KYさんの「ましろサマー」の感想

真夏に降る雪に願いを託した少女たちの過去を紐解く物語。泣きゲーと言うには設定・テキスト共に今ひとつですが、反面で演出・世界観に惹かれるものも多い不思議な作品でした
10年前の夏に降った「なんでも願いごとが叶うと言われる雪」に少女たちが願ったものを、恋愛を交えつつ紐解いていく物語。
公式に掲げている通り『泣きゲー』を目指した作品で、TRUEシナリオを最高潮とすべく構成や設定が練られている…んですが、
正直なところ設定は緻密と言うには投げっぱなしな部分が多く、文章もカタルシスを得られるような「泣かせる」テキストとは言い難く
泣きゲーに肝心の「盛り上がる場面」は計8つのボーカル曲などによる演出に頼っている面が多いような出来ではあります。

しかし、「願い」というテーマにこだわったシナリオやTRUEの一風変わった展開、
超ツンデレ・ドMといった個性的なヒロインなど惹かれるものも多く、泣けはせずともなかなか満足した作品でした。
あっと驚くようなどんでん返しは望むべくもありませんが、大まかに先が読める伏線を張りつつの不思議展開が楽しめる作品。
奇跡をテーマにする以上どうしても生まれるご都合主義や、伏線で展開が読めてしまうのが嫌いな人には向いてないかな…。



共通はそれなりに長いですが、大きな事件やイベントも無く平凡な日常が淡々と描かれるため退屈気味ですね。
特に何がマズいかって、姉の千尋以外のヒロイン達がなっかなか出てこない事に加えて
設定上ヒロイン達の接点が薄いせいでヒロイン同士でのかけ合いが共通終盤までほとんど無いこと。

基本的に主人公と千尋、クラスメイトの亜季、二人の男友達の5人を中心に話が進んでいくため
他のヒロインはたま~に、しかも代わる代わるにしか登場しません。
「貧乏お嬢様」咲乃に至っては両手で数えられるほどじゃないかな(汗
半数以上のヒロイン達より男友達のほうがしょっちゅう画面に現れるってのはさすがになぁ…
これが作品の「空間」を無駄に狭めてしまい、広がりのない窮屈な雰囲気を生み出しちゃってるんじゃないかな、と。

まぁ、それでも日常パートの会話には思わず吹き出すようなネタもあってそれなりに楽しめはしました。
一番笑ったのは亜季が助っ人として参加した練習試合ですね。


…ただ、所謂「エロい事して引っぱたかれる男サブ」の役回りである春樹の扱いはかなり酷く、
ギャグとは言え主人公やその他のキャラから頻繁に殴られたり放置されたりと散々な目に遭っています。
彼をフォローするような出来事も少なく、ほぼ要らないキャラとなっていたのが残念。人によっては不快に感じるでしょうね。

選択肢が誰のヒロインと繋がっているのか非常に分かりにくく
何も知らずに進めると仲良しENDに行き着く可能性が高いため、特にこだわりが無ければ最初から攻略サイトを見るのをお勧めします。
また、千尋ルートは話がそのままTRUEに繋がるため最後に攻略すると良いかと。



個別は複数ライター(4人)という事もあってクオリティに大きく差があるんですが、
共通しているのは「結ばれるまではじっくり描かれ、結ばれてからのイチャラブがほぼ無いorかなり短く、すぐシリアスに入る」という構成。
ヒロインと日常的に会う事になるきっかけから始まり、段々と距離が近づいていく様子ってのが非常によく描けてる反面
結ばれたと思いきやイチャラブをすっ飛ばしてシリアスに入っちゃうのはちょっと残念。

Hシーン数も(若干間違ってるかもしれませんが)千尋・亜季3、咲乃・夏穂2、そして澪1と少なめ。
共通でもそうでしたが、キャラの魅力は表現出来ていても「キャラ萌え」にはあまり力を入れてない印象がありますね。
せっかく個性的なヒロインを揃えてるのに勿体ない…


どのルートも程度の差こそあれど、奇跡や超常の力がシリアスの原因や解決の手段になります。
公式で「奇跡をただ便利な物として扱わず、新しい切り口で攻めています」と豪語してる割にはご都合主義な奇跡もあった気も(汗
個人的なシナリオの評価を挙げれば『千尋(TRUE含)>夏穂>咲乃>澪>亜季』ですね。

夏穂ルートはバレバレな展開ではありますがラストの演出が素晴らしく、分かっていても感動してしまうシナリオで満足!
咲乃ルートは「起伏を無くしたぶん心情の機微や葛藤を丁寧に描く」という個人的に好きなパターンだったので。退屈に感じる人も多いでしょうね。
澪ルートはキャラ萌えとシナリオを上手く絡めた良い出来だったんですが、最後が投げっぱなしエンドなのが悔やまれる…
亜季ルートも途中まで良かったのにシリアスの(内容はともかく)解決がゴリ押しで、なんじゃそりゃ?と拍子抜けするラストが残念。


気に入ったヒロインを挙げれば、澪の9:1と言っても過言ではないツンデレっぷりがストライクでした。
共通から個別の途中に至るまでデレ知らず、会う度に罵詈雑言を主人公に浴びせる完全なツン期…かと思いきや
何だかんだで主人公に付き合っちゃうというほんの微かなデレの見せ方が素晴らしい!
貧乏お嬢様という設定はあれど、強気でツンデレ気味だと(勝手に)思ってた咲乃が実は超素直でいい子だったのもツボでした。



そしてクライマックスの千尋→TRUEシナリオ。
TRUEに入ると暫く日常パートが続きますが、ここに来てようやくヒロイン達が互いに会話を交わす場面も増えてくるため
共通に比べるとワイワイとした雰囲気が増しており、普通の萌えゲーのように賑やかな日常が描かれます。
日常の面白さが完全にTRUE>>>>共通になっているのが惜しいというか残念というか…


TRUEに限らず、この作品を凡作から1つ上のランクにあげている一番の要因はボーカル曲などを駆使した演出。
最後まで語られない設定やご都合主義な奇跡もあって決して作り込まれているとは言い難いこの作品ですが、
演出のおかげでどのルートもそれなりにグッと来るような出来になっています。

話題のBL要素については「わざと入れたBL」ではなく「入れるのが自然だったから入れたBL」という感じですね。
ギャグ調の軽いノリで描かれるのでそこまで気にする程じゃないかな、というのが個人的な感想。



なんだか不満点ばかりになっちゃいましたが、
個人的にはシナリオ・萌え共に文句を言いながらも楽しめた不思議な作品でした。
「歌・演出が良かった」という以外に太鼓判を押せるものが無いため非常に勧め辛くはありますが、
平凡な萌えゲーのシナリオに飽きて新鮮さを求めてる時にいい…かも。
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