meroronさんの「Room No.9」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

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83Room No.9
ただの友達であったはずの2人を、否が応でもセックスさせようと目論む『誰か』たち。それに心当たりある人たちにとってはきっと「はっ」とさせられる作品となるでしょう。これは、生きた彼らを理解しようとせず自分勝手に願望を押し付けることの業深さを、見せつけてくる作品です。
なお本作はCLOCK UP系列のメーカーとはいえ、純然たるBLゲーなので耐性ない人は引き返しましょう。

女性は大丈夫かもしれませんが、男性で本作のような作品に挑戦してみたい人はまず男の娘ゲーに手をだして、
だんだんと体格が男に近づくような作品をプレイしつつならしていくことをオススメします。

間違っても本作のように、完全な男同士のBLゲーで「目覚めた!」っていう人はなかなかいないと思うので。



さて内容に関して書き連ねていきますが、男性視点から見てもあまり違和感のない描写ばかりでした。

大地と誠二の、親友ならではの距離感。
親友とはいえ、同性同士での性交に対する嫌悪感。
けれども、お互いがお互いを傷つけまいと遠慮する気遣い。
男同士ならではの、会話の内容。

「男性」キャラクターに理想像などを押し付けてない、写実的な描き方だと思いました。
かなり読みやすいです。 前作のNO THANK YOU!!!もそうでしたが、ここの描写は理想的に描かないことが好感持てます。

ただ、最初の手コキの時点で誠二が喘いでたのにはちょっと違和感。
「喘ぎ」 って雰囲気出すためのものだけであって、あのような状態ではまだ声でないと思うんですよね。
喘がないとプレイヤーへのサービスにならないのかもしれませんが、せっかくリアリティある作品なのだからそこまで貫いてほしかったなという気もします。
いくら誠二くんにMっ気があったとしても、最初の時点で声出るのは……違うような気がするなぁ。

しかし、それがあってもこのRoom No9という作品の現実感は他ではなかなかないものだと思います。
だからこそ僕はこの作品に強い悪意を感じました。

それはRoomを監視し、選択肢を提示する「誰か」にです。
「友達でいたい」 というそれだけの、当たり前の気持ちを踏みにじるような選択肢を提示し続けるのは、邪悪以外の何でありましょうか。

同性の親友とセックス? 嫌に決まってますよ。
仲がいいから平気だろうって? 無理ですよ。
でもやり始めたらいい感じになっちゃうって? 難しいと思います。

画面の向こうの人たちは、きっとこの2人にセックスしてほしいとウキウキしながら眺めているのでしょう。
自分たちが提示した条件で、男同士の愛が芽生えることを心待ちにしているのでしょう。

怒りを覚えました。

そんなんじゃないだろ、彼らはただ 「友達でいたい」 と。 それだけを願っているんじゃないかと。
この2人の友情、ちょっとしか見てませんが凄く深いものだと思いますよ。やり取りでそれが伝わってきます。
でも愛情じゃないです。いや、愛情はあるのかもしれません。でも欲情じゃないんです。性とは結び付かないんです。

本作では、A~Fまでエンディングが用意されています。

性的な関係に堕ちた、まるで絵にかいたような堕ちモノを描くA
性的快楽に戸惑い、友情を感じつつも楽にさせようと殺してしまう一部が好みそうな趣向のB
そのまま性的快楽に流され性交をし続ける快楽・共依存のC
解放されたが気まずくなって疎遠になってしまうメリーバッドエンドのD
早まった結果が親友を失ってしまう後悔のE
そして解放され、これからも友達でい続けようと約束するF

これ、まるでキャラクター解釈のパターンそのものですよね。
自分としては、ノンケの男性であることと相手が心からの親友であることを考えると……やっぱりA~Cエンドは考えにくいんですよ。
Dも、あそこまでの親友がそう簡単に離れてしまうのか? と。
Eも、大地ってそんな使命感に駆られるようなやつだったっけ? と。

これじゃあ「誰か」たちの望んだ願望、妄想そのものじゃないかって。
違和感しかないんです。それまでの2人のやり取りを見る限り、彼らはそんな風にならないと思うのに、快楽に耽ってしまう彼らに、悲劇を辿る彼らに、違和感しかないんです。

じゃあこれは、様々な場合を想定した「誰か」たちの妄想シミュレーションなの? と思うかもしれませんが、それも違います。
明確な違いを見せているのが、エンドロールです。
最後のFだけは、これが正しいキャラクター解釈ですよというのが提示されているかのように、明らかな違いを見せつけます。

自分も、様々な状況や台詞を読み解くと、やっぱりFが一番しっくりくるんですよ。
彼らはやっぱり 『親友』 なんだと。 恋人でも肉便器でも主従関係でもない、『親友』 なんだと。

まるで原作解釈や理解をおろそかにして無理矢理セックスさせようとする方々に対し、「これが正しいキャラクターたちの姿だよ」と現実を突きつけるような作品のように思えました。
「お前らは嬉しいかもしれないが、彼らはこうやって嫌がるんだぞ!!!」というような事実を、Fとそれ以外のエンディングが強く訴えかけているように見えました。

弁明しておくと、この作品の主張が絶対正しいというわけではないと思います。
本作はただただ 「彼らは嫌がる」 という事実を突きつけてくるのです。

それを受け止めてどうするのかは、読み手次第。
それでもなお突き進むならそれもよし。
過去の記録を恥じるのもよし。

どちらにしても、この挑戦的にメッセージを投げかけ、我々に考える機会を与えてくれる作品が現れたことが、なにより嬉しいことなのではないでしょうか。

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