Lumis.Eterneさんの「メルルのアトリエ ~アーランドの錬金術士3~」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

極めて良作。・・・でも疲れた。
この作品は2012年1月現在におけるアトリエシリーズの最新作です。
この作品は、このような物語です。

  大陸の辺境にアールズという小さな国がありました。
  きのこが唯一の特産物で、ほかには取り立てて産業もないような、田舎の国です。
  
  この国は、数年後に大国アーランドとのが合併を控えていたのですが、
  このままでは、アーランドに吸収されてしまい、アールズは跡形もなくなってしまうのではないか。
  こんなことを心配した、アールズの王女メルルリンス(メルル)は、アーランドとの合併までに
  少しでも故郷アールズを発展させて、アーランドに近づけたいと決意するのでした。

  しかし、彼女には国を発展させるような力はありませんでした。
  そんな時、彼女はアーランドの著名な錬金術士であるトトリと出会い、
  彼女自身錬金術士になることを決意するのです。

  しかし彼女の父である王は、彼女が錬金術師になることを快く思わず、
  彼女にこんな提案をするのです。

  「三年以内にこの国を錬金術で発展させられたなら、錬金術師になることを許してやろう」

  こうして、メルルの「錬金術でアールズを発展させるための戦い」が始まるのです。


「錬金術で国を発展させる」というのは、ヴィオラートのアトリエと少し似ていますね。
ただし、ヴィオラートのアトリエでは発展させるのは「村」ですし、実際プレイした印象もかなり違います。
私はヴィオラートのアトリエの感想で、

  システム面ではいろいろ不満や欠点はあるのに、なぜかとても面白い作品である

と、評価しました。
それに対して私は、このメルルのアトリエにはちょうど逆の印象を持ちました。

  システム面では取り立てて不満や欠点がないのに、なぜかプレイするのがつらい作品

ということです。
確かに、このゲームのシステム面はアーランドシリーズの完結編にふさわしく、大変に練りこまれていて、とてもよくできていると思います。
操作性も向上し、前作までの不満点はほぼ解消されていると思います。
ですから、もしもこの作品に対して「アトリエシリーズの最高傑作」と評価する人がいたとしても、私は特に驚きませんし、
それを否定するつもりもさらさらありません。しかし、これまでこの作品を400時間以上プレイしてきて私が感じるのは、
「楽しかった」というよりも、どちらかというと「疲れた」または「きつかった」という印象なのです。

この作品に対して、私が真っ先に感じるのは、

  アトリエシリーズの良さが、かなり損なわれているなあ

ということでした。
私は、アトリエシリーズの良さの一つが、

  テンポの良さ

であると思っています。
この「テンポの良さ」というのは、「システム面でさくさく軽快に動く」ということだけでありません。

  簡潔でありながら、楽しいイベント

であり、

  ユーモアにあふれ、決して冗長にならないテキスト

ということなのです。
このことは、このシリーズが基本的に何度も繰り返しプレイすることを想定していると考えますと、きわめて重要なポイントだと思います。
つまり、「繰り返しプレイすることが苦痛にならないような配慮」であるわけです。

しかし私は、このメルルのアトリエという作品に対して、この点でかなり不満を感じました。
これは登場人物同士の会話イベントなどで特に顕著なのですが、全体的に文章が重く、テンポが悪いです。
これは、「かなり説明的で冗長」と言い換えてもいいのかもしれません。印象としては、ロロナのアトリエやトトリのアトリエでは
3クリックくらいで終わる文章が、この作品では5クリックくらいかかっている感じです。
こんなところを私は、重い・冗長・テンポが悪いと感じたのかもしれません。
私は、最初にこの作品をプレイしたときに、

  もしかすると、ライターさんが交代したのじゃないか?

と感じたくらいです(実際にそうなのかもしれませんが、私は知りません)。
ですからこの作品は、実際にかかった時間以上に長く感じるゲームになっていると思います。

また、私はこの作品に対して

  いろいろと詰め込みすぎているなあ

という印象も持ちました。
確かに、この作品はこれまでのシリーズ作品と比べても、イベントの量は最大だと思います。人によってはこの部分を「盛りだくさんで楽しい」と
感じるかもしれません。しかし私には、どうしても「詰め込みすぎている」と感じられるのです。
それは「強制イベントの多さ」のせいだと思います。これまでのシリーズ作品では、プレイヤーはある程度イベントの発生もコントロールできました。
つまり、

  今は調合に専念したいので、できるだけイベントは起こさないようにしよう

と思えば、ある程度そのようにできたのです。
しかしこの作品では、あまりにも強制イベントが多いために「遊んでいる」というよりも、どうしても「遊ばされている」という感覚に
なってしまうのです。
先ほど私は、ヴィオラートのアトリエを引き合いに出しましたが、このヴィオラートのアトリエをプレイなさった方ならご存知だと思いますが、
この作品の序盤はかなり強制イベントが発生します、そのために

  酒場に「豆のスープ」を渡さなければならないのに、いつまで経っても渡せない

という状態になることがあります。メルルのアトリエでは、ゲーム序盤だけでなく「ほぼゲーム全体にわたって」このような状態に
なることがあるのです。
私は、実際に以下に書くようなことが何度も起こりました。

  ハチミツを作ろう。あれ?蜂の巣が足りないや。じゃあ買いに行こう。
           ↓
         強制イベント
         強制イベント
         強制イベント
         強制イベント
         強制イベント
           ↓
  あれ?俺、何をやろうとしてたんだっけ?

これは極端な例ではなく、こういうことがたびたび起こるのです。
または、何か一つ行動するたびにイベントが挟まるということもあります。明らかにこんなところがこのゲームのテンポを悪くしていると思いますし、
プレイし終わった後の「疲れた」とか「しんどかった」という印象にもつながっていると思います。
もしかすると、制作者さんはこのゲームを何度も繰り返しプレイすることは想定していなくて、せいぜい2周までとか考えているのではないでしょうか。
そのくらい、繰り返して何度もやるには「重くて、テンポが悪い」作品になっていると思います。
この部分は、本当に残念でした。


ただし私は、この作品を基本的に「極めて良作」であると評価しています。
先ほども書きましたように、システム面ではとてもよくできていますし、少なくとも私にとって気になる不具合というのはありませんでした。
ゲーム全体の「重さ」や「テンポの悪さ」も、せいぜい2周限定と考えると、十分許容範囲なのだと思います。
そして何よりも、私のような「ギャルゲー大好き人間」にとってはとてもよい作品です。
主人公のメルルは、アトリエシリーズの主人公としては若干正統派過ぎるかなと感じるほどにポジティブで、行動的で素直なよい子です。
着ている服はどう見ても下着にしか見えませんが、これはこれで良いものなのでしょう。
また、メルルの幼馴染のケイナも、主人公との関係性という点ではアトリエシリーズでも極めて珍しいキャラクターで、とても新鮮でした。
そして、なにより前作までの登場人物の「その後」が見られるというところはとてもよかったと思います。
特にミミはよかったんじゃないでしょうか。エスティーさんにも、何か「人生の悲哀」のようなものを感じたり、感じなかったり。

あと、この作品では前作に比べてエロ度もかなり上がっています。トトリのアトリエもかなりエッチでしたが、この作品はそれをはるかに上回ってます。
なんか、制作者は開き直ってる感じですね。もしかするとこのメーカーは、近々光栄に吸収されちゃうそうなんで、もしかすると最後に「伝説」でも
作ろうと思ったんでしょうか。
私は、このゲームをやってるときに思わずパッケージを見直してしまいました。

  “CERO A”・・・うそだろ~。だって、「すっぽんぽん」とかあるよ!

なんか、CEROの審査基準とかよくわかりませんね。私は、もちろんうれしいですけど。


最後になりますが、この作品はこれまでのシリーズの集大成らしく、「ちょっとまじめなテーマ」にも取り組んでいます。
あんまりネタバレにならないように書きますと、

  ・開発と自然との調和

  ・豊かさと幸せとの関係

  ・「変わっていくもの」と「変わらないでほしいもの」

このようなことを、あんまり説教くさくならないようにさりげなく表現しているのはちょっといいなあと思いました。
こういうことって、大上段に構えて語っちゃうとゲームそのものを楽しめなくなる危険もありますからね。

そして、私がこの作品をやって特に感じたのは、アトリエシリーズのテーマって、マリーのアトリエの頃から一貫しているんだなあということでした。
それは、一言で言うと

  錬金術とは何か

ということなのでしょう。
このことについて、真正面から取り組んだのはエリーのアトリエにおける「命題」というエンディングでしたが、じつはすべてのアトリエシリーズの
根本のテーマが、この「錬金術とは何か」ということなのでしょう。
この作品には、最強の錬金術士が4人も登場します。
それぞれの錬金術に取り組む姿勢も、考え方も違います。

  アストリッド・・・己の好奇心と欲望を満たすため

  ロロナ・・・おいしいパイを作ってみんなを幸せにする

  トトリ・・・母を見つけ出すという目的を果たすため。

  メルル・・・国を発展させ、人々を豊かにするため。

ロロナやトトリ・メルルそしてホムが同居する「あのアトリエ」の風景は、そんな錬金術の持つ様々な側面の象徴なのではないかと思います。

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