oku_bswaさんの「昆蟲姦察 螽」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

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異種姦シリーズ第四弾。世の中には三種類の人間がいる。虫を拒絶する人間と、虫を受け入れる人間と、虫に受け入れられる人間だ。
個人的にCYCLETの異種姦シリーズは前作で一区切りを迎えたと思っていて、そこで得た結論とは、「人間×異種」の異種姦ではなく「異種×異種」の異種姦というとんでもないものだった。(詳しい話は『異種愛玩』の感想で。)
百足やナナフシといった見た目通りの異種だけでなく、犯される側のヒロインも異質な存在―人の形をした人ではない何か―としか思えなかった。

彼女達は異種姦に対する嫌悪感が薄く、僕からすれば
『昆蟲姦察』で気持ちが高ぶってミイデラゴミムシと相互オナニーするのも、
『海蝕輪廻』で彼氏がいるのに「人間よりタコの方が気持ち良い」と宣言するのも、
『異種愛玩』で父親が新聞を読んでいる後ろで平然とウーパールーパーとの行為に耽るのも、
全て到底理解できない言動だった。とりわけ『異種愛玩』のヒロインは嫌悪感が欠如しており、最後の化け物とのシーンは本シリーズの集大成と呼べるものであったと思う。


そんな訳で果たしてここからどうシリーズを続けるのか、そもそも続くのか個人的に注目していたのだが、いざ公開された情報を見ると、始まりとなった『昆蟲姦察』の名を冠したタイトル、値段もミドルプライスとなりボリュームも増量、公式サイトのキャラクターの項目で登場する虫を紹介したりと、気合の入りようが随所から伺えた。これは否が応でも期待してしまう。

結論から言うと、本作は表現していることはこれまでと大差ないのだが、今までの中で一番楽しめたし受け入れることができた。
理由としては、ボリュームが増えたことで展開の差別化が可能になったこと、テキストのキレに更に磨きがかかったこと、自分自身の内的変化などが挙げられる。

詳しい話に入る前にまずは今回登場する虫たちを紹介したい。

ヨツツジハナカミキリ、カブトムシ、カナブン、ゾウムシ、オオムカデ
ヨツボシケシキスイ、サシガメ、ヨコバイ、ダンゴムシ、カナブン
ミイデラゴミムシ、クモ、オケラ、グンタイアリキリギリス、ヒメギス
カマキリ、カマドウマ、コオギス、ハイイロハネカクシ、コナラシギゾウムシ
ヘビトンボ、イボタガ(幼虫)、マダラバッタ、オトシブミ、ゲンジボタル(幼虫)
クワガタ(雌雄モザイク)、クリイロコガネ、ヒゲコガネ、マメコガネ、シリアゲムシ
オニヤンマ、タマムシ、ベニカミキリ、コフキコガネ、ツチイナゴ
ベニヒラタムシキアゲハ(幼虫)、スミナガシナミアゲハ、カラスアゲハ、ナナフシ、クサグモ
サシガメ、マイマイカブリ、オサムシ、シデムシ、クツワムシ
アトボシアオゴミムシ、タマヤスデ、オオゲジ、クロタマムシ、ハンミョウ
カニムシ、ビネガロン

全52種。我々がよく知っているものからちょっとマイナーなものまで、大抵の虫は今回で出尽くしたように思う。
中でもオオムカデは単体でシーンが複数あり人気の高さが伺える。他だとヨツツジハナカミキリ、オオゲジ、フナムシとのシーンはヒロインの発言や心情描写に是非注目して欲しい。
過去作と比較すると、一枚絵の構図やシチュエーションに目新しさは感じなかったものの、テキスト描写のキレに磨きがかかっているので本作の方がより引き込まれた。


内容について。
何と言ってもボリュームの増加による展開の差別化、複数の異なる性質を持ったヒロインの登場が可能になったのが大きい。

本作のメインヒロインは三名。それぞれ軽く紹介すると、
・早乙女ほたる…学費を賄う為に嫌々ながらも虫との実験に身を投じる。流されやすい性格だが精神的に不安定な一面も持つ。
・神無楓…学生会長を務めプライドの高い人物。虫との行為を強要され、それを盾に実験に参加するよう脅迫される。実験を嫌悪しており何とか阻止したいと考えているが、その反面性的興奮も強く感じている。
・鴨川芽愛…虫のことが大好きで進んで実験に協力している。虫に対する真摯な愛情は時に危うさが見え隠れする。

エンディングも各ヒロイン×2、バッド、ハーレムの計8個用意されており、それぞれのヒロインの場合での虫姦の果てに待つ結末を楽しめるようになった。精神が壊れたり、虫の卵を身に宿したり、虫に対する愛情が暴走したりと、その結末は多岐に渡る。
虫に犯される嫌悪感とその変化の描写についても、嫌々ながらも最初から感じてしまっている時点でどうなるかはお察しなのだが、それでも過去作に比べると雲泥の差で良くなっている。テキスト量が増えたことでそこに描写を割く余裕が出来たのだろう。


そしてもう一つ。本作を楽しめた理由としてはむしろこちらの方が大きいかもしれない。
何と言うか僕自身が、ヒロインが大して嫌悪感を抱くことなく虫との性行為を受け入れている姿を許容出来るようになった。『異種愛玩』の時には理解出来なくて思わず引いてしまったが、今回は「これはこれで悪くないな」程度には思えるようになった(なってしまった)のだ。

「人間は何事にも慣れる存在だ」とはロシアの文学者ドストエフスキーの言葉だが、身を以てこの言葉の意味を知ることになった。

実を言うと、今作のヒロインで一番のお気に入りは芽愛である。芽愛は初めから虫との性行為に対して嫌悪感を抱いていない、言わば過去作のヒロインのような異質な存在である。実際とあるルートでは楓から「彼女はもう虫だ。虫を愛し、虫に変貌したのだ」などと、異種として認識されている。

だが過去作のヒロインと芽愛では、異種姦に対する考えに大きな違いがある。前者は異種姦を至高の快楽をもたらしてくれる物くらいにしか考えていないが、芽愛は虫との性行為が本当に素晴らしいもので、選ばれた者だけに許された喜びであり、尊い行為だと本気で信じている。
彼女の思想が垣間見える場面を一つ引用したい。

>人間には二種類いる。
>虫を受け入れられる人間と、そうでない人間。
>ハッキリと断言出来る。
>前者の方が人間として優れている。
>異種を認め、受け入れられるだけの器量がある方が
>素晴らしいに決まってる。
        ~中略~
>ここは選ばれた人間しか辿り着けない聖地。
>ほたる先輩も、神無先輩も、到達できなかった。
>この高みに至れなかった。
>椚先生なんてもってのほかだ。
>選ばれた人間だけが虫の快楽を享受できる。
>神聖で崇高なんだ。
>そして、わたしがこの地に値する優れた人間を
>選ぶんだ。わたしが一番理解してるんだ。
>虫姦の尊さを――
               -「虫の良さを広める芽愛」より引用-

彼女は虫を受け入れられる人間こそが優れた存在であるという選民思想の持ち主であり、その理念を基に周囲に対して行動する。
これは普通に考えれば異常極まりない。だけどどうだろう。

己の考えに一片の疑いも抱かず、嬉々として虫との行為に耽る彼女の姿を見ていると、まるで虫姦が本当に素晴らしいものであるかのように思わず錯覚してしまった。そう思わせるだけの力強さをテキストから感じた。
僕にとって芽愛というヒロインは、単に理解出来ない異質な存在というだけではなく、カリスマ性を持った存在として映った。


一言感想で述べたように世の中には三種類の人間がいる。虫を拒絶する人間と、虫を受け入れる人間と、虫に受け入れられる人間だ。
ヒロインを分類分けすると、ほたると楓は虫を拒絶する人間、芽愛は虫を受け入れる人間だろうか。だが、正確にはこの二つは人間を肉体と精神のどちらの観点で見たかによって答えが変わってくる。

肉体的に見た場合には、三人とも虫を受け入れた人間である。内心ではどんなに嫌がっても虫と交わった時点でそれは受け入れたことになる。
一方で、精神的に見た場合にはこちらは最初に分類した通りである。あくまで序盤の時点では、虫を心から受け入れているのは芽愛だけだ。

では、虫「に」受け入れられる人間を判断する基準は何か。それは勿論虫である。人間がどんなに心を尽くしても、それが虫に取って好ましくなければ受け入れられたことにはならない。この時の両者の関係は人間ではなく虫が上位に位置する。
虫に受け入れられたいのであれば、人間としての尊厳を捨て、ひたすらに虫が望むままに己の体を差し出すしかない。それは最早虫にとって都合の良い存在、虫以下の存在である。

本作の締めであるハーレムエンドで彼女達は、こうした虫に受け入れられる人間へと変貌を遂げた。ここに至って彼女達を人間と呼ぶのには抵抗がある。とは言え虫と同格の異種と称するのにも抵抗がある。果たして彼女達を一体何と呼べば良いのか…。

結末としては『異種愛玩』と大体同じようなものだが、僕自身がその異質な状況に適応したからだろう。前回とは違い、人間から虫以下への存在へと堕ちきった彼女達の倒錯的な姿は、こちらを強く惹き付けたのだ。


最後に異種姦についての話をして終わりにしたい。(この話は本作とはそこまで関係ないです。)
ここでは本作のような実在する生物を巨大化して行う異種姦を、便宜上「リアル系異種姦」と呼ぶことにする。

これは『異種愛玩』の感想で書いた事にも関連するのだが、異種姦とは読み手と書き手、両者の想像力の相補的関係によって成立するジャンルだ、というのが私見である。何故なら異種姦は経験不可能なものであり、そこで犯される女性の心理・感情描写は作者の想像力に完全に委ねられる。

オークや触手に犯された人なんて世界中のどこを探してもいないだろうし、作者は自身の想像力だけを頼りに未知の存在に犯される女性の感情を言語化しなければならない。
それは困難を極めるし、だからこそ異種姦ゲーでは世界観の構築や犯される女性の境遇、そこに至るまでの過程といったHシーン以外の部分を鮮明にすることで読み手の想像力を喚起する必要がある。

まあ普段こんな事を考えながらプレイしている訳ではないし、実際はシチュエーションと絵と声優が好みであれば前後の文脈とかそっちのけで抜ける即物的な人間なのだけれども、いざ冷静になって良い異種姦ゲーとはどのようなものかと考えると、前述した事がちゃんと出来ている作品が多い。

ではリアル系異種姦の場合はどうか。
『昆蟲姦察』の情報が初めて公開された時、見た目のインパクトからそれなりに話題になったし、画像を見た大半の人は嫌悪感を覚えたと思う。この嫌悪感はリアル系異種姦だけが持つアドバンテージで、読み手の想像力を強く刺激してくれる。
例えばオークよりも(巨大化したとはいえ)百足の方が、我々はよりリアルなものとしてヒロインが犯される状況を楽しむことができる。書き手も同じく百足の嫌悪感を知っているので、より真に迫った心理描写が可能になる。

だから当時はヒロインが嫌悪の対象である虫に犯されながらも徐々に快楽を芽吹かせ、堕ちていく姿を細やかな心理描写で描いた作品を期待していたのだが、蓋を開けてみたらまさかのギャグ寄りで、酷くがっかりしたのを覚えている。

ところが本シリーズをここまでプレイしてきて、嫌悪感を過度に描写せず、ヒロインの異質さを際立たせて最終的に人間以下の存在に落とす展開もこれはこれで面白いと思えるようになった。おかげで異種姦に対する私見が広がった気がする。

CYCLETは来月9日には最近貴重な獣姦ゲーである『姦宮剛獣』、30日には出落ち感満載のタイトル『駄作』など、短いスパンで興味を惹く作品が発売予定なので今後も引き続き注目していきたい。BLACK Cycはまあ…うん。

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