cyokin10wさんの「向日葵の教会と長い夏休み」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

抜群の出来のCG・音楽が、とても素晴らしい雰囲気を醸し出している優良作。詠の健気な一途さと、ムフン!な紫の上ヒナちゃんの可愛さは至高ですし、この二人の√は単なる萌えだけでなく、充分読める恋愛ものに仕上がっています。長文感想では、我が嫁列伝(何)殿堂入り(黒川雫以来7ヶ月ぶり6人目)を果たした詠についてつらつら語るつもりでいたのですが、この作品の某月子ちゃんに対するあまりの扱いに憤慨しながら書いていたら、いつの間にやら月子語りへと変貌してしまいました。妄想願望だらけですが、月子好きの方々の酒の肴にでもなれば、それでいいかな……。
So let me come to you                あなたのところへ行かせて
Close as I wanted to be                できるだけそばに
Close enough for me                 ずっと近づくの
To feel your heart beating fast            高鳴る鼓動を感じるほどに
And stay there as I whisper             そのまま私の囁きを聞いて
How I loved your peaceful eyes on me        あなたの穏やかな眼差しがどんなに嬉しかったか
Did you ever know                  ねぇ知ってた?
That I had mine on you                私も見つめていたんだよ

Darling, so share with me              ねぇ私にも分けてよ
Your love if you have enough            余るほどの愛があるなら
Your tears if you're holding back          溢れる涙があるなら
Or pain if that's what it is              それとも苦しみがあるなら
How can I let you know               どうすればわかってもらえるのかな
I'm more than the dress and the voice       私は服と声だけじゃないって
Just reach me out then               ただ手を伸ばしてくれさえすれば
You will know that you're not dreaming       夢じゃないのがあなたにもわかるのに


(作詞.染谷和美 『Eyes On Me』より)
(訳詞はwebで拾ったものをcyokin10wが少しいじりました)










【月子】
「私の願いは、陽介くんとヒナちゃんが、この朧白で幸せな家庭を築くこと。
 それが、読者として望む最良のハッピーエンドだった」


…………そして彼女は最後まで、「登場人物として望む最良のハッピーエンド」については語りませんでした。


どうして、こんなにも本音を隠す子になっちゃったんだろう。
10年前の彼女は、あんなにも明るく、元気で、屈託のない朧白聖歌隊の末っ子だったのに。
10年後の彼女は、どことなく翳のある艶っぽさ(それこそまるで月の美しさのような)を纏った、朧白の女神となっていました。

彼女がずっと独身を通している理由、本人は「朧白と結婚した女!」などとはぐらかしていますが、想い続けたんですね、10年間陽介を。
10年前の時点から、陽介への好意をポロッと零したりしていましたが、それも本当にごくたまにでした。
きっとこの10年間もそうだったのでしょう。陽介には一切悟られることなく、埋み火のように燻らせつづけた想い。
村を出ていくことである程度区切りをつけられたであろうルカと違って、朧白に住まう彼女には踏ん切りをつけるタイミングは訪れず。


【月子】
「理想の家族像とでも言うのかな……。私もそこに入れればよかったんだけど、
 無理なのは最初からわかってたから」


ヒナに精一杯の愛情を注ぎながら生きる陽介。
子どもらしい、無邪気で絶対の信頼と、女性としての愛情を陽介に捧げるヒナ。

そんな二人を見続けた彼女に、特にヒナの恋愛感情に気づいてしまった彼女に、告白という選択肢はありませんでした。
だから、ヒナの物語を読んでいる読者、傍観者たる立場を自分に課すことで、諦めようとしていたのでしょう。
(それでも諦めきれずにズルズルと引きずりつづけた想いこそが、彼女のあの翳のある美しさの源のような気もします)

そんな月子に訪れたまさかのチャンス、お見合い。


【月子】
「でもお見合いの話が来て、ちょっとだけ夢見ちゃったのよねー。
 自分が登場人物になることを」


ずっと隠し通していた陽介への想いを、彼女は陽介に少しずつさらけ出すようになります。


【月子】
「まー私は陽介くんのこと、ちゃんと異性として意識してたけどね」


冗談に紛らせながら、それとなく好意をぶつける月子ちゃん。
そしてそれに戸惑う陽介。


「なーんちゃって♪」

「本番の日、楽しみだね」


その言葉と、それを発した時の笑顔。
月子ちゃんの心はどれほど浮き立っていたことか。それなのに。

ここからの月子ちゃんの扱いのまぁ、ひどいこと。


お見合い話→陽介承諾→陽介電話でキャンセル

埋め合わせの夏祭りデート要求→陽介承諾→月子かなり積極的に口説く→陽介断る


…………お見合いを断られて噛ませ犬となった月子ちゃんは、諦めてヒナの背中を押します。

二人が幸せになってくれれば、それは読者として望む、最良のハッピーエンドだから。
そしてそれ以上に、二人が恋人としてくっついてくれれば、ようやく自分の気持ちに踏ん切りをつけることが出来るから。

ヒナの背中を押す理由。彼女が表に出して語るほとんどは、自らの恋愛感情とは無縁の前者なわけですが
この場面で彼女、本人も認めている通り、ちょっとやりすぎます。

つまりは(無意識の内に?)見合いを断られた腹いせを
もっと言えば、10年間、陽介の一番大切な女の子のポジションを掴んで離さないヒナへの嫉妬を、ヒナ本人にぶつけてしまいます。
(遠まわしに、あなたは10年も陽介くんを独り占めにしたでしょ、まだ足りないの?と言っているようにしか聞こえないです。)

そうして背中を押すというよりは、背中を蹴っ飛ばすような形になった彼女の後押しは

「思ってたのと逆方向」

へと事態を転がすことになります。
そして感じた、仄かな可能性。

飄々とした態度を崩さないので分かりづらいですが、ここからの彼女は、結構露骨な言葉を使って押しています。

「結婚」「デート」「私にもチャンスをください」「好き」

さらには、「ちゃんと親子してるねー」などと牽制球まで放りヒナと陽介が親子であることを強調。
とどめに、「夏祭りデートは永遠の憧れ」と訴え、断りづらくする強かさまで発揮。

もうこの辺りの月子ちゃんの必死さが、可愛くって切なくって。


でもその必死さの結果は…………………………………………皆さんご存知の通り。


プレイヤーたる我々は、これがヒナ√であることを知っています。
だから月子ちゃんの想いはどうしたって報われないこともわかっています。
ここまでの過程でもう充分すぎるほど惹かれてしまった月子が
噛ませ犬を通り越してピエロになっていく様を、指を咥えて見ていなければならない、この苦行。
(何だか前にも経験したことのある感覚だと思っていたのですがアレだ、『introductory chapter』の雪菜を見てた時の感覚。
 さすがにあれほど深い描写をしているわけではありませんが、それでもキツい)


断られた後もやはり飄々と、何でもないようにしている彼女ですが
断られた瞬間、ホントにその瞬間のリアクションだけ、本音が出ているんです。

それまで笑顔で、明るい声で楽しそうに話していた月子が、断られた瞬間だけ呆然としたような表情をします。
そしてすごく切なげな声音で一言


【月子】
「え……?」


字面だけだと分かりづらいので、是非プレイし直して欲しいところなのですが、羽鳥空さんグッジョブ。
母音一つという、ものすごく短い科白の中に、とても深く濃い感情がこもっていて、強く心が揺さぶられました。


10年間想い続けた人に、振られた瞬間。
この一瞬の彼女は、決して傍観者などではなく。

稀有な魅力を持った、物語の主役だったと思います。










---蛇足---

・ここまで語っておいて誠に申し訳ないのですが、一言感想に書いた通り、嫁は詠です。
 別の作品買いにいった時に、たまたま見たパッケージの詠に惚れてしまったのが購入動機ですから。
 
・そして詠担当の狗神煌さんは、詠しか描いていないことを購入後知ったワタクシ。……情報って大事です。
 尤も終わってみれば、作品自体をとても気に入ってしまったので、何の問題もないんですけどね。
 
・詠ちゃん、健気ですよねぇ……
 騙している、という罪悪感に苛まれながらも、陽介(と人間詠)の為に一生懸命立ち回って。
 なり損ないの神様が起こす周回遅れの奇跡は、純粋な想いの結晶。
 ご都合主義と言われようと、彼女が人間になって終わる Happy End には よかったね と声をかけずにはいられませんでした。

・育てるとツリ目ムフン!な美少女になる幼女はどこで手に入りますか?(オイコラ)
 娘がこんないい子に育ったら、それだけで人生勝ち組だよ陽介くん。

・ついに歌うことがなかった朧白聖歌隊。教会で一曲、期待したんですが。

・ところで詠√で陽介が、ネコ詠・幽霊詠・陽介の三者を指して、『マガイが3人』とか言ってたような気がするのですが
 その科白のせいで、陽介にも出生の秘密があるのかと思ってしまいました。何だったんだろう……。

・HシーンをED曲後にまとめてしまうやり方は是か非か。
 シナリオの邪魔をしないという意味では成功していたような気もしますが、さすがに詰め込み過ぎたか。
 どうせならオーガストのように、本編内に1~2回、クリア後のオマケシナリオ内に1~2回、とかしてしまった方が良かった気がします。

・おや、こんなところに紺野アスタさんが。この方のシナリオ、今まであまり合わなかったのですが、今回はマッチしました。
 というか、サブのすかぢさんがアスタ色を薄めた……のかな?

・10年後のお話で、月子ちゃんとくっつく√つくりましょうよー。
 掘り下げれば絶対いい話になりますってばー(ウザい)

・月子ちゃんファンの方々、月子語りしませんか?
 我が妄想月子語りでは語り切れなかった部分や、思い違いをしている部分。
 はたまた違う解釈ができる部分等、教えていただければ幸いです。

 何?語りえぬことについては沈黙しなければならない?……………………ごもっとも。
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