ほげもんさんの「ご主人さまにあ」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

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間違いなく埋もれてるけど合う人には強烈なインパクトを残す怪作
実は飽き性ですぐエロゲを積んでしまう私にしては、久々のコンプとなった本作です。
ありがとう、ご主人さまにあ。ありがとう、ゆにっとちーず。
本作とリンクが微妙にあるらしいニルハナも楽しみでなりません。


システム……基本的な機能が揃っています。ただ、ウィンドウ透過が無いのは気になりました。

グラフィック……ぶっちゃけ荒削りです。熱中してるとそこまで気にならなくなると思います。
ライターさんに画力まで求めるのは野暮というものですが。表情はキャラに合ってると思いました。
エロゲの小綺麗な絵では多分、
綺麗事をそんなに書いていない本作には合わなかったんじゃないかなと思ったので、
ライターさん自ら手がけたのはアリだと思います。

あと、できればCG鑑賞でEDの絵と立ち絵も収録して欲しかったなあ。

BGM……常に冷めていて終わってしまった空気が淀んでいるのに、
どこか懐かしくて立ち止まっていたくなる。
そんな雰囲気にばっちり合っていたと思います。閉じてどこにも行けない感が漂っていてお気に入りです。

声……どの声優さんも素晴らしい。浅見の人はもっと広まってほしいなあ。
なんというかこのキャラにはこの声しかない!
って感じがばっちりで、多少の絵の崩れなんて気にならなくなるレベルの演技力と言いますか。
みつ希の日常における、穏やかだけど気だるげなトーンが特にお気に入りです。

テキスト……読みやすく、一文一文が感情をざわつかせほじくり返してくる。購入動機の9割がこれ。
たまに感情表現が抽象的で何に心を動かされているのか理解が追いつかない時がありましたが、
何も主人公はこれを読んでいる人に完璧に解って貰いたいから語り手になってるわけじゃないので、
リアルだなーと突き放しつつ眺めていました。でもこういう文章大好きです。

個人的に最も共感したのはエログロを『変なもの』という先入観でしか見れない由貴。
あーいる、いるわーそういう人身内に。
完全に無理か全く平気かの両極端な人しか見てこなかったので余計に。


以下感想



ちょっと話が脱線しますが、私、作り手さんが作りたいがままに
思いっきり愛をこめている作品に触れたくなるときがあります。

需要なんて気にしねえ、俺が好きだから作ってんだ。
食いたい奴だけ食ってこいってビンビンに伝わってくるようなやつが。

大半は人を極端に選ぶ代物なので選ばれなかった時は残念ですが、まあそれはそれとして。
今は商業ですとニーズとか売上とかがあるので難しいですが、こういうのは同人の利点ですね。
出会いに感謝。

『さまにあ』が他のエロゲと違うなーと最初に分かるのは主人公・藤みつ希の造形。
単なるメンヘラとかビッチとかマゾとかアスペとか安易な俗称では括れない精密な心理描写。
体験版の時点で浅見と共に頷いてしまうほど魅力的な娘さんでした。

・夢想癖という自分の世界を持っており、目を閉じて夢と思い出にたゆたう在り方
・着飾ることで内面を隠し外見的イメージを他人に植え付け、
相手の望みそうな言葉・態度で接しつつ冷静に値踏みする強かさ
・恋愛モノなら胸キュンで片付けられそうな浅見の口説き文句を上辺だけの台詞と受け流す醒めた感性
・エロゲではお馴染みの淫語連発の喘ぎ声を『挑発』だと捉え、主導権を握り握らせようとする魔性ぶり

凄い、凄いよみつ希ちゃん。こんな主人公見たことない。
普通のエロゲならこんな可愛げのないヒロイン誰得だ!
って一蹴されそうな人物像を見事演じてくれた声優さんには頭が上がりません。
もう、彼女の言葉ひとつひとつが愉快で痛快で仕方がない。
飛ばせない魅力のあるHシーンとはかくあるべしです。



ただ、理解はなんとなくできても登場人物の結末には納得の行かないものがあった。

結婚までしておいて旦那を置き去りにして自殺するみつ希にも、
みつ希に異常なまでに執着し彼女の代わりを追い求めてSMに倒錯し、
それでも手に入らなかった者を追った浅見の女々しさにも、
元凶となっておきながら姉の望むことを何もせず、
ねじ曲がり罪の意識を擦り付ける玩具を傍らに生きることを決めた由貴にも。


てっきり浅見に抱かれるみつ希を由貴が殺して多分浅見も手にかけて、
由貴だけが檻の中で償い続ける終わり方かなと思っていたので……

もしくは手を取って浅見さんとみつ希が幸せになって、やっぱり由貴は(以下同文)
なんだよ! 姉の人生をエゴで台無しにした落とし前最後につけるんじゃなかったのかよ由貴ぁ!
ってEDまで見てタイトル画面で叫びたくなってしまった……
(単に私が罪がきちんと裁かれなかったり、家庭があるのに自殺という終わり方が苦手なだけともいう)


作中で「きみは思い出の中で生きている」と浅見が言った通り、
みつ希の現実はご主人さまと過ごした日々そのものだった。

浅見が手を差し伸べるにはあまりにも遅く、
由貴は一番みつ希の近くに居たのに救うには何もかもが足りず、愛情の注ぎ方も選択も間違えすぎた。
浅見の終盤の叫びは当時側に居らず今になってご主人さまの器に追いついた自分と、
側にいたのにご主人さま足りえなかった由貴に向けられた哀しみと怒りなのかと思うと物凄く切ない。



ここから蛇足

みつ希の精神病院のエピソードで思ったのですが、
やっぱり女性、特に綺麗な人ほど若さと美、そのどちらも失われる老化は恐ろしいもんなんだなぁと。
あらゆるお洒落の機会を塗り潰され年を経たみつ希の母親は、
娘にも娯楽を良しとせず進学させず労働を命じ、
そのくせ自分は子供が稼いだ金をせしめて娘に「女」として真っ向から張り合う。
うん、そんなどうしようもない母を気まぐれで見せた優しさだけで許せる気がしてしまうみつ希が哀しい。

欲を言えばご主人さまとの楽しかった(愉しかった)日々をもう少し見てみたかったのですが、
初体験以外の行為を明確に書かないのは
『何も知らないアンタが好奇心でご主人さまとの時間を覗き見ようとすんじゃないわよ!』
ってみつ希に怒られそうな気がするので、あえて綴らなかったのは正解なのかなと。

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