feeさんの「美少女万華鏡 -神が造りたもうた少女たち-」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

純粋にシナリオゲーとして面白かった。SF設定が非常にしっかりしており、シナリオがウリのゲーム(たとえば、KeyのPlanetarianなど)と比べても全く遜色がない。30代になったオカリン(steins;gate)のような主人公も好ましく、アリスも良いがドロシーがとてもかわいい。
物語の展開は非常にオーソドックス。

孤独な主人公→ロボットの目覚め→ロボットとの反目(村人との反目含む)
→ロボットとの和解(村人との和解も含む)→恋人へ(蜜月)→夢の終わり(暗転)→新しい生活へ


という流れです。


人と関わりを持てず孤独に生きてきた主人公の博士(ひろしではありません。はかせです)は、ロボットを練習台にコミュニケーションを取ろうとします。
しかし、そのロボットとすらうまくコミュニケーションが取れません。
このロボット(アリス)は非常にワガママで感情の起伏が激しく、付き合うには難しい相手でした。
(典型的ツンデレだと思って読めば、非常に解りやすい娘ではあるんですが。リアルであの態度を取られたら、難しいですよね)

そんなアリスに手を焼いて、力で従わせようとする博士とアリスの亀裂はますます深まっていきます。
アリス自体は非常に高慢でワガママな性格をしているのですが、
彼女の不満、寂しさ、見捨てられることへの不安と悲しみが非常に巧く描写されており、
博士やプレイヤーに、「ウザい奴」ではなく「面倒だけど憎めない奴、かわいい奴」として印象づけることに成功しています。


無表情なドロシーは、アリスとは違い博士には従順ですが、心に壁を作っています。
そんなドロシーが博士に対して(確かひまわり畑を見た後のシーンだったと思うんですが、自信ナシ)
「口だけの人ではなかったんですね」と話すシーンがあります。
この辺りから、そして博士が見せるアリスに対する優しさ(甘さとも言えますが)を見て、少しずつドロシーの表情が豊かになっていくのも、印象的でした。


そうして関係が深まっていく博士とアリス&ドロシー、そして村人たちでしたが、そんな平和な日常に1つ目の爆弾が落ちます。


アリスとドロシーを村に連れて行ったことから、2人がリリーと接触し、その夜「アリスとドロシー、どちらを取るのか?」と2人に迫られる……そんなシーンがあります。


この作品での博士のNG行動は1にも2にも「2人を村に連れていく」事にありまして、ロボットが身を隠さざるを得ない世界では、非常に危険な行動だと言わざるを得ません。
実際、3回目の(ドロシールートでは2回目の)NG行動によって、楽園での生活は終わりを告げてしまいます。


アリスとドロシー、どちらも選べなかった博士は一度リリーの元へ。
ここで最初の選択肢、「リリーエンド」への選択肢が発生します。


リリーと結ばれた博士は、その後研究に身が入らずに、研究所を火事にしてしまい、アリスとドロシーを失い
廃人になってしまうというエンドです。明らかにバッドエンドですね……。
唯一の人間ヒロインなのに……やはり博士は人間とは結ばれないさだめなのでしょうか。


さて、本筋ではリリーの誘いを断って一路家へと帰ります。
そこで、今までアリス寄りの選択肢を選んでいればアリスルートに、ドロシー寄りの選択肢を選んでいればドロシールートに入ります。この2つのルートは物語自体はほとんど同じで、これがメインルートになります。


どっちつかずの選択肢を選んだ場合はハーレムルートになります。ここでは、幸せに暮らす3人の姿が描かれており……メインルートよりも、こちらのルートの方が遥かにハッピーエンドですよね。
リリーも死なないし、村も崩壊しないし、2人とHできるし……。
物語自体は尻切れトンボだけど、これからも楽しく3人でお幸せに! 完!



で、終わってしまってはあれなのでメインルートの感想へ。
アリスとドロシーを再び村に連れていく、というNG行動の結果、誰にとっても悲惨な展開へと繋がっていくわけですが、
このルートで面白いのはエンディング。
顔にやけどを負った主人公は自らの容貌に強いショックを受け、『化け物』と形容します。
それはそうでしょう。動揺するのは当然です。


ただ、そんな博士の容貌を、アリスやドロシーは受け入れてくれました。
生き残った人々であるブギーマンも受け入れてくれました。
そして、エピローグでの博士は、元気を取り戻しているように思えます。
これはつまり、「誰も気にしない:皆から受け入れられる障害」は最早、障害ではないということだと思いました。


ジョン・ヴァーリィの短編小説「残像」では、盲目の人々が集まって住んでいるコミューンがあります。
孤独を感じていた主人公、どこに行ってもハズレものだった主人公は、
彼らの仲間に入るために、自ら進んで目を潰すのです。
そうして、主人公はコミューンに受け入れられ、そこで幸せに暮らしていきます。


「村」を失った博士でしたが、ブギーマンと共に暮らす新たな生、決して悪いものではないように感じました。
ただ、ラストの「たった一つの冴えたやり方」はちょっと浮いていたかなとはw



本作では、ライターの趣味でしょうか。
非常に様々なところからパロディやオマージュが取られています。
単に名前を借りたところだけで言えば、30や40じゃきかない感じで、
それもラノベやアニメからギャルゲ、古典童話に海外SFに海外ドラマなど、割と広範囲なところから取られているのが趣深いです。

ある意味ひけらかしとも言えますが、僕などは単純なので「おぉ、そうきたか!」と思ってしまいました。
また、火傷の描写やウィルスの説明などは、きちんと調べて描いている印象を受けましたし、SF的世界観もきちんと作りこまれていて、「短編抜きゲーでしょ?」と思ってプレイすると驚くことになると思います。


個人的にはとても気に入りました。
続編にも期待したいです。

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