比翼れんりさんの「恋はそっと咲く花のように」の感想

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好きなところ数えて花束にするの 喜びも悲しみもあなたと一緒に
ensembleの新作は、最近の傾向とは少し雰囲気を異にした、お店を中心に回るお話です。もちろん学園も舞台になりますが、ヒロインごとに掘り下げた話が多く、違いは出ているように思います。ただ、どうしてもキャラクター本位の構成は仕方ないにしろ、個別ルートでの他者との絡みが少なくなる傾向や、ルートのテーマに対して踏み込みが弱く、一応の起承転結はありますが、全般的にパワーのない印象を受けました。結局は「いつも通り」といった具合です。

伊織は物語の導入となるヒロイン。典型的なストーリー展開で、共通ルートから個別ルートに繋がるのも王道ですね。こういう出会いから始まるヒロインだと、どうしても恋人になるまでの流れが希薄になりがちですが、今回もやっぱり共通部分からの弱さは感じます。伊織の設定として病気がちがありますが、これが中盤の山場になります。みんなで協力して、窮地を乗り越える、というのは、話が盛り上がりますし、上手く展開できればおもしろいと思いますが、このルートばかりはかなりチープな出来に思いました。ヒロインに差異を持たせる設定づくりはいいと思いますが、ヒロインの中では特に違和感に感じる要素でしかなく、この作風には馴染んでいないように見えました。

美里は幼なじみヒロインですので、共通ルートからしてフランクな付き合いが印象的なキャラクターです。引っ越しで離ればなれの危機になることや料理を通して絆を深めあうことといった、キャラクターの設定や舞台背景をうまく使った個別ルートであり、とてもensembleらしいシリアスのないお話だったと思います。個人的にはこの方向性は嫌いではないのですが、話が動く局面というのが少なく、ルートに入ってからエンディングまでがひどく盛り上がりません。なかなかいい素材があるにもかかわらず、冒険を避けたシナリオに思いました。しかしながら他のルートと比較して、下手に舵を切らなかったことは逆にプラスかもしれなく、こればかりは難しいところなのですが。

沙希がいちばん好きなヒロインでした。おっぱいは大きいけれど中の人の強さが光った印象です。キャラクターとしては作中で最も立っていたヒロインでしょうか。女優・芸能人として、ついて回る負の側面を主人公が支えながら、乗り越え、ハッピーエンドを迎えるもので、大きく予想外のことはありません。というよりも、芸能人ヒロインにありがちな「お約束」を詰め込んだルートであるわけで、正直好かないお話。記者会見で啖呵を切ることもなく、家族の事象はあってもなくても些細な問題でした。加えて、これは沙希ルートに限ったことではないですが、プロポーズからのエンディング、エピローグが何故こんなにも中身がないのでしょう。一応の触れ込みとして、そういったところまで描くとは言っていましたが、これなら無い方が逆に収まりが良かったのではと感じました。

今作で色が濃く出ているのは"家族"というテーマでしょうか。特にさなえは共通ルートから赤ちゃんの世話がひとつのキーとしてあり、それが伏線だったかなと思います。個別ルートでは、主人公との共同作業的な接近を通して、互いを意識し、恋人、同棲、婚約、入籍と進みます。その過程で、実はさなえが実子ではなくて養子だったというのが山場と言えるのだと思いますが、一連の繋がりという意味では、連なったストーリーで良かったと感じます。が、ensembleの尺の無さと話の薄さは健在で、表面上をさらっただけのシーンが続く印象を受けました。展開は嫌いではないだけに、もっとひとつひとつの事象を丁寧に紡いでいって欲しかったと、残念に思います。

蓉子は初対面も初対面のヒロインですね。母親と学園やらの設定がどうしても後付けにも見えますが、ウザそうな叔母さん(中の人効果もありますが……)がそれほど前面に出てこなかった点もあり、想定していたほどの嫌悪感はありませんでした。ストーリーについては、彼女自身の過去とリンクした、主人公とこれからを迎えていくお話。こちらも家族をテーマにしたものではありますが、特筆するような長所のような部分はありませんでしたが、無難な展開と無難なエンディングというのが正直なところで、下手にシリアス全開にしなかったことが、むしろ正解だったかもしれません。

最初に書いたとおり「いつも通り」の中身です。若干シリアス色をつけて、出会いから結婚までの一連の恋愛描写を緩急入れて示そうと思ったのでしょうが、過去作と比べ、いろいろやった感はありますが、それでも明らかに中身がないです。下手にストーリーを意識しようとせず、純粋な学園ものでキャラクターひとりひとりにもっと力を入れるのが、このブランドとしての方向性としては正解なのでは?と思いました。

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