meroronさんの「Heartium」の感想

ネタバレ感想を見たくない場合、文字を背景色に設定することが可能です。 → 設定変更

**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

91Heartium
本作における独立部隊である「司祭部隊」と我々プレイヤーは数々の戦場を共にし、彼らの青春を見届けていく。紡がれるのは、心。縮まるのは、距離。絡み合ってゆく、関係。これぞまさに『戦場の青春』。シミュレーションRPGである意味が確かにあり、ステータスやスキルや支援などありとあらゆる要素がHeartiumのキャラクターたちの性格や関係性、そして心を語るのに欠かせない要素となっている。彼らと共に戦場を駆け抜いた記憶があるからこそ、心が揺れ動かされる。
ハーチウムの良さを語るのは、実は難しい。
過去作、魔法少女と比べて劇的な展開もなく、昴や闇鍋に比べて燃え上がるような展開もない。

けれど、この静かに沸き起こる気持ちは決して幻想などではなくハーチウムが「面白い」ことを強く感じる。

ハーチウムは、これまでで最も絆を深める集団というものを上手く描いた名作なんだと思う。
個々人ではなく、集団としての絆。
前々から地の文を使わないキャラクター描写が抜きん出ていたTSさんであるが、今作は敵味方ともに登場したキャラクターの描写バランスが全員適切で、「必要ない」と思うようなのがひとりもいなかった。
だからこそ、全員必要と思えるキャラクターたちで形成される集団だからこそ、より一層彼らを愛しく思えるのだ。


そして彼らは皆懸命に生きてる。生きようとしている。
6話で司祭部隊が結成され、そこからの戦いはどれも印象的だ。




↓ここから各話を振り返る微ネタバレ




7話、ボゾンジャンプ。最初にして最強ともされる敵との出会い。
実質ここからがハーチウム本当の始まりであり、最初の難関であった。

9話、砦攻略作戦前哨。今後何度も戦うこととなるケットセンとの邂逅。
そして部隊として初めて正式に登用された戦場。
ターン制限に縛られながらも多くの功績を残そうと敵を殲滅させたとき、そこには達成感があった。

11話、燃える町。普通に攻略するにしても難しい部類に入る戦場。
ただ待つわけではなく攻め入らなければいけない戦い。ここでより一層、戦場の空気を感じるのだ。
生き残る、作戦を完遂する。攻めろ攻めろと、司祭部隊を操作していく。
ターン制限があるからこそのスピード感。

12話、砦救出作戦。彼らがただの一部隊ではないことが決定づけられた戦い。
戦いにおいては情も、非情も正しいのかもしれない。
それでも助けたいと思うが命令違反に苦悩し、打開策を見出すために全員で臨んだ戦い。
ここの会話は読み込めば読み込むほど誰も欠かせないことが良く分かります。
全員いてこそ司祭部隊なんです。

16話、魔法一転。司祭部隊にとって最大の山場となります。
相対する敵の大将軍、シェイドの脅威。作戦負けして陥る窮地。
初見はどうしようどうしようと戸惑います。その戸惑いこそが彼らと同じ心境であり、より一層共感が強まる。
マップの構成も物凄くうまいんですよ。戦えるキャラは限られ、主力のシキは状態異常。
「十分な状態で全キャラ使いたい」という声を振り切ってでも、場面と戦闘条件をシンクロさせ、それが我々を戦場へ没入させていくのです。

19話、特訓。戦場ではないが、司祭部隊にとっては大事な話。
新たに増える仲間と、守りたいという覚悟、決意………。
それぞれが抱える戦いに対する思いが垣間見えて、更に彼らへの思い入れは強くなる。

22話、第二次モーズリー城戦。個の力は最強でないにしろ、その指揮力で強大さを誇示する大将軍シュトール。
再びその策略に嵌まると同時に、戦いの中で大将軍の強さを感じ取れる戦場です。

23話、海の檻。再び相見える難敵、ゼディーラ。
しかし7話のころとは違い、善戦していることがまた感動を大きくさせる。
あそこまで、手も足も出なかった相手にこうも食らいつけるなんて……シキ個人の成長ではなく、司祭部隊全体の成長が強く感じられるのだ。
かつてゼディーラがシキに言った 「また私と戦うつもりなら、まともな武器と経験と仲間を用意しておくんだな。」 という言葉が、本当に現実のものとなるのが感慨深すぎる。

24話、最後の鍵。あってはならない事が起こる。
しかしそれに対抗し、策を弄する司祭部隊。この駆け引きをしながら強敵を追う。
真剣に倒そうとするととてつもなく難しい戦い。だが、それを成そうとするとき、この戦場での高揚感はさらに上のステージへと進んでゆく。

25話、力と力。普通に攻略しても難しい、司祭部隊にとっての正念場。
そして決着するひとつの因縁。垣間見える決意。
これまでの道程において、彼らが紡いできた絆や変化した関係性がうっすらと見えて来る戦場。

26話、堅牢。立て続けに窮地へと追い詰められる司祭部隊。現実感を帯びる『死』への恐怖。
ある者は泣き、ある者は叱咤し、ある者は無理をしてでも戦いへ赴く。
最初は他人同士だった彼らも、ここまで来ると全員が他人ではなく、お互いを助け合うようになっていた。

27話、弛緩。快進撃を続ける司祭部隊に対しボゾン軍が打った最大の一手。
完全攻略するのが至難の戦場であり、敵の本気を見ることとなる。
歴然とした数の差。一流の敵将による波状攻撃。これを乗り切るには、我々が知恵を振り絞って臨まなければならない。

28話、氾濫。司祭部隊を分断して殲滅しにかかるボゾン軍。エースがいない中で戦わなくてはいけない。
慣れない地形に苦しみながらも再び来る最強の敵と相対する。
何回も顔を見合わせる敵将に対してはもはや奇妙な友情すら感じつつあるようだ……。

そして29話、誓い。
これまで長く長く戦い続けた末の結果が、そこにある―――。


もうね、語彙貧弱にしかならないんですが凄いですよ。
ここまで印象的な戦いをいくつも生み出し、紡がせる。
戦いの中で紡がれる情というのが感じられ、自然と司祭部隊全体が好きになってしまうのです。

僕はとある事情もあってハーチウムを何回も何回もやっていたのですが、この繰り返し回数が多ければ多いほど終盤に向けての没入感が高くなる。
それだけ戦いで苦しみ、乗り越えたからこそ、司祭部隊のみんなの気持ちに近づくことができる。

だからこそ、SRPGである意味がある。

なによりそのゲーム部分を形作る数々の要素が、物語やキャラクター描写をより一層鮮やかにしている。

操作可能なユニットにも二種類いて、経験値などの維持やアイテム交換できる通常ユニットと、そうでないゲストユニットで線引きがされています。
しかし、たとえ後々仲間になるキャラでも、そう簡単に通常ユニットにはならないんですよ。これがまた良い。
具体的にはアルベール、パティ、ヴァレンツァの3名だが、各々が司祭部隊に入る切っ掛けとなる戦いまではゲスト扱いです。

それだけ、通常ユニットになるということは重みがあって、ちゃんと操作出来て初めて「司祭部隊に入った」こと実感できるのです。


支援効果もまたキャラクターを描写するのに欠かせないゲーム要素です。
各キャラクターステータス画面に映る支援対象は、『そのキャラが並々ならなぬ想いを抱いている相手』である。
これが、これがまた良い演出でして、「あれ、なんでこのキャラが支援対象なんだ」と思うようなのが矢印も、あとの展開で回収してくれるのです。

支援対象が加わるタイミングもまた上手くて、その人の気持ちが変化した直後に加わるもんだからキャラクターの気持ちを推し量る要素となっている。
決して表面上の「ステータス上の強さ」だけではなくキャラクターの気持ちに焦点を充てた支援効果に他ならないのです。

スキルも重要な要素です。
主人公のシキには「逆境」という強力なスキルがあります。
最大ダメージをたたき出すには欠かせないスキルです。
しかし、このスキルはバランスブレイカーになっておらず、戦術的・キャラクター描写的にも面白い要素となっています。

HP30%以下の時、必ずクリティカル。

これ、見た目以上にかなりエゲつない発動条件でして、この状態で攻撃されたらだいたいは即死です。
ゆえに、シキの逆境を頼る場合は彼女を司祭部隊全体で守りながら戦わなくてはいけません。
そこが、個の力だけではなく全体としての力を感じる要素なのです。

決して一人では太刀打ちできない相手や状況でも、月並みな言い方ですがみんなで力を合わせれば打破できる……逆にみんなの力を合わせなければ突破できないのです。
この王道を、ここまで強く感じるゲームは初めてです。
突出し1人でどうにかなるユニットはいません。ゆえに楽に勝利できる状況というのもあまりありません。
だからこそ、ここまで結集された力を感じることができるのではないでしょうか。







以下、キャラクターごとの雑感となります。
ここからは完全ネタバレで注意です。









●シキ、ランド

この2人はやはりセットで書きたくなります。
ハーチウムの主人公とヒロインであり、司祭部隊きってのエースです。
ついでに僕の中では主人公がシキで、ヒロインがランドくんです。

出会いから結実まで、最も丁寧に描かれていた2人。
ハーチウムは司祭部隊の物語ではありますが、個人間に焦点を当てるのならこの2人の物語と言って良いでしょう。

心の赴くままに行動した結果の出会いと旅路が、2人の心をより豊かにしてゆく……そんな甘酸っぱい関係なのです。
この2人があんな関係になるの、見ててすごく納得できるしニヤニヤしちゃうんですよ。
シキの魅力はボゾン王も言っていたように分からない事なのかもしれません。むしろ本人すらも自分の在り処をはっきりと自覚していないでしょう。

だからこそシキはいつも突然なのです。明確な目標や責任はなく、その時したいと思ったことをする。
最後のエンディングでようやくシキの人となりが分かった気がします。
Heartiumとは、各キャラクターの苗字が元素をもとにしているように、心の元素を現した造語だと思います。
つまりはその生き方、在り方を表現している言葉なのではないでしょうか。

それを最も体現し、赴くままに行動することによって人生を豊かにしてるのがシキという主人公なのです。

一方でランドくんは、心の赴くままというよりはとても実直な子です。
最初はなんとなくな気持ちだったかもしれませんが、おそらく7話のボゾンジャンプでその心に変化が訪れたんだと思います。
ハーチウムの描写が秀逸なところとして、読み返せば読み返すほどその心の機微を感じ取れる描写が至る所に隠されています。
シキが追い詰められた7話で、シキに対する新たな感情が芽生え、
シキを助けた11話で、明確にシキを守りたいと想いはじめ、
騎士になった15話で、シキを助けると誓い、
窮地に陥った17話で、本当にシキを助けてしまうのだ。

いや、かっこよすぎでしょランドくん……。
彼がここまで強くなれたのはひとえに師事したシキのおかげであるけれども、彼自身の吸収力も相当なものです。
現にステータスの伸びも、クラスチェンジのあるランドくんが一番良いです。

彼が強い意思を持つたびに強くなってゆき、やがてはシキと同格にまでなるのです。
実際に使ってみると強く感じますが、シキが攻めのエースならランドくんは守りのエース。
お互いの支援効果も2人が最も大きく、この2人を隣り合わせて戦わせることが強さとしても描写としても大きな意味を持つ。
この、お互いを補い合う感じが、サイコ~~~~~~~~なんですよッ!!!

シキに危うさを感じで支えたくなる気持ち、分かります。
好きな人のために強くなるガツガツとした逞しい向上心に惚れてしまう気持ち、分かります。

どっちもお互いが好きになる理由がビンビン伝わってきます。
これだよぉ……これぞ良きカップリングなんだよぉ………。



●トラウラ

シキの友人にして、最も落ち着いたものの見方をする。
良く言えば冷静、悪く言えば地味。

けれども彼女に関して注目すべきは、司祭部隊で最も多くの人と会話をしていることでしょう。
司祭部隊とはいえ、全員が全員相性良いわけではありません。
そんな中で、唯一誰とも険悪にも気まずくも疎遠にもなったりしていないのがトラウラという人なのです。

例えばロガンという下品な海賊さんがいますが、そんな彼にも分け隔てなく接しています。
ロガン自身も、トラウラに対しては嫌味のない感じで接しており冗談を言い合えたりします。

他にも、ディドーやハーゼンやエディなどに対しても個人的に話しているシーンがちょいちょい見られますし、
この子は本当に誰とでも話せるコミュニケーション能力を持っていて、その存在こそ司祭部隊を支える大きな力になっています。

そう、エネモラただ一人を除いて……(笑)




●ロロージョ、エネモラ

「ちやほやされたい」 という気持ちを発端に魔術を始めたロロージョ。
司祭部隊ではセプカと並ぶお転婆であり我儘な人ですが、人一倍負けず嫌いであるのが彼女の良い所。

ランドくんに次いで成長を感じ取れるのはロロージョとセプカなのではなかろうか。
そんなロロージョ、一番仲が良いのはトラウラですが、彼女との関係性で特に友情を感じるのはセプカとランドくんだったりもする。
セプカはお互いを貶し合いながらも高め合ってゆく良い関係です。
どっちも小学生男子みたいな言い争いしかしませんが、だからこそほんとは仲が良いのだろうなと思えます。

ランドくんに対しても、ロロはかなり積極的です。
犬呼ばわりしてますが、おそらく同じ向上心の高い仲間として見ていたのではないでしょうか。
結構、そういったひたむきな同類が出来て嬉しかったのでは。
だからこそロロのランドくんへの感情は恋愛感情ではなく友情なんだと思います。

けれどもエネモラに対しては雑……w
やっぱりロロは向上心高い人の方が好きなんだろうなぁって思う。
トラウラは昔馴染みの……だけど、セプカやランドに対してはそういった特別な感情あるからこそ仲良いのだろうなと思える。

エネモラに関しては、わりと彼女のロロに対する想いって病的だと思うんですよ……w
TSさんらしいキャラクターだとは思いますが、全くの理由なくここまで入れ込むこともないなぁと。
これもまたハーチウム特有の、空白の時間だと思います。

示唆されているような「出来事」はあるが描かれない。それぞれのキャラクターに存在する別のドラマ。

まぁそれとは別にエネモラにはめっちゃ笑わせてもらいましたw 屈指の癒しキャラだったw



●セプカ、クラナナ

セプカもまた大きく成長を感じたキャラであり、彼女の素直じゃない可愛さよ。
セプカと言えばやっぱり19話特訓全編ですよね。それまで辛辣で毒しか吐かなかった彼女が、真剣に部隊全体のことを心配している様のギャップにやられました。
トラウラがリーダーだとするとセプカは責任者なのだ。

クラナナはそれを誰よりも間近で知っていて、だからこそずっと付いて行ってるだろうなぁ。

最後にファザコンであることが明かされましたが丸わかりだよあんなん!w
あんなお父さんいたらそうなっても仕方がないと思う。



●アルベール

最初はアルベールとシキが主人公なのかと思ったらまんまと裏切ってくれましたw
最終的にはどう考えてもランドくんに追い抜かされてましたし、シキはシキでランドにご執心。

まぁアルベールの見せ場ってやっぱり12話の砦救出作戦ですよね。

「尊敬していた相手に裏切られたんだ……わかるだろ、それを考えると何もしないのは………!」

ハーチウムの屈指の名台詞だと思います。これ言える人どれだけいるでしょうか。
この、パティの気持ちを出来る限り推しはかって助けたいという思いがビシビシ伝わってくる言葉ですよ……。
きっとアルベール自身もリィンを尊敬していたらからこそ、でしょうね。

司祭部隊が快進撃を続けられたのも、アルベールのあの言葉あってこそだと思います。
あれがあるから、彼らは自分たちで考え行動できる部隊へと進化しました。
彼は司祭部隊に助けられましたが、彼自身もまた司祭部隊を形作るのに必要だった人なのです。

最終的にはパティが好きみたいですが煮え切らない態度でシキ・ランドのようになるにはまだまだ時間かかりそうですね。
うかうかしてるとハーゼンに……ですけど。



●ハーゼン

軍師とはいうものの、特段優秀なわけではないのが好感持てる。
彼の考える策はプレイヤーが思いつかないような凄いものではない。けれどもだからこそ等身大に感じられる。

そしてハーゼンで驚くべきはいつパティに惚れていたということだが……実はこれ最初から伏線あるんですよね。
それが彼の支援効果です。パティが仲間になった時からパティに対して支援がありました。
その当時は別段絡みが多く分かったわけでもないのに、なぜかあったのです。

当初は疑問でしたが、28話でそれが回収されます。けれども理由は分からないままです。
もしかしたらハーゼンは前々からパティの事を知っていたのか、もしくはそのボディに一目惚れしたのか(笑)

これもハーチウム特有の「空白」です。



●ダタイト

超難関ステージ、28話弛緩は彼の言葉に集約されていると言ってもいいでしょう。
彼もまた、昴の騎士のアルデバラン同様に出しゃばりすぎないけど見守る老兵です。

彼はその経験から、司祭部隊の強さの根幹を理解していたし、だからこそ27話時点での危うさにいち早く気づけた。
普段は静観しているが言うとき言うのは、良き先輩だよなぁ。
12話の秘密通路もそうだし、16話でのエメロード救出もそうだし、なんだかんだで彼は良い働きをしている。
だからこそ、強さでは地味に見える老兵であっても、司祭部隊に欠かせない1人だと思えるんだよなぁ。



●キエン

彼は話以上にその性能から欠かしたくない存在ですw
存在感はあるんだけども、もっと仲良くしてみてほしかったなーという気もします。

最後は黒子に徹していろいろ手筈を整えたり、やっぱり話の中でも欠かせないんですけどね。
いかんせん語る上ではちょっと情報不足かな、という気がしなくもない。



●エディ

次のコンラートはお前だエディ………。
なんかもう途中からTSさんも彼の扱いが分かってきてしまったというか物凄いネタキャラに……w
後半からの笑いどころの多くは彼によるものです。

大体ですねぇ、作者本人も言ってますが後半に出て来るエリートナイトとかマスターナイトとか完全にエディの上位互換じゃないですか!ww
あんなん出されたら彼の立場ないしモブにすら圧倒的に劣るという悲しさ……w

そんな半端性能の彼がどういった面で欠かせないのかというとやっぱり笑いの部分なんですよね。
いじられキャラとして定着しすぎていて彼のユーモアさに救われてる人も多いのではないでしょうか。


●アクア

戦いに弱気だったはずの少女も失恋を経てすっかり逞しくなってしまって……。
彼女途中から入ったから余計にそう思うかもだけど、やっぱランドくんって普通にかっこいいんですよ15話以降は。

探索隊はワンコだったころから知ってるから普通に接してるけど、アクアの立場だったらあの金髪好青年に惚れ込んでもおかしくないんですよね。
結局勝ち目がないと判断し身を引いた彼女ですが、エンディングの様子見る限り彼女は面食いな普通の女の子なのでしょうね……w

きっとランドくんじゃなくても幸せにやっていけるんだと思うし、なんだかんだでシェイドと接点あったりしたら面白そうよね。同じ魔導士だし。
個人的にはアクアのような当て馬キャラが、最後に別の人と結ばれてハッピーエンドというご都合主義にしなかったことを、すごく評価したいです。
僕はそれが所詮はキャラが作者の操り人形でしかないと感じちゃって、嫌なんです。でもTSさんはそこらへん分かっていて、安易にしなかったのがすごく良い。
例え、ハッピーエンドに誰かと結ばれるとしても、それは今じゃないんですよね。アクアのように他の人もいいかなって思うぐらいでちょうど良いんですよね。



●ゼディーラ

司祭部隊……そしてシキにとって最初の壁であり、ひとつのゴールとなる人でした。
7話時点で登場して圧倒され、そこから23話で再戦して勝利する……この構成は王道ながら巧いなぁ。

ボゾン国は相対する国でありながら将たちの個性が富んでおり、魅力あふれる人らばかりです。
ゼディーラはその筆頭ともいえる人物で、戦闘馬鹿だけど冷静にものを見ることのできる人です。

なんだかんだで情に厚く、興味のあるものには飛びつく可愛い所もあります。
国に縛られることなく自由奔放で、もしかすると彼女こそシキが求めるものを持っている人なのかもしれません。

シキにとっての師匠がエメロードで、イルザにとっての師匠がゼディーラ。
そしてシキとイルザはライバルのような関係になっています。
つまりはゼディーラって、間接的にシキの師匠のような存在でもあるのではないでしょうか。



●シュトール

22話の第二次モーズリー城戦で完全攻略しようとするプレイヤーを苦しめたお人。
ボスではあるが単騎での圧倒的な強さはない。しかし確たる強さを感じさせるまさに知将。

司祭部隊の強さは、個ではなく集の統率にあります。
そしてシュトールも同様のことを考えており、彼は集団の統率によって敵を撃破する考えの持ち主です。

彼と戦うのは2度しかありません。
しかしその2度で済んだから司祭部隊は勝利できたようなもので、彼が十分に準備した場合は勝てたかは分からないのではないでしょうか。
それだけシュトールという人物は司祭部隊の強さの先をいっているような気もして、本当に怖いのは彼だったのではないかと思えます。



●イルザ

実直な戦闘馬鹿。でもそれが可愛い。
彼女は猛烈にシキのことをライバル視しており、個人的に百合的にはイルザとシキが一番好きだったりします。
彼女と戦った回数は多く、何度も戦ってるうちに奇妙な友情が芽生えてしまったのだなと思えます。

後半になって彼女も確かに強くなっていて、やっぱりシキのライバルってイルザなんだなぁと思います。
最後にランドと旅してたっぽいし、シキとランドは相思相愛だけどそれを気にせず絡んでくるイルザとか清々しくて面白いんですよね。
彼女もまたその後の日常が想像しやすい良いキャラなんですよ。



●ケットセン、クジャ

ケットセンは犠牲となったのだ……。

ルーンの保護によって倒されても死ににくい設定になっているハーチウムですが、やはり死亡の要因は上半身裸でいたことですね。
ケットセンも何度も戦った相手で彼に対して妙な親しみを覚えたプレイヤーも多いのではないだろうか。

けれどもヤンニック怒らせてしまったからなぁ。
クジャはずっと許さないでしょうしその禍根は消えないだろうが、綺麗ごとだけで片付くよりは好きです。

結局のところ、ケットセンとクジャってどういう関係だったんでしょうね。戦友?先輩後輩?
同期にしては年が離れているように見えますし、知り合ったばかりにしてはケットセンの死に執着しすぎな気もします。
例え出会ってすぐだったとしても、きっと司祭部隊と同じように彼らにも物語があったに違いないのです。



●シェイド

中盤の面白さは彼が作ってくれたといっても過言ではなく、魔法一転での容赦のない攻めっぷりが最高でした。
真面目で学者肌でありながらも大規模な魔法を使うのを「楽しい」と言ったり、森を遠慮なく燃やしたり……。

敵を追い詰めるときは容赦をしない、これぞ強敵です。

外見的にはおそらくこの作品でトップの美形っぷりな上に若くして大将軍になっているというね……。
シュトールと気が合わなそうに見えて話しぶりはどう見ても仲が良い所とか、なかなか面白い人です。

なによりエンディングでも「毎日20回は唱えているぞ。」で爆笑しました。闇鍋やってると余計に笑える。



●ポラン

最終盤に登場した将なのにキャラが立ちすぎてる、そして凶悪な性能。
あざとい可愛さを持っているのにその扇情的な恰好……加えて生意気な性格。
やべぇ……こいつぁハーチウム界のアイドルだ……。

もうポランちゃんに関しては可愛いぐらいしか言うことないんですが、それでもキャラ立ちが秀逸で秀逸で……。

第一お前、ケットセンの代わりなのにケットセンより強いじゃないか!ww



●リィン

最も異様な存在なのはやはり彼で、パティが言ってたように孤独の寂しさを埋めたくなるような人というのも分かる。
物語を動かし面白くしてくれたのは彼だし最も苦戦した相手もやっぱりリィンです。

多くの人を裏切り自分本位に動いた結果ではあるが、それでも嫌いになれない奇妙な魅力ある人だと思います。
「雑魚が」と口も悪いですが、最後まで強敵だったラスボス。やっぱり彼じゃないとラスボスは務まらないしTSさん分かってるなと思いました。



●スピーナ

ハーチウムのキャラ感想書き連ねる際に、最後の方で書きたいと思ったのはやはりスピーナはじめとする4人でした。
シキとランドほど綿密に描かれてはいないですが、彼らの持つドラマチック性は負けていなくて、それなのに描写されていない部分をちょっとでも想像するとなんと深いことか……。

スピーナは真剣にシュティの事が好きだったでしょうし彼女自身、やり直せるならやり直したいと思うでしょう。

「貴方よりいい人を探すのは大変なのよ。」

直球にして、なんて情熱的な言葉なのか……。
難しく言われるより、これ以上彼女の愛が伝わる台詞もなかなかないでしょう。

実は男が好きだったと告白されても、スピーナは諦めきれなくて ←ここポイント
暫くして、シュティの幸せを願って応援する立場になろうとし ←ここポイント
許せないと思いながらも恋敵であったヤンニックにまでエールを送る ←ここポイント

あ~~~~~~~これよっっっっぽど愛深くなきゃできませんよ………。
本当に本当に、彼女はシュティのことを愛していて、愛しているからこそ出来ることを、愛してても普通は出来ないことを彼女はしてるんですよ……。

彼女の性格からしてプライドは高いし、嫉妬もするでしょう。
けれどもその気持ちを押し殺してでも愛する人の望みを叶えてやりたいとするその生き様はまさに愛に生きる人と言っても過言ではない。

ハーチウムは登場人物が多いこともあってそのひとりひとりに充てられた出番は決して多くない。
けれどもさり気なかったりするワンシーンや、少ないシーンの密度が濃くて、ここまで想像するに至ってしまうレベルなんですよ。
ハーチウムはそこが凄いし、特にスピーナに関しては効果的なシーンが多い。

きっとスピーナはシュティよりいい人が現れなかったら結婚なんてしないでしょうし、
だからこそ彼女は生涯囚われ続ける可能性だってあるんですよ……。



●ディドー

「10000ゴールドだ。 因果を感じるよ。 借りは返した……ってところかな。」

僕がハーチウムで一番好きな台詞です。
ハーチウムではかつての行動や言葉が後に返ってくる場面が印象的です。

例1) ゼディーラの「また私と戦うつもりなら、まともな武器と経験と仲間を用意しておくんだな。」という台詞と、23話。
例2) ランドくんの「シキさんを守ります!」という誓いと、17話、29話。

このふたつが最たる例ですが、もうひとつ長いスパンを経て返ってくるのが、10000ゴールドです。
それは司祭部隊が結成された原因の10000ゴールドであり、上の台詞がディドーの秘めたる苦悩を感じさせてくれるのです。

最初からディドーは支援効果をシュティとヤンニックにのみ向けられていて、悩んでいることは感じられました。
けれども彼はそれを表に出さず、黙々と司祭部隊の一員として戦い続けるのです。
その苦悩を描いてしまえば簡単なんですよ。けれどもこれを描かず、この振り返るタイミングで告白したのが、もうね、もうね……。

そこでハッとさせられちゃうんです。そしてディドーの秘めたる想いの強さを感じて、彼に対する見方が一気に変わっちゃうんです。
ヤンニックもシュティもそこまで気にしていなかったと思うんです。
だからこそそれはディドー自身の問題で、彼が納得しなければいけません。

そしてようやく納得するラインまで到達したのがあの瞬間であり、彼がヤンニックと本音で語りたいと思った瞬間でもあるでしょう。
こ、この男の友情……良い、良い……。

なによりあの台詞って、これまで長い間プレイしてきたプレイヤーほど感涙するんじゃないかと思います。
僕の場合それまで5周近くやってたので、余計にその時のことを急に思い出させられて涙が止まりません。

その後
「心のままに行動したほうがきっといい、目先の金や見栄のために動いても後悔する……昔の俺のように。」
と、そのときヤンニックに最も必要な言葉を言ってくれて……なんて良い奴なんだ。

ヤンニックもこんなこと言われたら、心開かずにはいられないじゃないですか。
シュティとはまた違った方面で、ディドーは特別な相手なんだと思います。

「心のままに」という台詞は、シキにも当てはまることでこれこそハーチウム全体としてのテーマのようにも思えます。
ディドーのこの地味ながらもそれまでの道のりの重さを感じさせ、「心のままに行動する」ことの大切さを説く様は渋すぎるぜ……。



●ヤンニック、シュティ

最も感情移入してしまった2人……。っていうか途中まで完全に騙されてましたよ!
最初はシュティのこと普通に女の子かと思ってて、シュティが積極的に誘ってるのに煮え切らない態度してる優柔不断なヤンニック……程度に思ってました。

けれどもシュティが男であるのが分かった途端にその見方が一気に変わって、ヤンニックのそれまでの態度に納得がいくと同時に彼の心の広さを思い知りました。
その伏線は至る所に張り巡らされていて、気づかなかったゆえに明らかになった時の衝撃はすごかったです。
結局最後までシュティの性別ってほとんどの人に知られてないしですし、シュティ自身の偽装も相当なものでしょう。

シュティの設定って、TSさんの作品には必ずいるような中性の枠としての設定です。
(フォルツォ、ナリス、スピカ、祐樹、ルゥ)
けれども、シュティの奥深さは今までの彼らとは明らかに一線を画していて、ここまで設定をドラマに組み込むのは初めてではないでしょうか。

言ってしまえばシュティは同性愛者です。けれどもヤンニックは人見知りな、普通の男だから割り切れないんです。
けれどヤンニックは、友人としてシュティの事が大好きでありシュティの気持ちを決して無下にしたりしない。
あの世界でも同性愛は受け入れ難い価値観なのでしょうが、ヤンニックはそれを半ば受け入れてくれるんです。
(司祭部隊で2名ほど女性の同性愛者がいそうな気もしますが……w)

この「半ば」ってのが重要なところで、彼は自分自身の気持ちに嘘は付けず価値観のズレを感じるからこそ常に葛藤し続けているのです。
それまで碌に人と話したことがないコミュ力低い男がですよ、出会ったばかりの男に恋人としての好意を向けられて半ば受け入れることの心の広さですよ。

そしてこの2人って、お互いがお互いに救われていてどっちも身を傾け合っているのがまた良くて……。
シュティにとってのヤンニックは、家出したときに助けてくれて、自分の性根を打ち明けても受け入れてくれて、タタラに騙されたときに必死になって助けてくれた人。
ヤンニックにとってのシュティは、文字を教えてくれて、外の世界の広さを教えてくれた人。

どっちも相手に対する感謝の気持ちが深いく、性愛抜きにしてお互いを思いやる気持ちが物凄く深いのが伝わってくるんですよ……。
片方は乙女としての恋心で、片方は掛け替えのない友人としての友情で……この食い違いがありながらも思いやることの尊さ……。

どっちもお互いを必要としてるし、ずっと一緒にいてほしいと思い合っているのは違いない。違うのは性の価値観だけなんです。

大体ですよ、この2人の出会いから司祭部隊に入るまでのその経緯がもはやひとつのドラマ・物語なんですよ。
それだけでひとつのラブロマンスが作れるといわんばかりの密度が確かにそこにあるんだけれども、決してそこの回想などは入らない。
この2人の空白や、一緒に戦ってきた中での想いの変遷なんかは、一回でも想像してしまったらもう沼にズブズブです……。

ヤンニックとシュティは、シキとランドに次いで物語の主役級ともいえるペアです。
スピーナとディドーに助けられながらも、彼らは紛れもなく戦いの中で自分たちの道を見つけ人生を豊かにすることができたのです。

ヤンニックは「心のままに」、シュティのことを恋人とは見れないけど一緒にいることを選びます。
僕が一番感動したのって、それを原典という最終目的の存在で決めることができたことなんです。
あの原典と呼ばれる日記それ自体に大きな意味はないですし、けれども彼にとっては大きな意味をもってあの本が与えた影響の一端として、
シュティと一緒にいてくれることを決意したのが嬉しくてたまらないんです。

ああ、本当に原典には大事なことが書いてあったんだな……あの本を目指して戦ってきた意味があったな……と感じさせてくれたのがヤンニックのあの場面に他ならないんですよ。

ずっと一緒にいてくれ……あわよくば2人の旅路をもっと眺めていたかった……。
あと下世話な話になるけど、同じベットでイチャラブプランと言っていたシュティさんの台詞考えるに、やることやってますよね間違いなく……w
なんだかんだで受け入れてくれるヤンニック可愛すぎるし、(作者公認で)えっちに発情するシュティ……うひひ。




●総評

大胆な場面はないものの、静かにその奥深さを感じられ強いテーマ性を感じる名作でした。
結末はどこかあっけなく、死者は少ない戦争にしては優しすぎる物語なのかもしれません。

けれどもこうして考えれば考えるほど、今まで歩んできた物語を整理すればするほどの良さが染みてきて感想書きながらボロ泣きしてしまうような作品です。
ここまで感動し涙できるのは、何回も何回も周回して完全に攻略しようとして彼らと戦ってきたからこそです。
ここまで感動できるのは、そこまで時間を費やしてきたからこそです。
だからこそ、先の展開が分かっていても読めていても感動せざるを得ないんです。
(プレイ時間50時間としてますが、実際にハーチウムに捧げた時間は200時間超えています)


そしてなにより、今まで共に戦ってきた司祭部隊への愛着が強すぎてしまうんですよ。

シキは、エースとしての強さで欠かせなく
トラウラは、リーダーとしてのまとめ役として欠かせなく
ロロージョは、負けん気の強さからくる粘り強さと数少ない大魔法使いとして欠かせなく
ランドくんは、多くの人から師事された末の守りのエースとして欠かせなく
ヤンニック、シュティ、ディドーは司祭部隊が発足する切っ掛けとなた人たちとして欠かせなく、
セプカは、屈指の回復力と責任者として欠かせなく、
クラナナは、そんなセプカの手綱を引きシキと同じエースとして欠かせなく、
ダタイトは、彼らを見守る先輩として欠かせなく、
ハーゼンは、司祭部隊の参謀として欠かせなく、
アルベールは、司祭部隊を司祭部隊とした立役者として欠かせなく、
パティは、シキと同じエースとして欠かせなく、
エディは、お笑い役として欠かせなく、
アクアは、ロロと並ぶダメージメーカーとして欠かせなく、
スピーナは、数少ない治癒役と多彩な杖の使い手として欠かせなく、
キエンは、多彩な道具の使い手として欠かせなく、
ヴァレンツァは、最後の参入者として強力なダメージホルダーとして欠かせない。


ああ、本当に良い青春だった。

長文感想へのレスを書くには
 ・ユーザーIDを有している
 ・COOKIEが有効である
 ・COOKIEを有効にした状態でログインしたことがある
 ・5つ以上一言コメントを書いている
 ・長文感想を書いたユーザーが長文感想へのレスを許可している
の5つの条件を満たしている必要があります。

コメントデータ

このコメントはだいたい1778回くらい参照されています。