしまうのですが、つばさに協力して欲しいと頼まれた珠美は断りきれずに共犯者の身に・・・・という展開が理想かと思いました。
もちろん珠美はあんな性格ですから、すぐに顔に出てばれてしまうかもしれませんが。それはそれでプレイヤーに推理する材料を与えて良いわけです。

ただ、この展開にも難があって、果たして珠美が死者を冒涜するようなつばさの行為を許せるかどうかですね。ぼくがつばさの行動の意味とか展望とかに触れたのは、珠美に共犯者になるよう説得する材料を、果たしてつばさが持っていたかと考えたからです。

この材料が乏しかったので、ぼくはこの方向での補完は断念しました。しかし強引にでも納得さえさせてしまえれば、一番良い道だったかもしれません。

実際どんな説明でも良いのですが、このあたりを有機的に説明し、プレイヤーを納得させられていれば、物語に深みが出てより感動を呼べたはずなのです。このあたりの心遣いに欠けていたがために、やや物語が薄っぺらく感じてしまった・・・ライターに高い視点から物語を動かして欲しいと願ったのはまさしくこの点からなのです。

まあ、実際こんなアラばかりつつくのは、ぼくだけかもしれないですけどね。姑みたいな性格、自分でも嫌になります、本当に。
2006年05月04日17時36分33秒

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