folsetyさんの「ランスIX -ヘルマン革命-」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

面白いことは面白いが、シナリオも戦闘もあと一歩足りない
シナリオ面については、一言で言えば「起伏と広がりが足りない」
全体的にランス側が押しっぱなし(まともに苦戦したのは序盤のレリューコフくらいか)であり、敵兵力10000倍というコピーにある兵力差の絶望感を感じない。
また、最後の最後にヒロインルートに分岐する作りでほぼ一本道。それ自体はいいが、描ききれていないキャラクターが多数いるため、物足りない。例えばどこに攻め込むかを選択して、それ次第でルート分岐。キャラクターの掘り下げを行うなどしても良かったと思う。
特にアリストはなんのために出てきたのかというくらい意味がなかった。鬼畜王にいたキャラクターじゃなければモブで済まされていたレベル。
またミネバ(才能限界100、女性最強)やマハ(才能限界120、ランスを除けば人類最高)が特に活かされることもなくさくっと処理されたのももったいなかった。
旧作ファンからはミネバは人類最強クラスのイメージがあったのだが、蓋を開けてみれば「ランス・リック>ロレックス>ミネバ」というヘルマンの切り札とは思えない微妙なポジションに。クリスタルミネバはなかなか初見のインパクトが有ったため一応盛り返したとは言えるが・・・。個人の戦闘力ではランス以上にしておいたほうが(まだしも)緊張感があっただろう。「謙信はミネバより弱い」のため、結果的に謙信のランキングも随分下がってしまった。

戦闘面はとにかく「うざい」に尽きる。
移動モーションも戦闘モーションも長く、かつ敵が多数出て来るため非常に「うざい」作りになっている。
魔法系は役に立つが、物理系は必殺技でなければ範囲攻撃できないので使いにくい。必殺技でも単体攻撃のキャラは本当に厳しい。ボス戦では役に立つが。
さらにボス戦をするべき相手をイベントで倒してしまったのが痛い。レリューコフやバステトはその筆頭。
あとシステム面でいえば戦闘前に自分でセーブできないのが非常にダメ。おかげでアイテム整理した後に戦闘して負けるとまたやり直す必要がある。アイテムの整理は戦闘イベントを選択する前にしておかないといけない。

シナリオは一応描くべきところは描いたし、体裁は整えた感があるが、もうちょっとガンバレただろうという印象。
ゲーム部分はパッチを当てれば高速化できるため、それほどストレスにはならなくなるのが救いか。そうはいっても戦国やマグナムほどの魅力はなかったが。

よく言われている「ランスすげー」は正直仕方ないかなと思う。
これまでリーザス・ゼス・JAPAN・カラーと様々な問題を解決してきた英雄だし、実際戦闘力も発想も高いレベルなのだから。ただ、もうちょっとランスを戒めるキャラがいてもいいとは思うが。


ランスシリーズだし、キャラクターはいい。シナリオもゲーム性も物足りなさはあるものの、それなり以上には出来上がっていて楽しめた。
だが、過去作を見ると「もっとやれただろう」という印象の強い作品だった。

ちなみにBADで1番印象的なのはシーラBAD
「あんたも私も
 何のために生まれてきたんだろうね
 こんな終わり方をするためじゃなかったと思うけど・・・」
「ね。」
薬で心も体もぼろぼろになったシーラの「ね。」が悲痛で心に残るいいBADだった。
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