カラスさんの「D.C.P.C. ~ダ・カーポ プラスコミュニケーション~」の感想

いい意味で雰囲気ゲー

一年中桜が咲き続けるという不思議な島を舞台にした萌え系のゲーム。
主人公は他人の夢を覗いてしまうという能力と、和菓子を手の平から作りだす能力をもっているが、
それ以外は普通のエロゲ主人公といった感じで、口癖が「かったるい」であることを除けば、普通の学生だ。

作品全体は明るい色調で、どこか淡々とした穏やかさのようなものを感じる。
それもこれも一年中桜が咲き続けるファンタジー世界だからこそ、だろうか。
一部、少し雰囲気が暗くなったり、空気が張り詰めるシリアス展開になったりするが、すぐもどる。
そもそも、この作品には、鬱やらシリアスなどと言うものはあまり似合わないので、これでよいのだろう。
なにか、シリアスっぽくなるととたんにそれを引き戻してしまうような独特の引力が、この作品にはあって、
ある程度シリアスシナリオを求める向きには恐らく不満があるだろが、
この作品の場合それが「ウリ」な訳で、これでいいんじゃないかと思う。
それどころか、ややご都合主義的に見えてしまうような部分もあるが、この作品においてはそれさえも気にならない。
そもそもにおいて、「ご都合主義」でさえ許容してしまうというのがこの作品の設定・世界観なわけで、
あまり深く考えずに、雰囲気に首まで浸ってのんびりプレイする、というのが、この作品を楽しむコツだろう。





・シナリオ

シナリオで印象に残ったのは、音夢、さくら、ことりの三人。
音夢とさくらの二人に関してはさすがはこの作品の二大ヒロインといった感じで、結構面白い。
ただ、読み応えがあって面白いという感じではなくて、全体的なバランスが上手く取れていて、完成度が高いといった感じだろうか。
どちらのシナリオも雰囲気とシナリオキャラが、バランスよくつりあっているという感じで、
これぞダ・カーポのシナリオ、という印象をもたらす。
作風としては切ない系のシナリオで、胸をえぐるような展開だとか、衝撃の展開といったものとは無縁だが、
そのぶん安心して雰囲気に浸り、読み進めることができる。
気になるのは、設定がイマイチわかりにくく、ピンとこないところだろうか。
全て読み終わった今も、この作品の設定に対する印象はどこかぼやけていて判然としない。
わかったようなわからないような感じ、といえば伝わるだろうか。
音夢シナリオもさくらシナリオも、論理的というよりは雰囲気的なシナリオで、
些細な疑問点があったとしても、こまけぇことはいいんだよと、雰囲気の良さに押し流されてしまう。
それを欠点ととるか長所と取るかは人それぞれだろうが、自分としてはむしろ長所であると主張したい。
枯れない桜が咲き誇る不思議な島が舞台の物語としては、論理的でわかりやすいきっちりしたものよりも、
どこか曖昧で茫漠として、まるで魔法にかけられてしまうような不思議の物語の方がよほど相応しい。

ことりシナリオは、シナリオそのものが面白いというよりも、
ことりというキャラクターが非常に魅力的で、キャラ補正でシナリオもよく見えてしまう。
シナリオがどうのこうのというよりも、ことりというキャラクターの魅力が前面に出されているという感じで、
シナリオを楽しむというよりもキャラを楽しむという感じだった。
基本的にはヒロインとイチャイチャしつつも、微妙な違和感や些細な疑問という形で、
ヒロインの謎がさりげなく提示され、ラストにおいてその謎とヒロインの問題が一気に解消されるというスタンダードなシナリオ。
ことりの可愛らしさと雰囲気の良さがあいまって、突出したところはないながらも安心して読み進めることができ、
ことりの可愛らしさを存分に味わうことのできる良シナリオだった。

それ以外のシナリオだと、
変化球気味ながらもそこそこ面白かった小春シナリオがやや印象に残るという程度で、
他のヒロインのシナリオは、あまり印象には残らなかった。
オリジナル版に触れていないので詳しくは知らないのだけれど、
「追加」されたとおぼしきヒロイン達と、オリジナル版のヒロインたちとの間のシナリオ面での落差というのが目に付いた。
上に上げた四人以外のシナリオは、なんかふつーという感じのシナリオで、可もなく不可もなく、ほとんど印象に残らない。
まあそれなりに、ヒロインの可愛らしさを引き出すことはできていたとは思うが・・・。
別に追加しなくてもよかったのでは?、と思ってしまう。
多けりゃいいというわけではないわけで、質を伴わずに量だけ増えてもなー、と微妙な気分になってしまう。
ただ、ヒロインが増えたことによる矛盾や、シナリオ面で辻褄が合わなくなってしまっているという事はなかったので、そこはよかった。
雰囲気を壊さずにヒロインだけ増えた、という感じだと思う、多分。





・アニメ版について

丁寧な演出が印象的なアニメ作品に仕上がっており、この作品を好きになったならぜひ見るべき。
キャラクターの感情や想いをさりげない形で淡々と描き、なかなか見ごたえのある作品に仕上がっている。
惜しむらくは、声が違うところだろうか。
こればかりは仕方がない、そういうものだと割り切るしかないだろう。
もし、声が違うからという理由で敬遠している人がいるならば、少しもったいないと思う。
これはこれでもう一つのダ・カーポ、別の作品だと割り切って視聴してみてはどうだろうか。

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