tkktさんの「消えた世界と月と少女」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

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真相部分は間違いなく面白いんですが、そこまでの道のりが非常に険しい。和風ホラーに異能バトルを混ぜた結果、盛大に恐怖構造を壊してしまっていて、OPムービーを見てゾクリとする不気味さ・妖しさを感じた人ほどガン萎えするという罠。
グラフィック(19/20)
 背景は美麗。木漏れ日の降り注ぐ神社の境内なんかはノスタルジー感じました。月音さんは暫く見ないうちにドスケベな体描くようになっててビックリしました。杏子のケツこそ満月だと思う。非日常時の一枚絵に関しては、一応ホラーを意識しているらしく、ヒロインが時折ムンクみたいな顔をします。ちょっと笑っちゃった。


ストーリー(30/50)
 公式ジャンルは「和風伝奇ファッションミステリー」らしいですね。実際、謎解き部分が一番書きたかった所なんでしょうし、そこに関しては全然悪くないと思います。加点の大部分がここですし。ただ当然ですが、数式を書くわけでもなし、その謎の真相に辿り着くまでの道中も楽しいモノにしなくてはエンタメとしては厳しいですよね。もちろん制作陣もそれは分かっているワケで、ホラーを基調に異能バトルを混ぜるという書き筋を見せてくれたわけですが……この二つの相性が思いのほか悪かった。
 個人的に和風ホラーの要諦は、日常を侵食する非日常と言う構図にあると思います。直近でやった同ジャンルとして「月影のシュミラクル」を例に使わせてもらうと……例の人形はいきなり襲い掛かってくるワケじゃないですよね。最初は日常の中の作り物の人形です。それが少しずつ動き出す。動く範囲が広がっていく。「あれ? あの人形あんな所に置いたっけ?」から始まって徐々に徐々に非日常の足音が大きくなっていくという書き方ですね。僕の感性だとコレが同ジャンルの王道だと思うんですよね。
 翻って今作は、どうにも唐突感が拭えない。非日常のカラクリをルイさんにいきなり教えてもらうんじゃなくて、村の老人たちに母の死について尋ねてみると怯えたように追い返されたり。十二単の誰かを村で見つけ、追いかけてみたら忽然と消えてしまったり。警告文にしても一発レッドカードのように出すんじゃなくて、「何か」に見られている感覚をネットリと描写して欲しかった。ここら辺の浸食の足音を書けていないから、祭りの日にいきなり襲われても、正直まったく怖くないんだよね。通り魔的な怖さは勿論ありますが、ホラーじゃないんだよね。加えて、その唐突感を少しでも拭おうとしたのか、先回りしたようなテキスト(日常の崩壊を示唆するテキスト)が出てきます。これマジやめて。お化け屋敷で言えば「今からお化けが出ます」ってアナウンスされるレベルだからね。怖くなるわけがないです。
 この書き方って、実はバトルものの王道なんですよね。いわば祭りの日は最終決戦の日で、日常は確固たる幸せでそれを守る為に立ち向かう。日常と非日常をキッチリ分ける、かつ何時その非日常がやってくるか予め分かっている。日常と非日常の境界を曖昧にして、油断した所に襲い掛かってくる怖さと真逆ですよね。
 このバトルとホラーの相反関係がもたらす不協和音はまだあります。
 仲間たちとの確固たる絆(バトルものの王道ですね)と疑心暗鬼を煽る演出(ホラー調)との競合も如何ともしがたい。ナイフで殺されそうになっても「信じる」と固く誓うんですから、疑心暗鬼なんて生じるワケないじゃないですか。上の項目でムンクみたいで笑ったとか書いたのは誇張でも何でもなくて、だって結論が分かり切ってるんだから、それはもうただの変顔です。ちなみにフリスビーで一緒に遊んだだけで命懸けで妄信できる沖名君は性善説の化け物かな? とかそういうツッコミは後述します。
 異能力の開陳が早すぎて神秘性の欠片もない十二単はお化け役にもならないけど、じゃあバトルの敵役になるかというと、それもダメ。主人公側が戦闘力なさ過ぎて、ホラーの犠牲者然と狩られるだけで、バトルにすらならないんですよ。そも一人いるだけで主人公側は一発アウトなんだから、十二人も物語上要るのか? って話にもなる。仕舞には、辺境の村を十二人で雁首揃えてパトロールして迷子の子犬とか探してるんだから、こいつら馬鹿なんじゃないかとすら思ってしまいます。最終戦で出番を競い合うように飛び出してくる余剰人員たちには憐憫すら感じました。ホラーにもバトルにも使えない彼らはライターすらも持て余してましたね。
 ここまでホラーとバトルについて書きました。ただこうもグダグダだと、制作側はこの二要素を入れたつもりも無かったんじゃないかという気すらしてきます。でも再三書いたように変顔やOPはホラー調だし、十二単なんかは「カッコイイ」を起点にしたバトル好きの設定で考えたと思うんだよね。だから意識して書いてると推測して批評してきたんだけど自信が無くなるくらい酷かった。少なくともホラー要素はマジでお粗末すぎた。冗談抜きでゾクゾクする瞬間がOPムービー以外一切なかった。ゲーム自体の動作が不安定で「落ちるかもw」っていう怖さは常にあったけど。バトルの方は僕自身に語れるほどプレイ経験値が無いから正確には言えない。意図して入れてると思うんだけど……。
 続いて、物語進行上の要請からくる沖名君の「人間らしさ」の希薄について書いていきましょうか。
 先程、性善説の化け物と揶揄しましたが、正確には恐怖心の欠如というのが妥当な気がします。まず何より、この村の状況……普通逃げますよね? 今までと違う事をすると何が起きるか分からないから、とか色々理由はつけてますが、いや通らないでしょう。それなら杏子ルートで十二単に接触するのは一周目と明らかに違う行動だし。つーかそもそも今までと同じく夏祭りまで座しているのは怖くないんでしょうか? だって絶対敵わない相手が十二人いるんですよ? ヒョードルが十二人、夏祭りの日に襲い掛かって来るのを知っているワケです。夏祭りまでに村から逃げおおせる事を第一に考えないですか普通? だって怖いっしょ。もはや自然災害みたいなものですからね。ルイルートで彼女に全員で逃げようと言われるまで「考えたこともなかった」そうです。ぶっちゃけ有り得ない。コレが物語進行からくる要請ですね。外の様子に気付かれたらダメだから、外側に逃げるという発想を封じ込める。人間の根幹的な恐怖心と一緒に。村の外に関してはミイナルートやトゥルーで使う設定なので、他ルートでは怖かろうが殺されようが、座して夏祭りを迎えてもらわないと。
 また、杏子ルートにおいても。十二単に潜入捜査なんて人間の精神力で出来るものでしょうか? 特に一番最初に彼女のルートを選んだとしたら、つい先程殺されかけた(仲間は惨殺された)組織に潜入するという発想。無理じゃない? 鮮烈な体験は忘れないと書いてますし、当然その恐怖も覚えていることでしょう。一応論拠として、かぐやちゃんが十二単と繋がりがあり橋渡ししてくれるという話だけど、ぶっ殺されかけてなかった? そのかぐやちゃん自身。こんなガバガバな潜入捜査計画に身を委ねるの? 対魔忍でも目指してんの? しかも切り札の時戻しを使えるかぐやちゃんと別行動とか……。
 ライターさんの中では十二単は一応理性的で、いきなり襲い掛かってくるワケではないし、身柄を拘束したりもしない集団だと設定はしてるんだろうけど、物語の中で生きているハズの彼の立場、持っている情報では無理ゲーだよコレ。秒殺されないって情報は後から分かる事なんだよね。母の死の真相を探ることは「今は時ではない」とルートロックをメタメタに発言して、先程殺されかけた集団に飛び込むのはオッケーな時点で、彼に「生きた」感情や思考を期待するのは無駄なのかねぇ。ここまで不自然にしてしまうなら、脳内も弄られている設定にしても良かったかもね。記憶が欠如していくという設定はあるものの、もし生存本能からくる恐怖体験まですぐさま忘れる(鮮烈な体験たりえない)というんだったら、やっぱそれも人間離れしすぎでしょうね。
 まだ不満点はあるんだけど、もうここまででも相当酷評になってしまったのでやめときます。タケルとの三角関係を書かない時点で、杏子よりサダコさんの方が恋愛感情の説得力がある体たらくとか。まあやめときましょう。そろそろ面白かった所も書きます。
 トゥルーの瞬間最大風速は中々で、二種類のエンドはどちらも好みだった。起こった事を受け止め、現実を生きるビターだけど力強いエンド。ご都合主義でも大団円の暖かいエンド。ちょこちょこと謎は残るけど、千年の物語の終焉として感情動かされるモノがありました。ホントここの加点が無かったらマジで目も当てられない出来になっていたでしょうね。良かった良かった。あーあと個別で言えばつばめルートも悪くなかったと思います。双子トリックとか久しぶり過ぎて逆に新鮮だったんだろうね。
 総評としては、共通から個別までの大量失点を何とかトゥルーで取り戻した感じ。点数自体は個人的に好きなジャンルである伝奇に挑んでくれた贔屓も込んで、ぶっちゃけ少し甘めにつけました。そのかわり色々書いたけど。まあ……もう少し道中をシェイプアップして(個人的にはホラーだけで洗練して)、メガネにも度を入れて、ルイさん頼りじゃなくて真実を探る気概を持って貰えれば、今より感情移入度も上がって更にトゥルーも映えたのかなと思います。
 

エロ(12/20)
 単独原画なので回数的に厳しいのは仕方ないけど、相当エロい絵と塗りなので惜しいなーと思います。卑語もやたら豊富で、抜きゲーみたいです。このサイトの区分では凌辱とも和姦とも言えない区分になってますけど、完全和姦です。ミイナが月の使徒に力任せに拘束されているCGを見て、おちんちんムズムズした人は反省してください。全員主人公相手のエッチ2枠×5人で10回ですね。


音楽(8/10)
 ボーカル曲は4つかな。トゥルーで流れる挿入歌はエモいですね。改めてムービー込みでOPも聞いてみてるけど、やっぱホラーっぽいよなー。すごく雰囲気ありますよね。BGMも悪くないものを揃えていたと思います。


合計(69/100)

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