Visiongroveさんの「あくまで、これは~の物語」の感想

フローチャートが余り活かされていない事と、前半の切り詰め過ぎた話のテンポが惜しい作品。もう少し『遊び』が欲しかった。
SNSで死んだはずの友人からメッセージが届く事で始まるADV。

フローチャートを採用しているためプレイヤーの行動がEDの明暗を分ける。初めから全ルートが解放されている訳ではなく、特定のEDを見る事で徐々にルートが解放されていく。EDは全29種類(数え間違いがあるかも)だが、最後のルートに到達するには実質全てのEDを見る事になる。バッドEDは非常に短いものもあればノーマルED並にある程度の尺を持ったものもあるが、話のテンポは速いので展開が遅いと不満を持つ事はまずないはず。スキップは立ち絵で多少引っかかるが非常に速く(体感35~50ms位)、快適にプレイ出来る。話の前半はこのフローチャートを全て埋める事が目的となる。

話の後半は純粋な読み物。フローチャートは勿論、選択肢も出ない。最終ルートで前半の伏線の回収が行われるが、ある程度読み進める必要があるため、突然ゲーム性が失われた事に癇癪を起こしてプレイを止めるのは早計。ただ余りにも綺麗に回収してしまうため、この手の作品で感じる伏線回収によるカタルシスを感じにくい。事件自体は未解決で終わる事も阻害要因と言える。

プレイを始めた当初は後半部分が淡々と読むだけである事に予算の都合か開発が力尽きたのかと思ったが、最終ルートを読み進めるにつれて前半のみがフローチャートである事も仕掛けの1つなのではないかと思うようになった。仮に後半に採用したとしても作業感が強くなるだけで寧ろプレイ意欲を失わせてしまう危険があった。しかしスキップを駆使すると十数時間でクリア出来てしまうため、前半のフローチャートの分岐をもっと増やして話の幅を持たせて欲しかった。特に前半のエッチは「何故その展開でそのようなプレイに走るんだ…」と言いたくなる程突入が唐突で嗜好も変な事が多い。話のテンポの良さを重視するあまり『遊び』が殆どなくムードを作り上げる事が出来なかったと思われる。

話の仕掛けは明かされてしまえば使い古されたものだと判る。人によっては早い段階で気付いてしまうだろう。振り返れば怪しいというか不自然に思える場面はいくつもあった。ただ最後に何かもう1つ捻りが欲しかった。事件を未解決にせず解決する部分を再びフローチャートで展開する事も出来たと思うが、恐らくもうネタ切れで主人公達を翻弄する展開を用意出来なかったのだろう。

エッチは基本的に和姦だが、1個所だけ微凌辱(貫かないが道具で逝かされる)がある。話の性質上緊迫感のある展開は多いのでその一環だとは思うが、公式サイトのサンプルCG(因みにこの画像は行為の始まる前)を見て駄目だと思ったら回避を推奨する。

このゲームの肝であるフローチャートははっきり言って使い辛い。個々のブロックをホバーしても画像や粗筋はおろか場面タイトルすら出ない。何処に何の展開があるのか判らず、もう一度見返したい場面を探す位なら予め細かくセーブデータを作った方が良い程。

久々に夢中になってプレイした作品。このような変にゲームシステムに凝らずにゲームとして楽しめる作品が次にプレイ出来るのはいつになるのだろう。
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