t2さんの「ロ​ー​ズ​ガ​ン​ズ​デ​イ​ズ ベスト版」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

【反日思想】文化レベルが1980年の「空想」日本を舞台にした、暗黒街とマフィアの物語。「静」の前半と「動」の後半の落差、終盤の盛り上がり、センス抜群の音と演出が光る。「竜騎士07にもう一度騙されてみてもいいかな?」と思える人は手に取ってほしい同人ノベル。なお全ヒロイン独占NG。
●未プレイの人へ

『ROSE GUNS DAYS』が気になっている人の多くは、『ひぐらしのなく頃に』『うみねこのなく頃に』をプレイした人だと思います。
私もいわゆる「うみねこep8脱落組」です。

「竜騎士07」の名前を見たら最初に何を思いつきますか?

竜騎士=ダメ、面白くない  真っ先にネガティブな評価が出る人は何があっても買わないほうがいいでしょう。
竜騎士=面白い、魅力はある ポジティブな評価が出る人は、もう一度騙されたと思って『ROSE GUNS DAYS』を買ってみるのもいいと思います。

「うみねこep8脱落組」の人には「うみねこep7まで耐えれた人なら余裕で楽しめるよ」と書いておきます。
40時間オーバーのボリュームで、最後まで熱中してプレイできるシナリオで、定価2000円ですからコスパはいいですよ。


あっ、サークル過去作必須ではないので初めての人でも大丈夫ですよ。










※以下ネタバレあります。


「竜騎士07」さんが率いる超有名同人サークル『07th Expansion』のオリジナルノベルゲーム。ここのゲームを購入するのは2010年の年末以来15作目です。


ゲームエンジンは「Nscripter」を使っています。2000年前後の同人ゲームでよく使われ、当時の商業エロゲーでもよく使われました。
コンフィグは何も設定できないと思ってください。画面サイズもなんと640×480のままです。2000年に発表したかのようなレトロゲームでした。
ボイスはなし。
CGは基本0枚、背景は実写を加工したものを使用しています。
バックログは1行ずつ、最大10行までしか戻すことが出来ません。マウスホイールには対応しています。

ただ古い物=悪いということはありません。
スクリプトの良さは健在。バトル演出では1枚絵を上手く使っています。
そして何より音の使い方が上手い。効果音のセンスと、物語を引っ張る音楽の使い方のセンスはピカイチです。
音量調整がありませんが、その代わりイベントシーンで音量を変化することで物語を盛り上げる演出を多用しています。

なおミニゲームは「オート演出」でプレイしました。



●『ROSE GUNS DAYS Season1』
2012年08月11日発売
収録シナリオ
Season1:Chapter1~Chapter5

●『ROSE GUNS DAYS Season2』
2012年12月31日発売
収録シナリオ
Season1:Chapter6~Chapter7
Season2:Chapter1~Chapter3

●『ROSE GUNS DAYS Season3』
2013年08月10日発売
収録シナリオ
Season2:Chapter4~Chapter7
Season3:Chapter1~Chapter3

●『ROSE GUNS DAYS Last Season』
2014年01月13日発売
収録シナリオ
Season3:Chapter4~Chapter5
Season4:Chapter1~Chapter4

毎回中途半端なところで終わります。セット版を買ってよかった。



■■世界観

舞台は1947年の東京になっていますが、文化レベルは1980年くらいです。だから戦後日本の物語として読むと違和感があります。
史実を元にした時代考証はしていないようで、オリジナルの世界観の「空想」物語になっています。
1980年くらいに太平洋戦争が終わったと仮定した異文化東京が舞台。暗黒街とマフィアの闘争を描いています。そこにアメリカや中国の陰謀も加わります。
中国人的思想、アメリカ人的思想もなし。日本人には馴染みのない宗教の概念もありません。半端に知識を持っていると「空想」世界を逆に楽しめなくなります。
色々な要素が混ざっていますが、基本は暗黒街モノで「オリジナル」の世界観です。

「竜騎士07」さんは携帯電話やコンピューターが普及する前の昭和の空気が好きらしいです。
また創作の原点は「映画」らしいです。マフィア映画好きの延長線上にあるのが『ローガン』制作の原点でしょうね。


ただ1つ気になった事。『ローガン』の世界に存在しない重要な物があります。それは「マスメディア」です。
テレビがないのは一応1947年が舞台ということで理由が付きますが、日本が舞台なのに「新聞」が存在しないのはありえません。
大衆の心を誘導する最強のプロパガンダ媒体が「新聞」です。インターネットがない世界だからこそ情報は重要なのです。
日本は世界屈指の文字文化国家ですし、1947年を舞台にするなら「新聞」は重要な情報メディアとして存在しなくてはなりません。

Season1のchapter7以降で「新聞」の存在は確認。「新聞」自体はあっても民衆の情報源にはなってないようです。
ラジオもなければ、通信無線もない。固定電話と手紙しかなく情報のやり取りが大変な世界です。
このように現実を考えると変なところは沢山あります。「空想」世界なのであまり考えないでプレイしたほうがいいようですね。





↓以下プレイメモの写し。面白かったんだから素直に褒めようよ(泣)、と自分でも思うくらいに酷すぎる文章。



■■1947年


●膜ロス

《ミゲル》が《ローズ》をレイプするシーンが1つの分岐点だったと思います。


まず《アルフレッド》の小物ぷりから。典型的な小悪党で主人公チームを引き立てる「やられ役」です。
「プリマヴェーラ」の一員はみんな心が澄んでいる人ばかり。
理想とか志とか、中学生向けのシナリオなのかなあと思わせるちょっと幼い内容。ストーリー展開もコテコテです。
主人公サイドには計画性がなく行き当たりばったりの行動でも、ハートさえあればきっといい結果になると信じています。
並べられる《ローズ》の綺麗事には「反論」がなく、一方的に肯定され続けます。
時には冷酷と書いてある《リチャード》が正論を言っては、《ローズ》の感情論に説得されて、結局は《ローズ》の感情論を補強する役目を担っています。
まあ『水戸黄門』のようなお約束劇にも需要はあるのでそういう物なのかなあと考えて読んでいましたが、後半はちゃんと落差をつけてくれました。

《アルフレッド》と《ケイレブ》は同じポジションで違いをはっきり見せます。コテコテの小物と魅力ある悪党を並べることで後者をより引き立たせる作戦ですね。
主人公の《レオ》は「《ローズ》を守る」と誓っておきながら3回も攫われます。
1回目は《アルフレッド》に攫われてレイプ未遂まで行きますが、未遂のままで終わります。

2回目は《ミゲル》に攫われるシーン。テキストではナイフで傷つけて《ローズ》が血まみれになったと書いてありますが、
そこは一応全年齢媒体のゲーム。これはレイプの暗喩表現でしょうね。「竜騎士07」さんは処女嫌いの非処女大好き派です。
このサイトは18歳以上対象のエロゲーを扱うサイトなので、以下《ローズ》はレイプされたと断定して進めます。

何故《ローズ》が「プリマヴェーラ」のマダムなのか?ゲーム中に何回も説明はありますが、それでも適任とは思えないが私の感想です。
いくら言葉を並べようと説得力がなければ読者は納得しないのです。
なら周りがサポートしていく方法もあります。主人公格の《レオ》はヒロイン《ローズ》を正しい道に導かなければなりません。
《ローズ》が感情のままに暴走する時、《レオ》の言い訳で仲間を納得させていますが、実は中身は非常に危うい物なのです。

そんな自分の理想を相手に押し付けるだけの無能《ローズ》は、お約束の綺麗な世界ではなんとか通用してきました。
しかし《ミゲル》は違う。一見クレイジーに見えて思ったよりは筋が通っている、真っ黒な悪党ですね。
《ミゲル》から見ると未開通の《ローズ》の言葉はイラっとくる。そこで彼女に現実を見せつける為にレイプしたのです。ここまではいいです。

この「膜ロス事件」以降は、もう元の世界には戻れない鬱展開に突入します。
でも大人の女になった《ローズ》は変わったのか?chapter5のラストの彼女は相変わらず命乞い行為で事態を打開できるとまだ思い込んでいます。
変わらないなら《ローズ》の破瓜は何だったのか?ということになります。


「 女 の 処 女 膜 、 舐 め ん じ ゃ な い で す ッ ! ! 私 、 す っ ご い 怒 っ て る ん で す か ら ッ ! ! ! 」


むしろ変わらない事、「処女でも非処女でも《ローズ》は《ローズ》だ」が非処女大好き派閥の「竜騎士07」さんが伝えたかった事かもしれません。
でも私は、女の子にとって特別なイベントだったと主張します。何か代償を払った意味は無かったのでしょうか?

ちなみに《ローズ》が当時の人気投票で13位だったという感想を見て、まあそうですよねと。
「無能」×「理想主義」×「感情で行動して迷惑をかける」。この組み合わせの女の子が現代で大不人気属性という常識くらい知ってもらいたいです。


4ヶ月後に発表された1947年の回答編では、
《ミゲル》のホモ要素がこれでもかってくらいに強調されています。狂気キャラも無くなって、何故かレイプ加害者の《ミゲル》のほうが別人に。
《ローズ》は《レオ》に抱かれるまでは変化なし。和姦シーンでは未経験の少女ような反応を見せ、その後の覚醒した《ローズ》は完全に別人です。
「膜ロス事件」は冗談だったと後付けで言い訳しているんでしょうかね?ひよるくらいなら、あのレイプシーンは何だったの?と改めて言いたいです。




●竜騎士病

chapter5より

>……この物語を追う一部の読者諸君は恐らく、ローズがあの日、ケイレブに対し従属を拒否したのを見た時、こう思ったはずだ。
>冷静なリチャードが正しい。感情的なローズは間違っていると。
>……確かに、冷静という点においてのみ、リチャードは正しい。
>一見、リチャードの作戦、“従順を装いながら、少しずつ待遇改善を交渉する”は、最善の策のように思えるだろう。
>しかし、読者諸君はどうか考えて欲しい。プリマヴェーラの一番の設立趣旨を。
>プリマヴェーラは、夜の女たちに安全な職場を提供することを掲げて結成されたのだ。
>それを否定することは、プリマヴェーラの存在意義を自ら否定するのと同じことなのだ。
>リチャードの主張は、男目線の、経理上の最善策であって、……夜の世界で働く、夜の女たちのことを失念しているのだ。
>……確かに結果的には、軍門に下ろうと拒否しようと、同じ今日を迎えることになるだろう。
>それは、……夜の女たちが、プリマヴェーラに失望するか、否かという点。
>マダム・ローズが降伏を選択していたら、……全ての女たちはプリアヴェーラに失望し、連合体は瞬く間に崩壊した。
>崩壊したら? 路頭で客を取る? ミゲルたちが夜の女たちを狩って回っている危険な露頭で?
>つまり。……リチャードの選択より、ローズの選択のほうが正しいのだ。


作品中で作者が読者に話しかけ、自分の考えを押し付けることで<<読者の感想を否定する>>。
『07th Expansion』に自らトドメを刺した病気をここでは「竜騎士病」と定義します。

私は、作品に対する読者の感想は基本自由であるべきと考えています。作者が感想を縛るようなことはあってはいけないと考えています。
『ローガン』は戦後日本をテーマにしているので主義主張や説教臭い物語なのはいいんです。作風と方向性が合っていますから。
メタ発言は私は嫌いじゃないですけど『ローガン』の世界観とメタ要素は合わないですよね。
「読者諸君は間違っている」と作品内で煽る行為はあってはいけないものです。
今回は竜騎士病が治ったと思っていたのですが、ほんの少しだけあって残念でした。まあたった13行のテキストだけですが。(※以降のシナリオにはありません)

一応、私なりの反論を入れておきますか。
・《ローズ》が正しいとか《リチャード》が正しいとか、「正しい」という定義自体が存在しない。物事は0か100かじゃないです。
・感情的な女は信用されません。自分の言葉を相手に理解してもらうことをよく考えましょう。
・《リチャード》が男性視点を持っているのは当然です。私も男性です。「男は女の感情を理解しない」なら感情ではなく理論と行動で証明して訴えましょう。
・「存在意義を否定してはいけない」は「プリマヴェーラ」が潰される可能性がある前提を完全に忘れています。
・作者の神視点では「どちらを選んでも結果は同じ」ですが、ゲーム内の《ローズ》はそんなこと知りません。ちゃんとゲームキャラの立場になって考えてますか?
・「プリアヴェーラに失望」は結果論です。作者の匙加減でストーリーや感情を捜査した結果で、そもそも女たちが全員同じ考えを持っていること自体がおかしいです。

男女差別について。男性サイドと女性サイドの両方の主張があり、どちらかと言えば「竜騎士07」さんは女性の主張を肯定しています。
私の感想は「どっちの言い分もそれなりに納得できる部分がある。正解とか正しいとかそういう答えは出せない」です。




●結論ありきの物語

支配者に必要なものは「権力」、「財力」、そして「暴力」。
「プリマヴェーラ」に足りないものは「暴力」と書いてあります。
では「ケイレブ・ファミリー」に足りなかったものは何でしょう?計画が失敗していますから3つのうち何か1つが足りてないわけです。

答えは「権力」です。
正確に書けばアメリカの駐在軍とのコネクション。
《ケイレブ》は日本人とアメリカ人の対等=本当の意味での独立を目指していました。しかし駐在軍は日本人を敗戦国としか見なせず対等を拒否します。
《ローズ》はアメリカ・中国との繋がりを否定していません。それがいつか日本人が食い物にされるとしても、今は完全独立は無理と判断してのことです。
1億日本ドル集めてまで欲しかった「特別枠」を、事件後に《ローズ》があっさり手に入れていることが、繋がりの重要性を示すものになります。

「2人が目指していた日本人救済の理想は同じ」とゲーム中には書いてありますが、完全な独立と、支配されたままの救済では目指しているものは違います。


《マダム・ジャンヌ》の昔語りで構成されている本作に推理要素は一切なく最初から答えが明示されています。
過去に何があったのか、これからどういう結末を迎えるかはプレイヤーにネタバレした状態で進むんですよ。それだけに緊張感が減っています。

伝説の一夜は、《レオ》がこれから伝説を作ると言っていますが後世の人がどう評価するかは確定していません。
《ローズ》vs《ケイレブ》の戦いは、これからの《ローズ》の伝説を作ると本人たちがメタ発言しています。

つまり「過程があって結果に繋がる」ではなく「まず結果があって結果に合わせて過程を操作している」んですよね。
過程が全然駄目というほどではないですが、思想も事件解決も結果に辻褄合わせているように強く感じました。

ついでに『ケイレブ』『ミゲル』『アマンダ』は生きている設定が追加されるわけですが、こういうのは要らないです。《ローズ》の伝説の一夜の価値を下げるますよ?
《ミゲル》が《ウェイン》を認める描写など、何で悪党を悪のままに書けないのでしょうか?
どんな悪党でも実は心の内は澄んでいる。「竜騎士07」さんは性善説のライターさんです。





■■1948年


●子供たちの物語

「竜騎士07」さんが書く思想や理想はキラキラしたもので、まるで中学生のような幼いものです。
だから子供キャラを主人公にして熱血路線を目指したほうが彼の作風に合うと思っています。

3人組は常に3人1組でしか行動しないため、1人1人の個性は弱い。
《ツェル》は不幸属性てんこ盛りにして(肉便器です★)、可哀想な女の子だと共感を誘って泣きキャラにしたいようです。
《ローズ》に感化されて暗殺失敗するシーンは、《ツェル》よりもむしろ《ローズ》の器の大きさを強化するシーンですね。
「……だって。その指輪、……あなたに似合ってないもの。」 《ローズ》のあのシーンと重ねた名台詞の1つ。

父親救出も大胆で無謀な作戦ではありますが、物語の大筋から見ると結構どうでもいい話だったりします。
その後のお別れシ-ンとか結構好きですし、少年少女の物語自体は嫌いじゃないんですがね。どうも《ローズ》の物語と合わない。




●醤油戦争

クローディア「あんな連中、偽の代用醤油で十分なんですの!! あいつらには舌なんか生えてない!!」

《クローディア》の突然の裏切り発言にびっくり。高くても本物の味を目指して料理屋経営しているはずなのに。
「プリマヴェーラ」メンバーは《ローズ》思想を肯定し続けますが、完全否定したのは《クローディア》のこの発言が最初かもしれません。


23番街は給料が1年間で200日本ドル→400日本ドルに倍増してます。色々問題はあっても基本的には「景気はいい」町なんですよ。
復興途中の貧困の街のイメージのままでシナリオ書いていませんか?
1947年でも酒場に集まる労働者のシーンが多いです。お酒は安くないですよ、と。

相場の3倍の醤油。一見庶民には手は出せないように見えますが、
現代日本で1L500~600円の醤油は珍しくなくお店で普通に売っています。でもスーパーに行けば一番安い物だけではなく複数種類の醤油が売っています。
1杯1000円のラーメンを食べる人もいれば、1杯98円のカップ麺を食べる人もいます。もし日本人の全てが安さだけを求めるならラーメン屋は全部潰れているはずです。
そもそも「食のデフレ化」は2000年代の発想ですよ。20世紀だと吉野家が味を落として倒産しています。

「1円でも安い食を求めている層が多い」と「高い食を求めている人がいない」はイコールではないです。
醤油戦争は21世紀の(一部がやっている)転売文化と、超貧困しかいないと仮定した上でしか成り立たないファンタジーなのです。


《マダム・ジャンヌ》の昔語りにより醤油文化は滅びる結果が確定していて、その結果に過程を合わせようとしているだけです。
創作作品なので現実を無視して、極端な例の1つとして醤油戦争を出したのかもしれません。

関税自主権がない中国とどうやって貿易戦争で勝つの?というお話。
・代用醤油には身体に悪い成分が入っているとプロパガンダを流す
(日本人は食の安全性に五月蠅いです。安い海外産食材が入った時に、日本人は国産の高級化と安全性を訴えて対抗しています。)
・醤油を買い取ることを逆用する?
等がマネーゲームでの勝ち方の例でしょうか?やろうと思えばいくらでも勝ち手段はあったと思います。

この醤油戦争はマネーゲームのように見えて、実はただのパワーゲームです。




●日本人をディスる

アメリカと対立する立場なのはソビエト連邦のはずですが、『ローガン』の世界ではより親しみやすくわかりやすい中国に置き換えています。
史実だと2012年の中国は大国になりましたが、昔の中国はアヘン戦争以降ダメダメです。
日本人像と中国人像も現実からはかけ離れています。

season2は中国持ち上げ&日本下げの流れが続きます。
まず時代考証がムチャクチャ。遣隋使の話から始まり、2012年の中国像を押し付けています。
このゲームのキャラは本当に1948年を生きているのでしょうか?文化レベルは1980年並と書きましたが、発言は2012年そのものになっていませんか?
メタ発言は嫌いではないですが、一応は戦後日本をテーマにしているのですからちゃんと区別はつけましょう。明らかに2012年が混ざっているところがあります。

《王元洪》は《ローズ》の暗殺失敗に全く気付いていません。《梅九》の裏切りも気づいていません。それなのに日本下げ発言をするキャラです。
無知である小物中ボスが何を言っても説得力はないでしょうね。この説教は「竜騎士07」さんが本気で言っているのか、ネタで言っているのか判断がつきませんでした。

そして私がエロゲーをプレイする場合、ゲーム中で説明があってもすぐには納得しないようにしています。
「ゲーム中に説明があった」は確定証拠にならず、それがプレイヤーまで伝わらなければ、おかしい設定だと認定しています。
このゲームの場合「日本人は~」から始まりますが、日本人のごく少数にしか当てはまらず全ての日本人に当てはまる論証はありません。
極端な例を取り上げて全体のように語ろうとする。そんな理論には逆の極端な例をぶつければ簡単に論破できるのです。

「商いには付き合いと信頼がある」「日本人は外国文化を受け入れない民族」など色々書いてもいいですけど、ゲームプレイメモが無かったので省略します。


《ローズ》が1948年の日本人に絶望する、という結論ありきの日本人下げの話に見えました。
ゲーム内の日本下げの話に納得してしまったら駄目なのです。それは魔女に屈服したのと同義。
本作は「竜騎士07」作品ですから、プレイヤーはどんな心構えで挑めばいいかわかっているはずですね。




●未来への最善手

最善手どころか頓死級の悪手。《梅九》と《孫子龍》の完全勝利にしか見えません。

《王》の経済戦争だけは回避するのはわかります。それは「今」を求めた結果です。
一時的に中国に魂を売ったからと言って後から独立できる可能性がゼロになったわけじゃないですから。
資産売却は周辺強化と、「プリマヴェーラ」の弱体化に繋がります。
窮鼠猫を噛むと書いてありますが、もう猫を噛むだけのパワーはない。ゲリラ戦しかできない状況です。

それ以上に、「今」の住人の信頼を失ったのは大きいです。組織は人はいないと成り立ちませんから。
「今の人が評価してくれなくても未来の人は評価してくれる」理論は正しいのでしょうか?
今は評価されない、これは正しい。未来の人はきっと評価してくれる、これは不確定です。今と未来では価値観は異なりますから。
これは「竜騎士07」ゲームにも言えることで「激辛料理だがきっと評価してくれる人はいるはず」理論は破綻しています。

最悪を回避して残ったものは何でしょうか?
ケイレブ・ファミリーの「竜騎士病」と似た理論構築になっていて、このオチは本当につまらない物でした。


1948年は《梅九》の会心譜。後半は「ワンダリングドック」に協力していい人のように描いていますが、強欲すぎる最高の結果を出した極上の「黒」ですね。





■■1949-1950年

明らかにシナリオに巻きが入ってますね。そしてこの長文感想も巻きを入れます。メモる余裕がないくらいプレイに熱中できたともいう。
《キース》と《ステラ》の関係と、《ジャンヌ》関連はもう少し丁寧に書いてほしかったです。


●狙撃

最初はseason3の主人公は《アラン》より《キース》のほうが相応しいと思っていたんですけどね。悪落ち展開ですか。
《キース》は一途でわかりやすいキャラ。
《アラン》は良くある主人公系に見えて、《キース》との闘い2つでは暗殺者の顔も見せています。恋人を失った悲しみのバランスも丁度いいです。

狙撃空間に入ったらもう助かりません。
狙撃イベントは4つありますが、どれも絶望感がすごい。最後2年を盛り上げたのは間違いなく《キース》とBGMの「アクセラレシオ」です。
可哀想な「獲物」の心理描写が丁寧に描かれています。怪我をした仲間は見捨てるしかないのに、見捨てられない精神力はマフィアのものとは思えませんね。




●別人

>冷静冷酷と知られる李梅九とはまるで別人のようだった。

新キャラの妹を追加したら《李梅九》のキレが完全に無くなっています。《バトラー大佐》も同じです。
この2年は今まで作り上げてきたキャラクター像がどんどん壊れていく、想像とは別の物でした。


《ガブリエル》について。本作の最凶の悪役と位置付けられているキャラですが、私は嫌いじゃないです(酷。
「堕天使」や「悪魔」ではなく、人間らしさに溢れた悪だと感じましたね。
直接復讐せずに《リチャード》を誘惑して嘲笑います。つまり《カブリエル》の本心は「復讐」ではなく「快楽」なのです。本当の狂人なら笑う事すらしないでしょうね。
そして現実のCIAは世界中で工作活動をしています(真実かどうかはわかりませんが)。私の中のアメリカ人像と《カブリエル》は共通するところがありました。

特にこの悪魔を嫌いになれない理由に、「プリマヴェーラ・ファミリー」は殺人集団という事実があります。
他人は殺すが身内は殺されたくない。誰もが持つ感情ですが、この世界では許されないほどの罪を犯してきたでしょう。
普通のエロゲー(ギャルゲー)なら人が死んで感動させる話はアリです。
『ローガン』はモブのみなさんが大量に犠牲になっているので、《リチャード》と《李梅九》が冷酷になれないのは違和感ありました。
ここ素直に感動しちゃダメなところです。《李梅九》は極悪人ですよ。

だが《オリバー》の死!てめぇは駄目だ!!
メインキャラを殺すのは重い意味があります。無意味な死はやってはいけないでしょう。
そして《ウェイン》を騙すのに《オリバー》の死を使っているんですよね。《ウェイン》君が最高に好きなキャラだったのにここで株を落しました。


やりすぎる喜劇になる。答えを知っているプレイヤーは、シナリオの都合で無能化した《リチャード》達の酷さを楽しむことができます。
『ローガン』の男女格差世界。男は鈍感だけど女は敏感、何かあるたびに男を下げて女を持ち上げる。その典型例が《リチャード》と《ローズ》です。
全ての権力を持つ《カブリエル》と思考誘導される《リチャード》。このゲームは勝者と敗者がはっきりしてます。
season1の《ケイレブ》やseason2の「醤油戦争」も同じです。

1年目2年目は「《ローズ》じゃないと纏められないの」と書いておきながら、4年目は「《ロース》は《マダム》に相応しくない」。
今までは《ローズ》が中心の話でしたが今回は《ローズ》が中心じゃない。3年目を《リチャード》に割くなら、4年目は《ローズ》をもっと使ってほしかったです。
《リチャード》、《ガブリエル》の最期も不満です。巻きが入った影響ですね。





■■Special

best版の追加シナリオ

約20分のショートエピソード。2016年の《林原樹里》が1947年にタイムスリップする話。《ローズ》が孫に未来の日本について聞くシーンなど。
本編のシナリオ補完などではないので、『Last Season』を持っている人はわざわざ『The Best』を買う必要はないです。




■■キャラ


■□□□□ レオ・獅子神
■□□□□ ローズ・灰原
■■■■□ リチャード・舞扇
■■■■■ ウェイン・上寺
■■■□□ サイラス・斎村
■■■□□ ステラ・舞扇
■■■□□ メリル・田無
■■□□□ フィリップ・バトラー
■■■■□ 李梅九
■■□□□ アマンダ・雨宮
■■■□□ ケイレブ・敬礼寺
■■■■□ ミゲル・倉敷
■□□□□ クローディア・黒崎
■■□□□ アルフレッド・赤城

■■■■□ ラプンツェル・西條
■■■□□ オリバー/チャールズ/ニーナ
■■□□□ 王元洪
■■■■□ 小蘭

■■■□□ アラン・新巻
■■■■■ キース・如月
■■□□□ 李梅雪
■□□□□ 孫子龍
■■■■□ ガブリエル・鏑谷



●レオ・獅子神
「伝説の男」と持ち上げられすぎです。40人抜きはそもそも戦闘シーンに敗北がないゲームなわけですし。
口だけで行動力が低いので主人公失格。

●ローズ・灰原
season1の暴走が酷く、その後も全キャラが《ローズ》の思想を肯定する為に犠牲になります。典型的なダメ女。
『ローガン』をプレイした全員が《レオ》《ローズ》を絶賛していると思わないでください。


●ウェイン・上寺
1番好きなキャラです。
《ローズ》への忠誠心、《レオ》への敬意、ワンダリングドックへのボスの対応。子供のような熱い一途さと、大人になろうとする背伸びのバランスが良い。
▼ネガティブ:《ローズ》軟禁で騙されたこと、《ローズ》に一途から《ローズ》の思想についていくに変化したこと

●キース・如月
2番目に好きなキャラです。
悪役は他にもいますが、私は《キース》のぶっ壊れた精神と狂気と復讐心が最も魅力的に感じました。やりきれない想いと戸惑いが良く書けていたと思います。
狙撃シーンは絶望感があり《キース》が出てくるたびに面白くなります。
《アラン》との最期はむしろあれで良かったかと。このゲームは全部同じような感動話なので、《リチャード》の最期との差別化もこめて。
▼ネガティブ:《ステラ》とのフラグをもっと丁寧に書いてほしかった

●ラプンツェル(西條ほたる)
能動的に行動する主人公向きの性格、戦術家として優秀、戦闘能力が高い、不幸な境遇も悪くない。失点が少なく魅力が安定しているキャラです。
▼ネガティブ:指輪シーンが《ローズ》持ち上げに使われたこと、本筋に関わらないこと
ホモカプ多い作品ですが男女のノーマルカプも4組あり。《ツェル》も誰かとフラグを立ててほしかった。あの4人組はお子様すぎる。





■■総評

史実を無視したオリジナルの世界観です。先の展開をネタバレしながら進むので頭を使わないで読み進みられます。
後半になるにつれて引き込まれるシナリオ、熱いキャラ達、演出と音楽の使い方のセンスが光ります。

ただ中学生向きのようなエセ感動を狙っていると思われるキラキラした展開は合わなかったです。
みんなが《ローズ》の思想に感化されていく話なので、キャラクターの区別が少なくなっていくのは残念でした。キャラ株の上げ下げが激しい物語です。
日本人思想の押し付けは適当にスルーしながら読みましょう。

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