マルセルさんの「ぱらだいすお~しゃん」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

エロ助のPOVに「大作なり損ね」というものがあるが、まさにその名にふさわしい作品だ。この作品は大きく分けて「ゲーム性部分」と「シナリオ部分」の問題があり、前者は「内容云々以前にその作中の位置づけからして間違って」おり「シナリオに連動しない単体ミニゲーム」という位置づけなのに、トゥルーを見るためには必ずクリアしなければならないという苦行っぷりが酷い。後者のシナリオは「描写不足」と「個別ルートのトゥルーエンド伏線化」によって作品が意図したような広大な物語を構築できていない。個別の積み重なりが、トゥルーエンドのテーマ性に繋がるような構成なのに、その個別ルート自体が描写不足且つ「肝心な描写はトゥルーのネタバレの為にスキップ」されるので、個別ルート自体がどうしても中途半端になってしまう。ヒロイン描写とエロと電波トゥルーシナリオは結構面白いので「大作風味」味をスナック感覚で楽しみたい人にはアリだろう。
・総CG枚数(差分無し)84枚 総回想数枠27回

・キャラ別CG(エロCG)&回想数

アリカ   20枚(11) 7回 
青     19枚(10) 6回 
リルフィ  19枚(11) 6回 
空子   20枚(12) 7回 
その他   6枚    1回

(備考:その他はハーレムルートとトゥルー。尚トゥルーにはエチ無し)

になし)


・クリック数

簡単な説明:クリック数つーのは、既読スキップオン+テキスト速度ノーウェイト環境下で計った、ゲーム開始時から作品を終えるまで各シナリオ毎のクリックの合計回数のこと。以下そのメリットについて。

(1)初回プレイ時の「共通」+「個別」のシナリオの総容量が分かる
(2)2周目以降の、共通シナリオを除いた個別シナリオの総容量が分かる。

(ゆえに、一周目のヒロインルートはクリ数が多く、二周目以降はたぶん半減するが、一周目の「個別ルート」が他よりも長いというわけではないので注意)

(3)エロテキストのクリ数と。それを含んだ全シナリオのクリ数を比較すれば、両者の割合もある程度はわかる。
(4)テキスト速度の環境さえ同じなら、プレイ時間と違ってユーザーによる計測誤差は少ない。

といった四点が指標として役に立つとバッチャが言っていたような気がしないでもない。

(5)BCは主人公とヒロインが恋人になる前までのクリック数で、ACは恋人になったあとのクリック数ね。
「その恋人になった「まえ/あと」ってどう定義するの?というのはなかなかにむずかしい話であるが、大抵のエロゲには告白CGなるものがありますからそこを基準にします
そういうCGがなかったり、なんかズルズルだらしない感じでずっこんばっこんなシナリオの場合は、まぁ僕がテキトーに判断しますが、その場合は「?AC6992」みたいに?をつけまつ。
そういや「誰とも付き合わないシナリオ」っていうのもあらわな。そう言う場合は特にACとかBCとかは書きません。

・各ヒロインシナリオのクリック数

1周目 空子    「11901」 BC8116  AC3785
2周目 青     「7010」 BC4885 AC2288
3周目 アリカ   「3931」 BC1687  AC2244 
4周目 リルフィー 「5751」 BC2996  AC2785

トゥルー     「1689」

(備考:特になし)


・各キャラのHシーンのクリック数

(気が向いたらやります。まぁ一回当たり100~200前後かな)


☆作品の大まかな評価。

簡単な説明:これはもうそのまんまですな。一応Z~SSSまでの評価基準が存在するらしいのですが、大抵はC~Aの間に収まっているようです。
「C」がだいたい「やってもやらなくても別にいいんじゃね」。「B」が「やればけっこう面白いんじゃね」。Aが「やってないヤツは人生つまないんじゃね」。
といったかんじになっております。あと「全体評価」っていうのは、その項目における「作品全体」から感じる何となく駄目だとかイイとかそういう評価です。
あと、これは当たり前すぎて却って説明しにくいものですけど、僕の定義による「シナリオ評価」ってヤツは「感動させなきゃダメ」とか「深いテーマが無きゃダメ」とか、
そういうヤツではなくて、基本的には「その作品が目指していると思われるものが、どれくらい達成されているか?」というような「完成度」評価に近いものかも知れません。
ですから、原理的には抜きゲであろうと萌えゲであろうとシナリオゲであろうとも、その作品が目指しているものが完成されていると判断すれば、シナリオ評価は高くなるって話です。

・シナリオ評価

空子    B
青     B
リルフィ  C+
アリカ   C

トゥルー  B    

全体評価  B-


・イチャラブ評価   

空子    B
青     C+
リルフィ  C+
アリカ   C+
    
全体評価  C+


・エロ評価

空子    B
青     B
リルフィ  B+
アリカ   B
    



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(1)「個別とトゥル-とゲーム性の間で引き裂かれたぱらだいすおーしゃん」


僕はツイッターをやっていて、そこで全てのエロゲ作品や体験版について呟くわけではないのだが、これは「必ず買おう」といった作品の体験版については概ね感想を記しており、こういう「結果的に期待外れ」だった作品の本編をやり終わると、体験版の感想を書いておくというのも、エロゲオタの趣味としては悪くは無いよなぁと改めて思う。
別にアリバイ作りというわけでも無いし、まぁ「僕の予想は当たったぞ!すげぇだろう!」というのは2割くらいはあるのだが、いちばん大きいのは、自分の「予想」というものが、どれだけ当たっていたのかという自己満足な楽しみではある。ある意味でこれは競馬予想みたいなものであって、これこそ新作エロゲを発売日に特攻するエロゲ勇者の特権だと言えなくもない。

さて、結果的には僕の予想と言うか心配は、6割前後は当たっていたと思う。詳細または嘘ついてるんじゃねーを知りたい人は僕のツイアカウントでも探って欲しいが、僕は体験版において、

>「なんだか妙に描写不足と勢いオンリーが目立って、それが壮大な物語の伏線なのか、あるいは単に作りが雑なのかようわからん」

みたいなことを呟いたのだが、この感想は概ね本編においても通じると思う。この作品の本編もルートによって多少は違うが、常に「トゥルーの伏線なのか描写不足なのかわからん」感じがトゥルーまで付きまとうようなシナリオと言ってもいい。
そして、結果的に「トゥルー」においては、これは確かに「意外な形で伏線が解消される」ような面白さはあるのだが、それはどちらかと言うと電波シナリオ的な面白さであって、
この作品が目指していたような「個別ルートの積み重なりが、トゥルーにおいて表現しようとしていたテーマを見事に描写していく」ような作品にはなっていないのである。まずはこの「シナリオ」部分について詳細に分析しよう。


既に上のデーター欄で、読者の皆さんは僕のシナリオ評価を知っているわけだが、まずはいちばん評価が辛い「アリカ」シナリオから見ていこうと思う。
このシナリオ、やや大雑把な言い方になるけれども、体験版(共通ルート)での伏線がほぼ全て解消される機能以外には、ほとんど意味がないシナリオというかダイジェストプロットと言ってもいいシナリオではある。

共通ルートでの伏線とは、このお話の表面上はメインプロットにみえる(実はトゥルーシナリオの方がメインといえるのだが)「暁のレヴィナス」という海賊団や「ぱらだいすお~しゃん号」の歴史と言った設定群だ。
これらの設定は、体験版部分は曖昧にボカされて、色々な設定はあるものの、大きなところで言えば、この作品がファンタジーなのかリアリズムなのかと言った疑問と興味をユーザーにもたらす。
「海賊船」というのは、普通にリアリズムの範疇から言えばあり得ないし、主人公の過去の思い出を見るにファンタジーの疑いも強いし、学生にブラック労働を強制される「ぱらだいすお~しゃん号」も、
まぁ普通に考えればこれはファンタジー気味な設定には見えるものの、体験版で行われる茶番劇みたいなアクションは全てリアリズムの範疇であって、これを「深読み」すると「壮大な物語がっ」期待にはなるわけだ。
元「海賊団」が普通に「豪華客船」に乗っている理由とは? 海賊団が解体してぱらだいすお~しゃん号のリルフィーに付き従っている理由とは? そして労働組合の目的とは何か?みたいな感じで。

んで、このアリカルートはそこらへんの「壮大な物語がっ」期待が、だいたい8割くらいは消滅してしまうんだなこれが。巨大な海賊船だと思っていた船が、単なる漁船だったくらいのガッカリ感はある。
この「暁のレヴィナス」という海賊団は、別にファンタジー的な意味合いの海賊団ではなく、普通の?といったら変ではあるが、まぁ「義賊」的な海賊団であって、リルフィーに恩義があって彼女に従っているということ。
このルートで明らかになる伏線は正直これくらいなのだが、この時点でこの作品がほぼリアリズムの範疇で動いてるということがわかてしまう。「海賊団」以外は一応は全部リアリズムの範疇で説明がつくし、実際その通りになる。
いや「トゥルーエンド」で、そこが「ひっくり返る」ともいえるのだが、それまでのメインプロットは、この「海賊団の正体」レベルの驚きしかないので、ここで「えー、こんな小さいお話なの?」と肩透かしを食らう人は多いだろう。

とはいえ、このシナリオの真の問題はそこではなく、あくまで「ヒロインシナリオ」としての出来の悪さではある。これを説明するには、上のデーター数のクリック数を見ればわかると言える話であって、まずは単純な描写不足ではあるだろう。。
合計のクリック数が4000程度であり、そのうち半分くらいが2~4割がエチに取られていると思えば、2500クリック程度、時間で言えばだいたい約1時間くらいの尺しかない時点で、これは相当に厳しいと判断できるだろう。
もちろん、その約1時間の尺に対して、内容は結構詰め込み気味ではある。
物語としては、主人公がアリカにより近づく為には自分も海賊団に入るしかないと思い、そこで苦労イベントを重ねていくうちに、海賊団の歴史やアリカの両親の真の物語を知っていき、
遂には主人公が海賊団に認められてハッピーエンドと言うプロットであり、別にプロット自体は後述する一点を除いて悪くはない話だ。が、こうしたプロットの描写が全て薄いというかダイジェスト気味である。

こうした一連のプロットの中で、いちばん描写の密度が濃いのが「主人公がアリカにより近づく為には自分も海賊団に入るしかないと思い」の部分で、これはアリカの部下に騙されて、アリカの部下のお仕事を任されていたという部分であり、
エロゲヒロインシナリオにおいて一番重要な「海賊団に入るために、アリカと一騎打ちで戦って勝つための練習」とか「恋愛禁止の掟を破った後の、アリカとの日常」といった部分はほぼダイジェストと言ってもいい。
感覚的に言えば、共通部分で「再会型幼馴染に出会い、個別ルートに入ったら彼女と仲良くなるために海賊団の仕事をしていたら、彼女の為にバトルスキルを磨く嵌めになって、いつの間にか勝ってHしてエンディングだったでござる」でしかない。。
もちろん、これは多少は誇張しているのであって、実際はその中に、アリカとその両親の関係性みたいな話は入るのだが、そうした「アリカシナリオ」の「メインプロットに関係するアリカの心理描写」といったものが、
あくまで「その場限りのダイジェスト描写」のみで語られる…逆に言えば、通常の描写の中でそうした「両親との関係性がアリカの心情や行動に与えている」ような人格描写が薄いので、テーマの提示はあくまで設定レベルでしか迫ってこない。

このような次第なので、別に僕が今から指摘する「プロット面の弱点」が克服されていたとしても、このシナリオは良くなったとは言えないものの「設計レベルでの脆弱性」を指摘しておくのも悪くはあるまい。
このプロットの欠点は、トゥルーエンドに繋がる「アリカと主人公の幼年時代」を先のネタバレフォローの為か、そこの部分がこのシナリオでは殆ど語られないところだ。
「再会型幼馴染ヒロイン」なのにも関わらず、しかもその「幼年時代の思い出」が主人公とヒロイン共に大切な思い出になっているにもかかわらず、そこの部分の描写が弱すぎるのだ。
感覚的に言えば「主人公とヒロインが好き合っているのは、幼年時代の思い出設定があるからだよねー」以上の二人の繋がりは、ユーザーに全く伝わってこない。そこに上で指摘した各描写の薄さが重なって「ダイジェストシナリオ」と化してしまう。
もちろん、その部分は「トゥルーシナリオ」で、主人公とヒロインの幼年時代が、ある意味で全ての始まりだったということがわかるが、そんなものをトゥルーで提示されても、個別ルートの印象が良くなるわけでも無いだろう。
そのネタバレ部分は、主人公またはヒロインのどちらかを記憶喪失設定にするなりして、そのネタバレ部分を避けつつ「海賊団でのお仕事や修行」の中で、ネタバレ部分以外の思い出が蘇るみたいな話にすればよかったんじゃないかと思う。


しかしそうなると「リルフィー」シナリオの主人公のネタバレ部分が引っ掛かってくるという問題がある。この作品、やっぱり初期のプロット設計図に大きな問題があって、各ルートやトゥルーのネタバレ要因が、
他のルートでの「そのシナリオに必要な描写」を阻害しているようなところがあるんですよね。リルフィーシナリオ自体は、そういった欠点は他のシナリオよりも少ない方ではあるのだが。

このリルフィシナリオは、僕は上のデーター欄の評価では、アリカに次いで辛い評価をしているものの、個人的には「わりと好きなシナリオ」ではあるし、客観的に言っても「プラスも薄いがマイナスも薄い類」のシナリオではある。
このお話は、基本的に「ぱらだいすお~しゃん号」の由来と、主人公の来歴を語るお話になっている。それらを繋ぐプロットは「主人公がリルフィの秘書として活躍する」お話で、
まぁこのお話自体は「描写が薄い」というよりも「淡々と数々のトラブルを解決していくようなお話オンリー」であり、それ自体はあまり面白くはない。
そうしたプロットが終わると、お次はまぁ全てをネタバレするのもアレだから、ここは一応はボカしておくが、主人公と結ばれたあと、とある理由によりリルフィは社長を辞めることになり
ひとりのお客としてぱらだいすおーしゃん号で主人公とイチャラブセックスを過ごしたあと、これまたラストのネタバレ的なエンディングに向かって物語は幕を閉じる。

このシナリオの弱点としては、他のシナリオがそうであるように「描写不足」と言うよりも、まぁこれは「描写不足」とも言えなくはないのだが、まずは前半の「リルフィの秘書として活躍する」描写自体が面白くないのと、
リルフィと結ばれた後のシナリオが、イチャラブセックスオンリーで詰まらんと言う話よりも、ラストのエンディングに向けて、その決断を下す主人公とリルフィの内面またはそれについて相談するような恋人描写が欠けているところである。
前者から言えば、この作品には総じて「豪華客船が舞台になっている」にも関わらず、その「舞台を生かした描写が面白くない」という欠点があるのだが、このリルフィシナリオはその典型だと言ってもよく、
確かに主人公くんが頑張っているのはわかるし、リルフィのような一人で頑張り屋さんにとっては主人公のような恋人が必要だろうなぁというレベルまでは伝わってくる。でも、逆に言えば「そこまで」しか伝わってこないうえに、
リルフィと主人公が恋人になったあとも、この作品の中では恋人描写は多い方だとは思うが、ラストの決断をネタバレ的に引っ張るよりも、ラストの決断に向けて二人のやり取りをもっと描いた方が良かっただろう。
このシナリオは、作中の位置づけとしては「敢えて夢を叶えない」可能性のひとつを描いたシナリオで、僕はそういうお話自体は結構好きなのだが、このシナリオはそれを描くにしてもやはり描写不足な点は否めなかった。


それでは、この作品に於いて「描写不足」とはいえないシナリオは存在するのだろうか? 「青さん」シナリオは、基本的には「描写不足」と言えるシナリオではなく、前半から中盤にかけては「良作」シナリオと言っていい完成度を持ち、
後半に関しても、これは「描写不足」というよりも、この作品の「ゲーム性」と「シナリオ」の関係性が故に、物語が要求するようなプロットを紙芝居として描けなかったところが問題だと思っている。
が、これについては「ゲーム性について」のところで後述しよう。

まぁ「青さんシナリオ」も恋愛シナリオとしては非常に弱いのは事実で、良くも悪くも「共通ルートの延長」のようなところはある。
このルートは労働組合の発展を願う青さんに対して、主人公とヒロインたちが青さんの活動をサポートしつつ、数々の失敗を乗り越えて、ついには労働組合が青さんの御遊びではなく、きちんとした組合として機能するまでを描くといったお話だ。
もちろん「労働組合」といったところで、これはあくまで「萌えゲー」なので、それは「会社側と交渉を行う」とか「組合員が自発的に勉強や相互扶助を行う」といった活動を萌えゲライクに描写しているレベルではあるが、
本格的に「労働活動をメインにした物語です」とでもアナウンスしない限りそうした簡素化は特に問題にはならないし、上のレベルの描写であっても、きちんとキャラクターの活動が描写出来ていて物語と繋がっていればそこは評価すべきだろう。

そういう意味で、このシナリオはあくまで「前半から中盤にかけて」は、それなりに良く描けている。展開としては

>「青さんのピント外れな労働組合活動→主人公たちがそれを訂正しつつ地道な勧誘を繰り広げる→しかしネタバレ的なミスで労働組合の難しさを知る→諦めない青さんが頑張り→やがてその頑張りが認められて…」

といったお話で、まあ別にそれ自体が悪いわけではないがご都合主義なお話ではある。ただ、これにリアリティを与えているのは「ネタバレ的なミスで労働組合の難しさを知る」という、ここだけは割と現実的なイベントだろう。
そりゃ誰だって、この御時世「進んで働きたくはない」わけで、この現実を一旦は認めているがゆえに、そこから「頑張りが認められて」といったお話が説得力をもってくるわけだ。
このプロットを補強しているのが、先ほどちらっと書いたように「実質的には共通ルートの延長」である、主人公と青さん以外のヒロイン達と、その他サブキャラやモブキャラを大量動員したドタバタ騒ぎだ。
実際のところ、労働組合の活動と言ったところで、先にも言ったように、みんなで勉強をしたり、アンケートを取って回ったり、みんなのお仕事をしたりといった程度のお話で、それ自体は別に面白いお話ではないのだが、
ここらへんは流石「しげた」さんと言うべきライターの腕前が光っていて、それ自体はさして面白くないお話を「みんなでガヤガヤと動き回る」ことで、それはそれで労働や勉強も楽しいのかもしれないと思わせるような空間を描写できている。

このルートのヒロインである「青さん」についても、主人公の恋愛相手としてはさておき「どんな境遇でも諦めないヒロイン像を描く」という点では、見事に成功していると思われる。
この成功の理由は、基本的にはプロローグ部分から続く「青さんの一貫性」の確保だろう。プロローグ部分の青さんは、正直はた迷惑な労働組合活動しかしておらず、半ばギャグ専用と言ったヒロインであり、
それが個別ルートに入ると主人公たちのアドバイスを受けて、マトモな労働組合活動にシフトしていくのだが、しかし某ネタバレ展開のあと、常識人の皆さんが諦めムードに陥っているなか、青さんだけは全く何も諦めてはいない。
この「非常識なまでに諦めない青さん」と「常識的な主人公たち」の何気ない対称と交わりが実に素敵だ。
青さんは例え皆が諦めようとも、別に誰も見ていないようなお仕事でも、自分のお仕事が結果的に青さんが願う理想の「ぱらだいすお~しゃん」に繋がると信じて一人黙々とそれ自体は詰まらない仕事に精を出し、
そんな青さんを見て、主人公たちは青さんの頑張りが認められるようにとある一計を案じる。この一計で労働組合が実現するというのは、確かにそれ自体はご都合主義であるが、ユーザーの青さんに対するリスペクトと一致してとてもいい話だ。

その後のお話は、長い間「相棒」として主人公に対して青さんが伊勢に目覚めるというお話であるが、この多少強引なプロットも、青さんらしさはきちんと描写されているので恋愛シナリオとしては合格点だ。
もちろん、デートはちっともうまくはいかないし、友達から恋人へと変わるような繊細な心理描写なんて全くなく、デートらしきものを終えて、二人で朝焼けを見ようとロマンチックモードを演出しようとしても青さんは寝てしまい、
あとはわりと成り行き任せでセックスだぁセックスだぁが始まるわけだが、僕がこの「ぱらだいすお~しゃん」というか「しげた」さんのシナリオに期待していたのは、こういう「子供らしい」恋愛物語と言うか、
いや「物語」と敢えて言うべきでもないような、ヒロインの日常生活や行動の積み重ねが自然に恋愛感情を高めていって、特に恋人だとか恋愛だとか四の五の言わずに、そのままキスやエッチに流れて込んでいくような青春の勢いがとても好き。

だもんで、この「青さんと結ばれたあと」は、このシナリオそれ自体には特に書くべき物はなく「イチャラブセックス連発して終了ですた」になってしまうわけだ。
一応、物語としては「青さんの労働組合の御蔭で船員たちのスキルが上がって無事に事故を回避できました」みたいな話にはなっているのだが、この一連の出来事は、
「それから数年が経ち」のワンクリックで「船員たちのスキルが上がって」を説明し、あとは事故イベントを描くだけで終了なので、まぁヒロインシナリオとは言い難いレベルだ。
こうしたことが何故起こるかについては、前述したように「ゲーム性について」のところで説明するにして、ここがきちんと描かれれば、このシナリオは傑作になりえていたと思うと非常に残念だ。


総合的に見て、この作品の中でいちばん完成度が高いというか、まぁ普通のエロゲの個別ルートと同じように楽しめるのが「空子」ルートだと思われる。
もっとも、此方も「欠点」から指摘して方が、物語の構造がよくわかるようなところがあって、このシナリオでは「空子の真のトラウマ」と言える部分が、これまたトゥルーのネタバレに引っ張られる構造になっているので、
空子ちゃんの「真のトラウマ」を巡る描写はこれまた抑制気味になり、その「真のトラウマ」が空子ルートの物語全般に深く繋がっているので、個別ルート全体としてはどこか中途半端気味になってしまうのだ。
しかもトゥルーを見ても、このネタバレは別に個別でバラしても大丈夫な内容なので、あくまで個別ルートで「不完全燃焼感」を演出して、トゥルーでの解決を狙うといったレベルの下策な引っ張りなのも超マイナスではある。

とはいえ、この空子ちゃんルートの美点は、空子ちゃんの「サバサバしているようで、実は色々と考えて行動しているかもしれないような性格」にとっては、上の欠点が一部を除いてあまりマイナスには感じられないところだ。
この空子ちゃんルートの展開は、前半から中盤は青さんルートと同じように、共通ルートの延長線上で「皆でお船の活動と勉強をするお話」に充てられるものの、中盤からは主人公一人だけが試験に受かって、
主人公は早くも「社会人として働くようになる」ものの、そこで空子ちゃんのトラウマを知ってしまい、空子ちゃんを助けようとするものの…というのが、後半までのシナリオとなる。。

ここの部分はたぶんこの作品の中でいちばん楽しめたシナリオだった。僕は体験版の部分から、主人公と空子ちゃんの関係性が結構好きで、この二人は二人ともお互いを特に異性としてみていないものの、
ただ「青さん」みたいに完全に「相棒」として見ているわけではなくて、ふとした瞬間にお互いの異性を感じてしまったり、それとなく主人公をあしらいながらも、基本的には主人公に懐っこい空子ちゃんが好きで、
このまま二人が船内のお仕事を通じて恋人になっていったらいいなぁと思っていたのである。ところがそれが「主人公だけ試験に受かってしまう」という、割と意外な展開で断ち切られる。
この時点では二人とも「ただの友達」レベルだったので、それ以上の関係には進みようが無く、以降は主人公が社会人生活を淡々と送るわけだが…ここの「突然の生活の変化」と「空子ちゃんの突然の爆発」が妙にリアリティがあって好きだ。
主人公には主人公なりの航海士になるという夢もあるわけだが、それはそれとして社会人になったからと言っていきなり大人になれるわけはなく、学生の頃と同じように空子ちゃんを助けようとするものの、
空子ちゃんにとって主人公はもう「大人側」に行ってしまったような存在だから…みたいな疎外感、しかし心理描写として強調することなく、社会人と学生の生活スタイルの違いという日常描写によってさり気なく描いているのも素敵。

んで、ここからはトラウマ克服パートになるわけですが、まぁぶっちゃけこれは「トラウマ克服という態」を取って空子ちゃんが主人公にイチャラブするお話ですから、
学生時代の時よりもほんの少しだけ積極的になった空子ちゃんと、トラウマ解決?したあとの、もう空子ちゃんと付き合う理由はねぇなぁが発動される前の空子ちゃんの唐突な告白シーンがこれまた素敵ではあるんですよ。
これも「青さん」ルートと似たようなところがあるけども、このシナリオの場合も、通常の意味での恋愛描写としては、少なくとも二人ともお互いに好意をあまり表明してはいなかったわけで、
まだこの時点では「仲の良い友達程度」ではあるし、しかもこの時点では二人とも「明確な将来の夢」が定まっているところはあるわけで、この時点で二人が明確に結ばれるのは難しいだろうなぁとは思うわけですよ。
でも、そこを空子ちゃんが物凄い力業でねじ伏せる。
これ、空子ちゃんがそれまで「距離を取るのが上手いようなサバサバキャラ」だからこそ、この空子ちゃんの力業が物凄く印象に残るわけです。この空子ちゃんがそこまで言うか!みたいな。
「しげた」さんのシナリオには、何時もはそこまで感情を爆発させたりはしないけれども、肝心かなめなところで、意外なキャラがそれを爆発させることで、物語の流れがグルっと変わるみたいな勢いがあって、
それがヒロインとの恋愛物語に結びつくと、ああ、やっぱり主人公とヒロインが気持ちをぶつけ合うようなシナリオは見ていて気分が良いなあと、ツイッターでの腹の探り合いに辟易してる自分にはエロゲに憧れちゃうわけでございまする。

こっから、お次は「空子ちゃんの女優としてのお仕事ネタ」にはなって、まぁここは正直描写不足は否めないのですけどね。その理由は、前にも書いた通り、その「女優としての才能」がトゥルーネタバレに繋がってるのと、
後はこのシナリオ自体が「空子ちゃん」よりも「トゥルーの某キャラ」の為の伏線になってしまっているところはある。とはいえ、他のシナリオの後半部分が「イチャラブセックスオンリー」で終わっているのに比べたら、
こちらは一応は物語はきちんとあるし、その物語がエンディングの主人公とヒロインの決断に説得力を持って繋がっているところは悪くはない。空子ちゃんルートと同じくらいのクオリティを他ルートも維持できていればなぁ。



さて、それでは、こうした「結構微妙な個別ルート評価」は「トゥルーエンド」によって逆転できたのか? 答えは基本的に「ノー」である。
流石にここまで「ネタバレ」的な物語のネタバレ部分を詳細に語るのも、ライターさんに対して悪いと思うから、そこらへんは適当にボカさせて頂くが、
このルート、まぁ大半の「壮大なトゥルーエンド」的なシナリオがそうであるように、今までのシナリオの伏線は「回収されるもの」の、それは今までの「伏線が生きて積み重なった」類のシナリオであることを意味しない。
例えば、僕がこのレビューで、いきなり「PhenomII X2 555BE AM3」の優秀さについて語りだした場合は「なんでそんな今までの話と関係ない話を!」とは思うだろうが、
僕は何とかそこから「PhenomII X2 555BE AM3」とこの「ぱらだいすお~しゃん」のレビューと関係づけるような話をすることは、まぁやろうとすることはできる。
このトゥルーシナリオがやっていることも基本的にはそれだ。
「予想を裏切る展開」というよりは「今までのお話と全く関係ないような電波シナリオ」を唐突に語りだして、それが実は今までの個別シナリオと繋がっていたんだ!と無理くりに繋げるような方法であり、
それはもちろん「シナリオ」というのは「常に後付けで関連付け」出来る以上、このような方法も可能なのであるが、しかし「この電波シナリオ出なくてはならない!}というような説得力は、この方法では生まれにくいと言える。

まぁそれはそれとしても、このシナリオは「唐突な電波シナリオ」としては面白いし「沈みなよ―――そこが君たちのパラダイスだ」とか「海は広いなー、大きいなー」といったラスボスの決め台詞は大爆笑させて貰った。
とはいって、この「トゥルーシナリオ」と「個別シナリオ」の合わせ技で、ライター氏が描こうとしたものについては、それは殆ど実現できていないという厳しい評価を下せざるを得ないのも確かだ。
ここらへんは詳しく言うとネタバレではあるものの、やや抽象的に言えば「人間の理解を拒むような自然の不条理に対して、人間はそれをどのように受け入れるべきか?」というテーマ性であり、
こういう問題については、基本的にはその「答え」の正しさや妥当性よりも、登場人物たちが「そのような答えを出すこと」に対して説得力を持ちえるのか?ということの方がフィクションとしては重要である。
何故ならば、こういう普遍的且つ根源的なテーマについては、その問題について考えたことのある人ならば、その人なりの人生によって答えが全く違うから、その正しさを巡って議論させることはフィクションの狙いではないし、
また片一方で、この手の普遍的且つ根源的なテーマについては「適当な回答」というのもまた同時に用意されているので「答えの正しさ」だけを焦点にしてしまうと、どの答えを出したところで読者に強い印象を与えることは難しい。

そして、この作品の結論としては、まあ「適当な回答」に終わったということ自体は別に悪くはないのだが、問題なのはその「適当な回答」それ自体にキャラクターもしくは読者の感情移入がちっとも欠けているという点だ。
ややネタバレに踏み込んで言えば、この「理不尽な自然」に対して、なるほどライターさんは「テーマ論的に各ヒロインのそれに関係した物語」を何とか繋げようとしているが、元のシナリオにそうした描写が決定的に欠けている。
ありていに言えば、この作品は「理不尽な過去を背負ったヒロインたち」の物語とは言えて、そこから「理不尽な過去を乗り越えた→理不尽な自然と和解した」というお話を何とか繋げようとしてはいるだけで、
その「理不尽な自然」もっとありていに言えば「海と主人公とヒロインが直接的に関係するようなイベントや描写」がこの作品の中ではあまりにも少なすぎる。
だからそこで、理不尽な自然を愛するとか愛さないみたいな話を延々と言われても、そんなものは単なる空理空論のテーマ性を電波シナリオで弄んでいるだけに過ぎず、トゥルーは単に「オチ担当」以上の価値を持ちえないわけだ。

実際のところ、これは「上で指摘したような各シナリオの描写不足が無ければ」と「トゥルーのネタバレ配慮で個別が委縮していなければ」という架空前提であるが、全体の設計図としては悪くはない。
たぶん当初の設計図としては、この「ぱらだいすお~しゃん」は「豪華客船内部」だけのお話ではなく「あらゆる海に関係した主人公とヒロインたちの」人生を描くような視野の広い作品を想定したように思われる。
「青さん」と「アリカ」は「ぱらだいすお~しゃん号」に関係したお仕事を描くシナリオとしてはわかりやすいが、結果的には船を降りることになる「リルフィー」と「空子」といったシナリオについても、
船内の乗務員の立場だけで「海」を眺めるのではなく、他のより別の立場から「海」と「人」との関係を描きたかったのだとおもう。が、こうした部分は結果的には殆ど描写されずに終わっている。

どうしてこのようなことが起こったのか? それは事実としては「エロゲ業界の衰退」云々に帰せる方が蓋然性は高いだろうが、僕はここで「ゲーム性との関係性が最悪」だったという論点を提出して未来のエロゲに対する教訓としたい。


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(2)「ゲーム性と物語性が不協和音を奏で続けるぱらだいすお~しゃん号」


とはいうものの、僕は「ズル技」とまではいわないものの、結果的にはこの作品のゲーム性というか苦行を体験せずに済んだことは、最初に告白しておこう。
ゲーム開始直後、僕はたぶん「バク」に遭遇して、いきなり所持金がMAX?近くになってしまったんですよね。だから結果的に僕はこの作品のミニゲームをほとんどやっておらず、
大半のプレイヤーが苦労していた「????」モード解放の為の資金集めを味わっていないのではある。だからその点に対して、僕はほかのプレイヤーと比べて「恨み」は少ない方であるが、
だからといって、そのゲーム部分の欠点が無くなるわけではないことは、ここで強調しておきたい。

さて、まずは「ミニゲームの内容」よりも、この作品における「ミニゲーム」の位置づけを説明しておこう。これがまた何度も微妙な位置づけで「個別シナリオクリア」の為には全くそれをやる必要はないが、
「個別シナリオ後のアフターエロ」と「????」モードと言うトゥルーエンドシナリオを見るにはこれを必ずクリアしなければいけないという、エロゲオタ中級以上なら「これ駄目だろw」とすぐにわかるタイプである。
もう少しだけ丁寧な説明をすると、シナリオの合間合間で「お仕事モード」と「シナリオモード」の選択場面が出て「お仕事モード」を選択すると、各種ミニゲームを遊ぶことが出来て、その結果に応じてアイテムがもらえる。
そのアイテムによって「????」モードや「アフターエロシーン」を解放することが出来るのだが、それ以外については特にシナリオに影響を与えることはない。
まぁどうしても「ミニゲームなんぞやりたくねぇ」人には「自動お任せモード」というのがあり、これはゲームを起動しなくても、ある一定程度のお金が稼げるようなシステムではある。
僕はバグ技で資金ゲットしたので、真面目にやった場合にはどうなるかはよくわからないものの、たぶん自動モードでやって4日間くらいは全コンプまでには掛かると思われる。

このような「ミニゲームの位置づけ」の何が悪いのかと言えば、ミニゲーム制作者に対してはまことに申し訳ないのだが、しかしこれは彼の責任ではないということを明確にしながらも、
このような「ミニゲームの位置づけ」では、ミニゲーム自体がいくら出来が良かろうと、作品全体から感じるユーザーの評価と言う意味では、このミニゲームは端的に「無駄」になってしまうということである。
これは別に「自動お任せモード」があるから、ミニゲームをやらずに済むから良くないという話ではない。そうではなくて、この「物語」と「ミニゲーム」部分がほぼ完全に切り離された構造自体が良くないのだ。


この点はまことに商業エロゲ業界のの「悪い癖」で、これは大半のエロゲレビュアーにも責任があるが、彼らは「物語」と「ゲーム性」を「理論モデル」として切り離すだけならともかくとして、
その「理論モデル」がいつの間にか「現実と化している」ようなところがある。つまり「物語部分は良いが、ゲーム性が悪かった」という、それ自体は「妥当な感想」の増殖が、何時のまにか、
「ゲーム性部分とシナリオ部分は完全に作品として切り離せる」というような錯誤へと導き、それを個別に評価するのが客観的な批評だというエロ助痴呆空間を作り出すに至るのである。
これは例えば、あなたが「あんぱん」を食べたとして「パンの生地のふわふわ感が最高で、あんこのふくよかな甘さが溜まらない」という、それ自体はまぁ普通の「感想」をよんで、
「なるほど、この人はパン生地と、あんこを個別に評価しているから、その二つを別々に出した方がさらなる高評価が」と勘違いして、あんぱんマニアに最高級食パンと最高級あんこを別々に出すような倒錯っぷりであろう。

おそらく、これは「ぷりっち」と「てぃんくる」での成功とユーザーアンケートの反応を、作り手が「マトモに受けすぎてしまった」のだが今回のゲーム性部分の失敗だと思われる。
たぶんそのアンケートやユーザーの反応は「ミニゲームやゲーム性が面白かった」とか、あるいはスコアチャレンジを見て「ああ、ユーザーはミニゲームそれ自体を非常に楽しんでいるんだな」と思ったに違いない。
これが間違いである。
確かに「ミニゲームそれ自体」を楽しんでいる人間はごく少数ながらいるだろうが、大半のユーザーが特にエロゲにおいて「ゲーム性を楽しむ」場合には、そのゲームの物語や世界観とリンクしたような状態を楽しんでいるわけであって、
例えばプリっちのバトルモード自体、あれはわりと単純なパズルゲームであるが、そこにあの重厚な物語とヒロインたちの爽快な恋愛物語が付与されるからこそ、あれは「面白いバトルモード」として成立する。
ユーザーはそうした「その面白さを成り立たせている作品の構造」については触れずに「それ自体が面白かった」というのは何ら問題は無いわけだが、作り手までもそうしたユーザーの「それ自体が面白い」を真に受けるのは大問題である。

また、おそらくは「ミニゲームが面倒くさすぎて、シナリオを読むのが邪魔になる」というようなユーザーの意見に配慮した「自動お仕事モード」も、これはこれで問題である。
どうせこういう事をやるくらいなら、そもそもゲーム性なんぞ導入しない方がマシで、これも商業エロゲの悪癖のひとつであるが「沢山のユーザーを呼び込もうした結果、その誰もが喜ばないような作品が出来る」という事態に陥る。
これについてアリスソフト、特にランス10の成功を見習った方が良いだろう。もちろん、それはランス10がゲーム性がすぐれた作品だからというよりも(寧ろあれは大いに問題がある作品だが)、
あのような非効率且つ苦行ゲーム性をユーザーに与えておいて、その点において何ら修正パッチで妥協しないという「ゲーム性がユーザーの上に立つこと」という姿勢を前面にだすことで、
作り手が想定したようなゲーム性と物語の関係性を強制的にユーザーに体験させることに成功しており、結果として「ゲーム性の自由度」よりも「ノベルゲーム」に等しい奴隷苦行を正当化出来ているのだから。
この作品はブラック労働を物語の一部として扱っているが、もしも次回作を作るのであるなら、このランス10を見習って、人が如何にランス10のようなブラック労働に幸福を見出だすかを物語ることが出来れば傑作間違いなしであろう。

しかし、この作品の「ミニゲーム」と「物語」の関係性でいちばん悪いのは、おそらく作り手が、本来ならば「本編の中の物語」として「本編の中で発生するミニゲーム」あるいは「紙芝居」として描くべきイベントを、
「ミニゲーム単体」として提出すれば、ユーザーはそのミニゲームによって「ぱらだいすおーしゃん号でのお仕事描写」や「トレジャーハンター」や「ダンジョンバトル」といった物語を体験するんじゃないか?と思っていそうなところだ。
おそらく、この作品の「個別ルートの描写不足」は、これが原因だと思う。
詳しい経緯は作り手じゃないからわからないものの、この作品があくまで「紙芝居部分」はトゥルーを除き地味な日常描写に終始して、ゲーム性の部分は「冒険」やら「バトル」やらと賑やかなファンタジー要素に分かれているのは、
本来ならば、そのゲーム性の部分を物語に組み込んだうえで「恋も冒険もロマン溢れる物語」を作る予定だったのだが、何らかの理由で「ゲーム性」と「物語部分」を完全に分断した結果、
本来ならば「ゲーム性と接続される予定だった」物語部分だけが空白になり、そこが「描写不足」として際立つような構成になってしまったのだと思われる。

ああ、因みにミニゲームの内容については「製作者の皆さん、お疲れさまでした」とだけ言っておくのが、未プレイユーザーとしての最大限の礼儀であろう。
トレジャーハンターTでアリカちゃんが歌う「あかーつきのレヴィナスは、泣く子もわらうかいぞくだーん♪」という調子ハズレの歌だけは末永く僕の心に残り続けるであろう…


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☆エロについて

エロゲクラスタのアカウントをフォローしながら、エロゲ発売日のTLを見ていて実に面白いのは、この「エロについて」の言及である。まぁ「シコザル」系の皆さんは万年発情状態なので、
別にそれが悪いというわけではないが、年がら年中どんな作品でもシコリ報告を続けているから、エロゲ発売日だからといって特に変わりはないのだが、他の普段はエロについてあまり言及しない皆さんの言及はちょい気に成る。

例えば同日発売の「バタフライシーカー」については、エロについて特に言及しないよう人でも「エロシーン2回は余りにも少ない」と言った感想がそれなりに出されていたのだが、
この作品についても「後半はエロシーンばかりで、そこをスキップしていたらゲームが終わっていたでござる」といった不満も提出されていたように思われる。
別にこの二つの感想を同じユーザーが出していたわけではないのだが、とはいえ、現状のエロゲ業界としては「エロシーン2回は少なすぎる」というのはほぼ合意が取れているものの、
同様に「エロシーンばかり連続してシナリオがちっともない」のも困るという話になっていて、そこでは「適度なバランスが求められている」ものの、じゃあその適度なバランスってどういうの?と問われると答えに窮するわけである。

まぁこの作品がその「適度なバランス」として相応しくないのは当然ではあるのだが、ただこういう問題を扱う場合には注意した方がいいのは、それは「エロシーンの連続がイクナイ」という問題と、
「後半のシナリオがエロシーンしかない」という問題は、一応別問題として分けた方が良いという点だ。実のところ、この作品は後者の点で良くないのであって、
「エロシーンの連続」という点で言えば、この作品は他のエロゲーと比べてそこまで酷いという話ではない。エロシーン以外に「特に語られるシナリオ」が描写不足なので、
結果として「エロシーンの連続しか印象に残らなった」という事だと思われる。他の作品の場合、いくらエロシーンが連続気味で語られたとしても、その後のシナリオがきちんとしている場合、そのような不満が上がることは少ないので。

また「エロシーン」については、本編でそれを完全にスキップして「シナリオだけ見るユーザー」と「エロシーンもきちんとシナリオの一部として見るユーザー」の二つに分かれるというのも重要なポイントである。
特に後者の「シナリオだけ見るユーザー」は「エチシーン連続モード」だと判断した場合、そのエロシーンだけはなく、合間合間に挟まれるようなシナリオもスキップするかロクに見ない傾向がある。
もちろん、それ自体は個々のユーザーの自由なので、そのようなプレイをするのがいけないと言うわけではないないものの、ここらへんがユーザーの「短い」とか「いやそこまで短くない」に与える判断に影響しているのは事実だ。
特に昨今のエロシーンが増加している作品の場合「短め」感想を下している人は、だいたいエロシーン付近をスキップして「シナリオ」だけ純粋に見ようとしているユーザーだと思われる。
そのようなプレイ方法を自分が行っているのであれば、そのような感想も当てになるわけだが、逆にきちんとエロシーンもシナリオの一部として見るようなユーザーにとっては、先のような感想は主観的すぎて当てにならない。


とはいっても、この作品は僕のように「エロシーンもシナリオの一部として見るユーザー」にとっても、これは「それだけはいくら何でも(byアニメ声の某官僚」な出来ではある。
特にひどいのがアリカと青さん。この二人は後半のシナリオが「ダイジェスト」に等しいので、シナリオとエロシーンが絡みあうということにもならず、ただひたすらエロシーンだけが続くと言ってもいい状態になってしまう。
流石にこういう状態では「エロシーンもシナリオの一部として書いているのであって」という言い訳は成立しないし、こんな無機質にエロシーンを連発されると僕の息子だって萎え萎え気味ではある。
水準点と言えるのは「空子」と「リルフィー」の二つだろう。
この二つは、一応は「デートの合間にエッチ」とか「リルフィが船を降りるまでのバカンス」といったシナリオ的な連続性が存在するし、空子の場合にはふだん日常会話では素直に言わないような、
主人公に対する思いをHでは叫んでくれるので、最終的に将来がまだ決まっていない二人の曖昧な関係性がエチシーンのスパイスとなる。すべてが解決した後の空子ちゃんの方から誘う発情エッチもお約束だが素晴らしい。

エチシーンの内容としては、全ヒロイン6~7回+ハーレムHで、個人的に一番よかったのはハーレムHではある。これはトゥルーエンドへの伏線にもなっているわけだが、
世界中の大陸が全部海に沈んだ世界で、主人公とヒロインたちだけが「ぱらだいすお~しゃん」号の中に引きこもりハーレムエッチを繰り返すという狂った世界観が実に素晴らしい。
まぁ単体エッチとしては、初回エッチシーンだけ「ヒロインの服をどこまで脱がせるか」をチョイスできるという面白い試みはあるのだが、その後のCGが変わるシーンになると先の選択肢は反映されないのであまり意味はない。
それ以外のシーンとしては、先にも言ったようにリルフィちゃんと空子ちゃんのエチシーンが良かったなぁ。リルフィちゃんは公式通りの「パイズリ5連続」で、CV「春乃いろは」さんのエロボイスと相まって大変お世話になりました。
空子ちゃんは先にも言ったように、エッチシーンの時だけ素直に自分の感情をさらけ出してくれるところが本編とのギャップエロを感じられるわけでして、
まぁそういう意味では「青さん」の「本編内では殆ど恋愛描写がない」」青さんが、エチシーンの時だけ甘ったれた子供ロリになってしまう背徳感エロもなかなか良かったですよと。
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