4Dさんの「水の星、世界を手に入れる男」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

フリーノベル。…ってちょっと待って何これめっちゃおもしろいんだけど
夢現でもふりーむでもなんでもいいけど
まあまずはこの作品の紹介ページを見てくれ。
「わあ、すっごい面白そうだな!」と思う人はそういないと思うw
基本的にフリゲってやる前から興味をそそったり
期待を激しく煽ってくるようなものは滅多にないもんだけど、
それにしても地味すぎて埋もれそうな雰囲気がすごい。っていうか既に埋もれてると言える。
それでもプレイするきっかけになった理由は「たまにこういう当たりが潜んでるから」これに尽きる。
同じこと何度も書いた覚えがあるけど、同人しかもフリーのノベルは
見た目や物語のあらすじと実際の面白さが全く一致しないことが多々ある。
とりあえずやってみないと判んない。



内容は…うーん…中世ファンタジーな軍国モノでいいのかな。
加えて言うなら昼行灯が覚醒する系。エロゲで言うなら巨乳ファンタジーが近いか。
国家間の戦争/海戦を主軸に、登場人物達の思惑が錯綜する感じ。

やってみないと判らない以上、自分は前情報なしで同人ノベルを読む際
「とりあえず様子見」みたいな心持ちで読み始める。
最後までやるか途中で投げるかを判断するためなるべくフラットに、
期待はしないが粗探しもしない、という感じで。
しかしこの作品においては「これ最後まで読む価値あるな」と判断するまでが
かなり早かった。
なんかねえ…文章に知性があるんだよね。

俺が実生活で「あ、俺と違ってこの人頭良いんだな」と感じるものに
「必要なことを必要な時に必要な分だけ、相手に判りやすく話す人」
ってのがあるんだけど、この作品はまさにそれ。
作者が自身に酔うための、読み手が判らないような難しい言葉を多用したりはしない。
無駄な修飾に塗れた文字数稼ぎみたいな長ったらしい表現もない。
読者の自尊心をくすぐるような、雰囲気だけの謎の知的?なやり取りとかもない。

言葉は相手に意味が伝わってこそ初めて"意味"があるものだと
オッサンになってやっと考えられるようになったんだけど、
そういう観点で言うとこの作品の文章は無駄がなく、かといって淡々としすぎていることもなく、
明瞭で話の推移が判りやすく、キャラクターの背景にまでも思索が及び、
物語の世界に没入できる優れたテキストだったと個人的には感じた。
フリー同人の中でも抜きん出ている、っていうかそこらのエロゲライターよりも余程優れてる。

そして何よりも登場人物の意思が強く感じられる内容だったことが素晴らしい。
というのも、登場人物の意思というより作者の意思、もっと言うなら
「テンプレートの強制力」を感じることが最近すげー増えたんだけども
例えば…そうだなあ、異世界ラノベってあるじゃん。
これ、目次の前にある登場人物の絵と紹介を見ただけで
「そのキャラがどういう役割にあってどういう行動をとるか」ってのが
もう全て判っちゃうじゃないw
ラノベが特にアレなメディアだってのもあるだろうけど、まあエロゲもほぼ同じようなもんで
やる前から大筋は判りきってるというかさ。予想を裏切らない。
ユーザーが望む方向、つまり読んでて気持ちがよく心のおちんちんを撫でさするような方向に
話を持っていかないと反感を買うから仕方ない、なんて話も聞くけども。
だからこそたまーに、一般的なエロゲオタの望まない方向へ突っ走るヒロインが出てくると
叩きの嵐が吹き荒れる中、逆にその点を高評価する人も必ず出てくる。俺にはその気持ちがすごく良く判る。
今となっては内容の是非はさておき「予想を裏切ってくれた」ただそれだけで
価値が見出せてしまうというところまできてるんだと個人的には思ってる。

と、長々と前置きした上で言うんだけど、この作品に出てくるキャラは
どう動くのかが読めないところがすごく楽しめた。
例えばヒロイン格の一人を挙げると、彼女は主人公を裏切っても納得いくし、
最後まで共にしたとしてもやはり納得がいく。
彼女には彼女の信念がありそれが元になって天秤が傾く訳だけど、
やっぱり人間だからどう転ぶか予測しきれないところがあるんだよね。
そう、「作者の駒」じゃあなくて、自己の確立された「一人の人間」のように見えた。少なくとも俺には。
この作品、登場人物の殆どがそんな感じなんだ。主人公すらも含めてね。
よくある「本気出したらなんでもできるスーパーマン」かと思っていたけど
最後の決壊はそれまでの物語全てを肯定させるだけのものがあった。
ラナが何を危ぶんでいたか、どこに惚れてしまったのか、そして誰になんと言われても側に居続けると決心をした理由、
それら全てが一気に集束したあの瞬間は本当に見事と言うしかない。
そんな感じで、最後まで先が全く読めない。
フリー同人ということも合わさってこの話がどうなるのか検討もつかない。そりゃあワクワクもするよ。

色々な意味でラノベの対極にあるような作品だと個人的には感じた。
別にラノベをディスってる訳じゃなくて、自分が若かった頃で言うなら
恐らく富士見ファンタジア文庫w辺りが相当するんだろうけど、これらはやっぱり子供向けに作られているものだしね。
極端に衝撃を与えるものや思い通りにいかないもの、緊張、ストレス、不快感を与えるようなものはそぐわない訳で。
その点この作品は巨乳ファンタジーに近いと言いつつも、内容的にはあんなに温くはない。
普通に人が死ぬし拷問とか割とハードな描写もある。聖人君子は存在しない。
仲間にしたって利害の一致があるだけで、全く欠片ほども信用できないようなのが何人か。
でもそれが何よりも面白い。
そして「よっこらセックス」たったこれ一つでこの作者はギャグセンスも備えていると確信した。
あの瞬間、色々な意味で神がかっていたよ。

ただまあ一つ問題があるとすれば、一般的な完結した物語と比較して
この作品は序章~第二章、くらいの進行度で話が終わってしまうこと。
隠してもしょうがないからはっきり言うと「俺達の戦いはこれからだ!!」で終わる。
最後の継承についてはまあ予想がついてたにしても、締めとしてキレイな形だったとは思うんだけどね。
想像以上に面白かったせいか覇道が成る日、あるいは潰えるその日までを
読みたかったというのが正直なところ。
このクオリティのまま最後まで書ききってCG付けてくれたら8,800円くらい出してもいい。
その際、少し人間臭くなったファルシータ様みたいなクソビッチ令嬢オリヴィアについては
存在自体がすげーエロいので是非おしおきセックスの刑に処して頂きたい。
というか出てくるヒロインがどうにも全員、セックスさせたら映えそうな子ばかりなんだよなあ。
戦っちゃうお姫様、猛禽類クソビッチ、魔性ロリ&純朴ロリにサイコビッチ、
身分の差ありで主人公の浮気すらも飲み込める健気で幼馴染な召使い…
いいね。いい。いいよそういうの。色々なシチュエーションで楽しめそう。
この作品は全年齢向けだけど、絵と文章の端々から察するにこの作者エロも好きなはずw
いやマジでクソビッチ令嬢オリヴィアと愛のないセックスさせてくれんかなあ。

立ち絵がある割にはちょい役で終わってるヒロインなんかを見るに
構想はもっと深かったあろうことが見て取れるし、続編をエロ同人で出してくれんかな…間違いなく買うよ?
とつい思ってしまうくらいに優良な作品だったと俺は思う。
いやあ…クソビッチ令嬢オリヴィアと一周回って逆にいちゃラブセックスとかもしてみたいしさ俺。



※追記
ってちょっと待って今作者粘着してたんだけどHPに「続編制作中です」って書いてあるじゃん!!!!!!!!!
おいまじかよ…やったぜ俺もう少し生きてみる理由が一つ増えたぜ!!




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