teisibounyuuさんの「ef - the first tale.」の感想

minoriというと『Wind -a breath of heart-』しかプレイしてません。相変わらずな飾った宣伝文句と作品コンセプトを見て、到底購入意欲は湧いてこなかったんですが、ライターで今更購入。尤も、1部と2部分割販売で、それぞれ担当が違うそうですが。なお、私は『ef - a fairy tale of the two.』に関して今回のPCソフト以外には何も予備知識のない状態でプレイしました。予想外になかなかの好作品に仕上がっていると思います。
 本作に対しなにより好感を持ったのは、作品としてウリにしている部分をしっかりと前面に押し出し、一定の成功を納めている事。
どうせ今回も駄目だろう、と思っていただけに意外(失礼)でした。

 パッケージにもある「情景を余す所無く描き出す繊細な演出表現とグラフィック」「景色を感情まで高める楽曲と動画」というのは流石に大げさであるとしても、
繊細で均整のとれたCGは人物・場の雰囲気を良く支えており、臨場感も高まっています。欲を言えばキャラクターをもう少し細かく描いてもらえれば、背景と調和が
とれたか。使い回しの立ち絵や同じパターンのイラストが一般の18禁ゲーより圧倒的に少なく、背景とキャラクターが一体となって物語が綴られている感覚があります。
(しかし、それらが独創的か?これまでにない物か?と問われると、映画でもなしアニメでもなし漫画でもなし、単に中間的な技法の集合でしかないのですが。)
 「成長」「幸福」「生きること」といったパッケージの言葉も、作品内の帰結を持って "これがテーマ" などと回答を提示するのではなく、人とは、変化し、抗い、
思い出を積み重ね、時には失い、そして得ていく者なのだ、という「道筋の一部である青春期」を自然に切り取っています。

 本作の内容は誰もが一度どころか一生歩み続ける道であるうえ、理解しがたい特殊な感情描写もないため、共感はできなくとも理解は容易でしょう。今現在同じ
ような悩みを持っている人、過去の自分を振り返って見る人……などなど、それぞれそれなりに受け止められるかと思います。
いささかティーン向け漫画(とくに少女漫画)風で、18禁ゲーム市場で売り出しても(年齢的な意味でなく)プレイヤーの求める方向が違うのではと気になりますが。

 一方で、テキストで細かに心情を追っていこうとすると違和感もあります。今作(1部)担当ライターのソフトは未経験なのですが、同じライターらしい
『はるのあしおと』体験版で感じた "実際にゲーム内で描かれている事とそこから導き出される表現・展開" に食い違いがある、というものです。
すっとぼけたキャラクターが多すぎて冗談の中に肝心なテキストを効果的に配置出来ていないのですが、そもそも表現できていない・CGや間や雰囲気やお約束で
分かってもらおう、なのかも知れません。人物の心情・行動理由がしっかりあって彼らが動いた結果、物語が紡がれていくというよりは、用意された各キャラクタの役割に
人物が追従する観があります。
 しかし、テーマからそれぞれの置かれた役割と主人公とヒロインの対比がしっかりしており、扱っているテーマも一般抽象的なため、外見の丁寧さや雰囲気をなぞるだけで
「状況を把握」しやすく、これはこれで手法としてありかと考えます。


 登場人物については、シナリオが現実的抽象一般的なテーマの割にいわゆるエロゲーの定番がそろっています。雰囲気や演出を取り払ったそこには、随分と定番な
キャラクタがいることに容易に気づくでしょう。まず体験版を試してみて、ちょっぴり電波でネジが飛んでて微妙に話がかみ合ってないキャラ達の会話がなかなか
楽しそうだったのが購入動機だった私としては、この点でそこそこ期待を裏切らないできでした。
しかし、登場人物それぞれで配置された役割に濃淡・大小があり、「みやこ」などは表面的な部分の彼女しかなかなか観られず「紘」の対照として取って付けたような
存在に感じられます。真面目に努力しているヒトから見れば悪気はなくとも嫌なヤツに見えますし、機会があるなら続編での巻き返しを期待したいところ。
 紘・景はもっと自分の打ち込んでいる物に対する立場・思いをもっと補足しないと、なんだか悩んでいる状況にあるのはとっても解るのですが(個人的な感傷や共感が
あればともかく)踏み込んでの鑑賞に耐えられません。
 「群像劇」と言っても、実際には章で視点が変わっているだけであり、互いの思惑が等しく存在し交錯しときにはぶつかり合う事もありませんし、外野である家族や
いるであろう友人達のスタンスをさりげなくもっと出しても良かったように思います。


 評価としては、宣伝文句に過大な期待を持たなければ、十分な品質・カタチがあるソフトウェアです。
 1部・2部仕立ての販売というのは、意図があって狙ったものか分かりませんが、とりあえず1部の1章・2章はそれ単独でまとまっています。どうしても
2部がないと完結しないワケではないが、2部で更に全体を俯瞰し総括する設定が出てきそうです。ただ「優子」に興味がある方は買わないとスッキリできない
でしょうが。


お気に入り:雨宮優子
      だって、なんか儚げで謎少女だし……。2部も購入超決定。
      主人公の少女漫画のヒロイン像について景と話ありましたが、伏線なんでしょうか?

      
      堤京介
      やたら口が悪いだけで実は真っ直ぐでいい人って描写が出来ていない・横顔が目つき編で凶悪な「紘」がどうもスキになれない……ので反動で割と良く
      感じるのかも知れません。なにも「逃避」だなんて言い切らなくてもいいのに、ただ真剣に突き進もうと思える物に出逢ってなかっただけだし、まだまだ
      その年齢で進路は決めかねるのがフツーだと思いますけどね。単になんとなくで何でも出来る秀才でもなく、それなりに"なんとなく"は努力もしてるし、
      成長ではなくあくまでも一時の安息の場を得た「景」とのコンビは、適度な優柔不断さ・もろい関係が、却って現実的です。
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