えびさんの「アオイロノート」の感想

絵22+文21+音21+他08 もちろん、それが絶対の正解とは言わないのですけど、ad:lib作品で最も「StarTRain」に寄り添った青春模様だった気がします。これは不思議なもので、「アオリオ」や「ドコドナ」を辛めに評価している人の方が高評価になりそうなシナリオでした。
*映像面・・・
もろもろいつも通りなのだけど、若干、キャラデザの頭身が高くなったという気がす
る今回の原画。
あいかわらず、HDRで白飛びしてるみたいなライティング効果には、疑問符がつきま
すし、複数名なのか、同じキャラのエッチシーン間でも、表情の違和感がある
とかの部分もいつも通り。
立ち絵周りは、特に服装なんかがエロゲ的な装飾が控えめで、若干、こざっぱりし過
ぎているのですが、アニメで動かそうとしたらこれくらい簡素なディティールになり
そうで、なにやらアニメーターらしいという感も。

ちょっと垢抜けないシステムデザインや、YU-RISにしては最低限のシステム周りなん
かも含めて、ちょっとその辺りの見せ方のテコ入れも欲しいところ。
テキストウィンドウの透過度、フォント変更くらいは欲しかった。


*シナリオ・・・
相変わらず琴子のテーマを引きずったような玲央とか、またもや家族テーマに踏み込
んでみた沙織先輩とか、宇宙人枠の唯子先輩とか。
まー、そういう見方をすると、いかにもad:libらしい作品でした。

宇宙人枠は別にしても、ちょっとリアル寄りというか、大きなドラマ性で物語を描い
たりせずに、ヒロインたちの感情の機微が見せる、陳腐とすら思えるくらいの青春模
様が描かれるのが、このブランドの作風だったわけです。

そこに世界の危機なんて無いし、呪われた宿命なんて無いし、数奇な運命に導かれた
りもしない。

そんなブランドの作品にあって、本作は劇薬を放り込んできて、ドラマチックをやっ
て見せます。
ある意味、最も“エロゲらしい”と言える一つのやり口で。

それだけに、エロゲに古くから慣れ親しんでいる人ほど、

「そのパターンも知ってる」

とか言いながら、真っ向勝負をしてくるシナリオに、

「やるでねか!!」

とか言ってしまう、山王戦の河田兄の心境で、このシナリオを評価してしまいそうで
す。

一方で、従来のこのブランドのシナリオを買っている人にとっては、陳腐な話であっ
たとしても、巷に溢れた萌え要素からは一線を引き、ほのかなリアルと恋心と青臭さ
が描かれた青春模様が魅力なのに、今更、古典的エロゲに媚びるようなシナリオやっ
てどうすんだと、お怒りになるのが目に見えるような気がします。

と、まあ、なんというか、私は比較的、前者の視点で評価しているのですけど、後者
の視点で見た時でも、それほど悪くないのではないかとも思っているんですよね。


げっちゅのインタビューにおいて、本作品は「限られた時間」というテーマを各ルー
トに設定していると語られています。
青春時代を振り返ってみたおじさん達が、その短さの中に詰まった思い出の濃密さや
他愛なさなどから、確かに連想してしまいそうなテーマです。
また、同インタビューにおいて、

>>
『箸が転んでもおかしい年頃』なんてことわざもありますが、青春時代って、そんななんでもないこともエンターテイメントになる貴重な時期じゃないかと思っています。
本ブランドでは、そのような考えもあって毎回そのあたりを舞台にしています。
http://blog.getchu.com/archives/52179528.html
<<

その最大限に圧縮された「限られた時間」の中で、一人の女の子のなんでもない青春
時代を描こうとしたら、こういう劇薬の使い方はすごく正攻法でまっすぐ。

ちょっと、各ルートで初エッチの導入に無理筋感があったり、宇宙人枠もご愛嬌と言
えなくもない……かも。いや、まあ。


ただ、美空や玲央のルートには、ad:libの前身的な作品である『StarTRain』の持っ
ていた、青春の痛さだとか、その雰囲気の一端が、垣間見えたような気もします。
なんだかんだ、結局、笑顔で締めれば良いっていうのは、ちょっと青春の一面性しか
捉えていない感があって、それが本ブランドのシナリオに対する、ちょっとした不満
要素だった気がするのですが、思いの外、爽やかで切なくキラキラした美空ルートの
ラストに、泣いてしまうほどではないけれど、しんみりしております。


*音楽/声優・・・
当然、音楽は、I.O.Soundなのですが、本作冒頭に流れるBGMは、ad:lib以前の作品を
想起させる物悲しいピアノで幕を開けます。(BGM『優しくね』)
この曲を聞いただけで、
「これはいつものad:libとは、ちょっとばかり違うんじゃ」
と期待させられる程、旧作のあの音楽のサウンドスケープは強烈でした。
その片鱗を見せつけるだけではなく、ad:lib以降の歌モノのポップな魅力も充分に光
り、可愛く元気なロックもテクノも健在。
とりわけ、ED『Onlyone』のキラキラ感と前向きな印象は、アニメではありそうです
が、しっとりした曲の多いエロゲ曲としては、案外少ないのですよね。

そしてそして、美空・玲央EDの『夏の夜空といとしさの色』が、良すぎた。
初見では、爽快な疾走感あるポップチューンと見せかけて、哀愁の情感が溢れ出すよ
うなサビでぶん殴ってくる様は、『StarTRain』の手口と同じで痛快。おみごと。

声優陣は、サブどころの朝比奈ゆき、桃井いちごの二名に比べると……。
その点では、嶺上りん花の演技は安定感があり、いやー、この声、どっかで聞いたこ
とあるわー、ぜったいあるわーとか思いながら、詳細は特定班におまかせ。

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