zophiaさんの「あかときっ2! -紡ぐマホウと零れるヒカリ-」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

悪堕ちは足りていたのか (前半では物語の具体的な核心に触れず、段階的にネタバレしています、上部を読めば質や分量がわかります)
出来るはずだった「前作以上」 【悪堕ちは足りていたのか】


Escude制作陣は恐らくプリマヴェールDrei無印に対する悪堕ち要望を見て、
ダークミッションの製作を非常に頑張ったのだろう。
既に企画が決定していたかはわからないが、ピッチを上げ、寝食を削り、
魂を削って完成させたはずだ。

それなのに自分は評価どころか、多忙に任せてプレイすらできず、
彼らの努力と生産を労ってやれなかった。

そこで、需要がないものとスタッフを誤解させ、あかとき2の悪堕ちは
企画や詰めの段階で削られてしまったのだろう。

今作における悪堕ちの「不足」は、
我々悪堕ちユーザの怠惰の因果応報だと受け止めている。

前作のような大掛かりな、システム的にも分量的にも
大きなスケールで、様々な群像で語られる優れた悪堕ち作品の道筋を、俺は途絶えさせてしまったのだ。
余りにも惜しい、悔しい気持ちで一杯である。




ユーザはメーカーの作品に対して――、
もちろんやることをやっていなければ批判する権利があるが――、
そんなことよりもよほど、正しく義務を果たしたメーカーに対しては賞賛とねぎらいの言葉を送る義務があると、
今作においてまざまざと感じた。

今作をプレイしたユーザが抱く「なんだか物足りないな」、
「決して飲めないことはなく、充分に甘いのだが、キレやコクがないな。炭酸が少し抜けているな」
というような気持ちは、前作を踏襲しブラッシュアップさせていないことによるものだ。


だが「ここがダメ、ゴミゲー」で捨て置いてはダメなのだ。
ただしく評価されるべきものがされなかったことの因果が巡っているのだ。


昨今興隆してきたZION等の悪堕ちメーカーの努力も素晴らしく、俺はその賞賛をしたが、
Dreiダークミッションはシステム的にも相当にスタッフ陣ひとりひとりの力がかかったはず。
決して前者だけを賞賛して後者を捨て置いて良いはずがない。

俺は両者に満ち足りたレビューを投稿する必要があった。そんなことを思いました。

よって、長くなりますが、多様な観点からレビューをさせて頂きました。




(171007追記)
短いとは言ってもメインヒロイン全員にきっちり悪コス立ち絵が用意されており、しかも戦闘で剥くことが出来ます。

過程はどうあれ自陣を裏切って敵対したかのような存在が悔しさに表情を歪ませる姿が見られるので、
そこに嗜虐心やあるいは被虐心、その入り混じった複雑な感情を性動因にすることが出来ます。

立ち絵はそれは申し分のない美しさで、プラスアルファの妄想をすると
奪う悪玉・奪われる善玉視点共に個人的にはクソ抜けます。

アナザー奈夕は悪堕ちヒロインがする典型的な人を見下したニヤニヤ笑いをするので、
この表情で妹を奪われた(悪性存在に作り変えられた)不甲斐ない兄を嘲笑し罵る様を想像するとたまらないものがあります。

アナザー依乃里は依然として戦闘中に恐怖に怯える殺される寸前顔をするので、
悪玉視点でせっかく幹部にしてやったのに出来損ないのクズめという嗜虐に浸るとそれはもうヤバいです。
依乃里がヴィランに心を折られる描写はサドなら必見ですし、この子は特に良いキャラだなぁと。

アナザーマシロは戦闘中の悔しがる表情が悪コスでも仕上がりすぎている為、
仲間達が必死で洗脳を解こうとしているのに抵抗する表情と解釈するとそれはもうシコいです。
ヴィランに「ほんとうのパパのほうが…好き」と甘えるところを想像するとエグいですね。

そんなこんなで、悪コスだけでも価値がありますね。
個別ルートに全員用意してくれればとか、痒い気持ちは多々ありますが、素材は素晴らしい。
7年待った今作の前身には元より素晴らしい憑依堕ちが用意されているので、
未プレイの方はセット購入するのもありかもしれません。前二作の値段の比重が薄すぎて驚いた…





【完成された勧善懲悪のストーリー】


今作はこなれている。本当にこなれている。
仲間を愛し、悪を穿つ王道中の王道。そこに一縷の陰りもない。

だが、善を色濃く描くには悪の描写が不可欠である。
その点に関してはライターも承知だろう。

だが、前作のように、







ヒロイン自身が悪そのものになってしまっても良いのか?







今作はその疑問についに答えを出せなかったのだと思われる。


そこで、前作と較べ、非常に保険を重ねた描写となったのだ。




これは「善悪」「愛」「自己犠牲と奉仕」等をテーマに入れた
最後に悪が勝利しない悪堕ち過程を描写しようとする作家なら陥りやすい壁なのではないか。





ここでその疑問に一つの仮説を提示しよう。
これはあくまで仮定であり、教唆するものではない。個々人で判断材料にして欲しい。





 『洗脳悪堕ちは純愛である』
 『憑依悪堕ちも純愛である』
 『洗脳・憑依においては例えNTRであっても純愛である』





このロジックを破綻なく説明することはとてもむずかしいはずだが、今の自分になら出来る気がするので言語化する。


まず前提として、悪堕ちヒロインを愛するユーザが愛するコアにある存在は<善性>であることがいえる。

我々ユーザに共通するものとして、「元から悪」――<悪性>をコアに持つキャラクターに性愛を覚えることがないということだ。
悪堕ち嗜好者は、もとより性を売り物にする売女のような女や、最初からサキュバスとして出て来るキャラクターに愛着を覚えない。
あくまで、元々のキャラクターが<善>であるから、その善なるヒロインを愛しているからこそ、その善性が奪われて悪になることにカタルシスを覚えるのだ。




そして。洗脳あるいは憑依の場合はその善性が奪われてしまう寸前まで、その一瞬の寸前まで、ヒロインは主人公を愛しているのだ。
どんなにか非道な洗脳で人格を変えられても。どんなにか深い闇の底から浮かび上がった悪性存在に魂のコアすら書き換えられても。

大好きだった彼女が、世界を暗く深い闇の底に沈めんとする悪性存在の口調で喋るのだ。その姿は――元ヒロインの善性があるからこそに――美しい。





ロミオとジュリエット構造のように、愛を奪われる――、そして奪われた愛を取り戻そうと二人が命を投げ打つ様は、かくも美しくカタルシスを帯びる。
洗脳・憑依悪堕ちというのは、愛を完全に、なにもかも、100.0%奪ってしまう。そこに一筋の光すら差し込む余地もない。二人の愛は完全に奪われ、他の存在の物となる。


これは、もし悪性存在に憑依されたヒロインに主人公が殺されてすらも、その悲劇を持ってしても、美しいのだ。
苦しみがあるからこそ真の善愛が際立つ。
だからこそ、ただ善性を持った主人公がその愛を他者に与えるだけではなく、
最愛の恋人の喪失に打ち震える描写が必要なのだ。
それでこそ、取り戻した時の精神の浄化が並々ならぬ奥行きと深みを持って、読者の心を打つ。
その為の手段として憑依や洗脳による悪堕ちという表現が一つの選択肢として在るのだ。
ハッピーエンドであるかバッドエンドであるかは、この美しさに影響を与えない。いずれでもよい。



洗脳・憑依悪堕ちは一つの、究極的な愛を相対化し表現する手段である。



この構造にある一つの回答があることを認識している作家は――ごくわずかだ。文学賞作家や、文学部の教授ですらもこんな構造に気付きはしないだろう。
そしてまた、気付かれる必要すらないだろう。あくまで我々が大事に抱えて共有すればいい記号なのだ。





ところで、

 『それ以外の悪堕ちが純愛であるかどうかは一律に決定しない』

のである。


ヒロイン自身が人格を変容させる強制的な力によらず、新しい男の性質や容姿・肉体を直接愛するようになってしまえば、それは純愛ではなくなる。
あくまでヒロインの善性が「強制的に」書き換えられる過程がなければ、純愛としては成り立たなくなる。



 『悪堕ちでは純愛も・非純愛も描くことができる』



この選択肢の振れ幅の広さに、ある種ほっとすることが出来るのではないか。文章力のあるライターさんがもしここを読み、そう感じてくれれば、私はとてもうれしい。
そして、具体的な過程は書かない。それはこの文章を見た作家さん達が、独自に編み出してくれれば良いからだ。


以前「寝取り男の寝取られ」という視点についてどこかで書いたが、もし見付けることがあればそれも踏まえて参考に出来るようにしてある。


そういったヒントとなり得る情報をここに置いておく。
また、ここを読んだ方でネタに詰まってこういうヒントを何かほしいと思っている作家さんが知り合いに居たり、悪堕ちのシステムについて議論したい人が居ましたら――悪堕ち研究会の方など――、そっと伝えてあげて下さい。何かの足しにしてもらえると幸いです。




【寝取り男の役割】

今作における悪性存在のコアであるヴィラン――、彼は、非常にもったいない描写のされ方になっている。
彼は主人公から全てを奪い、絶望のどん底に突き落とすことを求めた。
だが、彼は全てを遂行しなかった。破壊される街の描写は不十分で、主人公のコンプレックスを魂から揺さぶる悪意を体現しなかった。


本当に彼がそれを求めるのなら、ヒロインをヒカリ化して、手足として働かせるべきなのだ。


前半、ヒロインがそれぞれ侵食核を挿入されたりし、ヒカリと融合した存在となってしまい、寝返って敵となる、
総取りNTR堕ち展開を期待してしまった。
公式サイトに書かれていない、ゲーム内での彼の戦闘版表情にはそれだけの説得力があった。
この描写でNTRゲーを作れば、界隈では爆発的に盛り上がるだろうなと思われた。



だが、今作はNTRゲーではない。あくまで勧善懲悪の王道シナリオだ。
ではどうすればよいか。あかとき前作はそのバランスが非常に良く出来ていたのだ。
憑依によってNTRに通ずるまでのカタルシスを与え、かつ、純愛を両立していた。
その路線を貫いて良かったのだ。





【アクチについて】

自分はDL版を1万円弱で購入し、そしてコンプリートしました。

悪堕ちは不足ですが、悪コスで敵性存在となったヒロインを剥ける時には、
このメーカーでしか味わえない感動を味わえました。


が、アクチであるかどうかにこだわる必要は無いと思います。つけても、つけなくともよい。
なぜなら、付けてようが付けていまいが、売れる作品は売れるからです。
すごいものを書いて、人を感動させれば、どうあれ人は集まってくるからです。
もし「どちらにしよう」と頭を悩ませることがあるのだとすれば、その悩みには囚われないようにして下さい。



【さいごに】


砂漠で砂金を拾い集めるほど枯渇していた悪堕ちコンテンツは、昨今とても増えた。
昨今pixivで台頭している左藤氏といった作家や、ムシキングやグリムアロエがバズる加速度などを見ても、勢力圏は拡大し続けている。

もしあかときの次回作や、関連するFDを出す機会、あるいはシステムを継承しキャラクターを新しくした完全新作でも、
プロデュースの方法次第では、大きくユーザを獲得する可能性を孕んでいると思います。
これまでは難しかった企画も是非軌道に乗せるべき時期が来たと思います。

Escudeさんだけではなく、各メーカーや作家さん方々、がんばっていきましょう。応援し続けて行きます。

また、天結いキャッスルマイスターやエクスティアAのレビューを書けていないのが心残りに思ってます。そのうち書きます。良い点ガンガン褒めると思います。


【まだあるで】

このレビュー書いてダークミッション起動しながら2のスタッフコメント聞いてます。けっこう次もやりたい!ってスタンスの方多いようで嬉しくなりました。ああ、マジで売れてほしいなぁ。

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