まつさんの「ラブだくしょんっ! 銀河の恋愛ガイドブック」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

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ザークオンッ!
主人公は得てして碌でもない事にしか出くわさないのが通例だが、それはつまり、彼らは碌でもない事に出くわすからこそ物語の主人公足り得るということを逆説的に保証する。
それにはハンコも契約書も必要なく、ただそれは突如として降ってくる。

「本日の天気は、晴れ時々宇宙船です」

“コイ”を手に入れるためにベテルギウスから来訪するアニー、いつの間にやら自宅に居座っていたヨシア、そして銀河恋愛ガイドブックと共に、ボーイミーツアブダクションは幕を開ける。

ぶっ飛んだ世界観に、奇人変人異星人達が織りなすラブコメディは人を選ぶかもしれないが、商業作品と比較しても遜色ないくらいの美麗なグラフィックに声優陣の演技、一通りの機能が揃ったシステム、更にシナリオのボリュームについてもお値段以上のものがあり、非常にコスパの良さを感じた作品でした。

ただ、ギャグゲーの宿命だろうか、恋の過程だったり、問題の解決方法は些か拍子抜けであり、そういう点での描写の薄さについては納得するしかないが、しかし、それが魅力を殺しているかというとそうではなく、好意的な汲み方かもしれないがテンポを重視した結果と言えなくもない。
実際に、両ヒロイン共にシリアスシーンは用意されていて、そういう重い空気が流れだした途端なんか違うなって感じるわけです。
やっぱりこの作品の空気にそれは合わない。
ならばぐだぐだ描写を引き伸ばすよりはノリでどうにかなっちゃいました程度の方が本作にはお似合いだ。


さて、話は変わるが同人作品ならではの風刺の効いた表現というのもまた本作の魅力の一つだろう。

ヨシアのタケシマ(ソファー)不法占拠のくだりなど、ユーモラスかつ的確に時事ネタをネタとして昇華しているし、生徒会選挙の局面ではアニー、ヨシア共にネガティブ・キャンペーンの嵐とは、どこかで聞いたことのあるような話で頭が痛い。
「余計なことしかやらない政治家」と「何もやらない政治家」・・・こんなのばかりだからこの国は…と、ここでグチグチ言っていても仕方ないけども、これが許されるのは馬鹿ゲーの中くらいですよ!

アヴィさんの人物造形も、心の病を抱えた現代日本人の姿そのものみたいで、割と他人事には思えないところに胃が痛くなってくる。
流石に便器に顔突っ込んで自殺を図ろうとする輩などはいないとは思うが、自嘲気味、捻くれたような態度などは今の若年世代を映した鏡のようだ。

こう書いてみると、何だか陰鬱な空気しか漂ってこないのだが、そこはノリとテンションとギャグセンスで見事に笑いへと昇華されているので、お気楽に楽しむことができる訳である。

そうやってギャグの皮を被った深い話が色々と込められているのだが、以下気に入ったエピソードについて感想を。

◆食事
「菜食主義者」と「肉食主義者」、転じて価値観の違いから来る諸問題。
自身の主義・主張を貫くのは尊いことだし、それはそれで結構であるのだが、それを押し付け、あわよくばそれを盾に他人を攻撃なんてのは甚だ傲慢にすぎる。
身近に例を挙げると、趣味を同じくする者同士であっても、人によって価値観は様々で時に意見の食い違いなんてのも起こるわけだ。

アヴィ「大変勉強になりました。見に染みました、あなた方と会話をしても時間の浪費にしかならないという事実が」

つまり互いの主張の衝突は結局こうなるしかない。
これは昨今の一方的なオタク叩きの風潮にも言えることで、他方を攻撃する意図ありきの議論なんてものはそもそも議論にすらならない。
対して、被攻撃側もやられたからやり返す、これだからもう泥沼だ。

それはそれとして、本作では、「ポリシーなんてものは、ふとしたきっかけであっさりと変わるものだ。」とも説いている。
最低限コミュニティを築いていく上で、互いへの理解、そして排他ではなく共存を目指す精神が肝要である、と。


◆教育
事業仕分けならぬ授業仕分けとは思わずクスっときてしまい、ワァタミ株式会社の登場に至ってはへそで茶を沸かすところであった。
学校教育が実際役に立ったかと問われると、そうとも言えるしそうでないとも言える訳だが、シャチクのいろはを学ぶよりかはよっぽどマシなのは言うまでもない。
いやしかし、シャチクに必要なものが、上の命令に一切の疑いを持たない「従順さ」であるならば、学校教育もまたその一環であり、学校とはつまりシャチク量産工場のような気がしてくるが。
洗脳とはかくも恐ろしいものである。


◆秘密
シリー「私、実は男性器が生えてるんです」

そんな事実知りたくなかったああああああああああああああああああああああああああ
いやでもちょっとは嬉しいかもしれない…おっと私がフタナリ好きというのは秘密だ。
さて、知ってはいけない真実を追い求めるメルであるが、やっぱりメルちゃんは可愛い、これがつまりこの世の真実。
だから、メルが非攻略対象であるということは知らなければ良かった真実である。
冗談はさておき、真実を暴くか、それとも秘匿しておくかという線引は非常にデリケートな問題で、報道規制というものもやむ無しなのかもしれない。


◆経営
アニー√に入って一発目の話。
「お帰り下さいませご主人サマッ!」という言葉と共に出迎え(?)られるメイド喫茶を立て直しを図ろうというのが趣旨だ。
どこの世界にもニッチな層というのは存在していて、この店舗にしてもそれは例外ではなく悪食マニアという少数需要が存在していたが、これを万人向けへと方針転換してしまうことにより、かねてからの常連だった人達が追いやられてしまう結果となった。
私も仕事上経営に携わることはあるのだが、昔ながらのお客さんを大事にする一方、売れる商品を作らなければならないということ、これが非常に難しいんですね。
エロゲ業界においても、以前から贔屓にしていたメーカーさんなどが無理に大衆へと迎合してしまい寂しい思いを抱いたという経験のある人は多いんじゃなかろうか。
私事にはなるが、知り合いに“日焼け跡”を愛してやまないような人がいて、私もこれは相当ニッチな嗜好じゃなかろうかと思うわけだけど、その“日焼け跡”を導入してくれるメーカーをリスペクトする彼の満面の笑顔を見るにつけ、ユーザーを大事にしてくれるところは末永く応援したいものだと思った次第。
でもやっぱり売れるものをつくらないからには存続もできないわけで、理想と現実のギャップは高い。



さて、お待ちかねエロについて。

回想シーン内訳
・アニー 3
・ヨシア 4
・メル  1

一番のお気に入りは残念ながら、非常に残念ながらサブキャラであるメルちゃんなのだが、更衣室に飛び込んでしまい着替えにバッタリというお約束な展開だ。
そして涙目になってるメルちゃんに欲望のまま突っ込みたいと思ってしまうわけだが、まずは落ち着こう。
胸を見て、股を見て、もう一度胸を見て、深呼吸だ。
そこに人の足音を感知し、ロッカーへと二人して逃げ込むというこれまたお約束の展開で、考えてみればなんで二人して隠れなきゃならないのか、これに疑問を持ってはいけない。
ロッカーの中へ逃げ込んだ二人、おっぱいを引っ掴んでる主人公、これにも疑問を抱いてはいけない。
完璧なまでの黄金パターンがここに顕現した。
全てはそう、恋愛ガイドのお導き。
おっぱいも程よいサイズでまさに美乳、フトモモもこれprprしてきたくなっちゃうけど、残念、ロッカーの中じゃ舐められない。
そんなこんなで流れで手コキしてくれるメルちゃん、貴女が天使か!! ・・・いや、宇宙人か。
とりあえず挿れてなければセーフらしいですよ。
淫乱ピンクの名に恥じない、このチョロい感じがとんでもなく可愛くてエロくて、あぁ大山チロルさんのボイスは本気で脳髄を溶かしにかかってきますなぁ・・・

アニーのお風呂でスク水来てエッチもなかなかに良くて、主人公が彼女に男性器を「おちんちん」と呼称させるのだが、この台詞がいやらしくて、第一声のヤケになった感じの「お、おちんちん!」と、次に続く恥ずかしげな控えめな声での「お、おちんちん…」は何度聞いても股間を刺激させてくれる天然ものだ。





最後になるが、この作品、冒頭の部分で恋愛ガイドブックのナビゲーター、シリーという女性のご挨拶から始まり、初っ端からメタ構造的な示唆を匂わせてくるのだが、このギミックがなかなかに面白いのだ。

そう、本作とはタイトル通り徹頭徹尾ユーザーに対してのガイドブックであるということ。
ゆえに、

シリー「不可能を可能にすること――それこそが、私に課せられた使命ですから」

という言葉は的確に本作の本質を突いてきている。
彼女はいくらでも積極的にシナリオに介入でき、だから、本作のご都合主義的シナリオとはむしろなるべくしてなった約束された展開である。





※追記

ザークオンッ!!
メルちゃんとの恋愛ガイドが搭載されてないなんて、こんなの絶対おかしいよ!!

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