エストさんの「新説魔法少女」の感想

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2012年に公開されたフリーゲーム「魔法少女」のフルリメイク作品。某フリゲ批評サイトで90点越えなど元から評価の高い本作だが、大きな弱点であったSRPGツクール95の不親切なシステム性やレトロなグラフィック感は完全に解消され、現代のゲーマーにも遊びやすい一作に見事に生まれ変わっていた。かなりの長編作品だが難易度はほどほどで間口も広いだろう。本作の最大の特徴であるシビアかつリアルな魔法少女戦記、そして群像劇を織りなす多くのキャラ達の魅力が生まれ変わった豪華演出により一層輝いていた。ストーリ―も勿論良いのだけど、やっぱりこの作品の一番の褒め言葉は「キャラが魅力的」なのだと思う。少女達の絶望や苦悩にともに一喜一憂し、気づけばのめり込まされる一作だった。
実はこの「魔法少女」という作品、私は3度ほどゴミ箱に入れて今回が初の完走である。それ程までにツクール95製のシステムは不便すぎたし、なによりこの作品割とスロースターターな作品なのだ。あまりに有名な某魔法少女作品のせいで、思春期の少女の絶望的心情をリアルに描き出す鬱系「魔法少女」モノは今では目新しいものではないし、本作の最大の特徴だろう魅力的なキャラクター描写も序盤ではあまり活きているとは言い難い。ほとんどのキャラが幼い言動が目立つ登場の仕方をするので、正直言って第一印象が悪いのだ。群像劇を描くに長けたSRPGジャンルの作品ということもあり、キャラクターに愛着を感じられない間は割と淡々と進めていた印象が強い。

しかし物語が進むうちにその印象はどんどん変わっていく。序盤では日常シーンが多くの尺を持って描かれ、色々な意味で問題児的な彼女たちが時に間が抜けていたり、ちょっとドジっ娘属性をもっていたりと彼女たちの「人間味」が非常に上手く描かれ、プレイヤーを巧みに惹きつけていく。そして、十分に読者の感情移入を誘った上で絶望的な緩急のついた展開でプレイヤーの心を叩きのめす、という一連の流れが非常に上手く描かれていた。
本作では特に鬱的な展開として2人の人物の「死」が描かれるが、この話では私も完全に涙腺がやられてしまった。あんなに印象の悪かった少女達といつの間にか喜怒哀楽をともにしているというだけで本当に凄い事だと思う。「謎の生命体から街を守る」という単調なストーリーラインが作品全体のほとんどを占める本作だが、魅力的なキャラ描写が存分に活き退屈を感じた場面はほとんどなかったと思う。フリゲSRPGとしては破格の豪華演出が作り込まれているということもあり、何度も涙してしまった。

問題点というか、なお残る難点としては、本作はあくまでSRPGあってこその作品だという事である。アドベンチャーパートのイベントや戦闘中の会話イベントが充実しているとは言え、終盤は戦闘のみで1話40分近くの戦闘ボリュームなので、SRPGというジャンルが肌に合わないなら完走は厳しいだろう。本作はストーリーが最も評価されている作品ではあるが、その面白さはやはりSRPGあってこそである。

他にも終盤の展開にご都合主義感を強く感じたりなど不満点がない訳ではないのだが、それでもやはり本作のキャラ描写の上手さは欠点を補って余りあるほどだろう。多くの登場キャラを魅力的に描き切ったフリーゲーム作品と言えば、「ざくざくアクターズ」などが真っ先に思い当たるが、キャラ描写だけなら本作も肩を並べられるほどの出来であったように思う。プレイ時も本当に熱中させられたし、評判に違わないほどの満足度、面白さが得られる作品だった。

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