ほげもんさんの「ウィッチズガーデン」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

あやり以外のヒロイン√の感想です。(あやりも途中までですが記載)
購入動機……ほぼe-mote目当てです。

・先に評価できる点


e-mote……これは本当に素晴らしい。恋色空模様の立ち絵演出をさらにアニメ調にしたような感じ。
ただこの作品ほどメッセージウィンドウが邪魔になるゲームはないと思うので、4:3モードがデフォルトでも良かったと思う。
(フルスクリーンでのみ実行可能だがやや動きがもっさりする)
他のメーカーでもぜひ取り入れて欲しい。

OP……初めは声に違和感があったけどよくよく聞くとすごくいい曲。
カンパネラをもう一段階盛り上げたようなアップテンポの曲調が世界観にすごく合ってた。

雰囲気……某デ○ズニーランドみたいな観光都市を舞台にした試みは良かった。
毎日がお祭り騒ぎに感じられる高揚感、e-moteの演出も相まって共通√はわくわくしながら読み進められた。
どう見ても異世界ファンタジーが舞台だと思ったのに街の技術によって“そう見せている”という設定も斬新でよかった。
これは主人公が『楽しませる側に回りたい』と思うのも頷ける。
このまま地に足の着いた話でよかったのに……





※以下酷評です。ネタバレ注意。


不満点

・スキップが遅い。指定のシーンに行きたい場合にいちいち文字が目で送れるスピードで待たなきゃなんないのが苦痛だった。そういう意味ではバックログからのシーンジャンプが欲しかったかも。
・テキストのテンポが悪い、ルートに入るとダレる。多分(えくれあ除く)ヒロインがこぞってキャラが弱いためか愛着が薄く、何度も途中で止めようかと思った。
・CGが立ち絵と一枚絵で別人に見える。なんかカンパネラに比べて雑になってません?(個人的に絵柄もあまり好みではない)
・えくれあと水澄のED曲は一緒なのにスキップできない。キャラ別だから?
・ザッピング、ヒロイン視点が非常に多い。
後者はより恋の萌芽を動機付けるための説得力にはなってるんだろうけど、それにしてもいらんとこまで説明しすぎ。
これが想像力を欠く一因となり、『その情報を与えられていない』主人公と
『ご丁寧に知ってしまった』プレイヤーの剥離を生んでしまっているので余計に物語にアジャストできない結果に。
主人公=プレイヤーの与り知らぬところで登場人物がべらべら喋るって……正直必要ですか?


さて、各ルートの感想へと移ります。

まず目に付くのが、キャラが抱えている悩み。あやりや涼乃はともかく他は『そんなに何日も引きずるほど悩むことか!?』と疑問に思ってしまった。
多分必要以上に重い話にしたくないんだろうけど、なら下手に落とさなくてよかったんじゃあ。


莉々子√

序盤、なんで莉々子があそこまで敵に不覚を取ったことを悔やむのか分からなかったけど(演出の一環なんだから別に)まさか本物の魔物だったとかないわー

莉々子を異性として意識するくだりとはいえ、主人公、いきなり足が気になりすぎ。莉々子に叱咤される場面(ストライダーそっちのけでガン見)はさすがにやりすぎだろと思った。
あと莉々子さん、ス パ ッ ツ く ら い は け よ
「私はどうすれば……」じゃなくてさあ。観客の注目を集めるためなら致し方ないってか?
(戦闘での)防御力云々よりもそういう目で見られることを意識しているアイドルみたいな言い分にモヤモヤ。

恋愛描写は及第点。互いが互いを高め合う、という関係はとてもいい。とくにパートナー的存在と恋仲になると公私混同してしまうパターンが多いので。
(あ、でも女子寮でのHシーンは水澄ルートで主人公を内緒で部屋に上げた水澄を莉々子が説教した、という場面を見た後だったのでかなり違和感)

で、莉々子と互角以上に渡り合った魔物が実は本当の魔物だったんだという事実を皮切りに、
魔女の存在、不定期ナイトパレードの真実などがちらほらと種明かしされるわけですが、
ここが本作で最もがっかりした部分。なぜアイデンティティを捨ててしまったんや……もうなんでもアリになっちゃうやん……
街中にフツーに敵が混在してて陰で専門家(主に魔女)が戦ってる、ってことですよ?
のんきに生活サイクル送れないだろうし、観光やれる治安じゃねえだろ。知らないスタッフや観客はどう処理するつもりなんですか……
(その点は他の方が詳しく書いてるので割愛)
ひょっとしてライターさん、燃え展開を書きたかっただけとちゃう?
フツーに主人公が莉々子に追いつき、肩を並べあえるように一人前の騎士(スタッフ)になるための成長物語じゃ駄目なんですか?

それから魔女とストライダーの仕事、奥義の会得など物語は一気に進み、かつて仕留めそこねた強敵との再戦・コンビネーションを生かした勝利で最高に燃え上がります。
できればここで莉々子√も終わってた方がよかったと思います。

で、終わるかと思いきや、話の流れはいきなり団長の家庭事情にシフト。そこからまさかの団長との決着に持ってく辺り、盛り上げようと頑張ってるのは伝わってくるんですが。

正直、団長のくだり、いらなくね?

というかね、なんで君たちそこまで人様の家庭事情に首突っ込むの。これは団長一家の問題なんであって、他人がしゃりしゃり介入できる筋合いはねえの。
団長がボコるのも、蒔絵が『思い上がった子供』と貶すのも当たり前だと思います。
これが『未来の話』だったらまだ納得がいきます。
このままいけば多分主人公は騎士内屈指の実力を身に着けると思いますし、莉々子とのコンビも相まって右に出る者は少ない強さに成長しているはず。
何よりそれくらいの期間が必要だと思います。街を護ると宣言するのであれば。
が、主人公、この町にやって来てたった2か月ですよね?
昔から剣術を学んでたとはいえ、最近やっと莉々子と息が合わせられるようになったのに、調子に乗って俺たちに任せろ宣言ですか?
この辺も多分ライターさんが書きたかったんだと思います。
確かに物語の舞台装置としては盛り上がりますが、それ以上に団長(と小僧に抜かれる騎士たち)が不憫でならなかった。
学生の分際で二人力を合わせて街を護って見せます!とほざき、何も知らない観客が主人公たちを激励し、
無名だったのに強敵を倒したってだけでちやほやされてる子供二人に負ける団長。
……正直屈辱を感じなかったのであろうか。
どっかの感想にもあったけど、観客の反応が本当に人形みたいで不自然。とりあえず誰か、団長も応援してやれよ。

以上、つらつらと愚痴を書き散らしましたが、ラストがもう少し何とかなれば莉々子√は良作でした。



水澄、えくれあ√

一番初めに攻略したルートです。
皆さんも仰ってるとおり、途中まではえくれあ√。あそこで分岐したらどうあがいても水澄√はえくれあの収集をつけなきゃいけなくなっちゃうじゃないですかー
終盤で急遽思い出したかのように『俺らえくれあのために頑張る!』だからね。
もっと早い段階で分岐してれば水澄√はこまけぇこたぁいいんだよ!状態のひたすら先輩といちゃいちゃするシナリオ、えくれあ√はかなり起伏のある構成になったと思う。

あと、水澄が主人公に惚れる経緯がやや不自然。
叱れない自分のために、大好きなえくれあのために、代わりに激情をぶつけてくれた主人公に惚れた、っていうけど
水澄たちのことなんてまだ何にも知らないのに、さも知ったかのようによし子に食ってかかる主人公には何様?と思ってしまった。
(たいして親しいわけでもない、苗字ですら呼べない、ましてやお前らはあいつのことなんてどうでもいいのかよ!冷たい奴だな!と勝手にレッテル貼って、
そのくせ都合だけを押し付けてくる部外者。最悪の印象を持たれてもおかしくないと思うが)
というか順番逆じゃね?
水澄と親しくなってからなぜ執着しないのかを聞き出し、そこで思いのたけをぶつける方が自然なのでは?
それでああ、この人は本当に私たちのことを思って言ってくれたんだな、と見る目が変わり、
自信をつけた水澄は再び主人公と共によし子の下へとくり出す――という流れだったら
えくれあの問題、恋愛過程がスムーズに進行したと思うのですが(あくまで妄想です)

もっと言えばオートマタ設定はなくてもよかったんじゃあ(タマ先生止まりでいいだろ)
普通に恋愛描写とエロに特化した構成でもいいだろ……街中に放出されてる魔力が~とか言った瞬間冷めたよ
もういっそ同時攻略でいいだろ(3Pないんですか!?)……とか言い出したらきりがないんですが。
先輩マジ天使だけどちょっと重い。えくれあはたとえ蛇足と言われようとルートつけてくれたことに感謝。(唯一笑いを提供してくれたヒロインだったので)


涼乃√

ここで明かされる真相はあやりの記憶喪失、『風城』という町に本物の魔物、魔法が存在してる理由、等々。
どなたか書いてある通り、1か月ごとに記憶がリセットされたら到底まともな生活なんぞ送れないという突っ込みは置いておくとして。


あやりは実はウィッチ(魔物を引き寄せてしまう魔女)であり、そんな危険極まりない存在を隔離するために風城がある――というわけだけど、
まず魔物やウィッチの存在理由、魔力を抽出するメリットがなにも説明されないまま話が進んでしまうので、途中からついていけなくなった。
(ウィッチって遺伝?突然変異?だって居なきゃ風城成り立たないんだよね?
なんで魔力吸い出すの?体内にこもる量が少なくなれば魔物もその分おとなしくなるの?)


あと、魔物がウィッチの魔力に惹かれてしまうのならなおさら、それを平然と活用するような街を危険に晒す真似、してはいけないのでは?

魔力の活用方法についても疑問。
“街を支えている”というくらいだから、普通はよりよい生活向上を目指した街づくりに役立てると思うのですが。
(丸腰の人間が万が一、魔物に襲われた時のために“魔法”が発動して守ってくれる、とかだったら莉々子√で漏らした不満もカバーできたのだが)
それが主な活用例は魔物を討伐するソーサレスへの供給……はいいとして、
オートマタ、ナイトパレードを始めとした、観光地として発展させるための見せしめの道具にすぎないという事実。
記憶も吹っ飛ぶような乱暴な扱いなのに、こんな資源の使われ方されたんじゃ歴代のウィッチ達も浮かばれないだろう。


もう重ね重ね言うけど、完全にファンタジー設定蛇足だよね。


「長女として常に気を張っている涼乃を優しく包み込んであげる」というだけでも十分話を膨らませられただろうに、残念でならない。
『魔術の伝統を受け継ぐ誇り』も『雪村家に生まれた宿命』もその魔力の使用例を考えてしまうと……ね。

意外にもラストは比較的よくまとまっていたと思います。
ただえくれあ√でも感じたように、そんな方法で解決できるのなら√外のあやりが気の毒でならないのですが。
もしかしたら涼乃√の裏テーマは『電気(魔法)を大切にしようね』だったのかもしれないとひそかに連想してみたり。

あやり√

他ルートでは不定期ナイトパレード以降風邪扱いとなっていたあやりですが、涼乃√のように実は記憶喪失であったことが判明します。
毎度毎度思うけど『魔法は存在する』というネタばらしが……
どのルートでも主人公は結構あっさり『風城だから』という理由で受け入れてしまうので、プレイヤー置いてきぼりくらってます。
あやりの記憶喪失という事実を、クラスメイトがすんなり受け入れてしまうのを見た主人公が『これだから風城は』と呟いたくだりは吹きました。
(『プレイヤーの意思そっちのけで話が進んでしまう』というのは本作ではかなり顕著ですが)
あと、これもどなたか書いていた通り、『29日周期の不定期ナイトパレード』が4年も続いているのに
町民の誰一人気づいていない、という設定は無理があります。
『モブなんだし』とかいう理由で町民の意思が十派一絡げにされるのは……(莉々子√のラストやあやり√やTUREでも思ったけど)

涼乃√で疑問に思っていた『魔力を抽出する理由』はここで回収。
放っておくとどんどん魔力が増幅し、常に街中に魔物が蔓延る事態を防ぐために抽出しているのこと。
抽出した魔力を消費する必要(ナイトパレードで)があるため、
ある意味この町はあやりのためにある、ということ。
それを聞くとなおさら、何も知らない一般市民を巻き込む危険がある観光都市にする意味が……そうしないと経済成り立たないから?

もうこのルートは読み進めるにつれて無理がありすぎる。

・あやりの記憶喪失をクラスメイト全員にばらす。ばらすことでさらに周囲と溝ができるかもしれないっていう心配はないの?
(偏見かもしれんが、まるで“特別扱いする必要がある子”を
先生がわざわざ『こいつはこういう奴だから仲良くしてやってくれな』)的な感覚に近いものを感じた
・“ウィッチ”のことをうまく隠しつつ他の人にも打ち明けている
・記憶喪失の理由を聞く人が一人もいない。下手すりゃ風城存続の危機にもなりかねない重要機密なのに
・見ず知らずの人間にいきさつを聞いて、たった一日で恋心を持つあやり

「ウィッチズガーデン」のタイトルよろしく、本当に魔女と魔物のみで構成された箱庭にしたほうが丸く収まったのでは。

一言で言うと茶番。シリアスに重みがない。
どのシナリオもこれと言ったテーマが素人目にも見出だせず、
結局何が言いたかったの? と終わった後に炭酸の抜けたソーダ水を飲まされたような虚しさが残る。

端から萌えゲーにシナリオなんて求めてない?
ならせめてこの擬似パーク的世界観を最後まで保ってイチャラブを提供させて欲しかった所。e-moteを生かしたかったのなら尚更。
ほのぼのとした作風の中にピリリとスパイスを効かせてくる名作はいくらでもあるのですから、
わざわざこのメーカーの作風的にねじ込む必要性があったとは思えない。
身の丈に合わない冒険やめようよ。自分の力量を知ろうよ、ねえ。


現時点での総評

雰囲気、いちゃらぶ描写、惹かれる過程はよくできているだけに、
途中でファンタジーに逃げてしまったのが結果として良く言えば王道、悪く言えば使い古されたネタに落ち着いてしまっている。
あと萌えゲーで絵が合わないときついね


けどまあ……e-moteの実験作として見れば無難なのかな

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