比翼れんりさんの「その日の獣には、」の感想

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刻み跳ねる足音は まるで御伽噺ね 息あわせて踏み出せば そう幕が上がる
minoriの最終作。重くありつつも光が差すようなテーマ性がブランドの方向性かなと思っていましたが、ラストにふさわしい設定と構成かと言われると、悩むところですね。

学園の部活動を通して描かれる舞台劇です。かなりこの設定を中心に据えているので、学園内でストーリーは進みます。要は、外に出ていくベクトルがないのが、悪い意味では閉鎖的な話に見えます。ただ、それが無駄な要素を排除した、ヤりたいことを詰め込む布石でもたるのかなと思います。

登場するキャラクターは限定的で、ここからも話が派生していく要素はありません。主人公のほか、ほぼ3人のヒロインとクロガネで物語が進みます。このクロガネを起点にして、各ルートは廻っていきます。大袈裟な演技がかった言動がどうも苦手ですが、それも「舞台」のひとつなのかもしれません。

義妹という立ち位置だと好きになることが多いのですが、瑠奈はツンを通り越したキツいキャラクターですね。その分個別ルートでのデレというか依存度合いはなかなかのものですが。基本的にどのルートでもそうですが、クロガネとの契約によって、演技等々が覚醒し、その分の対価を払って。瑠奈の場合には、大好きな主人公たる兄がやはりターニングポイント。契約に至るのもそうだし、契約を解除するのもまたしかり。特にペナルティのようなものもなく、既定路線をそのまま進んだ印象です。結末は落ちるところに落ちたと言うべきでしょうか。

舞雪のCVはくすはらゆいさん。minoriで大きく注目されるようになった気がします。今作でもヒロインの一角として、存在感があります。共通部分で初エッチがあるように、優遇されているところもあるかなと思いますが、その分魅力的なキャラクターに仕上がっていたと感じます。ストーリーベースは瑠奈と同じですが、その"代償"が後から示され、それがかなり意地の悪いものになりました。希望から絶望へのギャップが美しいのはわかりますが、クロガネの引き際があっさりしているのは、単に個別ルートでは物足りなさがありますね。

こちらも夏ペル以降のminoriを象徴する柚子奈ひよ先生が原画を担当する祈莉がルート固定でラストに攻略。作中ではいちばん好きなキャラですね。結論の感想からいえば、どのルートをとっても、やはり起承転結は似たり寄ったり。三者三様とはいきません。ただ祈莉ルートでは「ソノヒノケモノニハ、」の台本の種明かしも含まれており、本番で追記をしたように、できている物語の"その先"を意識した構成に見えます。読点を意図的に使っていることからも、予想できる部分は多いのですが、クロガネや詩乃の補完はそれほどされず、この作品でやりたいことをすべてやりきったと言えるのかなと疑問は残ります。

この作品をリリースしたことがラストメッセージならば、絵や音楽、演出等の引き続きの長所は感じますが、シナリオがイマイチ盛り上がりに欠けました。クロガネの声が大きかった以外は淡々と進んだ印象です。終幕はひっそりと、去り際はさりげなく、という気持ちでしょうか。

OPが原田ひとみさんではなかったことからも、解散発表前から違和感はありました。夏ペル以降の新生minoriからは、ほぼ毎作プレイしていましたが、ひとつ確たる信念を持って、18禁ゲームならではの世界観を描いてたのが印象的でした。“We always keep minority spirit”のとおり、商業ゲームを扱うブランドでは、珍しく、やりたいことをやる精神は、厳しい業界でも、ひとつ異彩を放ったいたように思います。需要と供給のズレはどこでもありますが、それが顕著になってきた結果なのかなと感じます。minoriの表現力というのは唯一無二で、奥行きある世界観と売りをハッキリとさせたシンプルさは、まだ一線に必要なものだと思いますので、スタッフのみなさんには、どこかでminorityを表現できる実りがあればと願います。お疲れ様でした。

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