asteryukariさんの「はるのあしおと」の感想

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穏やかな作風ながらも、登場人物についてしっかりと描かれている。主人公と出会った彼女達が何を思い、どう変わっていくのか。読んでいくうちにどんどんキャラクターを好きになっていった。
この作品に対して初めに抱いた感想は「雰囲気の良い穏やかな感じ」だった。しかしそんなふわふわした内容などではなくて、それぞれのキャラクターにスポットを当て、そのキャラクターがどういった反応を見せるようになっていくのかが描かれている、非常に読み応えある作品だった。

この作品の良い所は「変わること」だけでなく、「変わらないこと」もしっかりと残している点で、これが個人的に非常に嬉しかった。登場するヒロインの多くが始めから自分なりの考え方を持って行動しているので、そこを無理に変えてしまわないか読み進めている最中は不安で不安で仕方なかったのだが…素晴らしい話の運び方だった。

単なる成長物語ではなく、ヒロインが主人公を通じて何を思い、どういった行動に出るのか。それに付随して生まれてくる葛藤や嫉妬なんかが本作の見所だと私は思うのだ。三人のヒロインのお話を読み終えた後に到達することができる智夏√も、物語の締めとしては良くできていたとは思うが、私としては「そこまで響かなかった」というのが正直な感想だ。

智夏√は他の√とは違い、「主人公の成長」について描かれているものであり、始めの頃の主人公を思い出すと中々くるものがある。三人のヒロインを通じて主人公自身も変わっていたのだと、よく出来ているなぁと感心もした。それでも心を揺さぶられなかったのは、やはり同調することができなかったからだろう。大きな不満があったわけではないが、冷めた目で見てしまった。

対してヒロイン達のお話はというと…素晴らしかった。特に和とゆづきのお話は本当に大好きで、どちらが好きかと問われると悩んでしまう。

和は始めこそ苦手かなと感じていたのだが、読み進めて行くうちにどんどん好きになっていった。努力して、試験でいい点数とって、人に褒められて。そんな優等生の彼女も実はからっぽだったのだと、生きている実感を得られたのは先生と抱き合ってあたたかさを分け合っている時だけだったと零す場面でもうぞっこんだった。

作中で最も芯のある、恋愛に現を抜かさないような彼女がだ。なんて素晴らしいのか。彼女は自分を「汚らわしい本性が現れる。ホント、くだらない女…」と罵っていたが、そんなことはない。それでいいのだと、私は言いたい。

そしてこの√はここから締めへの持っていき方も本当に丁寧なのだ。お互いがお互いの生き方を見つめ直し、その先で再び出会う。そこにわだかまりなんてない、ああ、これからのこの二人はずっと一緒なんだろうなと、そう自然に思わせるような作りをしていた。シナリオとしては一番好きかもしれない。

また、ゆづきの方はというと…こちらはキャラクターの考え方が刺さったと言うべきか、とにかく共感できる部分が多かった。あんなに可愛らしい性格、容姿をしていながら流されたりはしない。氷のように冷めていて、固い意思を持った彼女だった。

それを始めに感じたのは和√の中盤で、和に対して「自分の生き方をわたしに押し付けられても困ります…」と言い放つシーンでは度肝を抜かれた。そう、彼女達は親友同士だけれど、他人なのだ。私がこの作品に見入り始めた瞬間だった。

彼女の√に入るともう彼女の考え方について見つめるお話ばかりが続き、そのどれもがとても彼女らしく、且つ胸に響いてくる。そしてそうやって彼女の本音を吐き出させたからこそ、終盤の変化がとても眩しいものになったのだと私は思う。あの頃を思い出すだけではダメ、待っているだけではダメなのだと、そんな考え方をするようになった彼女を見て胸が震えた。本当にあのスピーチは素晴らしかった。



こんなにも考えさせられる、胸に響く内容だとは思ってもいなかったので、今はただ感謝するのみだ。出逢ってくれてありがとう。
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