umaibou108さんの「この大空に、翼をひろげて」の感想

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とても分かりやすい『商品』だと思う。青空の爽やかさが映えるパッケージ、キャッチーな絵柄、明瞭明快なコンセプト、読みやすいテキスト…。 しかし読み物としては不満が募る。所感はハリウッドのアクション映画を観たときのそれに近い
>あれだけ悔しくて、あれだけ諦めたくなくて、今だって当然、モーニ
>ンググローリーを目指しているはずのこの部活が。

>本当はそうじゃなく、ただそういう自分たちに酔いしれ、がむしゃら
>になる、そんな行為や時間自体に価値があったのではないかと、思
>えてきて。


似たような描写が度々繰り返されるが
そういった総括は青春真っ只中の若者達の抱くべき感慨ではない
その日々を喪失して久しい、いい歳こいた大人達の視点であるはずのものだ

つまりこの作品は、登場人物と同年代の若年層ではなく、その上の世代をターゲットにしていて
彼らにジュブナイルの郷愁や感傷を喚起させんとする意図が透けて見える
これは本作のコンセプトにして最大の特色だと云えよう
「懐かしい」「人生やり直したい」「鬱になった」といった感想は
まさしく紺野氏の思惑に沿ったもので、今頃きっと氏はドヤ顔してるに違いないのだが…

ならばスタッフの立場に立って、この作品をどのように構築、演出すべきか考えた時
論理的帰結として、描かれる世界は色鮮やかな、殊更印象的なものでなければならないはずだ
本作が雰囲気ゲーの様相を呈したのは必然である



その描かれた世界、目に映るもの
青く広がる空や白い雲、澄んだ湖畔に白い風車に緑の滑走場、トビウオ荘、通学路に学校にガレージ、モーニンググローリー…

だがちょっと待ってほしい
しかし本作に表されるそれらはテキストだけ読めば、初見に少し色めくばかりで総じて薄いものだ
試しに同様の雰囲気を持っている他の著作物と読み比べてみてほしい

プレイヤーに与えられる、爽やかで晴れ晴れとしたイメージは
実は、専ら視覚と聴覚=背景画や音楽や、あるいは役者の演技におもねる所が非常に大きい
テキストの貢献度は低いのである
(冒頭とクライマックスは比較的よく描けていると思うが)

描かれる日常や心情、あとクライマックスは私にしても満足いくものだった
だが作中に語られるように、センシティブでリア充な若者達の目に、世界が輝き煌いて映るのであれば
本作はもっと、心情だけではなく、モーニンググローリーだけではなく
日々の何気ない風景にこそ筆を割いて、世界を鮮やかに彩るべきであったと思う



印象づけに最も必要だと思われる要素が致命的に欠けた画竜点睛
解りやすいが弱いテキストは、秀でた他の要素に終始力負けしているような印象が拭えなかった
最大公約数を狙ったエンタメとしては、頭からっぽでも堪能できる分ひょっとしたらこの形で正解なのかもしれないけれど
少なくとも私の中にある思い出の"空"は、本作に表されたものと終ぞ重なり合うことはなかったと記しておく
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