teisibounyuuさんの「シンフォニック=レイン」の感想

これだけの作品が出てくるのなら、これからもシナリオギャルゲー(18禁ゲー)をプレイしてみよう、という気力を頂きました。
 近頃のいわゆるシナリオ重視ゲームの傾向に対し、嗜好があわなくなってきているのかなと強く感じるようになり、
シナリオ重視のゲームは当分プレイするつもりはなかったのですが、このサイトなど、あちこちで"地味"に評判が良か
ったのが購入理由。事前情報はほとんど無しでプレイしました。


 主人公のクリス=ベルティンは、故郷を遠く離れ、音楽の街ピオーヴァで音楽学院に通っている。
 彼には双子の幼馴染みがいる。アリエッタとトルティニタである。
 トルティニタは彼と共に故郷を離れ同じ音楽学院に進んだのだが、恋人でもあるアリエッタは故郷に残り
 彼と文通を続けている。

 3年目の冬、卒業まで残り2ヶ月。卒業試験に備え、オリジナル曲を作曲し、歌唱のパートナーを探す必要がある。
 天性の才能に恵まれながら、目標のないまま無気力に過ごしてきたクリスに、何が待ち受けているのだろうか。


 以上、導入部の簡単なあらすじ。詳細はメーカーのHPをご覧下さい。
ギャルゲーですから、歌唱のパートナーは当然カワイイ女の子です。で、当然、故郷に残してきた恋人が気になって
悩むという内容になってきそうなものですが……?

 画面を流れる音符に合わせてキーボードを叩くミュージック演奏パートが時折挿入されますが、好きな人はどうぞ
という扱いでしかなく、音楽ゲームを強いるようなことはありません。プレイヤーが演奏せず、オートプレイで流す
ことも可能です。ある程度作品世界にはまった方であれば、演奏の上達具合が主人公とシンクロし、感情移入の手助け
になると感じると思いますが、演奏を楽しめないからといってシナリオの良さが損なわれることもありません。
「音ゲー」だからと購入のさい特に気にする必要は全くありません。

 シナリオですが、全体を通して、何か特別変わったアイデアがあるわけでなく、構成が面白いわけでもありません。
あっと驚かされる場面もありますが、それらは丹念に積み重ねられた心情の描写があってこそ発揮されるのであって、
技巧的なプロットによる効果ではありません。また、ゲーム世界の説明は少なく、行動範囲も限られています。
動的なファンタジーは期待できません。ロリっぽいキャラクタデザインですが、そっち方面で期待すると外します。
 ノベルゲームとしては、テキストに頼りすぎ、その他の演出が弱いのが、私としては残念。


 で、この作品、上に書いた通り、登場人物の心情の描写をプレイヤーを介し膨らませ読ませるシナリオ、という意味では
オンリーワンの力があります。そこを買って評価するならば、十分に優れたところのある作品だといえますし、終始その
魅力がとぎれることはありません。その他の欠点を忘れられるだけのシナリオだといえます。

 まず、シナリオに身を任せて安心して進められます。はぁ? このライター何やってんの? などと要らぬ突っ込みを入れず
に済むのでとても助かりました。
 良くできたシナリオには最低限必要なことですが、これを満たせてない作品がかなり多いのも事実。

 そして、ここが一番良かったなと感じたのですが、登場人物の会話や行動の描写から、心情を豊かに伝えることができている点。
単に字面を追うだけでなく、立体的に読み味わいながらプレイできるのが良し。
 「偽善」という言葉が何度か出てきますが、これはテキスト群にもいえることで、登場人物の裏と表が見え隠れしする様を味
わいながらプレイすると良いでしょう。さっさと読み流ししてしまうとこの作品の魅力の多くを殺してしまいます。
 テキスト単体で見ると、やや理屈っぽいのですが(もうちょっと表現を選んで欲しいなとか、誤字も気になりますけど)、テキスト
の羅列によりキャラクターを引きずり展開していくのではなく、心情が内から自然に染み出て、それぞれのの登場人物がそれぞれ
の感情を持って作中で動いているのだなと実感できます。

 伏線の入れ具合も上手く調和しており、多分こうだろうなと、登場人物の心情を伺い交えながらプレイできることに貢献しています。
その上で、予想できる展開に持っていきながら、その中で更に予想を上回る味わいを醸しつつ、更にその先へと期待感をとぎれさせません。
 (どいつもこいつも裏表があって、そこをどう相手に見せるのか表現するのか、が面白いのですが、必然的に鬱っぽくなってしまう
  ので、ゲームのシナリオとしては気軽に勧め辛いんだけど)
 とくに、複数の登場人物の思惑が絡み合うと実に面白く、シナリオ読むだけゲーとしては久々に満足の出来る部分がありました。
ただ、残念なことに、全体の整合性・バランスとなるとさほどでもなく、たまたま登場人物が上手く交わったときに期待させられる
ることもあった、程度であったのも事実。もうちょっと登場人物を互いに絡められたら良かった。

 シナリオ後半になってくると、主人公と攻略対象のヒロインとの2人以外の人物が綺麗サッパリ削ぎ落とされがちです。
シナリオを実践し転がしてゆくことに関しては十分な出来の作品ですが、登場人物の相互の位置づけと整合性、エンディングの演出、
など、トータルバランスはよくありません。恐らく、並のライターが同じ企画でシナリオを書いたら、凡作以下の出来にしかなら
なかったのではないでしょうか。あと、BGM単体ではさほど気に入ったモノはありませんし、特別良いとは思いませんでした。
 (各ヒロインの歌詞がうまくシナリオを表してはいますが)


 攻略順序はある程度固定されています。私の場合、ファル → リセ → トルティニータ → 以後固定 でした。 

 いや~、ファル様ですよ、ファル様。初回プレイでガッチリとハートを掴んで、以後のシナリオも期待させられました。
彼女のシナリオでは人の持つ醜さが随分と強調されているように思います。ただ、思うに、ライターは何をしたかったのかなと。
 後半の彼女の描写と結末への過程の端折り具合は理解できるものの、感情としては納得できませんでした。
というのも、恐らく、主人公にとっての驚きを表現し展開に沿って前半のギャップを楽しんでもらおうという計らい(これは理解できること)
と同時に、彼女のいう醜さは作品内部から浮かび上がって来たはずのモノであって、我々プレイヤーの一般常識に訴え安易に引き出さ
れるべきモノではないからです。にもかかわらず、計算されたお約束とでもいわんばかりに、彼女を動かし突っ走られた展開にはちょっと
引っかかりを覚えました。あくまでも、彼女なりの処世術・不器用さを醜さと表現しているだけのことでしょう。なんか場面によっては
彼女がやけのやんぱちにしか見えないのだけど、そこまで極端にせんでも、ちょっと嫌なヤツモードにし過ぎです。
 とまどう主人公(プレイヤー)の着眼点を変化させることで、以前と変わらないはずの彼女の異なった面が見えてくるようした方が面白
くなったと思うのですが。

 役に立つから一緒にいる、役に立つから一緒にいたい、一緒に何かをしたい、一緒にいて何かできたらいいな、という人間関係は
どれも間違っていないでしょう。つき合いを重ねるうちに、自然にスライドしてゆくモノだと思うのですが、その過程が省略されてしまって
いるのがなんとも残念でした。エンディングを観るに、それなりにドライ?な関係は築けたのかな。
 (なんかこれから先が本番! 美味しくなるところでお預け状態ってのがどのシナリオでも多いな。おかげで期待させられて読み
  進められたんだけど、回収された伏線を膨らまし結末が描かれているヒロインは多くありません。結果的に、楽しめたのは確か
  ですから文句はいいませんが……プレイヤーとして何を受け取ったかを大切にしてますので。)
 同様に、リセシナリオでは某キャラをタダの嫌なヤツとして固定し、ヒロインサイドを浮かび上がらせているのもあまり感心しません。
主題歌にもあるよう、"それぞれ"の人間を対等に描写し、互いの人生観を衝突させるようなシナリオがもっとあって欲しかった。
 リセはファル様ほど魅力がなかったし、個人的にシナリオ評価は一番低いです。(^^;; 真面目にいっても、ネタも描写も平凡だし。
あのオッサンもっと上手く使えなかったのかなぁ。他の先生との関係を想像させられる描写も揃ってたし。

 トルティニタのシナリオは唯一中だるみを感じたところ(中盤で)がありましたが、ハッピーエンドルートではなかなか。これも今までの
積み重ねですね。けど……これもオアズケですか!? これで凡作シナリオだったら殴ってるだろうなぁ、上手いから期待させられたけど。
ですが、トゥルーエンドでは一転してノリノリになれます。主人公の心が晴れ渡ってゆくのが感じられますし、フォーニとのアンサンブル
が明るく楽しいです。(客観的に観ればおもいっきり社会不適合者だけど。主人公アブナイ奴ですな。)
 ただ、この作品、読んでくださいねという伏線ばかりですし、実際適度に読みながらプレイする方が味の出るシナリオだと思いますが、
フォーニの設定はなんか納得いかないんだけど。無理ありすぎ。(´-`).。oO(なんでやねん)
お約束の極みだけど、フォーニがカワイイので許せます、というのは冗談で、これまでの反動から、素直に喜べましたけど。
 フォーニは唯一の萌え担当でしょうか。タオル用意しにクライミングしてる描写をきっかけにやられた方が多いのでは。
コンプ後、モニターの上にダカーポのうたまるムニムニ人形と並び、鎮座してます。

 初回特典の1/1フィギュアは予想外に良い出来。通常版でいいやと思ってたけど、なめてました。
一体成型じゃなくて、結構本格的。もしかしてレジンキャストキット版も販売されたりしたのかな? ばらせばパンツまで拝めますし、
ちゃんと(太股から上がグラデーション付きで)塗装されてます。
 そんな暇があったら、髪の毛もシェイド・ハイライトいれとけって気がしなくもない。もちろん、羽はクリアパーツで。(笑)


お気に入りキャラ:お気に入りとはちょっと違いますが、気になるとなればやはり、ファルシータで決まりでしょう。追加シナリオ希望。
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