比翼れんりさんの「縁りて此の葉は紅に」の感想

ネタバレ感想を見たくない場合、文字を背景色に設定することが可能です。 → 設定変更

**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

紅に染まる街の中 私を見つけて手を引いて
タユタマ2を経てリリースされるLump of Sugarの新作は、タユタマシリーズの世界観を引き継ぎ、人と人ならざる者たちとの交流、共存共栄をテーマにした作品です。姉妹ブランド、QUINCE SOFTが昨年発売した作品と季節感は被っていますが、方向性はまったく異なり、それぞれのブランドの色をこれで明確にしたということなのでしょう。

ストーリーは正直各方面でよく見かけたような驚きのないもので、過去に居たはずの場所に帰って来た記憶を失った主人公、正体の掴めない不思議な謎のヒロインというワードが軸になります。共通ルートはもみじの手がかりを探すために各ヒロインと好感度を上げるエピソードに加え、紅葉狩りという名の歓迎会でヒロインを選択する仕様で、今や逆に見かけないほどのシンプルな構成。この後、もみじの正体を知ることになり、そこから個別ルートに分岐していきます。

もみじは人間になった人ではないヒロイン。最近こういうタイプが多いですが、無知すぎず、なつき具合もベタベタしすぎずよかったです。ルートはセンターらしくメインのお話。タユタマで作り上げた共存共栄の世界からひとつステップを上った先にある、これからも共に歩いていくには、を考えるストーリーとなります。今作では純然たる悪役は存在せず、ほおずきの立場としてはそういった考えというのは在ってしかるべきなのでしょう。個別ルートの中ではいちばんシリアスな雰囲気がありますが、サクっと解決に至るため、他とのバランスを取って、意図的に盛り上がりを抑え気味にしたように見えます。

ザ・ブラコンの妹、すずなが作中ではいちばん好きなヒロインです。ブラコン全開ながらも、嫌な気分はせず、演技がかった顔と時々素になる顔には終始ヤられてしまいました。個別ルートは兄妹の恋愛という背徳感よりも、兄妹の想いの強さにウエイトが寄っていきます。主人公の力と過去が伏線ではありましたが、それを回収するのがルート後半。確かに意味のある展開ではあり、必要なフラグ回収だとは思いますが、兄妹愛に固執するのはよくわかるにしても、それほど「おぉ」と思わせるものではありません。最初から最後まで妹を愛でるお話に尽きます。個人的にはそれでいいんだけどね。

小乃葉は萌木原ふみたけ先生の十八番のケモノロリ。かわいいです。合法ロリらしくものすごい年上のお姉さんですが、お母さんっぽさが全面に出ており、その性格がストーリーにも絡んできます。こういった長命のヒロインと人間の恋模様は、一緒に生きていくことに悩み、それが山場になることが多いですが、今ルートでもそうですね。オチとしては、母が残した記述から手がかりを見つけ、決意をするというのは「つながり」があり、個人的には好きなのですが、かなり強引な持っていき方で、そもそもの解決には読めず、これはアフターストーリー(FDか?)ありきのエンディングと感じました。

和羽は片翼のヒロイン。人間なのか幻夷なのか葛藤するのがベースのストーリーですね。両者の共存共栄が浸透した世界にあって、周囲からの奇異の目を受けるということより、自身の存在に悩むということに寄った表現の仕方をしています。このある程度完成された世界観では、こういう切り口はおもしろいですね。4つのルートのひとつとしては必要なものだと思いますが、主人公やヒロインたちの受け入れがスムーズすぎたのもあり「揺らぐ」描写がそれほどなく、案外あっさりとエンディングになってしまったのは残念。和羽はそんなに嫌いではないけれど、料理壊滅スキルはNGなのです。

Lump of Sugarがデビューしてもう十数年ですが、本音を言うと「やっていることが何も変わっていない」です。プラスの意味ならば表現したいフィールドが固まっているから、マイナスの意味なら過去への執着と新しいことにチャレンジできない技量の限界。個人的には姉妹ブランドを作ったこともあり、前者であるのだろうと思っていますが…

長文感想へのレスを書くには
 ・ユーザーIDを有している
 ・COOKIEが有効である
 ・COOKIEを有効にした状態でログインしたことがある
 ・5つ以上一言コメントを書いている
 ・長文感想を書いたユーザーが長文感想へのレスを許可している
の5つの条件を満たしている必要があります。

コメントデータ

このコメントはだいたい424回くらい参照されています。