Predawnvagabondさんの「あかときっ2! -紡ぐマホウと零れるヒカリ-」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

性急すぎる展開のせいで名作になりそこねた作品。
・雰囲気は「あかときっ」シリーズを継承

前作「あかときっ」から10年後を舞台とした本作は、あかときっが持っていたコメディ調な雰囲気や、直球ど真ん中な王道ヒーローものの展開を継承しており、正統続編を謳うだけはある内容となっていた。
また、敵対していたクラヤミと人間が共存の道を歩んでいたり、世界を危機から救った前作の主人公たちが伝説の魔砲使いとなり、今作の主人公たちにとっても憧れの相手だったりと、前作からの世界の移り変わりを感じられるのも前作をプレイした身からすると嬉しく感じた。
それだけでなく、主人公のクラヤミと人間のハーフという生い立ちや、元はシロペン(クラヤミの下っ端)なヒロインのニナなど、世界の移り変わりを活かしたキャラクター設定やストーリー展開なのも続編らしくてよかった。
逆に前作をプレイしていないと楽しめるかは微妙で、世界観の説明などは簡略化されているため、必須とまでは言わないが前作プレイを前提としたストーリー内容だった。
残念ながら、前作主人公たちは消息不明という定番の扱いとなっているため本作では殆ど登場しないが、前作で主に敵として立ち塞がったクラヤミの主であるククリクと従者のチッカが登場して、主人公たちを導く存在として活躍してくれる。
ただし、前作の敵であるクラヤミは、終盤を除くとイタズラをするだけのコミカルな悪役だったのに対して、今作の敵であるヒカリは悪役らしい悪役として序盤から登場するので、戦闘シーンではコミカルさが減っており、脱衣バトルのシュールなエロとの組み合わせはチグハグになったと感じた。


・前作と比べると色々と省かれているシナリオ

本作があかときっシリーズとして雰囲気を受け継いでいるのは間違いないのだが、率直に言ってしまうと、前作と比べてスケールダウンしており物足りなく感じてしまった。
序盤に主人公が魔砲使いとして覚醒するシーンは非常に盛り上がったのだが、その後に大きく盛り上がるのはグランドルートとなる最終章だけだと感じた。
物語の構成や背景が悪い、あるいは登場人物たちに魅力が欠けているというわけではなく、テンポが良いとは言い換えることができないレベルの早急すぎる展開が大きな原因だった。
本作のように登場人物たちが葛藤や試練を乗り越えて成長していくのが骨子となる物語では、心情の変化がわかるように丁寧に掘り下げて描写する必要があるのだが、本作の場合はそれらの過程が大きく省かれていたため、展開が非常に急に感じられて納得出来ないことが多かった。
登場人物たちは簡単に自身の葛藤を克服してしまうので、彼女たちの葛藤が大した問題に感じられないのが第一の問題で、特に本作では主人公とニナが魔砲使いに憧れた理由が前作主人公たちに憧れたからという理由で最後まで頑張ってしまうので、より彼らの戦う理由が空虚に感じられてしまった。
特に、主人公は葛藤することが少ないにも関わらずヒーローとして模範的な行動を取るため、少々不気味に感じることすらあった。

主人公とヒロインの恋愛模様についても同じようなことが言え、大したイベントもないままに「人となりも見えるようになった」みたいないな1テキストで省略されてしまうので、もう少しイチャラブや恋人同士の日常も描いてほしかった。
また、告白即セックスという流れも非常に性急だったので、その辺りの流れももう少し丁寧に描いてほしかった。
展開が急だというのは個別ルートでの不満の一つではあったのだが、そんなことよりも個別ルートでの一番の問題は、ニナと依乃里のルートがヒカリとの問題を完全にぶん投げて終わることで、個別ルートに入ってしまうと、ヒカリとの決着がついていないにも関わらず、イチャラブした日常を少し送った後にエンディングとなってしまう。
普通は「俺たちの戦いはこれからだ」で終わらせるにしても、当面の問題は凌いだ状態までは描かれるはずなのだが、本作の場合はそれすらなく「ぼくらはまだ道半ばで何もかもが中途半端だ。ヒカリとの戦いも、魔砲器隊の活動も、そして相手とのことも・・・」とか言って終わってしまう。
仮に前作のラスボス化する前のクラヤミみたいに、敵と言い切るには曖昧なイタズラをするだけの存在だったならそれでも良いのかもしれないが、本作ではヒカリという明確な敵が登場するため、何も解決しないままぶん投げて終わってしまうのは余りにも中途半端に感じてしまった。
最初にニナルートをプレイし終わった時なんかは、これから盛り上がると思っていたらエンドロールに入ってしまったので、思わずロードしてもう一回プレイしてしまった。
また、奈夕とマシロに関しては問題解決してからのため中途半端ではなかったが、こちらも普通の恋人同士の日常が描かれるだけだったので「あかときっ」らしさはなかった。

個別ルートはイマイチだった反面、グランドルートのできは前作ほどではないとはいえ熱い展開で、しっかりと盛り上がりがあったので読後感は非常に良い作品だった。
そのため、本作は個別ルートはHシーンを違和感なく挿入するためのオマケシナリオ程度に考えておいて、一本道の作品だと考えてプレイした方が無難だと感じた。
枝分かれ方式の作品は選択肢が登場する順番にクリアするというのが定石だが、本作の場合は個別ルートを無視してグランドルートをプレイすることが可能で、個別ルートの内容もグランドルートの伏線にはなっていないので、あえてグランドルートを先にプレイしてから、クリア後のおまけシナリオみたいなノリで個別ルートをプレイするのもありかもしれないとプレイ後に感じた。
ただし、グランドルートをクリアするにはレベルが不足する可能性があるため、最初に依乃里かニナルートをクリアしてから二週目でグランドルートに突入するのが無難かもしれない。


・前作からそのままキャリーオーバーされた脱衣バトル

本作の脱衣バトルは前作からのものがそのまま流用されており、シリーズをプレイしたことがある人なら説明不要な内容となっている。
オーソドックスなコマンド選択式のターンバトルだが、攻撃をする(される)とターンリストの行動順が動くため、うまい具合に敵の行動を邪魔すると敵の攻撃回数を減らしたり、連続攻撃をすることができる。
コマンドにはそれぞれアクションコストが設定されており、強い技を使うと中々次の順番が回ってこなかったりするので、オーバーキルしないように気をつけながらコマンドを選ぶ必要がある。
記憶が曖昧なので断言はできないのだが、追加された要素としては一時停止しての撮影が可能になった点と、一部のバトルの後にヒロイン達が脱衣状態だと短い特別会話が追加された点が挙げられる。
特別会話は短い上に追加CGは(多分)存在しないので無理をする必要はないが、ヒロインが恥じらっている会話を鑑賞できるのは良かった。
難易度が大きく下がった(ノーマルモード時)のも前作からの変化と言えば変化で、前作ではグランドルートではステータスカンストが前提のバランスになっていたが、今作ではステータスカンストだとラスボスにも簡単に勝利できるバランスとなっている。
上述したようにニナと依乃里ルートではボスが存在しないので、各ヒロインを攻略→引き継ぎで新規スタートを繰り返している内に、いつの間にかカンストしてしまい、特に印象に残るバトルも無いままにクリアしてしまったので、そういった意味でも二週目あたりでグランドルートをプレイした方がいいかもしれない。
本作にはフリーバトルモードも搭載されており、敵として登場したキャラも使用することができるだけでなく、全裸状態になっても戦闘離脱しないアイテムも存在するので、脱衣を思う存分楽しみたいという人にはありがたいモードだと思う。


・グラフィックとHシーンは可もなく不可もなく

本作のCG枚数は全部で70枚のためやや少なく感じるが、ゲームパートも存在することを考えると妥当なボリュームだと感じた。
塗りは素晴らしかった反面、顔の造形がおかしく見えるCGが数枚あった。
残念な点はヒロインと一つ屋根の下に住んでいるにも関わらず寝間着の立ち絵が無い点で、同じ屋根の下に住んでいる感を出すためにも寝間着の立ち絵は用意しておいてほしかった。

Hシーンは全部で12回となっており、各ヒロイン3回ずつとなっている。
1シーンで2~3枚CGが使われており、前戯から本番の流れも描写されていたので尺もそれなりにあり、非抜きゲーのHシーンとしては満足できる内容だった。
ただし、男性器が異常に大きく、更には過剰に赤みがかっているものが多く、必要以上にグロテスクで違和感がある点は残念だった。


・クリア後には声優のオーディオコメンタリーも

本作のコンフィグは必要な機能は一通り揃っており、大きな不満なくプレイすることができた。
ウィンドウサイズの変更ができないと思っていたのだが、コンフィグ画面から開くことができる環境設定オプションで設定できることにゲームクリア後に気がついた。
やや不満だった点としては、バックログを開くと再生中の音声が途切れてしまうことで、できれば設定できるようにしておいてほしかった。
本作にはパッチが配布されており、Ver1.01を適用すると以前のデータを使えなくなってしまうのでプレイ前に忘れずに当てるようにしたい。
公式の説明文を見ているとわかりづらいが、1.01から1.02へのアップデートではセーブデータが使用不可能になるわけではない(メーカー側が保証してるかまでは不明)。
既読フラグも1.02でも消えたりはしないのだが、未読扱いのテキストが所々に挿まれる(誤字脱字修正によるもの?)ので、スキップ機能はやや使いづらくなるが、大きな問題ではなかった。
また、1.01や1.02を適用していてもゲームパートでクラッシュすることがあったので、戦闘後はしっかりとセーブしておいたほうがいいと思う。

本作でも恒例の制作陣のコメントがクリア後に鑑賞できるようになっている。
製作スタッフの方は一言二言のコメントしか書かれていないのだが、マスターアップ前に丸二日徹夜したとか壮絶なコメントが散見され、エロゲー制作現場の大変さが垣間見えた。
声優のオーディオコメンタリーはもっと平和なもので、それぞれが演じたキャラの思い入れなどを聞くことができ、また、演技の時と素の声の違いも楽しむことができた。


・まとめ

あかときっシリーズの雰囲気はしっかりと受け継いでいるのだが、物語の展開が性急すぎて登場人物たちの心情の移り変わりに共感しづらく、また、個別ルートも短めな上にニナと依乃里の二人は余りにも中途半端な終わり方なのが残念だった。
しかし、プロローグやグランドルートはしっかりと「あかときっ」シリーズらしい盛り上がり方なので、全体としてはしっかりと楽しめたので、後は展開をもっと丁寧に描けていれば前作に並ぶ名作になれたであろう勿体無い作品だった。
バトルパートの方は前作のシステムをそのまま流用しているので、脱衣バトルが持つシンプルでお手軽だが、しっかりと考えることで有利に進めることができる面白さは引き継がれていた。
しかし、ノーマル難度だと大幅に簡単になっていたので、ある程度の挑戦を求めるのなら難易度を上げるか、先にグランドルートをプレイするといった工夫が必要となるが、純粋にゲームパートだけを楽しみたいのなら、フリーモードも用意されているので、そちらで遊ぶという選択肢も用意されている。

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