4Dさんの「私のリアルは充実しすぎている」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

仮面オタ少女と可愛い男の子達の恋愛がメインなフリーノベル。優しい嘘でごまかしているものの、その中身は現実的で痛烈な部分もあったように思えた。学生時代にどう過ごしていたかで作品の印象が少し変わってくるんじゃなかろうか。自分は少しの痛みと、懐かしさを感じた。あっでもそんな歪んだ見方しなくたってこの作品は面白いです。はい。普通に萌えると思います。男の子達を相手に。あっ自分オッサンですけどホモじゃないです。大丈夫です。
ポップな絵面の割には身も蓋もない現実を突きつけている点が面白い。
一つ「オタがキモがられるのはオタ趣味以前に己の外見や言動を省みないという本人の資質のせい」
一つ「見た目がよけりゃオタでもなんでも許される」
そして最後に「そんな現実でも何かを共有できる人、通ずる相手が一人でもいれば
彼・彼女らは幸せに過ごせる」ということ。



学生時代のある時期、自分のクラスはスクールカースト(嫌な言葉だなあwと思うけど
しかし判りやすいのも確か)上位層の人間の中にもオタがいるという、恐らく珍しい環境だった。
そのせいかオタク趣味に寛容なクラスで、休み時間に教室の隅っこに集まって
常に半笑いで目線が下向き、「ホ」の発音がデフォルトで「フォ」になってる彼らにも
普通に人権があった。
人権があった、とかなんつー物言いだよと自分でも思わなくもないが、
しかしこのサイトを見るような人には何を言わんとしてるかこれで伝わるはずw
まあそんな感じでイケメン、なんちゃってヤンキー、中流、ガチオタが
何かにつけて混合チームを組むようなクラスだったんだよね。
余り物の押し付け合いなんてこともなく、階層はあれども仲が悪いということはなかった。
俺にしたって上位層ともガチオタとも普通にくっちゃべったり遊びに行ったりしてた。
なんでこんな自分語りをしてるかっていうと
「俺には希美の視点も歩の視点も共感できる」ってことが言いたくてさ。

ガチガチのオタクで中坊まではもさくて気持ちの悪い見た目をしていたものの
高校入学を機に一念発起し、外見ほか表面上は脱オタを果たしながらも
中身はがっちりオタのままでしたという一見リア充、その実は仮面オタな希美が主人公。

同じくオタ丸出しで根暗系なヒロイン?ヒーロー?の歩くんルートでは
割と包み隠しのない心情描写がなされている。
主人公は昔のようにオタク談議に花を咲かせたいが、
しかしこんなオタ丸出しの人(※歩のこと)と話して
他人からにおいての自分の価値を下げたくない、と葛藤する。
「このルートを最初にプレイした場合」の主人公は、とても滑稽で良い印象は抱きづらい。
オタクとバレないための過度な頑張りが痛々しく、
そしてかつての仲間に対しての態度は冷たいものだった。
特にその中でも俺がドキリとさせられたのは、主人公が歩に対する思いとして
「私が彼を見下しているうちは昔のようには戻れない」
とはっきり自覚していたことかな。
見下すだなんて好意や恋愛からは遠く離れたところにある感情だし、
読者の主人公に対する好感度だってダダ下がりになるだろうことも予想できる。
オタクの癖にオタクを見下すのか、と。お前は何様なんだ、と。

それでも、酷く現実的な心情だと、その踏み込み具合には真摯ですらあると俺は思った。
学生時代にオタクで、しかもオタクコミュニティを経験していた人なら判ると思うけど
実際、大抵のオタは身なりもクソもないからね基本的にw
快活で見た目もいけてるオタなんてかなり希少。
つうかそんなこと言ってる俺自身だって割と遅くまでオカンの買ってきた服着てたしさwww

ただ、なんつーのかな…そういうオタではありながら、パンピーとも普通に付き合ってたおかげか
年齢なりの思春期を迎え一般人的な感覚を身につけることができ、
ある程度色々なことに気付けるようになった運の良い人間からするとさ、
「こいつら(ガチオタ)と話してるのクソ楽しいんだけど、でも一緒に街は歩きたくねえなあwww」
って、思ってたもん。仲間と思われるのやっぱりちょっと恥ずかしかったもん。
んなこと書いたら反感買うなんてこたあ百も承知だし
ガキの頃とはいえ自分自身嫌なところがあったなあとも思うけど
それでも当時はそれが正直な気持ちだったんだからしょうがねえ。

この作品において不幸なのは希美も歩も、オタである自分を
客観視することができていたにも関わらず、とった行動が正反対だったこと。
こんなんじゃダメだ!!と自分が大好きなものをひた隠し、装い、
パンピーの中に紛れ込んだものの「誰とも通じ合うことはないだろう」と
諦観を抱きながら日々を送る少女。
反対に己の姿を一切省みることもなく、一人孤独に引きこもる少年。
いや省みていない訳ではないか。何をどうすればいいのかが判らないだけか。
表面上脱オタした希美にしたって、準くんがいなければ果たせなかった事だしね。
なので個人的には歩HAPPYよりも歩NORMALの方が説得力のある結末だった。
痛烈ではあるけども、この二人の終着点としてはものすごく納得がいったんだ。
しかしあまりにも痛々しい終わり方。
オタに救いはないのか?

いや、既に救いはあった。
過程はどうあれ希美は努力をして自分を変え、辛く苦しい学生生活を脱却することができた。
そう、結局のところオタク趣味が気持ち悪いからその人間も気持ち悪いって訳じゃなく、
気持ち悪い人間がオタク趣味やってるから更に気持ち悪いってだけだ。
準ルートをプレイした後なら、彼女の努力を滑稽だとは思えなくなるんじゃないか。
世界よ変われと呪うのではなく、自分が変わるという克己であり、
弟の優しい思い付きから始まったシンデレラストーリーだった。
そうまでして手に入れた新しい学生生活。過敏になっても無理はない。

その一方で、歩は例え希美が昔のまま変わらない姿だったとしても、
昔と同じように接してきてくれただろう。
自分の見た目は気にしないが、お前の見た目も気にしないという
ある意味オタクなりの無垢さを持った人間。
そして主人公が一番大好きなもので通じ合える、
つまらなかった学校を楽しみだとまで思わせてくれた相手。
何時でも、望めば直ぐにあの頃に戻ることができる。

しかし、この二人が恋愛に発展したのは「髪を切ったらイケメンだった」という
作者の優しい嘘があったからに他ならない。
では準はどうだろうか。こっちは対象が逆ではあるけど「髪を切ったら可愛くなった」から。
友情、仲間、家族愛に見た目など関係ないが、恋愛に発展するためには
見た目が必要だという訳だ。
いやあ…うん、リアルだと思うよw

でも、彼らは最初から恋愛を望んでいた訳ではないからね。
ただ「この人と話すのは楽しいな、つまらない学校も楽しくなる」
「辛そうだから、馬鹿にされないようにしてやりたい」
「弟が恥ずかしい思いをしなくていいような姉になりたい」
というとても小さなことが始まりだった。
そしてそれが叶えば彼らはもう、十分幸せだったのではなかろうか。
この物語はそこで既に、HAPPY ENDを迎えていたんじゃないのか。

優しい嘘ってのは、要するにその後のご都合主義的な部分を指してるつもり。
エンターテイメントとして読者へ判りやすく後味良く、
楽しく読み終えてもらうための。
髪切ってイケメンモテカワになれたら世話ねーよ、と最初は思ってたよ。
いや確かに髪型で結構印象変わるけどさw
でもこの物語の本質はそんなところじゃなく、別のところにあったと俺は思う。
準の視点からすれば、馬鹿を言い合い、姉が元気に登校するその姿を見ている時点で
ほぼ完結しており、本編は最早エピローグみたいなものとさえ言えるんじゃないか、と
全てクリアした今ではそういう風に考えるようになった。
そんな弟がいて、自分を引っ張り上げてくれた(隠れオタな)同姓の親友もいて、
更に昔、自分が唯一心を開いていた男の子まで転校してくる。
おー、そりゃ確かに「私のリアルは充実しすぎている」わな。
こんなの仮面オタだなんて些事でしかないじゃん、気付いてないのは本人だけ、っていうね。

そうして、もう一度自分に照らし合わせてみる。
パジャマみたいな模様のシャツをズボンにインして学校指定の靴に
アニキャラピンバッジ付きリュックサック、
隣を歩いてるのは恥ずかしかったけど、でも一緒にアニ○メイト行って
アレコレ指差して語ったり笑ったりするの、最高に楽しかったよ俺。
言われてみりゃ見下していたのかもしれねーな。
でも本当に心から見下している相手なら、一緒になって笑い合えるはずがなかったとも思うんだよ。

そういう、今でも割り切れない罪悪感のような、思い上がりを指摘された恥ずかしさのような、
あるいは懐かしさのような…自分でも上手く整理できないあの頃の気持ち。
そんなもんを彼女・彼らを見ていて思い起こした。
きっとそこにあったのはオタクなりの青春なんだと思う。
だから俺も、この作品の優しい嘘に騙されておこうと思うよ。
都合のいい話かもしんねーけど。あいつらだって、それでもきっと楽しかったんだって
そう思っとくことにするよ。



んでさあ。そういう酔っ払ってんのか?みたいなこと書いちゃうと恥ずかしくなってくる訳。
いい歳して何やってるんですか?罰ゲーム受けてるんすか?みたいな自問自答が始まっちゃう訳。
オッサン酒とかあんま飲めねーから逃げ道もない。もうこのまま突っ走るしかない訳。

でまあ、俺が美少女ラノベが大好きな歩君に萌えてしまったのって、まず言動もだけどさ…
キャラ絵が可愛く描かれていたから、ってのも外せないんだよねーこれがまた。
なんだよ結局見た目かよっていう。
もし彼が陵辱ゲームに出てくるキモデブのような風体だったらどうだったろう、ね。
という訳で、頭の中でシミュレートしてみる。
…うーん………萌えはしないな流石にw
しかしそれでも、やっぱり彼のことは好きになれただろう、と思う。
可愛いお顔抜きにして、こいついじらしすぎるもん。
キモデブフェイスと仮定したとしても、己を知り一歩引き、貴女に迷惑はかけたくないといいつつ
それでもヤンキー相手に立ちふさがって、そんで
「かっこよくなりたいな…側に立っても恥ずかしくないくらいに」とか言い出す訳だろ。
健気過ぎて俺が女だったら普通に大事にするわw
一緒に走ってダイエットして一緒に服も見繕いに行くわw

本文では一言も言及しなかった穂積くんルート。
希美がところどころでヨゴレになるのがめっちゃ受けるw
と言いつつも、一番生き生きしてて可愛い回でもあるね。
穂積くんもいいキャラクターしてると思うけど…シナリオ的には正直他の二人より
一枚二枚落ちる感じ。見所がないとは言わないけども…うーん…

そして後日談。サブキャラが輝きすぎている。
有くんの「何かしたらマジで殺すからな!!」が勢いありすぎて最高だったw
覚醒してからめっちゃ強くなってるじゃんw愛が重い弟いいよ!いい!!最高です!!
っていうか俺今気付いたんだけど自然に男性キャラをくん付けで呼んでしまっている。
この作品…やったせいか…心がちょっと…………乙女になってる…………!!

という訳でオッサンらしいことも言わせてもらうと、
ホモ趣味がばれたときにビクビクしてる未歩が最高にいじめて臭全開で射精しそうになった。
クソッ…普段あんなに余裕ぶった態度してたくせにコレかよ…
…………可愛いじゃねえか……!!!
ホモ本を目の前で音読させ羞恥のあまりこぼれたその涙をべろべろ舐め取りながら
色々なことをしてやりたいと思いました。オフォッww
しかし心がちょっと乙女になってるせいか、視線を外しながら
「私ね、百合もいけるのよ」と言われた時は本当にドキッとした。
俺の中でオッサン心と乙女心がせめぎ合っている…!!

とまあそんな感じで、しっかり読めて悶えもできるという良くできた作品だと思うよ。
女性向けらしいけど、少女マンガと一緒で面白いやつは男が読んでも面白いんだよね。
っていうかこんなん普通に金払うわwぶっちゃけ有料作品だったとしても
俺の点数は変わらなかっただろうと思うしさ。このサークルは余裕でデフォ買いいけるわ俺。


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