くるくすさんの「アンダーライン」の感想

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退廃的な空気がウリなのだけれど、いかんせん嘘っぽい。メンヘラ娘が一途に慕ってくれるようなシチュだけなら楽しめそう。
 ヒロイン・繭は漂流しながら、常に誰かと繋がりたがっていました。シナリオを振り返ってみましょう:悠人を愛するあまり自分も下流に堕ちる→悠人にフラれて上流に戻ろうとする→上流の仲間たちに敬遠されて居場所を失った→また下流に堕ちて居場所探し→下流も居心地が悪い→自殺を図る→悠人とヨリを戻してハッピーエンド。
 綺麗なラブストーリーではあります。繭は上流下流の絆を色々と手に取って試した末に、それらを全て一度断ち切り、悠人と再び結合します。彼女にとって彼との繋がりが最も貴重なものだった、と示されたことになります。こうしてふたりの恋愛は美化されています。
 しかし結局繭は、悠人にぶら下がっているだけではありませんか。彼女は依存的で自立心に欠けています。将来もし彼にフラれたとしたら、また漂流を再開しそうです。しかも物語がハッピーエンドっぽく締め括られていますから、彼女の不健全さは際立ってきます。エピローグの彼のセリフ「繭は上流を捨て、俺は下流を捨てた」は、なるほど自立の精神に溢れた勇敢な態度として私たちの心を打つのでしょうが、名ばかりで実が伴っていません――彼女はそう言い張れる程には勇ましくない。(称讃されるに値するのはむしろ彼です。彼は現実的な未来を模索しながら、最終的に上流/下流のどちらの彼女をも愛しましたから。)。
 このようにテーマに関して本作はプレイヤーの好き嫌いがハッキリと分かれそうですが、いかんせんストーリー展開が嘘っぽい。大人の存在が希薄で、子供だけで成立しているような物語です。不自然な箇所をいくつか挙げておきます:

・下流の生徒がまるで野獣のように描かれていましたが、学校側が黙認するとは思えません。教師たちは下流の生徒を見放すとしても、少なくとも上流の生徒を見放すはずがないのですから(校区内の各学校は進学実績を競いあっている、と説明されていました)、監視を強化して上流の保護を図るはずです。
・繭のレイプ未遂について。繭は危機に瀕してとっさにメールで悠人に助けを呼んだので、犯人たちは慌てて逃げ出してしまった(悠人の腕っ節の強さは下流の間で噂になっていた)……というのが事件の顛末です。しかし、もし犯人たちが悠人の強さを恐れていたのだとしたら、彼女をレイプしようなどとは考えなかったはずです。だって報復が怖いもの。ひょっとして犯人たちはふたりの恋仲を知らなかった/犯行の途中でようやく気付いたのでしょうか(上流と下流の組み合わせは珍しいということで、校内でちょっとした評判になっている、と親友君が言っていましたが……)。あるいは「レイプの一部始終を撮影→後日、映像をネタに脅迫する」という、抜きゲにありがちなパターンを計画していたのでしょうか(だとしたら悠人よりも司法の裁きを恐れるべきです)。そもそもそんな冒険に出なくとも、下流の女子がヤらせてくれるはずですし、理絵のような落伍者を捕まえられるかもしれません(珍しいことではない、と作中で記述されていました)。
・繭の親御さんは何をやっているのでしょう? レイプされかかった娘がメンヘラ化していることに気づけなかったのでしょうか。
・エピローグによると、繭は上流の生徒と交流を幾分取り戻したようですが、作者による安易な救済に過ぎません。具体的にどのように彼女が復権できたのか、描かれていないのですから。

 キャラやエロシーンには少し期待できるかもしれません。繭の心的変遷が極端で、時々付いていけなくなるのですが、それでも上流の天使サマがヤンデレっぽく一途に迫ってくれるシチュや、仮想シーンとはいえ2穴+ぶっかけをキメてくれたりとか、中々美味しい。シナリオを通して彼女が神格化されていて、濡れ場がエロくなるわけだ。CGが商業レベルだったら多分いい線行ってると思います。


[まとめ]
 話の筋はちょっと現実味に欠けていますし、退廃的な雰囲気は人を選びそう。昔のケータイ小説っぽい感じがします。ヒロインやエロシーンにのみ注目するなら楽しめるのかもしれません。


■2016年6月15日 書き改め

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