えびさんの「サイノガミ ~破滅も来るべき事柄も、望めば手中~」の感想

絵22+文19+音18+他08 前作よりは楽しめたが、もう少々、エンタメ性に振るなり、エログロに振るなり、なにか深みが欲しい。あと、ミニゲームいるかな、これ。
*映像面・・・
前作『コウミガミ』に引き続き原画に吉澤友章。
癖がある絵柄なのは相変わらずだが、『コウミガミ』よりは安定を感じられた。
たまえの痩せ過ぎな体躯は、キャラクター造形としては納得できても、やはり禁忌的
で好き嫌いが激しそうではあり、また加えてスラリとした手足や首の長さもあって、
昆虫や蛇爬虫類のような妖しさが感じられる。
一方、零佳改め零雅の男装は雰囲気もよく、脱いでもあぶない色気を感じさせるデザ
インは秀逸であり、キャラクターとしての魅力も他キャラを食っており、どちらかと
いうと、こちらをもっとストーリーの軸にした物語を読んでみたいと思った。

前作では、特殊な演出をいくつか見せながら、それらがごく一部にしか使われていな
いなど、演出面での粗さが目立った。
本作でも、それらの演出が作品の売りになるとまでは言えないものの、序盤中盤終盤
の各所に振り分けられていて、違和感は少なかった。


*シナリオ・・・
瀬戸内の小島『祈背島』(いのせじま)を舞台に繰り広げられた、前作の物語から五
年後の物語ではあるが、続編というよりはスピンオフ的な作品である。

『祈背島』を離れ、民俗学研究者と成った九鬼零佳の姿は“東京府”にあった。
神蛇零雅と名を改め、かつての古風で母性的な容姿も、まるで男性のように見違えて
いる。

零雅は、上司の命で、『イシンの村』の調査に向かうこととなる。
『イシンの村』は過去の事件をきっかけに、『ウチ』と『ソト』として二分され、行
き来も禁じられている。
その『イシンの村』でも、より古い因習に縛られ外部との接触を絶っている『ソト』
の村には、村人の病を立ち所に治してしまう『姫神』と呼ばれる美しい容姿の女の存
在や、身元不明の遺体がいくつも見つかっているなどという噂が囁かれていた。

零雅の『イシンの村』調査と時を同じくして、『ウチ』の村から『ソト』の村を訪ね
たのは、大垣框という猟師の男である。

そして、『ソト』の村で框や零雅が目にしたものは……


と言った感じ。

公式のジャンルの通り、フォークロア的なニュアンスも感じられるが、プレイしてみ
たところ、サイコ野郎どもの狂騒劇と言った趣の方が強い。
こういった因習や呪詛めいた物に縛られた、閉塞的な舞台の物語になると、村ぐるみ
の陰謀や姦詐が付き物だが、その辺りの雰囲気作りがあまり感じられない。

むしろ、そういった舞台描写よりは、零雅達が聞きつけた噂の当事者達の狂気の描写
こそが本作のメインとなっている。

……のだが、その狂気より、零雅やコウミガミの今後の物語の方が気になってしまっ
たというのは、はて。

面白くなかったという訳でもないし、狂人と成った彼らの過去や抱える想いに感じ入
る部分が無かったわけでもないのだが、全体的に見ても各個人で見ても、物語として
大分こじんまりと纏まってしまっているようにも思えた。


*音楽/声優・・・
折倉俊則による楽曲群。
前作の曲も一部採用しつつ作品の世界観を色濃く表現している手腕は流石。
そして、やはり特にBGM『静晨』は名曲である。

一転して、テーマ曲、ED曲のロックサウンドの極彩色が、ブサイクらしさを表してい
る。

声優陣は、アグ……じゃない有明あとりの、逝ってしまった笑い声がよく耳に残った
が、それ以外のシーンでは割りと普通というか、最近ご無沙汰だったものの、相変わ
らずの美声であるなぁ、などと感じたり。
他、普段の聞き馴染んだ声に似た数名(姉妹でしょうか?)などを軸に、メインどこ
ろのキャストはしっかりとした作品だったかと。

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