比翼れんりさんの「ニュートンと林檎の樹」の感想

ネタバレ感想を見たくない場合、文字を背景色に設定することが可能です。 → 設定変更

**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

この時の果てに あなたがもしいるなら 少しだけでいい さまよう私にも 彼方から風の唄を届けて
処女作「キミトユメミシ」から10か月というスパンでリリースされたLaplacianの2作目。前作で見せた軽快なトークは残しつつ、幾分か粗さは消え、良くも悪くも"優等生"な作品になりました。

設定はタイムトラベルが軸にあり、導入からかなりの早さで、イギリスへ、そして過去へ飛びます。メインが過去のイギリスなのだから、無駄な前振りはいらないんでしょうけど、ちょっといきなり話が進みすぎに感じます。

なんだかんだがあって、タイムトラベルの元凶たる祖父(若いver.)と合流し、ラビと共にタイムマシンの修復に取り組んでいく~というのが話のベース。

ストーリーとしては、階段方式に近く、ルート固定ではないものの、ロックがかかる選択肢もあるので、最初は四五、ラビを終わらせるのがいいですかね。

ラビがラビママが残した鏡を提供し、タイムマシンが完成。するとラビがママの死を変えたいと訴えます。初めてラビが感情を出した瞬間かもしれません。結局はラビがタイムマシンを持ち出しタイムトラベルする手段がなくなってしまい、四五とこのまま残るのか、それとも修一郎がここに来たときのタイムマシンをフックの元に取り戻しに行くのかとルート分岐になります。

結局はフックの元へ乗り込むことになるんですが、四五がペストに感染し、一刻も早く未来へ戻らないといけなくなり、半ば強引に王立協会へ入っていきます。そこで負傷しながらも、なんとかタイムマシンを再起動させ、未来へ…正確には元いた時代よりもさらに未来へと戻り、二人はここで、タイムマシンの研究を続けるというオチ。作品の構成上仕方ないのはわかるんですが、ある意味重要なヒロインの個別ルートが、きちんと踏ん切りをつけてからではなく、緊急脱出のようになってしまったのは、もったいない感じがあります。エピローグやアフターで、少しだけ回収はあるものの、他のヒロインとの絡みが後半皆無に等しく、どうしても四五だけが一人歩きしてしまったよう。でもメイン扱いでもないようだし、単独のルートならば、ひどくモヤモヤが残るものでした。

ラビと合流し、タイムマシンをもう一度手にするも、本当に過去に戻ってニュートンに万有引力を思い付かせるのが正解か、というのがラビルートの始まり。ラビママともう一度会い、旅立ちを見送るのが本筋で、それで終わりかと思えば、実はキーマンのハレーとニュートンが仲違いし、正規の史実にならかなかったBADENDです。エンディングは、意味深に引くも、これがロックのかかった選択肢に繋がり、ここはタイムトラベルものの醍醐味だなと思いました。

こうみるとラビは影の立役者だなと感じますが、ロックのかかった選択肢から進むと、次に話題になっていくのは、ハレーこと春とアリスの友情というか、お互いを思う気持ち。アリスが気象を研究していたのもこのためですね。結果、二人は分かりあって、ハレーの援助でニュートンが自費出版をする運びとなります。春ルートでは、万有引力の発見に至らず、あと一歩のところで、この時代に生きる決心をするエンディングになります。このルートに限らずですが、個別ルートがどうも短く残念。

そこでアリスに万有引力を思い付かせようと画策するのがエミールート分岐。ただアリスとエミーが姉妹だったというのがあまりにも突飛すぎて、ぽかーんとしてしまいます。離れたり近づいたりする二人の心模様を描くには短いルートでした。エミーはキャラクター的には好きなものの、もう少し家族のことやエミー自身のことを描いて欲しかったなと強く感じるほど、ルートが特に短く、サブキャラ扱いだから仕方ないにせよ、もったないなと思いました。

そしてアリスルートが正規のエンディング。結局史実のとおりニュートンがプリンキピアを出し、その後大きく逸脱することなく現代に戻るわけですね。アリスが最後のルートというか、締めにあたるところなので、トンデモ展開にすることもできたはずですが、在るべきカタチで収めたのは好感です。その分は独立したおまけとして用意されていますが。

前作での粗っぽさはかなりマイルドになり、ひとつひとつのレベルは確かに成長しています。それでいて、ノリの良さとライターさんの知識の深さ広さは、なかなかのもので、歴史とリンクさせた構成もおもしろかったです。ただ、どうしてもタイムトラベルものの限界や、過去にとらわれすぎていて、作品全体を引っ張る力が弱く、大きな変化がそんなにありません。結局は惰性という。そう考えると、キミトユメミシの方がノビノビやれていたのかなとは思います。何にせよ、次作以降にも期待は持てそうです。

長文感想へのレスを書くには
 ・ユーザーIDを有している
 ・COOKIEが有効である
 ・COOKIEを有効にした状態でログインしたことがある
 ・5つ以上一言コメントを書いている
 ・長文感想を書いたユーザーが長文感想へのレスを許可している
の5つの条件を満たしている必要があります。

コメントデータ

このコメントはだいたい8470回くらい参照されています。