4Dさんの「Dear My Abyss」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

前作が好きだったのでそれで。とりあえず全てのENDを見終わった感想を一言で表すと、期待した程ではなかった、という感じ。読ませるガチガチのノベルかのように思えたんだけど、実際のところ内容はクトゥルフ頼りであまり中身がなく、加えて因果はどうあれ基本的にズーレー展開でもあって、かなり人を選ぶんじゃないかなあと思う。
異常に尖った部分があった前作の存在や、7年越しの制作期間という謳い文句で
過剰に期待してしまったのかもしれない。



一つの物語を二人のヒロイン視点から見た物語なんだけど
そういった形式で良くある、面白さの肝になるような相関性というものがあまりない。
前半担当のヒロインと後半担当のヒロインで内容ががらりと変わる感じ。

前半担当のヒロインにおける物語の内容は
「日常がいきなりクトゥルフの世界に浸食されてしまったら?」という様相で
もうはっきり言うと、すげー安易な感がある。こういうのフリーノベルや自作小説でよく見かける。
話の進行や仕掛け、終わりに至るまで殆どがクトゥルフありきでおんぶにだっこ。
一応サスペンスやホラー調を目指してるんだろうけど、怖いというよりはせいぜい気味が悪い、程度のもの。

そんでまあ、クトゥルフ神話を知らない、あるいは俺みたいに知ってても大して興味を持ってない
人間からすると、なんつーかさ…内輪臭が強すぎるんだよね。
思わせぶりな登場人物やセリフなんかも本当に思わせぶりなだけで投げっぱなしのものが多いし、
どんな不可解なことが起きても
「言わなくても判るだろ?いや判らないことこそがクトゥルフだろ?」と
言わんばかりの調子なんだよね。最後までずっと。
すげー汚い例えで申し訳ないが、知らない人、興味がない人が淫夢MAD見たって
面白くもなんともないと思うんだよ。大抵「知ってる人」向けに作ってあるんだから。
それっぽい特徴的なネタをただ書くだけで、後は説明不要というのは
つまりそういうことなんだから。
そんな内輪臭に塗れた前半部分を評価するなら60点というところ。
とにかく読んでて退屈で、あまり面白くはなかった。



後半担当のヒロインは、同じ時系列で話が進むものの方向性がかなり変わる。
物語の背景をクトゥルフに頼ってる点では同じだけど
焦点がサスペンスやホラーから外れ、ヒロインの内面描写が主になる。
前作でもそうだったように、人間のイヤな部分を描くことに忌憚がなく
後半担当のヒロインにおいては、もはやメンタル的にどうやっても人生詰んでいるということを
生々しく表現し、読み手に伝えてくる。
そんな人の見たくもないところを描いている物語というのはそう多くもない訳で、
そこには確かに新鮮さがある。
そして現実を捨てて夢の世界に傾倒してしまうその姿は非常に説得力があった。
この「夢」というのは言ってみりゃシャブみたいなもんで
ある意味ゆるやかな自殺と変わらないんだけど、
俺はゲームや漫画、小説その他色々な物語の登場人物において
「自殺の動機に納得がいくキャラ」というものを殆ど見たことがない。
典型的すぎて安易な印象しか受けないものや、あるいは逆に突飛すぎたりで
全く共感できないものとか大体そんなのばっかりだしね。

しかし彼女の場合、
「もーwお前は現実生きてても辛いだけだから夢の世界に行っときなさいwもうなんも考えんでいいから!wな!w」
と、優しい気持ちで現実逃避を後押ししてやりたくなるんだよ。いやマジマジw
なんだろ、最初は単に嫌な性格をしてるだけにしか見えなかったけど
しばらく付き合っていく内に、この子はもう現実世界からリリースしてあげるしかない!!
って思うようになった。
自意識過剰に加え強迫観念が強すぎて、一周してちょっと愛おしくなってくるんだよ。マジだってw
これを魅力と言っていいのか判らんけど、一人のキャラクターを描くという観点からすると
見事にやりきってる。俺とものの考え方は全く違っても、彼女という存在に共感はできたから。

そんな彼女が「夢」を否定し現実世界を選ぶルートがある。
いわゆるTrueEndルートなんだけどさ。
何をどう考えても現実世界を選ぶはずがない彼女が
それでも現実を選んだ理由。

と、それを書く前に後半のもう一つの側面、
「人の姿をしているだけの化け物(比喩なし)との友情」について。
クラスにミステリアスな感じの転校生がやってきて、そんでまあ正体は
軟体生物の化け物なんだけど、しかしその正体は隠しながらもヒロインへと愛情を抱いてしまう。
だけどそこは鉄壁のヒロイン、
自分に好意を向けてくる相手なんざ完全にシャットアウトできたはず、だったが…?
という話。

結論から言っちゃうと、軟体生物がヒロインに
「そういう縁結びの呪いをかけたから」
ってことで、二人は心を通わせてしまうんだよね。
そしてその結果、「夢の世界には軟体生物がいないから」という理由で
現実世界で生きることを決心する訳だけど…うーん…ここがなあ………
種族を超えた愛情に感動させたいのか、
それともヒロインは自分の生き様すら自分で決めさせてもらえないという
皮肉な展開にしたいのか、どう受け取ればいいのかが判らんのよねw
だって結局はその愛慕も呪いの力なんでしょ?っていう。
いやでもそれは呪いをかけた本人が「仲間を引き連れ攻撃されると思ってしまう」程度の
力しかない、ほんの小さな縁結びなんでしょ?っていう。
どうにもはっきりしない。

この「ヒロインの気持ちは本当にヒロインのものなのか?」っていう疑問は
エンディングまでついてまわる。
このもやもや感が面白い…とはちょっと違うけど、確かに興味は引いてくるね。
色々考えさせられてしまう。この作品、ここまでは良かったんだよね。

そんでまあ、すったもんだのあげくヒロインは最後に
「願いを大体なんでも叶えてくれる魔神」を呼び出してしまう訳だけど、
ここで忘却を選んだ意味が全然判んない。え?これで終わりすか?って思った。
いや例え学校で元通りの生活が難しいとしても、
どこか遠くで二人だけで生きたいとか色々あるやろwww
夢の世界へ旅立っちゃうメンタリティなんだろこの子は。躊躇なんてしないと思うんだけどな。

考えてみたけど上手い答えが俺には思いつけなかった。
「呪いの力で軟体生物を求めてしまうが、しかし深層心理では他者を欲しつつも
他者を鏡として自分自身の深淵"Dear My Abyss"を覗いてしまう彼女は疲れきってしまい
忘れることを選んだ」
とか適当にそれっぽいことは考えつくけど、全然しっくりはこない。
というか作者が悲恋の結末、ペンギンの傘を描きたいがために
「二人が二人でいられない理由」を誤魔化したんだろうとさえ思ってる。
この最後に至るまでに、色々なことを思いつくまま適当に投げっぱなしで書いてきたんだから
それくらいのことは平気でするだろう、というのがその理由。
最後の最後で千代田(ナイアーラトテップだろう多分)出して何の意味があるねん、
お前ナイアーラトテップ出してみたかっただけちゃうんかと、みたいなさ。



そんな感じで、前作の悪かったところを多く引き継いでいると思った。
画面暗転ウェイトを多用し作者の思う「間」を読者に押し付け
読み進めるテンポが非常に悪くなってる点や、
日常描写が変化に乏しく極めて退屈な点とかもホントそのまんま。
読了まで25時間とか謳っているけど、多分文章量自体はそんなにないと思う。
自分は決して速読ではないけど、読了まで15時間前後くらいだったかな。
あとはまあ、全体的に中途半端すぎる。
クトゥルフが気に入って同じようなことやりたいと思ったんなら
全編通してそれをやればいいし、逆に恋愛モノにしたいならミスカもがっちり
(例え悲恋だとしても)恋愛させてやればいいのに。
前半・後半とヒロインを分けて分担させた結果、どっちも中途半端になってるのが
この作品の一番の欠点。

逆に登場人物の内面描写、ここだけは相変わらずいい切り口してたね。
自分が自分に徹底的に罰せられるその姿は本当に前作を髣髴とさせる。
そこにたどり着くまでが長すぎることさえ除けば素直に面白いと言えるんだけどな。

総じて、どこに7年かかっているのかよく判らない。
例えば制作に5年かけたアマツギツネとかすげーぞ。誰もやってないけどw
稚拙な部分がたくさんあるとしても、読んでて恥ずかしくなるくらい
作者の妄執みたいなのが否が応にも感じ取れるからな。
そういう熱意みたいなものが前作には確かにあったけど、今作にはない。
たぶん次回作が出たとしても時間おいてレビューが出揃うまでは買い控えると思う。



ん?この作品の一番素晴らしいところ…ですか?そうですね………
顔を見せないヒロインのバストアップが絶妙な性徴途中具合で俺貧乳属性ないのになんかすげえエロくて
たまらず画面のおっぱいに吸い付きそうになってしまうくらいだったこと、ですかねえ…
思わずスマホの待ち受けにしたくらいですからねえ…フフッ…



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