4Dさんの「ノラと皇女と野良猫ハート」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

基本的には前作と同じ方向。意味不明な明け方のノリとでもいうか、良くも悪くも特徴的だったやり取りは随分と我慢した形跡が見られる。しかし勢いだけでごまかすことをあまりしなくなった分、物語がどうしようもなくクソであるとよりはっきり目立つようになった。かと思えば原画やヒロインの喋り&テキスト、そして声優の演技力などが元々優れていた前作よりも更に極まっていて、相変わらずどう評価すればいいのか悩む。たぶん、物書きなら備えていて当たり前のバランス感覚みたいなものをこのライターは持ってない。そこが良い方向に働けばあの気が狂いそうになるほどに悶えるテキストが生まれ、悪い方向に働くとこの見てる方が恥ずかしくなるような(カッコ書き)なんてもんが出てくるんだろう。
前作と比べ、良い方向と悪い方向どちらも更に振り幅が大きくなった。
ヒロインは異常に可愛いが、シナリオやテキストは吐き気がするほど気持ち悪い部分がある。
それでも、過敏なユーザーへの配慮に塗れた何一つ特徴のない量産萌えゲーよりは余程楽しいし
好感も持てる、と前作と同じように肯定したいところなんだけど……



まずは絵です。絵。
イベント絵よりも立ち絵に気合が入ってるタイプ。
非常に高精細で、横顔の違和感さえ除けば全エロゲーメーカー中
たぶんトップ5に入る立ち絵なんじゃねーかなと個人的に思う。
冗談抜きにヒロインが何を喋ってても可愛いと思わせられるだけの力がある。
なんつーのかな、綺麗なだけの無味無臭な萌え絵と違って、体臭がさ、感じとれるんだよね。
なんか見てるといい匂いがしてくる。横髪と肩の真ん中辺りにあるあの空間に住みたくなってくる感じ。
オッサンになるとこうやって表現の仕方も気持ち悪くなってくるから皆も覚悟しててね。
ただしイベント絵は本当に本人が書いたのか怪しいくらいに崩れてるのが割とある。落差が激しい。
でもまあ、こういう萌え絵でむちむちとしてて肉々しい絵はそう多くもないしね。
個人的に好みなこともあって絵については満足。

そして声優陣の演技力が凄すぎる。
声優の名前なんて2,3人しか知らない俺でもこれは判る。
伸び伸びとした感情豊かな演技…俺がエロゲ始めた頃なんて基本的に棒読みで大根上等だったのに。
そう考えるとエロゲーも部分的なクオリティはしっかり上がっていってるんだよなあ。
つうかシャチの声優すげえな、これで40オーバーとかマジなのかよw
奇跡って案外そこらへんに転がってるもんなんだなと思った。
あと桐谷華も相変わらず異彩放ってるというか、仕事楽しんでやりすぎだろと思った。

そんな感じで、すげえ可愛い絵とすげえ魅力的な声で、実に可愛いらしいセリフを喋ってくる訳。
なんかねえ、媚び方が上手なんです。
ラノベ他、最近の流行らしい恥ずかしくなるような主人公ageとかそういうのがない。
商売っ気をあまり感じさせないんだよね。何気ない好意をチラチラと見せてくる。
しかし後半はチラ見せどころかゲージ振り切れてるような好意の固まりを超直球でぶつけてくる訳で。
こんなの、オジサンたまらないですよ。
あまりの可愛さモロ出し加減にクリックする手が震えてきますよ。
「マジで…?マジこれ、いくらっすか…!これ、ねえちゃん、いくらっすか!?」
って画面に問いかけでもしてないと耐えられないくらいに可愛かったですよ。

前作もそうだったけど、こういった「女の子の可愛さ加減」は
萌え界隈でもトップを走ってると個人的に思う。
例えこの作品が中身なしの萌えるだけな萌えゲーだったとしても
ここまでやってくれるのであれば俺は肯定できる。

しかしシナリオは相変わらずで、うーん…はっきり言えばクソだと思う。
ヒロインが4人いて、そして内容もそれぞれ個別に分かれているのに
まともなルートは一つもない。
シナリオに関してだけ言えば、中身なしの萌えゲー的シナリオの方が
余程マシだったんじゃないかな。
という訳で、各ヒロインごとの簡単な感想。



パトリシア:
後半からデレてきて可愛くなるタイプ。
悪くはないけど凶悪な可愛さを誇るヒロインが他に二人もいるためキャラ的には影が薄い。
「死の国からやってきた皇女様が生を知る(性も知る)」といった内容で
途中まではかなりまともな内容。
ただし終盤に入るとそれまでの設定を放棄しながらも更に謎の理屈を積み重ねていく作業が始まり、
前作でお馴染みの恥ずかしい学芸会みたいな舞台も開演され、その勢いだけでEndまで向かう感じ。
正直に言えば、真面目に読んで損した気分になった。
そういう意味でも影が薄い。メインヒロインなのに…


シャチ:
名前がアレだが別に北斗琉拳とは関係ない。破摩独指とかしてこない。
無条件に愛情を注いでくるデフォで好感度100%な刷り込み系ヒロイン。
理知的な癖にどこか舌足らずな喋り方がたまんない。超むちむちなのもたまんない。
マシーン丸出しな謎のウイングを度々召喚する、生まれも育ちも判らない謎の同居人だが
実は天の国に造られたという地球の天候を調節する生体装置、みたいな感じの人。
仰々しい設定だけど、しかし内容には殆ど関係してない。
大事なことっぽいのにあんま大して言及されてないw
イチャイチャしてアンアン言って大体それで終わるルート。
中身らしきものは殆どないが、他の3人を見る限り結果的にこれが最も良い内容だったと思う。
楽しく萌えて、とりあえずそのまま終われるから。


黒木未知:
今回の重くてめんどくさい女担当。しかも母ちゃんがキチ○ガイ系のモンペ。
主人公はこの母ちゃんから自身の家庭環境を度々ディスられ、
ヒロインは洗脳染みた束縛を受けがんじがらめにされながら
「俺たちは無力な子供でしかないんだ」ということを切々と実感させられ圧迫されていくルート。
うーーーーんwwwwあのさあwww全然素直に萌えてらんねえんだけど何これwwww

まずさ、シリアスと不愉快とは全く違うと思うんだよね。
というのも、これが真面目にお互いの理解を深めていくとか、
あるいは抗っていくような内容ならまだ判るんだ。
それならそれで、こっちだって真面目に読む。
でもこのルートにおいて、そんなまともな過程は存在しない。
一方的に追い詰められ別れが確定し、バッドエンド直前まで追い込まれたところで
運よく(?)ヒロインが母ちゃんの再婚相手の詐欺師に襲われそうになり、
運よく主人公がその場に乗り合わせ、運よくバケモノに変身して詐欺師を返り討ちにし
そしてあんだけキチガってたはずのモンペ母ちゃんは簡単に態度を一変、
主人公のことを歓迎するようになったのでした。 ~Fin~

過程なさすぎ後半超展開すぎ回収雑すぎの三重苦。
どうみてもやる気がないように見えるが、でもたぶん、これでも真面目に書こうとしたんだろうと思う。
らぶおぶやった時にも感じたけど、このライターは順序良く物事を運びその過程を描写する、といったことが
根本的にできないんだとこの作品をやって確信した。感覚的な何かが欠けている。
異常なくらい表情豊かに可愛く描けてる立ち絵も、ずっと聞いていたいと思えるような声優の演技も
その多くがシナリオに殺されているというもったいないルート。
「シリアスなんて要らない、お気楽に萌えてりゃそれでいい」みたいな考え方、
俺には共感できなかったんだけど…確かにこんなデキの悪いシリアス見せられるくらいなら
そっちの方がまだいいか、と初めて思わされてしまうような内容だった。

しかしそれでも、未知の可愛さは本物なのがタチ悪いんだよなあ…………マジで………うーん………


明日原ユウキ:
ビッチ気取りだが内面は実に重そうな女。
最初はあんまり魅力的には見えなかったけど、キャラ付けと声優力と
前作のエリカたまを彷彿とさせる頭の悪いイチャイチャ会話であえなくKOされる。
こいつもやべえわ、キチガイレベルに可愛いくてどうすればいいのか判らなくなる。
しかし話の内容はやっぱりというか不愉快系で、ヒロインが勤めるバイト先の猫カフェに
DQNが襲撃してきて店を壊され猫は傷付けられ、ってもうなんだか書くの面倒になってきた。

未知もそうだけど登場人物の結束を高めるためだとか、言うなればドラマ性のために
事件を起こしてるんじゃなくて、なんか…とにかく不愉快な出来事がただ書きたいみたいな印象を受ける。
そういう理不尽なことへの自棄、自虐、諦めそして受け入れ、といったようなものが
主人公を始めとして全編のそこかしこに漂っているのが感じ取れる。
ライターの趣味なのか人生観なのか、それは判らないけど
「不幸はいつも自分の意思とは無関係にやってくるが、しかし私はそれをただ受け入れる」
ということを描くのにかなり執着を持っているフシがある。
それは前作主人公における周りからの扱いもそうだし、唯一ガチで書いたんだろうルキナルートもそう。
そして本作の主人公も、未知ルートも全く一緒。根底ではパトルートや明日原ルートも同じ。

でもこれこそが、野良猫の心意気―野良猫ハート―と言いたいんだろうなと俺は解釈した。
いきなり追っかけられても石を投げられてもどこ吹く風で、みたいなものがさ。
そういったものに高潔さを感じるのは別におかしいとも思わないけど、
しかし問題は結局のところライターがこの「不幸を受け入れる」部分にしか
興味や熱意を持っていないのであろうことかな。
だからその先の話、つまり問題解決に当たる部分やアフターフォローが
例え精一杯書いても手抜きに見えたり、あるいは学芸会で済ませて
さっくり終わらせてしまったりするんだろう。



つまりまあ、そんな感じ。可愛い見た目や歌なんか聴いてると愉快そうに思えるが
正直あんまり愉快な内容じゃない。
未知とユウキのように丸呑みしたくなる程可愛いヒロインもいるが、
しかしそんなヒロインに限って「シリアス」ではなく「不愉快」な出来事が
前面に出てくるシナリオだったりする。
加えて今回はアニメ化を見据えているせいか前作のように面白くて笑える、
緩衝材となっていた男の友人キャラってのもいない。いやいることはいるが役目を果たしていない。
つうかアニメ化する程の内容じゃないとも思うけど、
いや、案外他人が手を入れたら化けそうな気がしなくもない…か…?

割と酷評したライターも、全く進歩が見られないってことはないんだけどね。
例えば幕間の寸劇「猫のお考え」。
前作で度々見られた「このライターって…不思議ちゃんなの?」と言いたくなるような
意味不明のやり取りを本編ではなるべく控えて、この猫のお考えの中でやりたい放題やってる感じ。
きちんと切り分けたのは英断だと思う。あれは理解できない人の方が多いと思うしさ。俺も含めてねw
寒くて痒いポエムや学芸会も所々で始まりはするけど、これもかなり我慢したってのが見て取れる。
しかし逆に
(眉をひそめ)こんな痛恥ずかしいカッコ書きを取り入れてみたり、
(嘆息しつつ)ナレーションをつけて現状の説明をさせてみたり…
「結局は一進一退なんだな、と4Dは思ったのでした」
うーん…個人的にはナレーションはまあ慣れたけど、カッコ書きは最後まで体が痒くなった。
つうか同僚誰か止めてやれよと思ったw

正直なところ、原画と声優にかなり助けられていると思う。
人には全くオススメできない。前作が無理だった人は今回も無理だと思われる。
俺自身もはっきり言って、らぶおぶプレイ後に覚えた
「このライター次回作では一体どう進化するのかな」という期待が今回はあんまり感じられない。
すげえ上からな物言いで恐縮なんだけど、なんつーか、その…底が見えた感がある。
この人は多分、面白いギャグは書けても、面白い物語は今後も書かないし書けないと思う。

ただまあそれはそれとしても、こんだけ可愛らしい絵に可愛らしいセリフと声、
そんでもってエロシーンはいちゃいちゃべたべたと甘めで割と使えるので
そこだけ守ってくれたらもうそれでいいかな、という感じ。
期待するべき部分としてはいけない部分が実感としてはっきり理解できた、とでも言うのかな。
見所はちゃんとあるので割り切ってしまえば悪くない作品だと思うよ。ほんとオススメはできないけどね。



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