4Dさんの「景の海のアペイリア」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

頑張って作ったってのはすげーわかる。面白い話を書こうとした気概も伝わってくる。でも読んでていまいちノリきれない。何故かと考えてみるとこのライターは時として「読者を楽しませる」ことより「自分の説明責任を果たしたい」という自分自身の都合を優先するからだと思った。くっそどうでもいい「ぼくの世界の法則」の説明にあれ程力をいれるくらいなら、物語の最後にこそもっと力をいれるべきだったと思う。だって俺が一番知りたかったのは、見たかったのは世界の仕組みなんかじゃなくて、
今度こそ守ると誓ったアペ子の心からの笑顔と
そしておまけ達とのその後であって、他は二の次だ。
画竜点睛を欠くという言葉の通り一番大事なところで手を抜いているため、
読後感はものすごく不完全燃焼な感じ。もったいねーなあ。



偶然にも自我を持った超AIを作れちゃったのでそいつに仮想現実なネトゲ作らせてログインして遊んでたら
なんか出れなくなって中で死んだら現実でも死んで、しかも世界も巻き戻っちゃったりして、とかいうそんなお話。
色々な作品のテイストが感じられ、参考にしているであろうことに恐らく間違いはないが
しかしパクりという程の嫌らしさもなく、そういう意味では読んでてうんざりすることはなかった。

じゃあどういうところにうんざりしたのかというと、各所で始まる作品設定の解説と
それに対する主人公の見解がクソマジメすぎてくどい上にひとりよがりな点。
俺らのことなんて一切眼中になさそうなその姿はWindの問い詰めを髣髴とさせる。普通にCtrlへ手が伸びるわ。
この作品に抱くネガティブなイメージの半分はこれが占める。

特に話が難しい訳ではないんだけど、ただ根幹的な設定の大部分が「風が吹けば桶屋が儲かる」みたいな
細かな要素をリレーさせるというこじつけの連鎖により成り立っているので、全体像を把握するのがすごく面倒臭い。
「まず風で土ぼこりが立ちます。土ぼこりが立つとはどういうことか?いやそもそも風というのは…」なんて
一つ一つ細かく説明されてもうんざりしてくるし、そんなもんを意味もなく重ねれば重ねるほど
結果に対する説得力は失せていく。
ぱっと思いついたのがバタフライエフェクトやメメントとかかな、そういう原因と結果、因果そのものを
楽しめるような作品であったならまだ判るんだけど、でもこの作品はそうじゃない。

もっと言うと「現実だと思っている世界も実は仮想世界だった」「主人公もAIだった」なんていうのは
早々に察しがついてしまっていたし(これは英4文字の某同人ゲームをプレイ済みだったせいでもある)、
顔を隠す理由は「味方陣営の誰かと同じ顔だから」なのが一番可能性が高いことくらい誰だって予想できるし(じゃないと驚きがないもんね)、
主人公がAIであろうことを踏まえて考えると必然的に主人公と同じ顔なんだろうなというところまでは想像つくし、
毎度主人公が始める「世界の仕組みに対する仮説と見解、解説」なんてのも
その殆どがお茶濁しやミスリードであることは初めから判りきってるんだよね。
だってこの物語の目的に「この世界の謎を解き明かす」ことがあるのは間違いないし、
逆に言うとその目的が達成されるのは終盤になるだろうというのは誰でも判る話。
早い内に正解喋らせちゃったら衝撃がなくなるからねw

つまりさ。マジメにくどくどと説明されれば説明されるほど白けるんだよね。もう判ってるからいいよっていう。
それはある意味ライターの誠意なのかもしれない。
ごまかさず、可能な限り物語の中に筋を通そうとしたのかもしれない。
でも上手ではなかったね。少なくとも俺みたいなバカにメタ的な視点で考えさせてしまう程度には。
人間、話に乗れてりゃそんな寒い考え方を始めたりはしない。
面白ければそんなもん自然と頭の端へ追いやられ、話を追いかけることに夢中になれる。
だからやっぱり、俺は白けてたんだろうね。この作品を読んでて。

そしてネガティブなイメージのもう半分がラストの雑さ加減。
長い時間をかけ、やっと本当の意味でアペ子と対面することができたのに
ごく短いセリフと使いまわしCGだけって、いくらなんでもそれは…
とか考えてたら他のヒロイン二名はご対面の過程や瞬間すら省かれてるっていう。なんなんだこれ。
あんだけ色々しつこかったくせに何でそんな急に投げやりになったんだ。ライターのメンタルに一体何があったんだよw

話にそこまで期待できなくなった分、俺はアペ子とお姉ちゃんと後輩と、あと一人誰かいたような…まあいいか、
そんな可愛いヒロイン達と困難を乗り越えた喜びを分かち合いたかった訳だ。
こっから俺達のターンだぜ!!と大切な物をその手に取り戻していく過程が見たかった訳。
あと正直言うと体液とかもどんどん交換したかった。生ましろの生よだれとか吸いたかった訳。
ご都合でもお約束でも何でもいいから、頑張ってきた彼らが報われる過程が俺は見たかったんだ。
しかしまさかここでキンクリされるとは思ってなかったんだよなあ…
そういう訳で読後感も正直あんまり良くない。不完全燃焼というか…なんか納得がいかない。



と文句ばっかり書いてるが、もちろん良いところもちゃんとある。

まずギャグシーン。ギャグっていうかもうチンポやオナニーネタしか殆ど言ってないけども。
なんだろ、最初はちょっと冷めた目で見てたんだけどなんかあまりに下らなさ過ぎて負けた感じ。
なんかねえ、オナニーネタでゴリ押ししてくるんだよ。中坊かよwっていう。こんなん笑うわw
なんだかんだでシリアスになりすぎない、良い緩衝材になってたと思うよ。

次にヒロイン。
俺この作品やる前に丁度ブランド前作のあけいろ怪奇譚やってたんだけども
あれに出てくる佳奈ちゃんみたいな、素人っぽい生活感のある可愛らしさがこの作品のヒロインにはない。
すごく記号的で、プロの萌えキャラっぽい。あざとすぎて自然な感じが全くしない。

でも…まあ………なんだ、うん。これはこれで、悪くないっていうか…
アペ子は健気だし天使すぎるし舌っ足らずな喋りが最高に可愛いし幼膣だしでなんなんだこいつ。
中二モード時のドヤ声が最高にうざいし度重なる「だゾ」口調に
てめえはクレヨンしんちゃんかよと言いたくなるお姉ちゃんも
土下座したらおっぱいくらいは吸わせてくれそうだし、
数発ひっぱたいた後ズタズタに犯してその後思いっきり優しくするという
DV夫みたいなことをしたくなるくらいに可愛すぎていじめたくなる後輩も、
そしてついでに見た目がドストライクだった騎士団長も、全員可愛くてエロかった。

しかもさあ、こういうシナリオメインの作品にありがちな
「セックスは終盤になってから!!」っていうのがないんだよ。
割と適度なタイミングでエロシーンが入る。
ぶっちゃけエロへの突入はすげえ雑で「え?おまえこんなんで股開くの?」と言いたくなるくらい
キャラ崩壊しかかってるのもあるんだけど、ま、そこらへんはね?
物語としての自然さを取るか、あるいはそこを曲げてでもエロゲーとしての本分を果たすか
悩んだ末の選択だろうからね。多少は目を瞑りもする。
まあ母ちゃん死んだ翌日にイチャイチャセックス始めた時は流石にどうかと思ったけどねww

あとはヒロイン全部俺の物!っつーハーレム的ラストを迎える訳だけども
展開に無理を全く感じさせなかった点も良くできてる。
持ち越す記憶を選択制にしたおかげで、各ヒロインごとにフラグを立てるその姿に
チャラ男的な軽薄さを感じないんだよね。どのヒロインが相手の時も全力だったと言っていい。
こりゃあ最後にハーレム築いてもしょうがねえwアペ子に「これでノープロブレムです」って言われても仕方ねえw
うしろめたい気持ちを抱くことなくすんなり受け入れることができた。
こんなにスマートなハーレム展開を描いたエロゲってかなり貴重だと思うんだよ。
それぞれにちゃんと積み重ねがあるから説得力がある。
だからこそキンクリラストには不満しか感じない。ここまでお膳立てしておいて一体何故なのか。
エロゲーであることを選んだのなら、最後までちゃんとエロゲーしてくれよ、という感じ。

最後にこれは俺の好みの問題かもしれないけど、AIやクローンでも完全無欠のHAPPY ENDを迎えることができたこと。
当人の望みとしても、人間である俺の目から見ても100点のね。
物語でAIやクローンが人としての幸せを手にしようとすると大体BADあるいはBITTERな展開になりがちじゃない。
何故そうなるのかというと答えは簡単で、人の倫理観が邪魔をするからだと俺は思ってる。
大抵のお話で人殺しが必ず報いを受けるのと一緒でさ。
機械はどこまでいっても機械だし、クローンなんてなんか生理的に気持ち悪い。
作中でも言われてたように「今現在の人間の価値観」では受け入れ難いところがある。
だからこそブックマンやシンカーをブチ殺しても罪悪感なんてものを感じずに済んでしまう。

でもこれ、物語だもんね。道徳の教科書じゃない。別に倫理に則らなくてもいい。公平である必要もない。
いいじゃんAIが人の体を得て人間に成り替わっても。
いいじゃんクローンが戸籍捏造して兄の側で幸せになってもさ。
その絶大な射精量でヒロイン全員孕ませて、そのまま幸せに生きてりゃいいんだよお前らは、
というのがこの長い物語を通して彼らを見続けてきた観測者である俺の願いって訳だ。
そう思えるくらいには彼らのことが好きになれた。
まあ、残念ながらその部分だけは観測させてくれねえんだけどな、この作品。



うーん…名作とするには足りないものがあり、余分なものもあると思ったのが正直な感想。
近年のエロゲーの中では間違いなく力作ではあると思うんだけどね。
お話にしたって全部が全部ダメという訳じゃなくて「おっ?おおっ??」と食い入ってしまうような部分もあったし
声優も一部を除きかなり頑張ってたと思うしさ。特に気に入ったのは主人公が撒き散らす前のタメの声かな。
「こぉおおおおおおお・・・・・!!!」ってやつ。自分の射精前の勢いとシンクロ率高くてやばかったw
とまあそんな感じで、期待せずにやると予想外に面白いが、
期待してかかるとアラが目立つというラインの上にあるんじゃないかな、と思うよ。
個人的には…まあ…次回作には期待できるレベル、というところ。
なんか京アニっぽくて少し不安定な原画はまだいいとしても、そこらへんのメーカーと
大差ない塗りになっちゃってるのはちょっと残念なので、そこはちょっと改善して欲しいけどね。


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