比翼れんりさんの「キュリオディーラー」の感想

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treasure pleasure getting better 転んだってなんともないさ
AXLのファンタジーものはお約束になりましたが、前作の「文字通り地に足着かない」感じからは幾分か脱却したようで、まさに異世界RPGといったお話です。百花繚乱エリクシルやレーシャル・マージのような創作ファンタジーとはまた少し異なり、某ライトノベルのような、塔の階層を登りながらストーリーも進みます。共通ルートは短め(個別ルートもだけど…)で、各ヒロインごとのゴールを目指して個別に分岐していくイメージです。

リナリアは父の手がかりを追って塔に挑む新人さん。あまり挫折という概念がないのか、主人公を含めてまわりの手助けで最高層に辿り着いてしまい、ラスボスをも倒す金星を上げる、まさにヒロインという展開。ストーリーは読めてしまうのは仕方ないにして、大剣の伏線や効果は、え?それで終わり?と感じさせるもので残念。主人公の両親とリナリア父の帰還も約束されたものであるのはわかるのですが、その後の回収がイマイチ。時間の流れが違う空間なのは、10年という期間を置いてしまったから必要だとして、後日譚はダイジェストになっているのが、余韻を感じないエンディングに思います。3人のルートを組み合わせてひとつの話になっているならまた別なのですけれどね。

ファンタジーものの定石というべきか、お姫様ヒロインのカリン。手の届かない場所にいるわけではなく、共通ルートから主人公以下ヒロインたちとも交流がある、いわゆる庶民寄りのため、非常識や親の圧力といったものはありません。そのため、とても親しみやすくヒロインの中ではいちばん好感の持てるキャラクターでした。そもそものストーリーである上層の攻略からは横道に逸れる個別ルートに思いましたが、そこは姫たる設定らしい展開に。他国との戦争は、異世界ものの王道であるわけで、血が流れることも最近のAXLでは驚きではないです。が、せっかく塔と冒険といったドキドキ要素をベースにしたのに、この派生は個人的にはアナザーストーリーのようで少し残念な気持ちがありました。

ミラは妹のようなヒロイン枠。ある程度の好感度があるので、個別ルートは流れるようにステップアップしていきますね。肝心のストーリーは、これも本筋とは少し外れたものですが、作品の設定をなぞりながら、事件を契機に進んでいくもの。展開は嫌いではなく、ヒロイン以外の各キャラクターが活躍する場面があるため、方向性としてはひとつあるのではないかなと思いました。しかしながら、そもそも事件の発端たる過去の話や敵役があまりハッキリとせず、全体的に霞を相手に対峙しているようです。AXLらしいといえばらしいのですが、大きな世界観に反して作り込みが甘く感じた部分でありました。

フルプライスでリリースしているわりには、正ヒロインは3人。エッチシーンのあるサブヒロインとしてあと2人ですが、ルート分岐はあるものの実質的には無いようなもの。これで各ルートに中身があったり、TRUEルートのようなものがあったりすれば、納得もできますが、あからさまに内容が薄いですね。もう少しなんとかならなかったのかと。顔である瀬之本先生がAXLを離れ、これがこのブランドの遺作になってしまうのかわかりませんが、次がもしもあるならば"変化"は必要かもしれません。
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