くるくすさんの「Ruina 廃都の物語」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

プレイヤーは巡航能力を試される。MPの残量に神経を尖らせながら古代の廃墟を踏破しなければならない。戦闘よりも探索の過程を楽しめるだろう。
【作品紹介(未プレイ者向け)】
 本作は街と洞窟を往復しながら探索を進めていくRPGです。「あなた」と表記される主人公の視点で物語が進みます。「世界樹の迷宮」シリーズ等でお馴染みの、いわゆる二人称視点の構成です。作者(司会進行役)と対面しながらゲームを進めているような気分になります。
 プレイヤーは巡航能力を試されます。限られた資源(MPや回復アイテム)しか携行できない状況で、効率よくかつ全滅しないように、探索を進めていかなければなりません。かりに瞬発的に高火力を出せたとしても、その後にガス欠に陥ってしまうようでは意味が無いのです。このあたりは「Wizardry」や「世界樹の迷宮」シリーズに似ています。
 また探索の様子が具体的/写実的に描写されていますから、臨場感に満ちたプレイを楽しめます。例えば岩場Aから岩場Bに渡らなければならない場面で、普通のゲームならプレイヤーは主人公のアイコンをAに合わせて決定ボタンを押すだけで次の局面に移行できますが、本作ではまず事前にロープを用意(街で購入)した上で、AからBに張り渡さなければなりません。たまに作業に失敗して大きな怪我を負ってしまいます。あるいは回復アイテム。●●薬なら永久的に保存できますが、普通の食べ物は腐るのを見越して計画的に調達しなければなりません。
 プレイヤーはダンジョンの隅々まで探索したくなることでしょう。探索を進める度に、表示されるダンジョンマップが拡大していきます。「探索で獲得できるEXP>>戦闘で獲得できるEXP」と設定されていますから、探索漏れはむしろ勿体無い。
 探索に重きが置かれている一方で、戦闘はアッサリした風味にとどまっています。一通りのシステムこそ備えているものの、特筆されるほどではありません。

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 ※以下、ネタバレ注意!











【レビュー(既プレイ者向け)】
 世の中は広いもので、廃墟趣味という嗜好がございます。廃墟趣味とは文字通りの意味で、遺棄された建造物に何らかの美を感じ取ることです。種々の美が鑑賞されうるのですが、とりわけ現在と過去の対比は大きな地位を占めます――探索者は遺物を手掛かりにして往時の繁栄を偲び、再び遺物に視点を合わせて感傷に浸ることができます。風景群は陳腐であったとしても、対比のおかげで、過去のそれらは活力あるものとして、現在のそれらは悲劇的なものとして、美化されます。あるいは同時代的に鑑賞するのであれば、味わえるのは日常からの隔絶でしょう。探索者は他者の知らないような秘境を密かに発見するのですから。
 廃墟趣味を切り口として、本作の要所を振り返ってみます。
 まず初めの洞窟でプレイヤーは古い石碑を見つけます。碑文の解読のために専門スキル「古代知識」がわざわざ要求されますから、探検気分は弥が上にも高まります。今から注目は過去に移り、非日常に移るのです。コマンド選択が面白みに直結しています。
 遺跡の風景が写実的にかつ小出しに描写されているおかげで、プレイヤーは廃墟趣味を満たせます。普通のゲームなら省略されるような細部まで、本作では丹念に描写されています。錠前の彫刻、調理場のテーブル、部屋の間仕切り……探索が進む度に、テキストによって廃墟のディテールが少しずつ浮かび上がってきます。宮殿内の一場面を例に挙げてみましょう:「鉄製の扉を開けると、右手に向かって、広く暗い廊下があった。目の前の壁には、『刑務院関係者以外の立入を禁ずる』と書かれている。」かつて此処はどのような施設だったのだろう、この先には何があるのだろう、そしてこの荒んだ現状は何とうら寂しいのだろう?! プレイヤーは様々な想像を働かせ、そしてまたひとつ秘密を暴くのです。クリックとともに、秘密を暴く過程を主人公と共有できるのです。
 プレイヤーがオベリスクの「少年像」に触れたところで、過去と現在は結びついて、廃墟趣味を頂点のひとつに至らせます。廃墟の「少年像」と過去の本人が重ねられるシーンは、テキストの写実性を見事に活かしながら、プレイヤーを過去に誘えていました。私は初回プレイでひどく驚いたものです――「少年像」と瓜二つの少年が、見覚えのある都市の街路を走り回っているではないか! プレイヤーはようやく「少年像」が像ではなくトラップされた人体であったことを悟り、過去を実体視している(現在進行形)ことに感動します。今まで想像し続けていた過去に、いよいよ足を踏み入れる瞬間です。
 廃墟趣味として幕引きも寂しげで良かったと思います。タイタスの野望が打ち砕かれ、廃都は一度中空に完成するも蘇ることなく消滅していき、私たちの冒険心をも道連れにしていく。それで全くもって正しいのですが、廃都はいわば冒険の象徴でしたから、名残惜しくもあるのです。読了してふと現実に引き戻される感覚は、廃墟スキーが現場から立ち去る時の感傷によく似ています。やはり本作は廃墟趣味にあふれています。「物語の時代は終わり、遠く過ぎ去る。」



【攻略メモ】
 拾得した歴史書に攻略のヒントが多々記載されています。また本作はwikiが充実していますから、行き詰った場合でも攻略記事を参考にすれば誰でもクリアできます。(ちなみに私は竜の塔のナムリス戦で詰まりました……ちゃんと歴史書を読まなきゃダメですね。)
 まずは必要な探索スキルを網羅するようにPTを組むべきでしょう。生存術が必須で、盗賊がほぼ必須、中盤からは古代知識と危険感知も欲しい。PT編成で悩むのも本作の醍醐味であります。
 中盤以降のボス戦では、「いくさ歌」等で全体の攻撃力を高め、「ワイヤートラップ」等で敵に射撃弱点を付与してから、一斉に射掛けるのが手っ取り早い作戦です。小人の塔で入手した設計図をもとに「機械式連射弩」を2挺作って、フランとパリスに与えればOK。あるいは墓所から副葬品「霊樹細工琴型弓」を盗掘してキレハに持たせておきます。この3名は元々素早く動けますから、連撃武器(命中率低め)を装備していたとしても攻撃を外しにくいのですが、心配なら「加速の呪文」でも掛けましょう。
 実は本作で辛いのはザコ戦です。脳筋PTだと数で圧倒されて息切れしやすい。食べ物「●●サンド」の他、戦闘アイテム「爆発フラスコ」の有用性に気づけば楽になると思います。あるいは誰か1人が全体攻撃魔法を使えるようにしておけば便利です。シーフォンを入れても良いのでしょうが、テレージャやキレハが魔法アタッカーを兼任する形でも◎

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