Visiongroveさんの「ことのはアムリラート」の感想

ユリアーモ(エスペラントをベースとした言語)を学びながらルカとの生活を楽しむ作品。しかし言語習得とゲームとしての体面の両方を無理に通そうとした結果どちらも中途半端な内容に。
異世界に迷い込んだ主人公の凛が言葉が通じず路頭に迷っていた所をルカに助けられ、彼女や色々な人の協力を得ながらユリアーモを学んでいく。

シナリオは「言語を学ばせるためにそれ相応の状況を作り出さなければならない」という呪縛に捕われているためか、基本的に「凛が何かしらの騒動を起こす→その結果パニックに陥る→何とか解決するが自己嫌悪に陥る」が最後の最後まで繰り返される。最初の内は異世界で戸惑っているのだから仕方がないと流せても、ずっとこれが続くため次第に凛を不快に感じるようになる。人によってはこれが原因で勉強どころではなくなる可能性が高いし、単に百合目的(この作品にとって百合は話に味を添えるスパイスであってメインではないので注意)でプレイする人にとっても障害になり得る。終盤の展開は駆け足で各キャラの掘り下げが足りず、しかも唐突にエンディングになるためプレイする人が一番知りたい凛の心情が全く判らず無理矢理終わらせた感じが強い。尤も凛のユリアーモ習熟度の関係から掘り下げたとしても冗長な記述になってしまい没入しにくいクライマックスになった可能性はある。

設定を変更しない限りある程度話が進む度に学習モードにユリアーモ学習用のためのテスト等が挿入される。しかしこの学習のさせ方に問題がある。かなり序盤から長文を覚えさせようとしたり、一度に20個以上の単語を覚えさせてクイズを解かせようとしたり。言語の基礎すら覚束ない状況の中で「とにかく覚えてクイズに答えろ」という、日本の悪しき風習『丸暗記』を強要されては折角の興味も萎んでしまう。接頭辞や接尾辞は十分な説明もないし、エスペラント(ユリアーモ)独特の相関詞45種も相当時間をかけないと覚えられないのにいきなりそれを全部使ったクイズを出題してくる。しかも中盤以降このモードはなりを潜めて終盤まで登場せず、人によっては覚えた事を忘れてしまう恐れすらある。

とにかくユリアーモの学習に関するモードは相当記憶力が良いか、プレイの手を止めて「自分で書いてじっくり学習」しない限りは全く使い物にならない。そもそもエスペラントとユリアーモでは文字が全く違うので、エスペラントを学ぶ目的ならユリアーモ表記をエスペラント表記に直す余計な手順が1つ増える事になる。1.05から文章のみエスペラント表記が可能になったが画像部分はユリアーモ表記のままなのでこの変換作業はなくならない。結果、このゲームがエスペラントを学ぶきっかけにはなってもエスペラントを学ぶ教科書にはなり得ない。エスペラントを本当に学びたいのならネット上の解説サイトで自分のペースで学んだ方が良い。暗記で言語を習得出来るなら今の日本人は誰でも英語を話せていなければおかしいのだから。

システムは吉里吉里2だが設定は必要最小限しか出来ない。演出はクリックしないと飛ばせないし、読み飛ばして前のシーンに戻りたくてもシーンジャンプもない。アイキャッチもスキップ処理が不完全で時間がかかる。スキップはそこそこ速いが学習用のウィンドウが別に開く時等結構引っかかるので実速度は思った程速くない。ゲームパッドと大半のキーボード操作は殺されているのでどうしても使いたいのならJoyToKey等でマウス操作をエミュレートする必要がある。

1.05aで機能面のバグはほぼ解消されているが、極希にロード直後に文章を読み進めると前の文章が消えずに新しい文章と重なって表示されてしまう事がある。また誤字脱字過字は未だに存在している。

自分がこの作品を手にしたのは実は1年近く前。その時は暗記の嵐で3日で投げた。その後ネット上のエスペラント解説サイトで基礎をある程度学んだ上で再度最初からプレイした。しかし感想はその当時と殆ど変わらない。丸暗記という学習法は結局何も身につかない。

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